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はまふぅど人4号

最終更新日 2019年3月19日

はまふぅどナビ4号(2007年3月9日発行)

次世代を担う若者の「食」直しめざし知識と知恵を高め合う八百屋さんたちの勉強会

よこはま青果塾委員長:藤岡輝好さん

大盛況!よこはま青果塾

藤岡輝好さんの写真
よこはま青果塾委員長の藤岡輝好さん

「いまの時期は、軸の太くなったコマツナがおいしいんですよね」。表情をくずしながら、藤岡輝好さんは、ほんとうにうれしそうに話します。
藤岡さんは、戦時中に横浜市の要請により横浜市中央卸売市場内で病院への生鮮食品配給にたずさわり、戦後間もなく生鮮食品販売業を開始した藤岡食品の3代目。現在は「藤岡食品株式会社取締役副社長」ですが、名刺にはもう一つ、「よこはま青果塾委員長」という肩書きが刷り込まれています。
よこはま青果塾は、「青果物に関する知識・知恵のレベルアップ」と、「生産者と流通中間業者と消費者のつながりの強化」を目的に、昨年4月に発足しました。運営を担うスタッフは15人。その中心は、横浜市場関係者、つまり卸、仲卸、八百屋さんたちの集まりです。主な活動は、季節ごと年4回の勉強会や農産物の生産者および産地の視察など。勉強会は、会員のほか、種苗会社の社員や栄養士、調理師、教育関係者、パン屋など食品販売業にたずさわる人など一般参加者を含め、70人以上が参加する盛況ぶり。「この頃一般の参加者がずいぶん多くなってきました。もっと八百屋さんの割合を高くしたいのですが…」と、ちょっと複雑な心境のようです。


会員資格は「個人」であること

小学生が生産者の話を聞く
横浜市内の繁盛店のノウハウに耳を傾ける青果塾参加者

藤岡さんに「よこはま青果塾」立ち上げを促したのは、東京の八百屋さんたちの勉強会「八百屋塾」の存在でした。横浜から東京へ、藤岡さんは3年間通い続けてきました。そこは、熱い学びの場であると同時に、活発な議論と情報交換の場でもありました。「売ればいい」という商売を超えた意識の高揚を感じ、自分がやるべきことが見えてきたのだと言います。
「青果物を扱っているのに、野菜や果物に関する知識が不足している。お客さんにきちんと正しい情報を伝えながら売ることができるよう、横浜にも八百屋たちの会を作ろう」と決意。賛同してくれる友人と準備を始め、市場の仲間に声をかけ、1年がかりで設立にこぎつけました。会員の資格は「個人」であること。組合や業種など既存の関係にとらわれずに交流できる会にしたい、できるだけ若い人に参加してもらうことを心がけました。


勉強会は「横浜産」でというこだわり

直売体験
ホウレンソウ・コマツナの品種による味の違いを食べくらべ

昨年4月から1年間に勉強会で扱った青果物は、
4月:トマト
7月:ナス、スイカ、トウモロコシ
11月:大根、里芋、柿、ミカン
2月:ホウレンソウ、コマツナ、イチゴ
です。毎回カリキュラムは、繁盛店の人の話や、作型(種まきや収穫の時期など)の講義、栄養について、食べくらべ(品種別、露地・ハウス栽培別など)、食べ方(レシピ)の提案、新品種紹介など、多岐にわたります。講義は種苗会社や農家、栄養士などの専門家に依頼。食べ方提案では、プロの調理人の協力も得た本格的な内容です。
藤岡さんのこだわりの一つは、勉強会で使用する野菜は可能な限り「横浜産」のものにすること。「商売ではいろんな制約があって使えないことが多いが、本来は地元の露地栽培ものが一番おいしいということも認識してほしいから」と、市場内に事務所があるにもかかわらず、場合によっては直売所に買いに走ったり、農家から分けてもらったりして集めます。農家のお母さんからきいた食べ方を勉強会で紹介することもあるとか。


自分の食事をコントロールできる大人

いちょう小学校の掲示板
参加者同士、会話がはずむ。情報交換や交流も勉強会参加の大きな目的だ。

もう一つのこだわりは、「次世代の食生活」。だからこそ、会員には若手を誘い(実際、会員の多くは仲卸業者や八百屋の二代目)、勉強会では、できるだけ時間がかからず、手軽に料理できるレシピを紹介してもらうようにしています。たとえば2月は、イチゴを丸ごと固めたシャーベットや、京菜の即席しょう油漬けが披露されました。
その背景にあるのは、若い世代の食生活への危機感。「若者たちの、添加物いっぱいの加工品やファーストフード、コンビニづけの食事を何とかしたい。昔の食生活に戻るのが理想だが、それは無理。ならばせめて、食事に野菜を取り入れる助けになれば」と藤岡さんは考えているのです。
試行錯誤の連続だったものの、目標だった年4回の勉強会を実施でき、初年度はまずまずの成果。来年はぜひ産地見学を実現したいと、すでにそのプランを練り始めています。対面販売の八百屋が、次世代を担う若者たちが自分の食事を自分で評価し、自己コントロールできる大人になるための入り口になれたらと藤岡さんは願っています。


(写真提供:金港青果株式会社)

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