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山岡鉄舟の書

最終更新日 2019年3月14日

港南区の民話

山岡鉄舟の書 日野

山岡鉄舟は,江戸時代の終わりから明治のはじめに活躍した人です。
鉄舟は,もともとは幕府につかえる武士でしたが,勝海舟などとともに,世界の動きをよく知り,日本が,京都の天皇がたと幕府がたとに分かれて争っていることを,早くから心配していました。
そうした国の分裂を外国の勢力が,ひそかに期待していることを知っていたからです。
そこで,将軍を説得し,将軍は戦いをする意志がなく,天皇にしたがうので,戦いはやめたいという意志を官軍に伝えたり,攻めよせた官軍が江戸の町を焼かないように,話し合ったりする役目をしました。
そうした彼の人柄は,一般の人たちからも大きな尊敬を受けることになったのです。
明治になってからも,新政府に協力し,日本の国が本当にひとつになることに力をつくしたのです。そういうことから,明治天皇の信頼もあつく,天皇のそばで,侍従という役目を与えられて,重くもちいられました。
しかし,そうした地位についていることを鉄舟は,「武士としてはずかしい」と思っていたそうです。なぜなら,かつては将軍につかえる身であったわけですから,時代が変わって,新しく天皇につかえることが心ぐるしかったのだと思います。
昔から,立派な武士は,別の主人につかえることははずかしいことだとされていたからです。
そういうことがあったので,彼のもとに,昔の友人や幕府の役人だった人が訪ねてくると,たいへんに喜んで,自分の手で書いた書を与え,生活のたしにするようにと言ってわたしたということです。
剣の達人でもあった彼の書く文字は,その性格をよく表わして,力強く,はっきりとしていて,すぐれた書としてたたえられていました。
そういうわけで,鉄舟の書は,この港南区だけではなく,全国いたるところに残されています。そして,その数は,全国的には数千から万をこえる数になるだろうといわれています。
鉄舟の書を大切に保存している人は,鉄舟がこの地をそっと訪ねて来て,この書を置いていったのだと固く信じているのです。

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