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はまふぅど人36号

最終更新日 2018年8月28日

生産者と消費者をつなげたい
80*80(ハチマルハチマル) オーナー 赤木徳顕(あかぎ とくあき)さん(左)
80*80 店長 菅 千明(すが ちあき)さん(右)

36号はまふぅど人画像

中区の関内駅からほど近く、地産地消をコンセプトにしたカフェ80*80がリニューアルオープンします。
さまざまな活動を繰り広げるオーナー・赤木徳顕さんと店長・菅千明さんに、食にかける思い、今後の展開などを聞きました。

それぞれ全く異なる業界で自然と“食”に目を向けた2人

赤木さんは元々、食品流通などのコンサルタントをされていました。赤木さんが80*80をオープンした2005年以前、すでに食べ物をめぐる偽装や有害な添加物の使用が社会の問題になっていました。こうした問題が起きるのは「作る人に食べる人が見えていないから」と赤木さんは言います。生産者と消費者の距離が離れたことがその問題の原因の一つであると考える赤木さんは、生産者と消費者の距離が近い地産地消の取組に注目し始めます。
一方、菅さんは小学校の先生をしていたときに起きたある出来事がきっかけで食に興味を持ち始めます。
「子どもたちがハッサクのむき方を知らなかったり、初めてシシャモを食べたとき、その卵をきれいに残したり。給食の際の子どもたちの姿に衝撃を受けました」。人の心身を作る大事なものであり基本となる“食”について発信したいと食の世界に飛び込みました。

地産地消はもちろん食育にも広がる活動

現在、赤木さんがオーナー、菅さんが店長を務めるカフェ80*80は、横浜から“80km圏内の食材を80%以上使うということ”がコンセプト。80kmといえば横浜を中心に、西は静岡県御殿場、北は埼玉県熊谷、東は千葉県と茨城県の境あたり、南は大島までの範囲です。海も山もあり、食材がバランスよくそろうほどよい距離です。また、使う率を100%ではなく80%としたことで、地産地消メニューの幅が広がります。「ミカンを入れたマリネ、大根の入ったカレーなど、見慣れた野菜を食べたことのない味に」と、菅さんは季節の素材に合わせメニューを工夫。80*80には、食への意識の高いお客さんが集まります。そこでは珍しい野菜や生産者の話など多くの話が飛び交います。
菅さんは、お店で定期的に親子向けの食育ワークショップも開催しています。ワークショップでは、80km圏内の素材を使用したピザを焼いたり、野菜でシェイクを作ったりしています。
菅さんは昨年初めてお店を飛び出し、市内の小学校で子どもたちと大豆コロッケを作るワークショップを開きました。参加した子どもたちはその際に使ったフードプロセッサーやフライ返しなどの道具に興味津々。コロッケの材料に子どもたちが育てた大豆を使ったこともあり、ワークショップは子どもたちに大好評でした。そして、子どもたちの興味は参観していた親にも伝染。「フードプロセッサーを購入し、家でも作った」「危ないから子どもを台所に入れなかったけれど、もう少しやらせてみよう」など、うれしい声が集まりました。「お店のイベントには元々食に興味のある人が集まります。でも私は興味のない人たちにアプローチして食への関心を底上げしたい。今回の小学校での開催は、そのための大きな一歩。これからもワークショップの開催などにチャレンジしていきたいです」と菅さん。

情報誌やインターネットを通じて生産者と応援者をつなぐ

昨年11月、赤木さんが編集長、菅さんがスタッフを務める情報誌“神奈川食べる通信”が創刊されました。県内各地域の生産者を紹介する雑誌で、実際の地場産の食材とセットで販売しています。「本家“東北食べる通信”のコンセプトに共感し、神奈川でもやりたいと手を挙げました。この取組は今、全国に広がりつつあります」と赤木さん。2015年の1月号は三浦大根を特集し、生産者の話のほか大根の種類や栽培方法、 おいしいレシピなどを紹介しました。大きな三浦大根1本と、農家が加工した3種類の大根の漬物付きの情報誌です。「まず雑誌を読み、脳で知識を食べていただく。地元の食べ物ファンが増え、農家さんとつながる入り口ができれば」。販売開始後読者からは、三浦大根やそれを調理した写真、おいしい食べ方の工夫など、さまざまな反応がメールで寄せられました。「ネット上でつながるやり取りがとにかく楽しく、とても刺激的で勉強になります」と赤木さん。
“食べる通信”を作る過程で、なるべく多くの人に会おうと考えていた赤木さん。先日は、将来の生産者育成を担う学校“かながわ農業アカデミー”の生徒たちとワークショップを開催しました。農業アカデミーにはこれからの農業に対する問題意識が高い生徒たちがいて、「彼らのように問題意識の高い農家さんと、食に興味があって農業を応援したい読者たち。この二者をつなげるのが、今の僕の仕事だと思います。二者がつながると、もっと大きなフィールドで、みんなで農業を盛り上げていけるのではないでしょうか」。

横浜の地産地消の今後今、改めて考え直すとき

今年4月1日、「横浜市の都市農業における地産地消の推進等に関する条例」が施行されます。赤木さんはこの条例が横浜の農業の追い風になると考えています。「横浜には農地を守ろうというDNAを感じるんですよ。港北ニュータウンを作るときも一定の農地を確保して街づくりを進めてきた。そのDNAをもう一度思い出して、改めてみんなで考え直す、よいきっかけだと思います」。
“地産地消”の言葉は、ごく普通になりました。しかし、飲食店の中にはその言葉だけが一人歩きしていることもあるとか。「無理せず自然に続けられる、本気の地産地消とは何なのか。それはまだ僕も探り当てられていません。まさにここから第2幕のスタート。どう広がっていくのか楽しみですね」と赤木さん。カフェ、畑、学校、情報誌…とさまざまに舞台を変えて活躍する赤木さんと菅さん。2人の行動力を駆使して、今後どんな地産地消の取組が生まれるのか、期待がふくらみます。

80*80
場所場所:中区相生町2-52
休業日:日曜
営業時間:11:00~15:00 17:00~21:00土曜・祝日は夕方で閉店
電話:045-663-7056
HP: http://www.8080food.com/(外部サイト)

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環境創造局農政部農業振興課

電話:045-671-2637

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ファクス:045-664-4425

メールアドレス:ks-nogyoshinko@city.yokohama.jp

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