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はまふぅど人35号

最終更新日 2018年8月27日

おいしいものがある横浜に人が集まる
横濱元町 霧笛楼 総料理長 今平 茂(いまひら しげる)さん

35号はまふぅど人画像

中区の元町・中華街駅からほど近くに、仏蘭西料亭霧笛楼があります。
地産地消活動に熱い情熱を傾ける総料理長の今平茂さんに、横浜野菜の魅力やさまざまな活動のエピソード、今後の展開についてお話を聞きました。

憧れの街・フランスで地元・ヨコハマの魅力に気づく

横浜で生まれ育った今平さん。かつては東京に憧れ、東京で西洋料理の世界に入ると、今度はフランスに憧れたと言います。
研修でフランスを訪れたとき、料理人たちが地元の食材を積極的に使う姿を見て、地元に対する彼らの誇りが伝わってきました。
「やっぱり自分のルーツの横浜が大好きだと気づいた。この街でしか作れない“横濱フレンチ”を作りたいという思いが強くなりました」。
そして、霧笛楼の調理場に入り、30余年。今、この“横濱フレンチ”を実現している要素の一つに、横浜産の新鮮な食材があります。
例えばヨーロッパなどから野菜を仕入れるとなると、現地の農家から近くの市場、さらに中央市場へ。
飛行機で12時間ほどかけて日本に着くと、成田で検査が……。元町の霧笛楼に着くまでに相当の日にちが必要です。
「でも横浜の畑はお店からほんの15~20分。畑からもぎたての新鮮な野菜はゆで時間が短くて、風味が保てるんですよ」と今平さん。
料理人が地元の食材に誇りを持ち、生産者も自らの仕事に誇りを持つ、そのことがお互いの信頼関係につながる。
それが、地産地消の素晴らしさだと今平さんは考えています。

畑と調理場で生まれる料理のインスピレーション

今平さんはときには野菜を見に、畑を訪れます。
農家の人の話を聞いたり、毎日土に触れる手を見たりしていると、野菜づくりへの情熱が伝わってくるとのこと。
「すごいなあと思って。だからこそ絶対に粗末にできないし、私自身にもこの野菜をおいしく調理したいという情熱が生まれます。
調理場では思いつかないインスピレーションがいろいろわいてくるんです」。
調理場に戻ると早速、その野菜をロースト(蒸し焼き)。収穫してすぐの野菜はあまり手を加える必要がないそうです。
例えばカブなら、丸ごとローストしてシンプルに塩コショウで味付けするだけで、味が際立つとのこと。
「このカブに合う食材やスパイス、調理法などのインスピレーションが再びわいて、カブの味を最大限に生かす方法が見えてくるんですね」。
こうした畑と調理場でのインスピレーションから、野菜の存在感がある一皿が生まれます。
12月~1月頃に旬を迎えるのはカブのほか、西洋ネギ、ロマネスコ、縮緬キャベツ、カリフラワーなど。
「新鮮なカリフラワーは味が濃厚で、まさしく畑のクリームなんです。特に茎の部分は味に深みがありますね。土に近い部分だからでしょうか」。

大人も子どもも興味津々料理を通じて学ぶ地産地消

今平さんはレストランの外でもさまざまな地産地消活動をしています。
度々開催している地産地消料理講習会は、いつも大人気です。
「市民の方々が地元の食材にものすごく興味を持っていらっしゃるのを実感します」。
前回の講習会では、やまゆりポークや野菜の生産者が同席し、参加者から多くの質問があったそうです。
「農薬のことなど、普段はなかなか聞きづらい質問も出ましたが、
生産者さんは“厳しい規定をしっかり守っているから安全です”とはっきり言っていました。
生産者と消費者が直接つながる機会は大事ですね。地産地消の素晴らしさがもっと伝わると思います」。
また、今平さんは横浜の名だたるシェフ仲間たちと小学校で食育教室も行っています。
学校に着くとまず、子どもたちと一緒に給食を食べます。
「これが大事なんです。一緒に食べていると、子どもたちがいろいろ質問してきます。そこでだんだん親しくなるんです」。
その後、一緒に料理を作ります。ジャガイモの皮をむいて、スープに。どんどん変化するジャガイモを見ながら、
「子どもたちの目が本当に輝いてますよ」。自然とチームプレーが生まれ、料理ができあがると達成感につながります。
みんなで味見し、そのおいしさと喜びもひとしおです。
「食事を作る大変さや楽しさ、みんなで食卓を囲む大切さなどを子どもたちはしっかり感じています。
さらに、“横浜にこんなにおいしい野菜やお肉があることに誇りを持ってほしい”という話にも真剣に耳を傾けてくれますね」。
後日、子どもたちから今平さんに届いた手紙には、
“このスープを家族みんなに作ってあげたい”“今日、みんなで料理したことを一生忘れない”など、
素直な気持ちがつづられていました。「その優しい言葉で、私たちのメッセージが伝わったと実感できてうれしいです」。

都市型農業の魅力と今後オリジナリティーで横浜を元気に

今平さんに横浜の農業の魅力を聞くと、
「あちこちにある畑で、農家の人たちが種や苗を植える時期をずらすなど消費者のことを考えて野菜などを生産している。
その結果同じ野菜でも収穫時期がずれて、長い期間採れたてを味わえる。これが“横浜スタイル”ですね」。
さらに、今後期待することは「もちろんこれからも安全でおいしい野菜を作り続けてほしい。それと同時に、横浜オリジナルの新しい野菜が生まれるといいですね」。
今平さんは、日頃からチャレンジ精神旺盛な横浜の生産者の姿を見て、いずれ実現するのではないかと、大きな期待を寄せています。
「そのオリジナル野菜を使って、もっとおいしいオリジナル料理に挑戦したい。農家の人たちと一緒に頑張る。それが料理人としての使命の一つだと思います」。
“楽しくておいしいものがある場所には必ず人が集まる”という考えから、よりおいしい料理に今平さんは挑戦し続けます。
その“横濱フレンチ”を楽しみに、今日も多くの人が横浜に集うことでしょう。

横濱元町 霧笛楼
場所:中区元町2-96
休業日:月曜不定休
営業時間:11:30~14:00(LO、土・日曜・祝日は14:30まで)17:00~20:00(LO)
HP: http://www.mutekiro.com(外部サイト)

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環境創造局農政部農業振興課

電話:045-671-2637

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ファクス:045-664-4425

メールアドレス:ks-nogyoshinko@city.yokohama.jp

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