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はまふぅど人25号

最終更新日 2019年3月19日

大無田龍一さん(右):はまふぅどコンシェルジュ5期・元神奈川新聞社
高木佳奈さん(左):神奈川新聞社

左高木さん、右大無田さんの写真

はまふぅどコンシェルジュ講座から誕生した地産地消ガイドブック「食べる.(どっと)横浜」

JA横浜、JA田奈、神奈川新聞社、横浜市環境創造局の4者共同で、1年半かけて制作した地産地消ガイドブック「食べる.(どっと)横浜」が、ついに出版されました。市内産の農産物を使ったレシピやレストラン紹介、直売所めぐりガイドなど、全176ページに渡って横浜の食と農を網羅。ページをめくるたびに、行間から地産地消に関わる人々の情熱が伝わる1冊です。中心となって本を執筆した大無田さん、編集担当の高木さんに、このガイドブックに込めた思いを伺いました。

「食べる.横浜」の表紙写真
『食べる.横浜』


はまふぅどコンシェルジュ講座の受講がきっかけで、本を制作

大無田さんは、元神奈川新聞の記者。休日には畑で野菜作りに励みながら、神奈川新聞社のウェブサイトで「カナロコふぁーまーず」や「ふぁーまーずぷらす」というコンテンツを担当し、農業と園芸の情報を発信していました。その中で知ったはまふぅどコンシェルジュ講座に応募し、講座を通して地産地消に関わる人たちと知り合ったことが、このガイドブック誕生のきっかけでした。
企画から完成までに費やした期間は1年以上。企画段階では農政の職員から膨大な情報が提供され、その中から厳選して本の内容を構成していきました。800件以上に及んだ調査・取材には、横浜市の農業振興課や南北の農政事務所職員も奔走し、本作りに関わったスタッフは総勢50人以上!担当地域の農家さんについて詳しい情報を持っているものの、ほとんどの職員は取材をするのが初めてだったため、大無田さんから執筆や撮影についてのレクチャーを受けて取材に臨みました。

トウモロコシ畑を撮影する大無田さんの写真
夏の早朝、瀬谷区のトウモロコシ畑を撮影する大無田さん


通常のガイドブック作りの何倍もの手間をかけた編集作業

本を開いてみるとわかりますが、ガイドブックにしては非常に文章量が多く、かなり読み応えがあります。「取材先で聞いた作り手の情熱を読者に伝えたい」という思いから、大無田さんや農政職員が書いた原稿は文字量を大幅にオーバー。限られたページ数におさめるために、編集担当の高木さんと執筆者の間で何度もやりとりを重ね、これでもかなりの量の原稿をそぎ落としたそうです。
「本の編集過程では、通常のガイドブック作りの何倍もの校正作業を行いました。農家さんの思いを余すところなく伝えたい執筆者と、読者にわかりやすい情報を厳選したい編集サイドとの間でこれでもかというほど原稿が行き来しました。互いに納得が行くまで話し合い、締め切りのぎりぎりまで調整が続きました」(高木さん)。

編集について話す二人の様子の写真
「編集会議はいつも時間オーバーだった」と話す2人


総力を結集して作り上げたガイドブックを1人でも多くの人に読んでもらうため、横浜市内、近郊の主要書店には、農政職員による手書きポップを用意しました。十人十色、バラエティー豊かで、どれも地産地消への情熱や本作りにかけた愛が伝わるものばかり。書店で本に添えられたポップを見かけたら、ぜひこちらもご一読ください。

ポップの写真
南北農政事務所の職員たちが手作りした力作ポップの数々!


