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はまふぅど人11号

最終更新日 2019年3月19日

はまふぅどナビ11号(2008年12月17日発行)

~子どもたちに、本物の味覚を伝承する体験活動を通して、スローフードの原点を発信~

横浜スローフード少年団:黒塚道利さん

子どもたちと一緒に味覚を伝承していくことが大切

黒塚道利さんの写真
横浜スローフード少年団の黒塚道利さん

黒塚道利さんは、桜木町駅にほど近い野毛2丁目で料理店を経営していますが、横浜スローフード協会の立ち上げに関わり、横浜スローフードフェアをはじめ様々なイベントの仕掛け人という顔もお持ちです。横浜スローフードフェアなどのイベントを数年経て、次のステップとしてスローフードのコンセプトの一つである「子どもたちへの味覚の伝承」に本格的に取り組みたいという思いから、横浜スローフード少年団を2007年4月に発足しました。
少年団は、小学生の団員約20名が中心となり、地元かながわの地産池消をモットーに月1回程度の活動を行っています。活動内容は、1.厚木の畑では津久井在来種大豆を主に栽培し、味噌等への加工に至るまでを学び、2.戸塚の畑ではジャガイモ、玉ねぎ、大根等の野菜類の成育を観察し収穫を楽しみ、3.魚の教室では、採取した魚貝類の生態観察、調理等をしています。また、昨年来、夏期合宿として山形県の生産者宅へのホームステイも実施しており、都会の子供たちでは日常の体験が難しい「生産、加工、食」への一連の活動のなかで、食の大切さを日々学んでいます。
「一年目は、お金もなく孤立無援だったが、無我夢中でとにかくやってみた。幸いしたのは朝日新聞に取組が2回ほど紹介されたこと。反響があり、新聞を読んだ農学部の学生から手伝いたいという連絡があり、強い見方になってくれた。今年は2年目で、参加している子どもの成長はもちろん、運営に関わる大人もスキルアップしてだいぶやりやすくなった。」と、2年目に入って活動が軌道に乗ってきたようです。3年目の目標は、「NPO法人化と収支のバランスをきちんとできるようになること。もうける必要はないが、運営費などをきちんと得ることが継続的な取組につながると思うから。そして、スローフードの観点からテーマ性のある作物を栽培したい。」と、明確です。


小麦、大豆、ダイコンなどに絞って、テーマ性を追求

大豆の種まき
厚木の畑で津久井在来大豆の種まき

黒塚さんは、作物のテーマ性について構想を温めてきました。「どうしても、スローフードという視点で取り組まなければならない作物がふたつあって、ひとつは小麦。もうひとつは大豆。いずれも国内の生産量が少なくなってしまったもの。県内の生産者も少ないが、横浜市内に至っては、小麦生産者はわずかになってしまった」。具体的には、「小麦と大豆は相性が良いので、同じ畑で作りたい。子どもたちに穀物としての大豆のいろはを教えたい。まずは、子どもたちに大豆の煮豆の作り方を伝え、日々の食卓に豆を使ってほしい。そして「呉汁」(注1)をつくることができればいいよね」と語ってくれました。
また、畑での活動に加えて、減少する中でも健闘している県内の小麦と大豆の生産者とも広く連携していきたいと考えています。
これまでも、少年団はこうした作物に取り組んできました。例えば、横浜市の地産地消月間(毎年11月)に参加して、市内産小麦をテーマにセミナー「幻の横浜小麦を通して語る食文化」を11月16日に開催しました。小麦と大豆に加えて、ダイコンも大事にしたい作物ということで、800本のダイコンを栽培して、収穫・加工・保存を行う「伝統たくあん漬けプロジェクト」も現在進めています。「戸塚の畑で獲れる800本のダイコンを、横浜の都心部で季節を知らせる風景として吊るす計画で、干したダイコンはたくあんに漬けて、2月にたくあんパーティをしよう」と考えており、現在その準備で大忙しです。
(注1)呉汁(ごじる):大豆をすりつぶしたものを呉といい、それを汁に入れたので呉汁といいます。


大都市横浜ならではのスローフードの取り組みを着実に

そば打ち
戸塚の畑で収穫したそばでそば打ち

全国にスローフード協会は多数ありますが、少年団の活動は横浜がオリジナルです。評判が広まって、他県のスローフード協会でも同様の取組が始まったり、また来年山形で開催されるスローフードの全国大会において、横浜スローフード少年団の活動が紹介されるそうです。都市化された横浜ですが、生産者と消費者が近いところにいて、お互いの関係づくりをきちんとつくりながらスローフードの取組を展開していく可能性があるといいます。
黒塚さんは、ご自身が経営している料理店でも、横浜市内の農家との契約栽培で作られた新鮮安心な野菜をはじめ、熟成に2年をかけた自家製の生ハム、手打ちパスタ、チーズなど、厳選された素材で作った加工品などを、お客さんに味わってもらっています。スローフード少年団の「自分たちでつくったものを一緒に味わって、味覚を伝承していく。」という考え方はお店でも実践されています。
最後に「生産者との関係をどうつくっていくか、小麦のように生産が減少しているものをどう復活させていくか。「農」を継承する取組を着実に進めて行きたい」と、抱負を語っていただきインタビューを締めくくりました。


(写真提供:黒塚道利さん)

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電話:045-671-2637

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メールアドレス:ks-nogyoshinko@city.yokohama.jp

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