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2024年4月号 新生・横浜美術館に乞うご期待!―サムライの時代から現代まで―

 海、港、緑、歴史、地域、人々、さまざまな魅力を持つ横浜。この街の彩りを「よこはま彩発見」としてお届けします。今回は3月15日にリニューアルオープンした横浜美術館(西区)についてです。

最終更新日 2024年5月1日

「広報よこはま」2024年4月号「よこはま彩発見」の掲載内容はリンク先をご覧ください。

新生・横浜美術館に乞うご期待!―サムライの時代から現代まで―

横浜美術館 副館長・主席学芸員 柏木 智雄

 1989(平成元)年に開催された横浜博覧会をご存知でしょうか?
 そのパビリオンのひとつとしてお披露目された横浜美術館は、博覧会が終了し他のパビリオンが姿を消すと、荒涼とした「みなとみらい21地区」の中心に、ポツンとその威容を誇る形になりました。まだ、ランドマークタワーもありません。ダンプカーや重機が土ぼこりをあげて、ひっきりなしに行き来するなか、横浜美術館は開館し、美術館活動の緒につきました。
 それから35年。さまざまな商業施設やオフィスビル、ホテルやマンションなどがひしめくように建設され、みなとみらい21地区は、いまや横浜を代表するシティ・スケープ(都市景観)を提供し、多くの来街者でにぎわっています。その中心にあって、横浜市の主要な文化施設の一つに位置づけられるのが横浜美術館です。

横浜市の美術館構想と開館

 横浜市が美術館の建設に向けて具体的に動きだしたのは、1981(昭和56)年のことでした。その年の1月、横浜市文化問題懇談会による提言で「美術館は市民生活に不可欠な施設」と指摘され、6月に横浜市美術館基本構想委員会が設置されて、翌年3月に美術館の基本構想に関する答申が同委員会によって示されました。
 この答申を踏まえ、美術館の理念が「国際性を持った近・現代美術館」「美術資料の収集・保存・展示とともに美術の教育・普及と美術情報センターの機能を備えた美術館」「写真を収集する美術館」「市民・芸術家に鑑賞と創造の場を提供する美術館」と定義付けられたのです。
 美術館の建設地は、みなとみらい21地区の中心部に決まりました。丹下健三・都市・建築設計研究所による実施設計が、1985(昭和60)年の秋にまとまり、同地区の最初の恒久施設として同年12月25日に着工しました。
 そして、冒頭に記した通り、1989(平成元)年3月25日、市制100周年・開港130周年を記念する施設として「横浜美術館」の名称で開設され、同年11月3日、条例の施行をもって正式開館しました。

横浜美術館のこの一点

 横浜美術館は公立の美術館としては後発でしたので、他館と異なる個性豊かなコレクションを形成する必要がありました。横浜市美術館基本構想委員会の提言を踏まえて、市によって基本方針が策定され、市民の皆さまの多大なご協力のもと、1982(昭和57)年から美術資料の収集活動を開始しました。それから40年以上の歳月を経て、14,000点を超えるコレクションが形成されています。
 ここでは、その中から一点取り上げてみたいと思います。

遠藤又左衛門と従者
エリファレット・ブラウン・ジュニア《遠藤又左衛門と従者》1854(嘉永7)年、ダゲレオタイプ、重要文化財、横浜美術館蔵

 今回、ご紹介するのは、《遠藤又左衛門と従者》と題されているダゲレオタイプ(銀板写真)です。美術品、史料としての価値の高さから国の重要文化財に指定されている逸品です。この写真には、「此日影像/亜国提督被理/呈贈/遠藤又左衛門/甲寅五月初六日」などと記された紙片が付属し、あのペリー提督からプレゼントされたことが分かります。
 1854(嘉永7)年、横浜で日米和親条約を締結したペリーは、その後、箱館(函館)視察に向かいました。そこで対外交渉にあたった松前藩士のひとりが、江戸藩邸用人であった遠藤又左衛門でした。ペリーに随行していた写真師で版画家のE.ブラウン・ジュニアによって撮影されたのが、《遠藤又左衛門と従者》です。日本国内で撮影された現存最古の日本人写像の一つとされています。
 遠藤又左衛門は、冷静な交渉手腕を高く評価された温和な能吏でした。そんな又左衛門でしたが、この写真が撮影されてから14年後、妻と嫡男の前で、江戸藩邸内の自邸で斬殺され首級を挙げられることになります。
 1866(慶応2)年に第13代松前藩主となった松前徳広は、病弱のため政務を執ることができませんでした。そうした状況にあって40余名の家臣団が内紛を起こし、遠藤ら重臣たちを粛正したのです。1868年、明治元年のことでした。この作品は、維新前夜の内政外交ともに緊迫する世相を生きねばならなかったサムライの姿を今に伝える数少ない視覚史料なのです。

新生・横浜美術館に乞うご期待!

第8回横浜トリエンナーレ展示風景
第8回横浜トリエンナーレ展示風景(会場:横浜美術館) 撮影:冨田了平

 そんな横浜市民の宝を数多く所蔵する横浜美術館は、2021(令和3)年3月から大規模改修のため休館してきましたが昨年11月(一部今年1月)に竣工しました。新生・横浜美術館では、目の前のグランモール公園「美術の広場」から直接、美術図書室に出入りできるようになり、これまでよりも気軽にアート関係の専門書などを閲覧することができるようになります。その図書室の前には新しいガラス張りのギャラリーも増設されました。ショップ、カフェも新装開店。アトリエも設備が更新され、さらに充実した活動を展開します。エントランスのグランドギャラリーには、お子さま向けのスペースが新設されるほか、新しい椅子やテーブルがふんだんに用意され、誰でも自由に出入りでき、くつろぐことができます。そして今年の11月から、これらの施設がいよいよ順次オープンしていきます。
 また、2011(平成23)年から、現代美術の国際展として注目を集める「横浜トリエンナーレ」のメイン会場となり、その実施にも取り組んできました。今まさに「第8回横浜トリエンナーレ 野草:いま、ここで生きてる」を開催しており、連日多くの来館者を迎えているところです。今後も、横浜の歴史を踏まえながら、19世紀半ば以降の近代美術から最先端の現代美術に至るまで、さまざまな芸術文化を多角的な視点でとらえ、内外に発信していきます。
 新生・横浜美術館にどうぞご期待ください。

【受付終了】読者プレゼント

長谷川潔作品と横浜トリエンナーレのポストカード

 応募受付は終了し、当選者に5月1日(水曜日)に賞品を発送しました。ご応募ありがとうございました。
 
 いつも『広報よこはま』・「よこはま彩発見」をご覧いただき、ありがとうございます。感想をお寄せいただいた方の中から抽選で、横浜出身の版画家長谷川潔 作品と横浜トリエンナーレのポストカードのセットを5名様にプレゼントします。ご希望の方は、次の6項目※を明記し、郵便はがき(〒231-0005 横浜市中区本町6-50-10 横浜市役所政策経営局広報課 あて)又は電子メール(ss-saihakken@city.yokohama.jp)でご応募ください。締切は2024年4月30日(火曜日) 必着です。
※ 1.郵便番号、2.住所、3.氏名、4.感想、5.読んでみたい記事、6.「4月号プレゼント希望」
 なお、当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。また、いただいた個人情報は、賞品の発送以外の目的には使用しません。

読者プレゼント問合せ先 横浜市役所政策経営局広報課 TEL:045‐671-2331 FAX:045‐661-2351

このページへのお問合せ

横浜美術館

電話:045-221-0300

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