ここから本文です。

2024年9月号 スタジアムに秘められたスペシャルナンバー

 海、港、緑、歴史、地域、人々、さまざまな魅力を持つ横浜。この街の彩りを「よこはま彩発見」としてお届けします。 今回は港北区の日産スタジアム(横浜国際総合競技場)からです。

最終更新日 2024年10月1日

「広報よこはま」2024年9月号「よこはま彩発見」の掲載内容はリンク先をご覧ください。

スタジアムに秘められたスペシャルナンバー

新横浜公園(日産スタジアム)指定管理者代表団体 横浜市スポーツ協会 甲斐 啓太

 今年、開場26年目を迎えた日産スタジアムには、管理運営を担当する歴代の職員で受け継がれるスペシャルナンバーが存在します。「3964」、「70103」、「8→9」、「23」。これらの数字は、当スタジアムにて決勝戦が行われた三大国際競技大会に関係するものです。

3964の法則
「3964」の法則

 一つ目の「3964」は、2002FIFAワールドカップTM 日韓大会の決勝戦前日の公式練習時に使用されたロッカールーム内での出来事に関するものです。決勝戦を翌日に控えたブラジル代表の首脳陣が、ロッカー内でチームを鼓舞するために利用した数字です。

優勝したブラジル代表チーム
優勝したブラジル代表チーム(写真提供:フォート・キシモト)

 この「3964」は、ワールドカップで複数回優勝した国の優勝年を足し合わせた縁起の良い数字です。ブラジル、ドイツ、アルゼンチンが優勝した2回の開催年を足し合わせると偶然にも「3964」になりました。ブラジル代表が優勝を果たした5回の開催年の一つ「1962」とこの大会の「2002」を足すと「3964」になることから、きっと「今大会は、我々が優勝することになっている。落ち着いて、最高の舞台を楽しもう!」と声を掛けたものと想像します。この「3964」を記したホワイトボードは保護カバーを施し、今もスタジアム見学ツアーで実物をご覧いただくことができます。当時のブラジル代表チームメンバーになりきる体験をしてみてはいかがでしょうか。
 「3964」のその後ですが、当時のホワイトボードには、次回大会(2006年ドイツ大会)も、ブラジル代表の過去の優勝年である「1958」と「2006」を足せば「3964」になる記載がありましたが、実際は、2006年ドイツ大会ではイタリア代表が優勝し、ブラジル代表にとって縁起の良い数字「3964」のオマジナイは、途切れてしまいました。

最多入場者数が誕生した瞬間
最多入場者数記録が発表された瞬間(写真提供:フォート・キシモト)

 二つ目の「70103」は、ラグビーワールドカップ2019TM 日本大会の決勝戦、イングランド vs 南アフリカ戦で記録された、現在も破られていない特別な数字です。この大会を迎える前、当スタジアムで記録した最多入場者数は、2002FIFAワールドカップTM 日韓大会の決勝戦、ドイツ vs ブラジル戦の69,029名でした。この大会は初めてのアジア開催であり、また、日本代表のベスト8入りの活躍など、大会が進むにつれ、会場に集うファンがどんどん増え、ついに決勝戦のイングランド vs 南アフリカ戦では、これまでの歴代最多入場者数を塗り替える偉大な数字、「70103」名を記録しました。「ノーサイドの精神」に魅せられた国内のサポーターに交り、多くの海外ラグビーファンが敵味方なくこの1戦を心から楽しみ、素晴らしい時間を共有するためのハイタッチやエール交換が行われていた場面や、フィールドからスタンドを見渡した際の熱気は、今も忘れることのない貴重な体験でした。これから先、この記録を超える瞬間に立ち会えることにも期待しています。

遊水地機能
日本戦前日、遊水地機能が発揮される様子

 また、グループステージの突破を懸けた日本 vs スコットランド戦の前日には、台風19号の影響により、当スタジアムのある新横浜公園が持つ、鶴見川の水を引き込む遊水地機能が発揮されました。激しい雨風のため、場内外の設置物等を一時的に撤去し台風が過ぎ去るのを待ちつつ、翌日の日本戦は必ず開催されるものとして、大会組織委員会からの指示があれば、いつでも復旧作業を開始できるよう準備を整えました。試合当日の早朝に出された試合開催に向けた作業指示と共に、つい数時間前まで浸水していたスタジアム地上面の清掃や消毒作業を限られた時間の中で進め、仕上げることができました。結果、何事も無かったように、試合を開催することができました。この台風により、イングランド vs フランス戦は残念ながら中止となりましたが、その影響を最小限に留め、日本戦の開催を実現したことで、悲願であるベスト8入りを多くの皆様と分かち合えたことは、私たちの誇りです。

サッカー男子表彰式
無観客で行われたサッカー男子表彰式(写真提供:フォート・キシモト)

