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「よこはま彩発見」紙面連載バックナンバー(2024年分)

最終更新日 2024年7月1日

「広報よこはま」紙面連載のバックナンバーをお届け

よこはま彩発見ロゴ

 海、港、緑、歴史、地域、人々、さまざまな魅力を持つ横浜。この街の彩りを連載でお届けしている「よこはま(さい)発見」。2023(令和5)年1月号から「広報よこはま」紙面に連載し、さらに詳しい情報をウェブサイトに掲載しています。ここでは紙面の過去の連載(2024年)分を再掲しています。また、ウェブの掲載内容は各月記事の右下「さらに詳しい話」のリンク先をご参照ください。

2024年7月号 地図に見る横浜の激変ぶり

地図研究家 今尾 恵介


左=25,000分の1地形図「横浜西部」S43年修正、右=地理院地図 2024年5月2日ダウンロード
昭和43年修正の左図では森や畑が目立ち、相鉄いずみ野線も未開通。最新の右図では建物を示す朱色で覆われ、開発が進んだ様子が見て取れる。

 私が4歳の頃、平塚市から引っ越してきたのが 保土ケ谷区(現旭区) 南希望が丘であった。 東海道新幹線が開通した1964(昭和39)年のことである。その「夢の超特急」は自宅から田んぼ越しに見ることがで きた。最寄りの希望ケ丘駅を通る相鉄線はたしか2~3両で、木造の黄色い電車も走っていたことを覚えている。
 当時の横浜市はまさに人口急増中で、入学した万騎が原中学校(図中A)は1学年に14クラスもあり、校庭には何棟ものプレハブ校舎。そこで出会ったのが2万5千分の1地形図である。社会科の先生が学校の載った「横浜西部」の実物を見せてくれたのが、現在の仕事のきっかけだ。
 自分でも当時の最新版「昭和43年修正」(左図)を購入。建物の並び方や線路、等高線などを見ながら、実際の景色と比較するのが楽しみとなった。
 近場のみではなく北海道や沖縄など、行ったことのない地域の地形図を買っては現地の風景を想像したものである。それから半世紀以上経った現在が右図で、地域の激変ぶりは見ての通り。古い地図には「時代の空気」が詰まっている。

さらに詳しい話

今尾 恵介(いまお けいすけ)
地図研究家。1959年、横浜市生まれ。中学生の頃から地形図や時刻表を愛読。『地図マニア 空想の旅』、『日本200年地図』、『地図帳の深読み』シリーズなど地図や地名、鉄道に関する著作多数。
【問合せ】政策経営局広報課 Tel:045-671-2331 Fax:045-661-2351

2024年6月号 知っているようで知らない、横浜市歌115年の秘密

横浜開港五十年祝賀会
市歌が初めて披露された祝賀会の様子 『横浜開港五十年紀念帖』成田景暢編 横浜時事新報社 1909年 横浜市中央図書館所蔵

 日本各地の独自の文化や習慣を紹介するテレビ番組で「横浜市民なら誰でも歌える!?」と話題になる横浜市歌。1909(明治42)年、横浜港の開港50周年を記念して作られました。
 作詞は小説 『舞姫』などで知られる文豪 (もり)鷗外(おうがい)(本名:(もり)林太郎 (りんたろう) 1862-1922)、 作曲は東京音楽学校(現:東京藝術大学音楽学部)助教授の(みなみ)能衛(よしえ)(就任当時 27歳の気鋭。1881-1952)です。南が先に曲を書き、あとからそれにあわせて鷗外が詞をつけるという、「填詞(てんし)」という手法で作られました。
 市歌がお披露目されたのは、7月1日の横浜開港五十周年記念式典の祝賀会 でした。指揮は横浜の音楽教育家の高野己之助、演奏は横須賀海軍楽隊で、市内小学校から選抜された300名の児童によって、高らかに歌われました。
 1966(昭和41)年には「横浜市歌普及専門委員会」が、原曲ト長調から音程の低い調に移調したほか、複雑な音程やリズムを一部補修し、より広く市民が歌いやすいようにしました。
 その後、カバー曲、アレンジ曲(ジャズ、ブルースバージョン、盆踊り、健康体操など)も多く創られ、横浜DeNAベイスターズの応援歌にも取り入れられました。
 現在でも、横浜市立小学校では市歌を教材として取り上げ、小中学校の入学式や卒業式で歌えるよう歌唱指導をしたり、横浜開港祭の「ドリーム・オブ・ハーモニー」では、一般公募の300人規模の市民合唱団が、毎年ステージの1曲目 として市歌を歌い上げています。百十余年もの長きにわたり市民に愛されてきた横浜市歌、これからも末永く歌い継いでいきたいものです。

