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はまふぅど人13号

最終更新日 2019年3月19日

はまふぅどナビ13号(2009年6月5日発行)

都筑区の農家と飲食店による地産地消ネットワークが発足

花田勝文さん(串田酒店営業部長)・座間聡史さん(CROSSES・CAFE店長)

市内一の農家数を誇る都筑区では、小松菜やキャベツなどさまざまな種類の野菜が栽培されています。その都筑野菜を使って地産地消に取り組もうと、今年2月、地元農家や飲食店が「都筑フードネット」を発足。ネットワーク立ち上げの背景には、地域の活性化を願う人々の熱い想いがありました。

朝採りの地場野菜がその日のうちに店で食べられる

座間さんと花田さんの写真
(左)座間さん・(右)花田さん

「都筑フードネット」に加盟している飲食店では、近所の畑で朝に収穫した新鮮な地場野菜が、その日のディナーメニューに登場します。例えば、座間さんが店長を務めるCROSSESCAFEでは、今の季節なら「天然石鯛のカルパッチョ都筑小松菜のジェノベーゼソース」や「真ダコと都筑ルッコラのスパゲッティ」など、多くの料理に都筑野菜が使われています。店のメニューでは、作り手である農家を顔写真入りで紹介。安全で新鮮な地場野菜が食べられるとあって、地域住民の口コミで少しずつ加盟店の評判が広がっているところです。

都筑フードネットに野菜を提供しているのは、組合員全員が横浜市環境保全型農業推進者に認定されている「折本新鮮野菜出荷組合」の加藤之弘さんと、加藤さんが所属する生産者グループ「都筑ファーム」。土作りにこだわる加藤さんは、除草剤を使わずこまめに手で雑草をむしる、畑をビニールで覆い太陽熱消毒をするなどして、極力、農薬を使わずに安全な野菜作りを実践しています。


地元の酒販店が、農家と飲食店の橋渡しに

花田さん
加藤さんの畑で食べたカブは、柿のような甘みがありました。野菜本来のおいしさを多くの人に味わってほしい(花田さん)

都筑フードネットの発案者である串田酒店の花田さんは、大型店の進出によって消えて行く個人商店を見るにつけ、店の存続に危惧を抱いていたと言います。ネットワークの構想は、配達先の飲食店オーナーたちとの雑談の中から生まれたアイデアでした。
「飲食業は2、3年後には6割しか残らないと言われている厳しい業界。特に大型商業施設がどんどん出て来ている都筑区では、個人経営の店が将来の不安を抱えています。そんな中で、大手企業にはできない、地元の小規模店ならではの街おこしができないか、と話していたことが事の始まり。つきあいのある飲食店に話したところ、CROSSES・CAFEさんなど、5つの店のオーナーが賛同してくれました」(花田さん)。

ネットワークの加盟店へは、串田酒店の流通ルートを使って野菜が届けられます。まず、週の初めに収穫予定の野菜のリストを農家から送ってもらい、串田酒店が加盟店にメールで連絡。飲食店からのオーダーを受けて、農家から野菜を集荷・仕分けし、夕方5時くらいまでに各店に配達。前述のように、早ければその日の夕方には、店で朝採り野菜が食べられます。近所の飲食店で地元の野菜を使ったおいしい料理が味わえるのは、このうえない贅沢。イタリア発祥のスローフード運動が、ここ都筑でも実践されています。


ネットワーク発足で生まれた店同士のつながり

「個人経営者というのは意外と孤独で、家族やスタッフを抱えて日々葛藤しています。まだ新しい港北ニュータウンエリアでは、個人経営者の横のつながりがほとんどなく、店同士のつながりを持ってほしいと思ったことも、ネットワーク作りのきっかけでした」(花田さん)。
フードネットを立ち上げたことで、店のオーナー同士の交流が生まれ、月に1度の定例会では、各店が都筑野菜を使ったレシピを持ち寄り、アイデアを出し合っています。「洋食、和食、焼肉など、加盟店の業態が違うので、他店のレシピにヒントを得て、アレンジを加えた創作料理ができたりします。自分の店だけではレシピが凝り固まってしまいますが、こうした勉強会に参加することで、レシピの幅が広がりますね」(座間さん)。

今では定例会だけでなく、仕事が終わった後に、飲みながら情報交換することもあるそうです。
「フードネットによってそうしたつながりができていくのは、とてもうれしいですね。大手のチェーン店は実績が伸びなければ撤退できますが、個人経営の店ではそういうわけにはいきません。困った時に1人より2人、2人より3人というように助け合える仲間がいることが、とても重要なことだと思うんです」(花田さん)。

さらに、それは街の発展にもつながります。新しい街の駅前は往々にして、大型チェーン店が軒を連ね、どこの駅でも同じような印象を受けるもの。しかし、個性的な店が集まって競い合えば、自然と人も集まります。「フードネットをきっかけにして、都筑をおもしろい街にしたい」と、花田さんは熱く語ってくれました。

地域の子どもたちの「食育」に取り組みたい

都筑野菜 料理の祭典
会場となったCROSSES・CAFEの前では、都筑ファームの野菜や加工品を直売。品切れ続出という盛況振りでした(5月31日限定で開催)

去る5月10日、フードネット主催の初めてのイベント「都筑野菜料理の祭典」が開催され、約100名の地域住民が集まりました。イベントは、同じ種類の都筑野菜を使って各加盟店がオリジナル料理を披露し、参加者に審査してもらうという立食スタイルの公開試食会。集まった人々はおいしい料理に舌鼓を打ちながら、栽培農家の加藤さんが話す野菜作りの取り組みを、熱心に聞き入っていました。
参加者アンケートによれば、8割以上がもう一度参加したいという回答。「地元でこんなにおいしい野菜が作られていることを初めて知りました」「外食をして、ひさしぶりに感動する味に出合いました」という、うれしいコメントが多数寄せられました。


座間さん
料理教室を通して、地元の子どもたちに向けた食育に取り組んでいきたい(座間さん)

都筑フードネットの今後の活動予定として、8月に都筑野菜を使った親子料理教室を開催する企画が進行中です。
「畑で収穫したものを自分で調理して食べる、という行程を体験することで、子どもはもちろんのこと、親御さんに対しても、食育ができるのではないかと思います」(座間さん)。

都筑区は、小さな子どもがいる若い世帯が多く、畑と飲食店が近いという土地柄から、こうした食育の取り組みには絶好の場所だと言えるでしょう。また、11月には都筑区民まつりにブースを出し、都筑野菜を使った料理を出したいとのこと。地元農家と飲食店がコラボする都筑ならではのおいしい料理を、ぜひ体験してみてください。


このページへのお問合せ

環境創造局農政部農業振興課

電話:045-671-2637

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ファクス:045-664-4425

メールアドレス:ks-nogyoshinko@city.yokohama.jp

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