 三つ目の「8→9」は、東京2020オリンピック競技大会サッカー競技会場として、大変名誉な予定変更を示した試合数にまつわる数字です。開催までの準備は、数年をかけて綿密に進められます。組織委員会や多くのボランティアスタッフの皆様と共に、最高の環境を提供することに懸けていた私たちにとっても、開催が1年延期されたうえ、無観客開催という事実は、とても苦しいものでした。当スタジアムでのサッカー競技開催計画は、当初、男子5試合、女子3試合の計8試合を行うものでした。ところが、大会開会後に酷暑の影響もあり、女子決勝戦のキックオフ時間を11時から21時に変更する検討が進められ、競技日程と会場設定の関係から当スタジアムで行う打診がありました。計画されていた男子決勝戦の前日に女子決勝戦を新たに追加する日程であることから、会場を管理する私たちは、連日使用することになる競技ピッチ(天然芝)のコンディション調整、選手が使用するエリアの清掃作業計画の変更の調整を図りました。併せて競技運営を担当する組織委員会により、会場装飾や表彰セレモニーに使用する資材調整など多くの課題をクリアすることで、この大きな変更を可能とすることができ、結果、当スタジアムでの開催試合数は、「8→9」になりました。これは、開催前から幾度となく打合せを重ね、大会成功に向けてココロを一つにして進めてきた関係者チームの結束力があったことで実現できたものです。この一員として、無事大会を終えることができた安堵が印象に残る大会となりました。この大会では、無観客の中での表彰セレモニーの様子が、忘れられないシーンの一つでもあります。

 また、スタジアムはさまざまな顔を持っています。スタジアムは文字通り総合競技場であり、観客収容人数は約72,000人と国内最大を誇ります。利用種目はサッカー、ラグビー、陸上競技のスポーツ利用に加え、トップアーティストによるコンサート公演など、多くの記録と皆様の記憶に残るシーンを支えてきました。横浜市立小学校体育大会に参加してフィールドで踊ったダンスが想い出という方も多いかもしれません。

鶴見川の水を溜めた様子
公園内に鶴見川の水を溜めた様子

 一方、スタジアムを含む公園は市内最大の運動公園で、隣接する鶴見川に洪水などの恐れがある際に一時的に河川の水を引き込み、敷地内に洪水の一部を溜めることで、流域への洪水被害を低減させる遊水地機能があります。四つ目の「23」は、遊水地機能に係る数字です。2003(平成15)年6月の遊水地運用開始から現在まで、鶴見川の洪水を貯めた合計回数が、「23」回です。台風シーズンの洪水が多い一方で、12月や3月といった大雨とは縁遠いシーズンでの洪水も経験しています。公園という誰もが安心して気軽に立ち寄る場所を常に安全に管理することを命題として、私たち管理者は日々活動しています。新たなメンバーが加わった際には、洪水に備えた公園への立ち入りを禁止する閉鎖作業や洪水から施設や機械等を守るため水防扉や防水板などの設備を速やかに設置及び撤去できるよう、研修や実践を繰り返し行います。近隣地域の皆様と懇談する場面では、スタジアム建設以前の洪水の様子を引き合いに、遊水地機能のありがたさを伺うことも多々あります。

 様々な目的を持って来場される皆様の期待に応えるべく、スタッフ全員がこのスタジアムで働くことの誇りと責任を持って、「また、行きたくなる公園・スタジアム」を目指し、管理運営にあたっています。
 皆様は日産スタジアム(新横浜公園)に、どのような想い出がありますか? まだ、ご縁が無い方は、是非、素敵な想い出づくりにお越しください。ご来場をお待ちしています!

【受付終了】読者プレゼント

日産スタジアム見学ツアー
ブラジル代表チームのロッカールーム

 応募受付は終了し、当選者に10月1日(火曜日)に賞品を発送しました。ご応募ありがとうございました。

 いつも『広報よこはま』・「よこはま彩発見」をご覧いただき、ありがとうございます。感想をお寄せいただいた方の中から抽選で、日産スタジアム見学ツアー「Yokohama Final Stadium × 3 STADIUM TOURS(外部サイト)」無料招待券を5組10名様にプレゼントします。ご希望の方は、次の6項目を明記し、郵便はがき(〒231-0005 横浜市中区本町6-50-10 横浜市役所政策経営局広報課 あて)又は電子メール(ss-saihakken@city.yokohama.jp)でご応募ください。締切は2024年9月30日(月曜日) 必着です。
※ 1.郵便番号、2.住所、3.氏名、4.感想、5.読んでみたい記事、6.「9月号プレゼント希望」
 なお、当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。また、いただいた個人情報は、賞品の発送以外の目的には使用しません。

読者プレゼント問合せ先 横浜市役所政策経営局広報課 TEL:045‐671-2331 FAX:045‐661-2351

このページへのお問合せ

日産スタジアム

電話:045-477-5000

電話:045-477-5000

ファクス:045-477-5002

前のページに戻る

ページID:383-467-531

  • LINE
  • Twitter
  • Facebook
  • Instagram
  • YouTube
  • SmartNews