楽しみながら横浜の食と農に触れる。地産地消めぐりモデルルートを掲載

横浜市の地産地消について詳しい知識を持っていた大無田さんとは対照的に、白紙の状態で本の編集を担当することになった高木さん。
「この本に携わったスタッフの中で、私が唯一、地産地消に関して素人でした。もともと農業にはあまり興味がなかったのですが、だからこそ読者の視点に立って本を作ろうと考えました。もちろんこのガイドブックは、横浜市の地産地消について見識がある方にも活用していただきたいのですが、私のように“これから”という人にも楽しめる内容になっています」(高木さん)。
ガイドブックでは、地産地消をめぐるモデルルートを各地域ごとに紹介。地産地消グルメが味わえる周囲の飲食店情報もあり、地産地消ウォーキングを楽しみたい人に役立つ実用的な情報がぎっしり詰まっています。さらに、横浜市の農業の歴史や実態がわかる読み物が多く、楽しみながら知識が得られるように構成されているのが特徴です。

本の制作を通して、食に対する意識が変化
今では直売所で買い物をするように

「執筆陣から送られてくる“旬”の原稿に目を通すたびに、横浜市の農業の多様性や奥深さに驚き、多品目生産によって都市型農業が成り立つことにも初めて気づきました」と高木さん。
編集作業の一環で直売所を訪れた折には、ずらりと並んだ新鮮な農畜産物や珍しい野菜、加工品の豊富なラインナップにびっくり。以前は横浜産の存在も知らず、野菜や果物は有名産地のものがいいのだろうぐらいに思っていたそうですが、流通の仕組みなど地場産のメリットを知り、直売所を利用する機会が増えたといいます。
「市場を通さない直売所では、朝採りの新鮮野菜や完熟もぎたての果物が手に入るんですね。加工品の特集ページでも紹介しましたが、ジャムや漬物、総菜にドライフルーツなど、種類の多さだけでなく、そのレベルの高さに驚きました」(高木さん)。これを享受しない手はないと、今、自宅の冷蔵庫にはJAの直売所メルカートで入手した平野フキさん(直売グループ「大熊にこにこ市」主催)の自家製塩麹が入っているそうです。

大熊にこにこ市の写真
都筑区の直売所「大熊にこにこ市」は今年で28年目


横浜の大きな財産である地産地消を続けていくために

祖父母が地方で果樹やお茶を作っている大無田さんは、取材を通して、地産地消は横浜にマッチした農業のカタチだと実感を持ったそうです。
「横浜は370万人もの消費者が住む国内有数の大都市。全国的に見ても、農政専門の職員がいる市役所は少ないのですが、横浜市は農政職の人材が豊富です。市内の農家さんたちの意識も高く、優れた都市政策によって昔から農地を確保してきた経緯がある。これはすごいことだと思います。また、若い世代の生産者が多いことも実感でき、横浜の地産地消の可能性に確信を持ちました」(大無田さん)。
ガイドブックには多くの若い生産者が登場していますが、横浜産の「ハマッ子牛乳」を作っている相澤良牧場の酪農家もその1人。牛乳の運搬作業に同行して取材をするため、大無田さんが牧場を訪れたのは明け方3時だったそうです。「一般的には遊びたい盛りの20代前半の若者が、眠い目をこすりながら一生懸命に働く姿を肌で感じ、「消費者である我々は、こういう人たちに支えられているんだと強く感じました」(大無田さん)。

相澤良牧場の牛舎の写真
評判のハマッ子牛乳を生産する相澤良牧場


私たちが暮らすこの街には、住宅地のすぐ近くに広い農地が広がっていて、たくさんの種類の野菜や果物のほか、米も小麦も作られています。牛や豚、鶏(鶏卵)もいるし、鮮魚が揚がる漁港もあります。市内約1000軒の直売所では、採れたて完熟の農産物や農家の逸品である手作り加工品の数々が並んでいます。こうした豊かな恵みがいつまでも続くために、私たちができることは、地元産を選んで食べること。
そのための情報がたくさん詰まっている地産地消ガイドブック「食べる.横浜」は、横浜にお住まいのすべての方に読んでほしい1冊です。この本を読んだ後は「横浜ってすごいでしょ?」と、誰かに自慢したくなりますよ。

このページへのお問合せ

環境創造局農政部農業振興課

電話:045-671-2637

電話:045-671-2637

ファクス:045-664-4425

メールアドレス:ks-nogyoshinko@city.yokohama.jp

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