参考:横浜市中央図書館ウェブページ 『ブックリスト「読んで知る横浜市歌」』  横浜交響楽団編著『横浜開港150周年・横浜市歌100年 横浜市歌【横浜洋楽文化史】』

横浜市歌 原曲の利用について 横浜市歌原曲の著作権は保護期間を過ぎているため、原則として自由に利用することができます。

さらに詳しい話

【問合せ】教育委員会事務局生涯学習文化財課 Tel:045-671-3282 Fax:045-224-5863

2024年5月号 能登半島と横浜

能登比咩神社の鳥居
能登比咩神社(左)と鳥居の拡大写真(右)

横浜都市発展記念館 主任調査研究員 吉田 律人

 2024(令和6)年の元日、能登半島の先端を震源とするマグニチュード7.6の地震が発生し、北陸地方は大きな揺れに襲われました。 津波が沿岸部を襲っただけでなく、輪島市の中心部では大規模な火災も発生しました。 さらに、土砂崩れなどによって孤立する集落もあり、被災地では、現在も不自由な生活を送られている方が多くいらっしゃいます。
 横浜から能登半島は遠く離れた場所にありますが、深いつながりがあります。 例えば、鶴見区にある曹洞宗の大本山總持寺(そうじじ)は、輪島市門前町(もんぜんまち)に起源があります。また、横浜市内で銭湯を営み、支える人々のルーツも多くが能登半島にありました。
 石川県の鹿島郡や羽咋(はくい)郡、七尾市の神社には、「横浜」の文字が刻まれた鳥居や狛犬、灯籠が多くあります。 例えば、1923(大正12) 年に建立された鹿島郡中能登(なかのと)町の能登比咩(のとひめ)神社の鳥居には、「横濱市福富町一丁目五十一番地 永瀬啓太郎」とあります。永瀬は銭湯で使用するガラス製品を扱う問屋で、その親戚も横浜市内で銭湯を経営していました。横浜で成功した銭湯経営者は、郷里への恩返しとして積極的に寄付を行い、それを見た人々がさらに横浜へ移住するという流れができていました。横浜市民の公衆衛生は能登半島出身者によって支えられていたのです。
 1859(安政6)年の開港以降、横浜の地はさまざまな国や地域からの移住者を受け入れることで、コミュニティを構築してきました。 能登と横浜のつながりに想いをはせ、横浜から能登の復興を支え、応援していきましょう。

さらに詳しい話

【問合せ】政策経営局広報課 Tel:045-671-2331 Fax:045-661-2351

2024年4月号 新生・横浜美術館に乞うご期待

横浜美術館外観
横浜美術館外観(撮影:新津保 建秀)

