ここから本文です。

経営者インタビュー「株式会社吉岡精工」

制度づくりより、風土づくり。社員と業界の意識から変えていく。(代表取締役:吉岡優さん)

最終更新日 2019年3月22日

企業紹介

1961年創業の吉岡精工様。自動車のエンジンバルブ金型製造を中心に成長し、現在は半導体製造装置の精密部品を中心に事業を展開されています。社員数は20名。そのうち5名が女性社員です。今回は、社長を務める吉岡優さんに製造業という環境の中で、どのように女性を雇用し、活躍してもらえる環境を整えているのかについて語っていただきました。

社長のお写真

質問1.まず、製造業界全般の女性採用の状況についてお聞かせください。

ゼロというわけではありませんが、男性に比べると圧倒的に少ないのが現状です。どこの工場へ行っても、第一線で活躍されている女性を見かけることは、あまりありません。製造業は、汚い、キツイ、危険という昔ながらのイメージがありますから、女性としても「私には難しいかも…」と考える方が多いと思います。昔はトイレや更衣室も男女兼用だったり、女性にとって働きやすい環境とは言えませんでした。でも、今は少しずつですが、女性を雇用するために環境を変えようと動いています。トイレや更衣室を分けたり、重たいものを運ぶために道具を利用して簡単に持ち運びができるようにしたり。けれど、環境を整えて優秀な女性を雇用できたとしても、長く働いてもらうには女性のライフステージの変化に対応できる職場にしなければというさらなる課題もあります。私たち経営者がこの状況を理解し、課題解決に向け真摯に挑戦し続けなければ、製造業界の女性雇用推進は進まないと思います。

質問2.貴社では女性を採用することで、どのような変化がありましたか?

私たちの会社では2000年頃から積極的に女性の採用を始めました。ほとんどの製造業の中小企業が女性を採用することをまだ真剣に考えていなかったこともあり、採用は思いのほか順調でした。さらに、当時は仕事においても技術職の女性社員がお客様先を尋ねると、それだけで大きなインパクトを与えることができました。製造業は男性がするものと思い込んでいるため、最初は「女性で大丈夫?」と不安がるお客様もいるのですが、その女性技術者が優秀だとそのギャップがお客様との関係構築にも大いに役立つことがわかりました。また、女性の魅力のひとつとして丁寧な仕事をしてくれることが挙げられます。私たちの製造する精密機器の部品は、ほんの少しの傷や汚れがあるだけでNGです。扱い方を間違えたり、ぶつけてしまったりしたら、そこで終わり。仕事のスピード以上に手先の丁寧さや細やかな気配りが必要になるのですが、その点は男性以上に女性が向いていると思っています。性格も根気強いですし、仕事を見ていても非常に安心感があります。女性としての物珍しさではなく、ある部分では男性以上にこの仕事に向いていると思いますし、私たちの会社としても欠かせない存在です。

質問3.女性社員をサポートする上で心がけていることはありますか?

正直なところ、大したことはできていませんが、一番心がけているのは風土づくりです。たとえば、子育てをしながら働いていれば、当然、早退や遅刻をしなければならないときもあります。そのとき、周りの社員から不満が出ないような職場にしておかなければなりません。大企業であれば、今や当たり前のように育休後の時短勤務があって、その制度を利用している女性も多くいると思います。すると、周囲の社員もその状況を受け入れやすくなります。しかし、もともと女性の少ない中小企業の工場では、その女性の扱いが特別なもののように映ってしまうのです。だから、私はことあるごとに「子育てをすれば、誰もが通る道。そのときに自分が同じような目で周りから見られたら、嫌だよね。であれば、みんなで協力してやろう」と社員全員に向けて話をするようにしています。また、制度づくりも重要ですが、その都度フレキシブルな対応ができることはもっと重要です。風土づくりの成果が少しずつ現れてきたのでしょうか。家庭の事情で朝早く出社できない女性社員のために、これまでは朝礼後すぐに開いていたチームミーティングの時間を変えるなど、社員たちが自分たちの判断で対応するようになりました。いかに効率良く、ミスなく作業を進めるか、時間の制約のある女性社員は常に時間との戦いです。このような条件の下、働く社員と一緒に働くことで会社全体のコミュニケーションが盛んになり、無駄な時間を削るため、社員全員がより協力し合うようになりました。

質問4.今後の女性活躍支援についてお聞かせください。

製造業界の中小企業の中でも、「女性を採用したい」と考える企業は昔と比べて圧倒的に増えました。10年前から比べれば、経営者の意識も大きく変わったと思います。しかし、まだまだ女性から見た「ものづくりの現場」のイメージはさほど変わっていないのではないでしょうか。町の部品工場を積極的に受けてみようと思う女性はやはり少ないようです。今後は女性の採用を強化していくためにも、業界全体でイメージを変えていかなければなりません。私自身、具体的なアイデアを持っているわけではありませんが、横浜市さんのような行政にお願いがあるとすれば、もっと中小企業の魅力を伝える場を作ってほしいと思います。大企業とは異なる中小企業の魅力を、直接、求職者にアピールできる機会がもっともっと増えると良いと思います。特に、大学生のような若い方にアピールできる機会があるとうれしいです。どうしても大学生や、大学の先生方は大きな企業ばかりに目が行きがちです。でも、きっと大企業より、中小企業の方が向いている学生もいるはずです。そうした良い出会いを横浜市さんと一緒につくっていくことができたらいいなと思います。

女性社員の声

我妻真理子さん(2000年入社)

女性社員の方のお写真

大学の先生のご紹介でこの会社と出会いました。最初の印象はいくつもの機械が雑然と並んでいるし、油のにおいもしていました。正直、「本当に、町工場だ」と(笑)。ただ、私自身はものづくりが大好きだったこともあり、当時から長く働きたいと思っていました。仕事内容は、入社後まず出荷検査に携わり、その後は設計、技術営業といろいろなことに挑戦させてもらいました。産休・育休中に社長から「もし興味があれば、在宅でできる範囲で仕事を手伝ってくれないか」と相談を受けたときはうれしかったですね。家庭とは別に社会との接点ができたことで精神的にも楽になりましたし、何より会社の状況がわかるようになったことで復職時の不安がすごく軽減されました。現在は生産管理というまた新しい仕事に挑戦中です。今後も業務の幅は広げていきたい。そして、実力を蓄えながら、長く働き続けることができればと思います。

企業情報

株式会社吉岡精工
横浜市鶴見区末広町1-1-49
http://www.yoshioka.co.jp/(外部サイト)
業種:精密部品加工
従業員数:20名
女性支援制度:時短勤務制度/出産休暇制度/育児休業

このページへのお問合せ

経済局中小企業振興部中小企業振興課

電話:045-671-4236

電話:045-671-4236

ファクス:045-664-4867

メールアドレス:ke-keiei@city.yokohama.jp

前のページに戻る

ページID:137-926-640

  • LINE
  • Twitter
  • Facebook
  • Instagram
  • YouTube
  • SmartNews