このページの先頭です

はまふぅど人8号

最終更新日 2019年3月19日

はまふぅどナビ8号(2008年3月10日発行)

地域の農業とのタイアップによって、商店街の生き残りや活性化をはかることに精力的に動き回る仕掛け人

地産地消に取り組む中小企業診断士:大場保男さん

商店街での朝市や地産地消は活性化の切り札?!

大場保男さんの写真
地産地消に取り組む中小企業診断士の大場保男さん

大場さんは中小企業診断士で、県内各地の商店街活性化の相談に駆けずり回っています。特に最近は、商店街で朝市を実施することで、年々シャッター通りになりつつある商店街の振興や活性化に取り組んでいます。県内の市町村では横浜市をはじめとして、葉山町、二宮町、山北町、綾瀬市、秦野市などの朝市や直売などが知られていますが、「外から来た観光客が多くなって、地元の人が買えない」という朝市もあり、地産地消とかけ離れてしまうという問題も出てきています。新たに相模原市、横須賀市などでも農産物直売を商店街活性化に活かす動きがあり、大場さんの出番は多くなっているようです。


朝市の写真
朝市の様子

商店街の朝市では、「短時間で多くの売上げが見込め、商業者にとっては他のイベントとは違って売上数字に直結する仕組みの1つ」とのことです。ただし、商店街ならではの問題もあると言います。それは、朝市で生産者が新鮮な野菜などを販売すると商店街の青果店と競合してしまい、商店街内部の意見がまとまらないという問題です。しかし、実際に同じ朝市に生産者と青果店が出店しても競合になるケースはほとんどなく、逆に相乗効果で集客力が高まることが多いそうです。


直売農家の経営診断やコミュニティビジネス研究会での取組みも

セミナーの写真
セミナーの様子

中小企業診断士の主な活動は、地域や商店街の活性化、お店の経営診断や販売促進などですが、大場さんは、10年くらい前より、「横浜市内の農家の直売所の診断をして販促提案をしたり、直売所セミナーを実施した」そうです。戸塚区や緑区(十日市場等)などの農家が多かったとのことですが、直売所セミナーに参加した若手農業者は「農家といっても、商業者よりよほどおしゃれでシティボーイだった」と振り返ります。最も印象的だったのはサボテン農家だったそうで、「商業の世界では在庫はマイナスに評価され、在庫が少ない方が良いとされていますが、サボテン農家では長く在庫しておくことでサボテンが成長して資産価値の増大につながるというのは商業の場合とは全く逆でした。また、若いお嫁さんはスカートとハイヒールで畑に行くなど、ビックリしたものです。」とのお話。
また、大場さんは、中小企業診断士仲間とコミュニティビジネス研究会を持っています。最初のテーマは、空き店舗を活用した子育て支援施設で、2ヵ年で研究成果をまとめたようですが、その次のテーマは「地産地消」で、3年前、地産地消のシンポジウムを開催したとのお話でした。
研究会として地産地消に取組んでいることから、平成18年度「はまふうどコンシェルジュ講座」にも参加しました。「地産地消は間口が広く、多岐な内容が含まれているので、研究レポートとしてのとりまとめはむずかしいですが、非常におもしろい」と、意欲を燃やしていました。


日々の暮らしに地域ならではの農や食を取り込む!

地産地消の食材

地産地消は、消費者団体が運動論風に進めるだけではなく、もっと身近なところで農を活かした暮らしを楽しむイベントや取り組みを通して裾野を拡げていくことも大切です。「何年か前に10数軒の農家をネットワークし、菜っ葉詰め放題、豚汁振る舞いなどを実施する大和市での畑巡りツアーに参加して大変楽しかった」と話す大場さん。収穫体験、獲れたて食材を使った料理に舌鼓を打つなど、イベント仕立てで暮らしを楽しむ仕掛けが大切です。これは、昨年から横浜でも始まった「アグリツアー」と同じコンセプトの取組みでしょう。


地産地消の食材

商店街の取組みはまだ地域の農業としっかりつながっていない状況ですが、飲食店では地元食材を使う動きが少しずつ出てきています。「例えば、相模原のネギそばは地元の甘いネギをのせた限定そばで、美味しくて人気も高い」とのこと。横浜でも、例えば、西谷ネギや保土ケ谷イモ等の特産品を使った料理店の登場で、地産地消の動きが加速されることが期待されます。


コミュニティ・フード・システムの担い手としての商店街

商店街はコミュニティの核としての役割を担ってきましたが、衰退が著しいのが現状です。大場さんは、商店街の活性化のためには地域の農業とのタイアップが非常に大きな役割を果たすと考えています。「身近でできることからやってみようと、あちこちの商店街に朝市をやろうと提案しています。しかし、朝市の実施が最終目的ではありません。アメリカでは、地域で収穫されたものを地域の商店から買うというコミュニティ・フード・システムの動きが活発化しつつあるとのことですが、生鮮三品(青果・精肉・鮮魚)の店がなくなって衰退化していく商店街が再び元気を取り戻すには、コミュニティ・フード・システムの担い手としての商店街の役割を強化していくことが不可欠です。“食の安全性”が叫ばれている今こそこのような考え方を広めていくチャンスだと思います」と、最後まで“商”と“農”のコラボレーションを熱く語っていました。

このページへのお問合せ

環境創造局農政部農業振興課

電話:045-671-2637

電話:045-671-2637

ファクス:045-664-4425

メールアドレス:ks-nogyoshinko@city.yokohama.jp

前のページに戻る

ページID:452-245-028

先頭に戻る