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2024年8月号 ヨコハマ育ちの「浜なし」
海、港、緑、歴史、地域、人々、さまざまな魅力を持つ横浜。この街の彩りを「よこはま彩発見」としてお届けします。今回は、今がまさに旬の横浜の名産品「浜なし」についてです。
最終更新日 2024年9月2日
浜なし
ナシの品種名ではなく、横浜市内で生産されるナシのブランド名で、いくつかの条件を満たしたナシが「浜なし」として認定されます。平成27年に横浜農協が商標登録しました。昭和60年には「神奈川の名産100選」の一つにも選ばれ、現在も「かながわブランド」74品目の一つです(令和6年5月現在)。
「浜なし」は、ぎりぎりまで樹にならせておいて、農家の目で見極めながら、完熟の一番美味しいタイミングで収穫しています。鮮度が良くてデリケートに扱う必要がある浜なしは、市場に出荷されることはめったにありません。そのため、スーパーなどの小売店で見かけることもほとんどありません。
浜なしは、農家の庭先で直売しています。「浜なし」と書かれた赤の「のぼり」を立てて、販売中であることをお知らせする農家もいます。
浜なしの美味しさの秘密は、完熟で収穫することだけではありません。生育のタイミングを見て有機質を使った肥料を適切に与えたり、花や実の数、枝の本数を適切にすることで果実にたっぷりと栄養を届くようにして、大きくて立派な浜なしに育つようにと、日々、ナシの樹を世話しています。
浜なしの歴史
ナシの花
横浜のナシは大正時代の初期頃には鶴見川流域などで栽培されていました。まだ水害が多かった時代で、ナシは水害に比較的強い農作物という理由から選ばれていたようです。その後、太平洋戦争が始まると食糧難を背景に果樹園はイモ畑などに変えられて、ナシ園はほとんど消えてしまいました。
昭和20年代に港北区(現青葉区)鉄町、港北区新吉田町、戸塚区(現泉区)下飯田町などでナシの栽培が再開されました。昭和41年~43年には、消費者が近い立地を活かして、もぎ取りや直売方式のナシ園を造成する観光果樹園造成事業が中里地区(緑区、青葉区)を中心に実施されました。昭和46~55年には都市農業の育成と市民のレクリエーション緑地の確保を目的としたフルーツパーク設定事業が実施され、鶴見川上流の恩田川沿岸や谷本川沿岸に現在の主流品種である「幸水」や「豊水」のナシ園が約20ha造成されました。さらに、昭和56年から始まった観光農業振興事業ではナシ園作りが全市に拡がりました。
当初「浜なし」は知名度が低く、看板の設置や新聞チラシなどの宣伝のほかに、ナシ園にミニSLを走らせてPRする農家もいたとのことです。「浜なし」という表記も「ハマナシ」「はまなし」とさまざまでしたが、次第に知名度が上がり、ブランド化を推進するなかで「浜なし」に表記が統一されたのは昭和50年代の後半のようです。
ナシの栽培
ナシの花粉
ナシは収穫の時期以外にも、年間を通して栽培作業があります。春は「摘蕾・摘花」「花粉採取」「人工授粉」から作業が始まります。ナシは同じ品種同士の花粉では受粉しない性質のため、別の品種の花粉をつけてあげます。満開の前後の限られた時期にしか受粉できないので、時間との勝負となり、ナシ農家にとって大変忙しい時期です。
4月下旬から5月にかけて、「摘果」作業が始まります。授粉作業の段階では多めに果実をならせるので、不要な果実を摘み取り適切な実の数に減らすことで、収穫予定の果実に栄養を集中させ、大きくて甘い果実を育てます。
6月は「新梢管理」という、枝の管理をします。来年の花芽の準備のためや、日当たりの確保が主な目的です。その他、草刈りをしたり、追加の摘果作業をしたり、農家によっては、果実一つ一つに袋掛けをしたりします。
摘果講習会
7月下旬から8月上旬、いよいよ早生品種の収穫が始まります。神奈川県が育成した「あけみず(外部サイト)」や「香麗(こうれい)(外部サイト)」を販売している農園もあります。主流品種の「幸水」はお盆前後の時期に収穫されます。同じ横浜市内でも収穫時期は異なり、早い地区と遅い地区では10日くらい異なることもあります。
「幸水」と同じく主流品種である「豊水」の収穫は「幸水」の10日後くらいから始まります。20年くらい前までは、敬老の日の前後に「豊水」を販売していましたが、今では、8月下旬から9月の上旬に販売するようになりました。
地球温暖化の影響を受け、ナシの栽培も難しい状況が続いています。開花時期が1週間から10日ほど早まったり、果実が大きくなる時期に雨が降らずに空梅雨になったり、局地的に降る雹により実に傷がついて、ナシの商品価値がなくなってしまう年もありました。
最近は、果肉の一部が半透明になって柔らかくなってしまう「みつ症」という、障害果が発生するようになりました。「みつ症」は食べること自体に問題はありませんが、食味や食感が悪くなってしまうため農家は見つけ次第、店頭での販売を取りやめています。当初、「みつ症」のナシは廃棄せざるを得なかったのですが、ここ数年は、JA横浜で取りまとめて買い取り、お菓子やアルコール飲料の材料に活用されるなど、新たな商品に生まれ変わるようになりました。
さまざまな困難を乗り越え、丹精込めて栽培された浜なしが農家の庭先に並びます。この夏、どうぞご賞味ください。
浜なしを材料に用いたお菓子(どら焼き)〔期間限定〕
浜なしを材料に用いたアルコール飲料〔期間限定〕
販売時期・場所
浜なしの販売時期は、例年8月中旬から9月上旬頃ですが、令和6年は天候の影響を受けて、例年よりも販売時期が早まる可能性があります。販売場所は下記か市サイト内「浜なし、浜ぶどう、横浜で育った果物を買うには?」ページをご覧ください。
- 持寄品評会
- 共同直売所
中山駅前梨直売所(JR中山駅北口、ミヨシシードビル前)
北八朔農産物直売所(緑区北八朔町)
- 個人の直売所(市内の果樹園直売マップをPDFでダウンロードできます)
【受付終了】読者プレゼント
応募受付は終了し、 当選者に9月2日(月曜日)に賞品を発送しました。ご応募ありがとうございました。
いつも『広報よこはま』・「よこはま彩発見」をご覧いただき、ありがとうございます。感想をお寄せいただいた方の中から抽選で、「横浜農場」エコバッグを5名様にプレゼントします。ご希望の方は、次の6項目※を明記し、郵便はがき(〒231-0005 横浜市中区本町6-50-10 横浜市役所政策経営局広報課 あて)又は電子メール(ss-saihakken@city.yokohama.jp)でご応募ください。締切は2024年9月1日(日曜日) 必着です。
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なお、当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。また、いただいた個人情報は、賞品の発送以外の目的には使用しません。
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