横浜美術館 副館長・主席学芸員 柏木 智雄

 1989(平成元)年に開催された横浜博覧会をご記憶でしょうか? 横浜美術館は、この博覧会のパビリオンの一つとしてお披露目され、同年11月に正式開館しました。
 構想の段階から、国際的な美術交流の場、鑑賞と創造の場、美術情報センター、写真の収集、市民の美術活動の育成と発展を骨子とする横浜美術館の五つの理念が掲げられました。日本を代表する建築家・丹下健三が設計した建物は、この基本理念を具体化するべく、向かって右側に創造の場(アトリエ)、左側に美術情報センター(現美術図書室)、そして中央の横長の部分に鑑賞の場(展示室)が設けられたシンメトリー(左右対称)の構造を特徴としています。博覧会が終了し、美術館が正式に開館した後も、みなとみらい21地区では工事が続き、ダンプカーの往来で土ぼこりが舞う中でお客様を案内したこともありました。
 みなとみらい21地区の発展を見守ってきた美術館は、開館30年を経て、2021年から大規模改修工事のため休館してきましたが、昨年11月に竣工しました。現在「第8回横浜トリエンナーレ」の会場となっており、「こどものアートひろば『はらっぱ』」などどなたでも楽しめる企画も実施しています。
 閉幕後はコレクションの搬入などを経て、今年11月から順次オープンしていきます。新生・横浜美術館では、美術図書室が移設され、グランモール公園「美術の広場」から直接出入りできるようになります。その図書室の前には新しいギャラリーも増設されます。ショップ、カフェも新装開店。アトリエも設備が更新され、さらに充実した活動を展開します。エントランスのグランドギャラリーには、お子さま向けのスペースが新設されるほか、新しい椅子やテーブルがふんだんに用意され、誰でも自由にくつろぐことができます。どうぞご期待ください。

さらに詳しい話

横浜美術館
 「第8回横浜トリエンナーレ6月9日(日曜日)まで開催中
【交通】みなとみらい線「みなとみらい」駅下車、徒歩3分。または、JR根岸線・市営地下鉄ブルーライン「桜木町」駅下車、徒歩10分
【問合せ】横浜美術館 Tel:045-221-0300 Fax:045-221-0317

2024年3月号 中華街・華やぎの秘密

横浜中華街
横浜中華街 (みなとみらい線「元町・中華街」駅下車)

作家 山崎 洋子

 遠来の友に「あなたが一番自慢したい『横浜』に案内して」と請われ、迷わず中華街に決めた。横浜通みたいな顔して、そんなあたり前の観光地へ? と言われそうだが、いやいや、私が案内したいのは美味しい料理とアジアン雑貨だけではない。この町の成り立ちを知り、より味わい深いひと時を楽しんでほしいのだ。
 幕末、日本は長い鎖国を解いて開国した。素朴な横浜村がその玄関口に選ばれ、異国の人、物、文化が雪崩を打って上陸。国際都市へと急変貌した。とはいえ問題は意思の疎通だ。言葉の壁は大きい。
 そこで大活躍したのが、当初、欧米人の使用人として渡日した中国人。日本とは「漢字」という共通言語がある。加えて彼らには「華僑」という生き方がある。生まれは中国だが、外国へ渡り、そこに根を下ろして生きる人たちをそう呼ぶ。彼らは東洋と西洋、両方に精通している。活躍の場は通訳だけではなかった。海外貿易のルールから西洋の進んだ産業技術まで、日本人に伝授。欧米諸国、日本、どちらにも欠くべからざる存在になり、その人数も増えていったのである。
 華僑は根を下ろした国に自分たちの居住区を作る。それがチャイナタウンだ。わが横浜中華街は、世界でもっとも華やかなチャイナタウンとして知られている。だが歴史を振り返れば、決して安穏な歩みではなかった。日清戦争、日中戦争の際は、敵国の真っただ中で生きることを余儀なくされた。それでもこの街の灯が消えることはなかった。それどころかさらに輝きを増している。なにがあろうと、私たちはこの街を愛しているのだ。
 実は意外と知られていない歴史の一場面がある。明治5(1872)年、日中間どころか国際社会を揺るがす大事件が横浜で勃発した。驚きに満ちたその詳細は、右上の二次元コードからどうぞ。

さらに詳しい話

山崎 洋子(やまざき ようこ)
1947年、京都府⽣まれ、横浜市在住。第32回江戸川乱歩賞受賞。『横浜開港絵巻 ⾚い崖の⼥』『横濱唐⼈お吉異聞』『天使はブルースを歌う』など横浜を舞台にした作品多数。
【問合せ】政策局広報課 Tel:671-2331 Fax:661-2351

