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はまふぅど人26号

最終更新日 2019年3月19日

中村弘之さん:横浜農業協同組合・生活文化部・地域ふれあい課長

中村課長の写真

創立10周年を迎えたJA横浜。「地産地消」でさらなる地域活性化を図る

平成15年に横浜市内の5つの農協が合併して誕生し、今年、創立10周年を迎えたJA横浜では、横浜農業のさらなる振興に向け、さまざまな地産地消関連事業を展開しています。その事業内容や地産地消のこれからの方向性について、司令塔として活躍されている中村課長にお話を伺いました。

JA横浜が取り組む新しい地産地消事業

10年前、市内の5つの農協が合併して誕生したJA横浜は「地域農業振興計画」という指針を発表しました。その計画の中には生産振興対策、流通対策、地域振興対策の3つの柱があり、その指針に沿って一括販売や直売所などの事業が展開されました。
「創立以来10年間、『地域農業振興計画』に示された3つの柱のもとに事業展開してきましたが、創立当時の軸がぶれることなく進めてこられたと思っています。現在、市内11か所にあるメルカートやハマッ子の直売所は、横浜の生産者、消費者が公平に利用できるように多店舗展開にしたもの。結果として、買い物困難者の利便にもお応えしています」と、創立10周年を振り返る中村課長。講師を務めるはまふぅどコンシェルジュ講座でも、JA横浜が取り組む新しい地産地消事業について、詳しく説明をしていただきました。

はまふぅどコンシェルジュ講座で説明する中村課長の写真
2012年度はまふぅどコンシェルジュ講座で、JA横浜の地産地消の取組みについて解説


そのひとつが「アグリサポート事業」。高齢化により農業が継続できない農家の経営を持続させることを目的として、JA横浜が耕作困難な農地の貸借・斡旋をしたり、援農ヘルパーや援農ボランティアを育成する事業です。今年4月から、JA横浜の准組合員(現在、約4万人)を対象に援農ボランティア育成の農業塾を行なっており、そこを卒業された方を援農ボランティアとして、人手が必要な農家さんに派遣する予定です。

また、今年4月に横浜市営地下鉄センター北駅前にオープンした「クッキングサロンハマッ子」(JA横浜都筑中川支店ビルの3F)も、JA横浜の地産地消関連事業のひとつ。ここでは地域の方々を対象に、横浜産の食材を使った料理教室など、地産地消をテーマとした各種講座を開催しています。
「直売所で農産物を買って終わり、というところからもう一歩踏み込みたいという意図で作ったのが、このクッキングサロンです。ここで行われる料理教室にはさまざまなものがありますが、中でも、農家のお母さんたちが先生になって、地元の農畜産物を使った農家の家庭料理を教える教室は毎回大人気。この料理教室に参加された方々からは「採れた野菜を農家さんがどうやって食べているのかがわかり、買ったものを無駄にせずに食べ尽くすことができる」と評判です」。
クッキングサロンハマッ子では、濱の料理人(本誌18号で紹介)や、はまふぅどコンシェルジュ講座から誕生したはまキッチン(本誌23号で紹介)も、地産地消をテーマにした料理教室を定期的に開催しています。「はまふぅどコンシェルジュの方々をはじめ、横浜の地産地消に関心のある方には、ぜひ、クッキングサロンハマッ子を活用していただきたいですね」。

クッキングサロンハマッ子での地産地消の料理教室の写真1

クッキングサロンハマッ子での地産地消の料理教室の写真2


毎回盛況な「クッキングサロンハマッ子」の料理教室

食農教育に取り組む生産者を「食農教育マイスター」として認定

「横浜市には、ずっと以前から、個人で食農教育に取り組んでおられる生産者の方々がたくさんいらっしゃいます」と中村課長。たとえば、水田を提供して小学校の授業の一環で稲作を体験させたり、収穫した野菜を学校給食に使ったり、地域に伝わる食文化や伝統行事を子どもたちに伝承するイベントを開催したり。JA横浜はそうした方々の取組みを調べ、食農教育に取り組む生産者を「食農教育マイスター」として認定。活動のお手伝いとして、経費の助成などの各種支援を行っています。

これまで個人で食農教育活動を行ってきた方々の中には、「どうやって進めていけばいいのか」と活動方法などで悩みを抱え、仲間を必要としている人も少なくありませんでした。そのため、昨年からマイスターの方々の交流の場を設けたり、マイスター通信という広報誌を発行。現在、認定されている食農教育マイスターは110組ほどいますが、交流会では活発な情報交換が行われ、この交流会をきっかけに新たに協力体制を作るマイスターも現れています。今年6月に開催された食育推進全国大会では、複数の食農教育マイスターの方々が出展。飯田地区(泉区)の農家のお母さんたちが地域に伝わる竹を使ったまつり寿司など、昔ながらの伝統料理を教えたり、じゃがもちや米粉ピザなどの料理教室を行いました。

食農教育の一環として収穫体験を行っているマイスターも少なくありませんが、JA横浜では、よりたくさんの方々に参加してもらえる収穫体験イベントとして「Foodで風土フェア」を年3回開催しています。保土ケ谷支店がある西谷ではじゃがいも堀りのイベントをしたり、泉区の和泉支店ではゆめが丘の駅からスタートする収穫体験イベントを実施しました。
「近くに農地がない中区や西区など、もっと多くの方々が食農体験に参加できるよう、市内48か所にあるJA横浜の支店を拠点として、収穫体験ができる場所を少しずつ拡大しています」。

地産地消の鍵を握る女性農業者の活躍に期待

JA横浜では、農業に従事している女性を対象にした女性農業者講座を平成17年から開いていましたが、今年6月、その女性農業者講座で意気投合した30代から60代までの有志が「横浜ベジフルレディ」というグループを結成し、中区の「ハッピーローソン山下公園店」で新鮮野菜直売会行いました。自分たちが作った農作物やハーブなどを、自分たちの手で販売したこの直売会は新聞などのメディアでも取り上げられ、大きな反響を呼びました。
「こうしたやる気のある女性農業者が行動を起こすことで、その先の道は大きく変わってくるはず。それが横浜らしい地産地消の形でもあるのかなと思います」。中村課長は女性農業者の活躍に期待を寄せています。

横浜市の農業のこれからには地産地消が大きな役割を果たす

JA横浜の今後の課題をたずねると、「子育て支援や介護支援といった地域が抱える問題に、真正面から対応していく必要があります。そして、そのための有効な手段が地産地消だと考えています」という答えが返ってきました。現在JA横浜では、子育て中のお母さんたちに向けて地元で採れた野菜を使った料理の試食会を開いたり、高齢者対象のミニデイサービスに地元野菜を使ったヘルシー弁当を提供していますが、「今後は、こうした子育て中のお母さんとミニデイサービスに訪れるお年寄りが一緒に参加できるようなイベントを開催したい」と中村課長は言います。

「農家の後継者不足の問題もあります。後継者がいかに積極的に農業に取り組めるかを考えなければなりませんが、この点においても、地産地消が役立つと思っています。地産地消は人と人をつなげる大きな手段であり、生産者にとっては、直売を通した購買者とのつながりやふれあいが大きなやりがいになります。それが都市で農業に従事する人の一番のモチベーションかもしれません」。

「地産地消は農業振興やコミュニティづくりのツール」と話す中村課長の写真
「地産地消は農業振興やコミュニティづくりのツール」と話す中村課長


このページへのお問合せ

みどり環境局農政部農業振興課

電話:045-671-2637

電話:045-671-2637

ファクス:045-664-4425

メールアドレス:mk-nogyoshinko@city.yokohama.lg.jp

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