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お坊さんとふしぎな水

最終更新日 2019年3月14日

港南区の民話

お坊さんとふしぎな水 日野

むかしもむかし、今から九百年も前のこと、京都の尋清というお坊さんが、仏像を背中にしょって、各地のお寺をたずねて、旅をしていました。
ある日、そのお坊さんが日野の郷に来たときのことです。
急に水がのみたくなり、森の草深い茂みの裏にわき水を見つけました。そのわき水は、今までのんだこともないくらいおいしく、旅の疲れもすっかり消えてしまいました。おどろいたお坊さんが、村人にそのわけをたずねてみますと、
「この泉は、とてもふしぎな泉なのですよ。いつも夜になると、泉から光がさし出し、森の中が明るくなり、泉のまわりには、鳥たちが集まってくるのです」
と答えました。
お坊さんは、ますますふしぎに思い、泉のわけを見つけようと、泉の近くに座って、静かにお祈りをささげました。
すると、三日目の夜のこと、泉の水が急にもりあがったかと思うと、突然まばゆい光といっしょに、紫の煙がたちこめました。
その光の中には、顔が金色に輝き、ひたいから目もくらむような光を放っている、お地蔵さまの姿が見えました。
おどろいたことに、そのお地蔵さまは、お坊さんが今まで背おって歩いていた仏像と、同じ姿だったのです。
朝になり、村人に昨夜のできごとを話すと
「いつの頃かはわかりませんが、ふしぎな僧がこの村を訪れて、のみ水に困っていることを知ると、持っていた錫杖(お坊さんなどがもつ杖)をとり、掘ったところ、どんな病気もなおしてしまう霊水がわき出したという言い伝えがあります。それから、この泉を錫杖水とよんで大切にしているのですよ」
と、村人は教えてくれました。
お坊さんは、このふしぎな僧とは、僧の姿をかりたお地蔵さまではなかったかと思い、ここを、自分の旅のおわりの場所と決めました。村には、お坊さんがいませんでしたので、村人も大変に喜び、小さなお寺を建てました。お坊さんは、それからずっと日野の郷に住み、仏と村人のために、祈りをささげる日々を送りました。

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