2024年2月号 ヨコハマの輸出工芸

花鳥図屏風
横浜芝山漆器「花鳥図屏風」(一部)横浜市歴史博物館所蔵

横浜市歴史博物館 学芸員 小林 光一郎

 横浜では、幕末期の開港とともに、文字通り「港を開く」ことで海外との貿易が始まり、日本から工芸品や美術品も多く輸出されるようになりました。その後、工芸品などの輸出が増えるに従って、欧米人の好みに添うような形や文様といった工芸品が制作されるようになり、運搬などの手間の省ける横浜で制作が行われるようになりました。
 本展示では、そんな輸出工芸品の中から、横浜眞葛焼、横浜芝山漆器、横浜彫刻家具、横浜輸出スカーフの四つに着目し、その歴史の一端を概観します。「Makuzu ware」として欧米の陶磁器製品に影響を与えた横浜眞葛焼や、「芝山象嵌(ぞうがん)」というレリーフ状に盛り上がって装飾された横浜芝山漆器、社寺建築に見られる彫刻の技法を取り入れ、輸出だけでなく横浜居住の外国人邸宅でも使われた横浜彫刻家具、世界のスカーフ生産の約60%を占め、意匠保護のため日本輸出スカーフ製造協同組合がサンプル提出を行わせていた時代の横浜輸出スカーフなど、海外において評価され、かつ、国内の残存数が少ない資料をご覧になれます。
 横浜を冠したこれらの資料を一堂に見られる貴重な機会です。各資料がもつ美しさやデザインなど「世界に通じる魅力」を感じていただければと思います。

さらに詳しい話

【問合せ】横浜市歴史博物館 Tel:912-7777 Fax:912-7781

2024年1月号  横浜消防の歩みと音楽隊 ―躍進・明るい未来へ

横浜市民防災センター(消防音楽隊担当) 永峯 義典

 正月の風物詩の一つ、俳句の季語にもなっている出初式。横浜消防出初式2024は、1月7日(日曜日)に開催され、今年も横浜消防の消防力・災害対応力を披露します。横浜消防の歩みは、1859(安政6)年の横浜開港と同時期に民間の消防組が組織されたことに始まり、その翌年には最初の出初式も行われました。1871(明治4)年には英国から輸入された蒸気消防ポンプが配置されるなど、横浜は近代消防発祥の地とされています。1914(大正3)年には日本初の消防車、1933(昭和8)年には消防機関として日本初の救急車が配備されるなど、横浜消防は常に時代の最先端で、市民の皆様の安全・安心を守ってきました。その横浜消防の活動を皆様にお伝えする一役を担っているのが、横浜市消防音楽隊です。

横浜市消防音楽隊

 1958(昭和33)年に横浜開港100周年、市政70周年を記念して創設された消防音楽隊は、市内各所で演奏・演技を通じた防災啓発活動を行うとともに、横浜開港記念みなと祭「ザよこはまパレード」や入港する大型客船の歓迎式、横浜マラソンなどで練習を重ねた演奏・演技を披露するなど、横浜のシティプロモーションも担っています。また、市内の中学生を対象に楽器指導ワークショップを実施するなど、子どもたちの創造性を育み、文化芸術を発展させるための次世代育成プログラムにも力を入れています。
 来たる3月16日(土曜日)には、これまでの皆様の応援に感謝の気持ちを込めて、「躍進~明るい未来へ~」をテーマに創設65周年記念演奏会を開催します。1982(昭和57)年に発足した消防音楽隊のドリルチーム「ポートエンジェルス119」の新パレード服のお披露目など、輝かしい姿を披露します。音楽隊一同、皆様にお会いできることを楽しみにしています。

さらに詳しい話

【問合せ】横浜市民防災センター Tel:312-0119 Fax:312-0386

このページへのお問合せ

政策経営局シティプロモーション推進室広報課

電話:045-671-2331

電話:045-671-2331

ファクス:045-661-2351

メールアドレス:ss-koho@city.yokohama.jp

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