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はまふぅど人30号

最終更新日 2018年8月27日

ナチュラーレ・ボーノオーナー 植木真(うえきまこと)さん

植木さん写真

青葉区・藤が丘駅前にあるイタリアンレストラン「ナチュラーレ・ボーノ」は、地場で採れたおいしく珍しい野菜を数多く味わえると評判の「よこはま地産地消サポート店」。さまざまな取組みを続けるオーナーの植木真さんに、地産地消にかける思いや新たに挑戦していること、今後の展開についてお話を伺いました。

香り高いトマトとの出合いで地場野菜の魅力に気づく

野菜
取材当日のディナーで提供される野菜。
オクラの花など、直接農家を訪れるからこそ手に入る食材も

植木さんが地産地消に目を向け始めたのは10年以上前。暑い季節、メニューにトマトの冷製パスタを取り入れようとしていたときでした。「なかなか完熟したトマトが見つからなくて、いまいち味が決まらない。イタリアンは調理法がシンプルなだけに、素材の良しあしで料理の味が8割くらい決まっちゃうんですよね」。
おいしい素材を探し求める中で出合ったのが、地元農家・金子さんが手塩にかけたトマトでした。「一般のトマトは流通を考えて4~5日早採りして出荷されるのですが、金子さんの直売所では木で熟したトマトを朝もいで、その日に販売。甘みがあって、酸味とのバランスも良く、何よりも香りが違いました」。植木さんは地場野菜の魅力を知り、近くの直売所に通うように。そのうち農家の人と顔見知りになり交流が生まれ、信頼関係を築いてきました。今では農家との付き合いの輪は青葉区、緑区、都筑区、港北区へと広がり、時には直接畑に赴いて自ら収穫することもあるとか。


おいしいのはもちろん地産地消のメリットはさまざま

旬を映し出す露地栽培の地場野菜。当然、手に入る野菜は日々変化します。「以前はメニューを決めてから必要な素材をそろえていましたが、地場野菜を使うようになってからはそれが逆転。まず素材を仕入れ、そこからメニューを考えるようになりました」。
旬の野菜は新たなメニュー開発にもつながっています。例えば春野菜のフキノトウは、イタリアンではあまり使わない食材。「でも農家さんにおいしい季節だから、この2~3週間しか食べられないからと言われて」。そこからフキノトウをパスタやフリット(天ぷらのようなイタリア料理)にしてみようという発想が生まれます。
旬の野菜はおいしいだけでなく、体にも良いと植木さんは言います。暑い夏には体を冷やすトマトやキュウリ、肌が乾燥する秋にはうるおいを補う唐辛子やピーマン、秋ナスなど、冬は体を温める根菜類が旬を迎えます。「レストランにお越しいただいた方には、お皿を彩る野菜で季節を感じながら、体に良い作用のある料理を食べていただきたいですね」。
さらに、横浜野菜は多品種で、少量生産が多いのも魅力の一つ。「野菜づくりに熱心で、遊び心がある農家の方が多く、一般市場では手に入らないような珍しい野菜に出合えるんですよ」。植木さんのレストランで提供する野菜は年間300種以上、トマトだけでも赤や緑、オレンジなど、25種ほどの品種があります。
本場イタリアではメジャーでも、日本ではまだなじみの薄い野菜などの栽培を農家へリクエストすることもあります。また、農家からサンプルの野菜が手に入ったときは、最適な調理法を試行錯誤。家庭でもできるおいしい食べ方の提案を農家にフィードバックします。その情報を農家が直売所の買い物客に伝えることで、野菜の販売促進につながっています。以前、作付けを依頼したルッコラやアイスプラントは、こうして一般家庭にも広まっていきました。
そのほかにもキュウリは、接ぎ木をしない自根のものをリクエストしています。一般のキュウリは、病気になりにくく収穫量が増えることから、カボチャに接ぎ木して育てることが多いとか。しかし、おいしさやみずみずしさはどうしても損なわれます。「お客さんはおいしい料理を求めて来店されます。まず、それに応えたうえで、さらに地産地消になるならベスト。おいしい野菜を使い続けるために、地場野菜の良さをお客さんに話すようにしています」。
レストランのメニューには、珍しい野菜の写真とともに、それを生産した農家の人の顔写真を掲載。お客さんの反応は“輸入品かと思ったけど、横浜産なの?”“若手の農家さんもいるんだ”“女性も頑張っているのね”などさまざま。「地場野菜に興味を持ってもらえれば、それが地産地消の拡大につながるのかな」と植木さんは言います。

農家と店舗スタッフと顧客みんなが幸せになる新たなチャレンジ

そうした野菜を集めて作った総菜を販売すれば、野菜の販路拡大につながり、さらに多くの人に安くおいしいものを食べてもらえると植木さんは考え、地場野菜の総菜店を企画。このアイデアは横浜市が地産地消に貢献する中小企業などを応援する「地産地消新ビジネスモデル支援事業」の一つに選ばれました。
そして今年3月、レストランからほど近い場所に総菜店「REVIVE-RECIPE TENZO(リバイブ・レシピ テンゾ)」をオープンしました。はまふぅどコンシェルジュや野菜ソムリエなどの資格を持つ主婦たちがスタッフの中心で、新鮮な地場野菜をふんだんに使ったアイデア料理を提供。イタリアンにこだわらず、主婦ならではの工夫を凝らしたさまざまな総菜や弁当、スイーツなどが並びます。
店名の“リバイブ・レシピ”とは“よみがえりのレシピ”の意味。捨てられかけていた野菜を使うことで農家や畑がよみがえり、主婦たちが社会活動の場を得ることで人材がよみがえる。さらに食べる人も、おいしい料理で疲れた体に明日の活力を養いよみがえります。また、“テンゾ(典座)”とは、禅寺で精進料理を作る僧侶のこと。食べる人のことを第一に考え、その日手に入った素材で最高のものを提供するという教えに共感し、その境地に少しでも近づきたいという植木さんの願いが込められています。

野菜を買うことで農業を応援おいしい地場野菜を絶やさない

今後、横浜の地産地消に期待することを伺うと、「今以上に農家さんや直売所が増えるといいですね」。横浜は今でも農家が多い地域。しかし、高齢の団塊世代が体力面から徐々にリタイアし、後継者がいない農家も。植木さんは、これから休耕地がますます増えるのではと危惧しています。
「せっかく地元でおいしい野菜が採れるのだから、それを絶やさないように、私たちが買いながら応援して、その良さを広げていかないと」。植木さんは総菜の販路を広げていきたいと考えています。野菜の買い手がいるとアピールできれば、農業に新規参入したい人たちが現れるかもしれません。さらに、「お店の中に農業部門を作り、野菜を作るところから総菜にして販売するまで、できるようになればと思っています」。植木さんのアイデアは尽きることがありません。

このページへのお問合せ

環境創造局農政部農業振興課

電話:045-671-2637

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ファクス:045-664-4425

メールアドレス:ks-nogyoshinko@city.yokohama.jp

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