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経営者インタビュー「株式会社協進印刷」

仕事を通して求める幸せは人それぞれ。あらゆる社員に気分良く働いてもらいたい。(代表取締役:江森克治さん)

最終更新日 2019年3月22日

企業紹介

横浜市神奈川区で昭和34年から3代続く協進印刷様。現在は印刷だけでなく、企業や団体の広報支援、さらには地域で活動するNPOの情報発信支援といったソーシャル・マーケティングにも力を入れている会社です。社員数は12名。そのうち約半数が女性社員とのこと。今回はその協進印刷様の代表を務める江森克治さんに、女性の雇用や働き方について、経営観や人生観も交えながらお話しいただきました。

社長お写真

質問1.いつぐらいから女性採用に力を入れ始めたのですか?

もともと採用において「男性だから、女性だから」と区別したことはありません。第一、私たちのような中小企業は男女を選り好む余裕なんてありませんから。ただ、「仕事における男女」について考え直すきっかけになった出来事はありました。今から十数年前、私が代表に就いたばかりの頃の話です。当時の私は、男性社員も女性社員も同じ環境で働き、同じ基準でフラットに評価することがフェアだと考えていました。しかし、ある時、すごく優秀だった女性社員が「もう限界です」と突然辞めてしまったのです。聞けば、家事や子育てとの両立が難しい、と。その時に、会社の中だけで考えるのではなくて、家庭での負担の増減も考慮して、生活全般を通しての負担がフラットになるようにしなければ、本当の意味でのフェアな待遇や評価にはならないと思ったのです。女性社員のサポートに力を入れ始めたのはその頃からですね。

質問2.女性社員をサポートする上で気をつけていることはありますか?

まず、女性社員だけに限らず、働く人たちを一括りにすることに無理があると感じています。なぜなら、仕事を通じて追求する「幸せ」は社員一人ひとりによって異なるからです。たとえば、同じ女性でも仕事を一番の生きがいにバリバリ頑張りたいと思っている人もいれば、仕事はほどほどにプライベートの充実を大切にしている人もいる。そこで、私たちの会社では正社員だけでなく、短期間勤務社員、パートタイム社員といくつもの働き方を用意しました。加えて、独身の時は正社員で働いて、育児中はパートタイム、子供が手を離れたら正社員に戻るといった雇用形態の変更が何度もできる制度も整えています。ちなみに、この「制度を整えている」というのが、じつは社員をサポートする上での大きなポイント。かつては当社のような十数人の会社であれば、困ったことが出てきた時に都度対応すればいいと考えていたのですが、それは大間違い。制度として用意し、常に広報することで初めて、社員は安心して活用することができるのです。何をサポートするかに加えて、どうサポートするかの視点が欠かせません。

質問3.女性が活躍できる職場環境を整えたことで経営への効果はありますか?

それは大いにあります。女性社員だけに限ったことではありませんが、社員が働きやすい環境を整えることで、より主体的に働くようになり、結果、仕事の生産性がすごく上がりました。だって、人間ですから、嫌々やるより、気分良く働いた方が調子も出ますよね。加えて、品質も高まる。実際、当社の場合、女性を採用し、働きやすい環境を充実させていくことで、これまでより少ない人数で同等以上の仕事が回せるようになった上に、ミスの数が圧倒的に減りました。特に、女性はコミュニケーション能力が高く、細やかな気遣いのできる方が多いので、安心して任せられますね。また、当社では今後、より様々なタイプの社員を採用しようと考えています。子育て中や介護中の女性、障害を持った方など、何かしらの負担を抱えている社員を雇うことで、会社にその人たちを活用する仕組み、ノウハウが溜まっていきます。そうすると、どんな人が来ても活躍できる会社になっていく。これは、採用力の弱い中小企業にとって、大きな強みとなるはずです。そこで現在、横浜市の助成金を活用し、テレワークの仕組みも導入しようと検討しています。

質問4.最後に、昨今の行政が行っている「女性の活躍支援」について思うことはありますか?

本来は一人ひとりの人生観やライフスタイルに合った支援を行うのが望ましいのでしょうが、行政だけですべてを担うことはできないと思います。だからこそ、私たちのような民間の中小企業が経営力の強化策として、もっと力を入れていくべきだと思うのです。当然、大企業のように給与や福利厚生を充実させられるわけではありませんが、そもそも仕事を通して求めている「幸せ」は、先にも述べたように人それぞれです。決して、全員が高い給与に幸せを感じるわけではありません。そこで、私たち中小企業がもっと自社らしく社員に提供できる「幸せ」は何なのかを真剣に考え、自分たちの会社の社員の能力を最大限に生かすための努力をすることで、今よりたくさんの女性が活躍できるようになるでしょうし、雇用した企業の経営力ももっと強くなると考えています。予算がない、体力がないと嘆くのではなく、知恵と工夫で解決策を見つけていく。中小企業の女性の活躍支援こそ、イノベーションが求められているのではないでしょうか。

女性社員の声

真島愛子さん(2013年入社)

女性社員の方のお写真

社長の事業や仕事に対する考え方に共感し、入社しました。現在は主に総務の仕事を担当していますが、周囲のメンバーの手が足りない時は編集のお手伝いやお客様との打合せに同席することも。この会社で特に気に入っているのは、月1回の「ありがとうの日」。日頃お世話になっているステークホルダーに自分たちで企画し、形にしたものをプレゼントするのですが、この活動を通して「私は、誰のために、何ができるのだろう」ということを日々考えるようになりました。ちなみに、前回私が担当した時は、近隣の幼稚園や子育て拠点に「勤労感謝の日に働いている人に感謝の手紙を贈るオリジナルレターセット」をプレゼント。保護者の方にも、地域の方にも喜ばれ、私自身も「仕事でこんなに嬉しい気持ちになれるのか」と驚きました。今後もここで長く、誰かの力になり続けていきたいです。

企業情報

株式会社協進印刷
横浜市神奈川区大口仲町108番地
http://www.kyoshin-print.co.jp/index.html(外部サイト)
業種:印刷
従業員数:12名
女性支援制度:短時間勤務制度/雇用条件変更制度/介護支援制度

このページへのお問合せ

経済局中小企業振興部中小企業振興課

電話:045-671-4236

電話:045-671-4236

ファクス:045-664-4867

メールアドレス:ke-keiei@city.yokohama.jp

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