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2025年2月号 写真で見る都市横浜の河川運河
海、港、緑、歴史、地域、人々、さまざまな魅力を持つ横浜。この街の彩りを「よこはま彩発見」としてお届けします。今回は横浜の河川や運河についてです。
最終更新日 2025年3月3日
河川位置図(点線は旧河川)
近年、親水空間として、都市河川が注目されています。横浜では、大岡川(南区ほか)や石崎川(西区)に整備されたプロムナードが、人びとの憩いの場となっています。こうした都市河川は、横浜でどのように形成され、どのような歴史をたどったのでしょうか。現在は埋め立てられて大通り公園(中区・南区)として整備されている、吉田川・新吉田川に注目してみてみましょう。
【画像1】新吉田川(護岸工事完成後) 横浜都市発展記念館蔵(佐藤鷇旧蔵写真)
画像1の写真は新吉田川の長島橋付近(現在の伊勢佐木長者町駅と阪東橋駅の中間付近)を撮影したものです。新吉田川は1896(明治29)年に開削されました。明治時代、吉田新田側の市街地化が進んだ横浜では、河川の整備・開削も行われ、自然河川の大岡川とともに河川運河網を形成しました。画像2は、1898(明治31)年に発行された「改正横浜市全図」という地図から長島橋付近を抜き出したものです。地図には、新吉田川のほか、新吉田川と大岡川を結ぶ新富士見川、吉田川と中村川を結ぶ日ノ出川も確認できます。また、「改正横浜市全図」からは、整備された河川運河が水運網として機能していたことを読み取ることができます。画像3は「改正横浜市全図」から派大岡川の周辺を抜き出したものです。横浜公園のあたりには、生鮮食品を取り扱う食品市場が設けられ、川沿いには市場向けの商品を取り扱う問屋や卸屋も見られました。横須賀や東京行きの汽船航路も置かれ、港町には横須賀行きの定期航路・貞喜丸汽船会社の発着場がありました。
【画像2】「改正横浜市全図」より長島橋付近 鈴木陌三郎編 1898(明治31)年 横浜開港資料館蔵
【画像3】「改正横浜市全図」より派大岡川周辺 鈴木陌三郎編 1898(明治 31)年 横浜開港資料館蔵
横浜の河川運河は、1923(大正12)年に発生した関東大震災で護岸や橋梁に大きな被害を受けます。画像4は関東大震災の被害の状況を記した「横浜大地図・附大正十二年大震火災区域」という地図です。画像5の通り、×印は橋梁の被害、護岸に引かれた赤線は護岸の崩壊や亀裂を示したものですが、長島橋を含め、吉田川・新吉田川の橋梁と護岸が震災で甚大な被害を被ったことがわかります。
被害の大きさは写真からも読み取れます。画像6は、関東大震災後の派大岡川の様子です。画像の右奥に見える橋は吉田橋です。吉田川と接する派大岡川でも、震災による護岸の崩壊、亀裂が数多く見られました。
【画像4】「横浜大地図・附大正十二年大震火災区域」より長島橋付近 岡崎保・安岡健四郎 1923(大正12)年 横浜開港資料館蔵
【画像5】「横浜大地図・附大正十二年大震火災区域」より凡例 岡崎保・安岡健四郎 1923(大正12)年 横浜開港資料館蔵
【画像6】関東大震災で崩壊した派大岡川の護岸 横浜都市発展記念館蔵(佐藤鷇旧蔵写真)
【画像7】『横浜復興誌』第二編より、復興で設けられた長島橋の親柱(赤丸は筆者加工) 横浜市役所編 1932(昭和7)年 横浜開港資料館蔵
被害を受けた河川運河は、国や横浜市による復興工事が進められます。その様子を伝える写真が先の画像1です。画面中央の長島橋には、復興工事で設けられた意匠を施した親柱を確認できます【画像7】。護岸はコンクリート製の擁壁となり、両岸には舟運のための物揚場も整備されました。この時期には、鉄道や自動車による貨物輸送が横浜でも見られましたが、写真は、河川運河が輸送網として活用されていたことを示しています。
1960年代以降、横浜市では大規模都市計画(「六大事業」)が構想されます。構想のなかで、河川運河は高速鉄道計画(横浜市営地下鉄)と高速道路網計画(首都高速道路)による開発の対象となっていきます。画像8は横浜市営地下鉄の路線の計画図です。青色の線は川、赤線は地下鉄の計画線を示しています。地下鉄は派大岡川の一部と吉田川・新吉田川を埋め立てるかたちで建設され、地上部には大通り公園が整備されました。この工事で、長島橋を含む吉田川・新吉田川上の橋梁は姿を消しましたが、橋梁の痕跡は、伊勢佐木長者町駅に設置されたレリーフに見ることができます【画像9】。1981(昭和56)年に設けられたレリーフには、吉田川・新吉田川に架かっていた10橋の橋名板が埋め込まれており、現在も市民の憩いの場となっている大通り公園が、かつて市民に親しまれた運河だったことを伝えています。
【画像8】「1号線上大岡~伊勢佐木町間路線概略図」(『新しい市民の足 地下鉄』) 横浜市交通局高速鉄道建設部 1967(昭和42)年 横浜都市発展記念館蔵
【画像9】伊勢佐木長者町駅に設置されたレリーフ(部分) 2024(令和6)年12月12日筆者撮影
横浜都市発展記念館企画展「運河で生きる~都市を支えた横浜の“河川運河”~」
会期 2025(令和7)年1月18日 (土曜日) ~4月13日 (日曜日) ※
※ 休館日:月曜日〔ただし2月24日は開館し、翌2月25日(火曜日)を休館〕
開館時間 9:30~17:00(券売は16:30まで)
会場 横浜市都市発展記念館 横浜市中区日本大通18(みなとみらい線「日本大通り」駅下車 徒歩すぐ)
観覧料ほか リンク先(外部サイト)でご確認ください。
企画展「運河で生きる 〜都市を支えた横浜の“河川運河”〜」区民デーのお知らせ
企画展ゆかりの4区に在住されている方は、以下の日程で在住場所の分かる証明証書をご提示いただきますと無料でご観覧いただけます。
西区:2月26日、磯子区:3月5日、中区:3月19日、南区:3月26日(いずれも水曜日)
【受付終了】読者プレゼント
応募受付は終了し、当選者に3月3日(月曜日)に賞品を発送しました。ご応募ありがとうございました。
いつも『広報よこはま』・「よこはま彩発見」をご覧いただき、ありがとうございます。感想をお寄せいただいた方の中から抽選で、横浜都市発展記念館で開催中の企画展「運河で生きる~都市を支えた横浜の“河川運河”~」の招待券を5組10名様にプレゼントします。ご希望の方は、次の6項目※を明記し、郵便はがき(〒231-0005 横浜市中区本町6-50-10 横浜市役所政策経営局広報課 あて)又は電子メール(ss-saihakken@city.yokohama.lg.jp)でご応募ください。締切は2025年3月2日(日曜日) 必着です。
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なお、当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。また、いただいた個人情報は、賞品の発送以外の目的には使用しません。
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