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経営者インタビュー「昭和精工株式会社」

女性社員がいるから、女性社員が増え、会社は働きやすい場所へと変わっていく。(代表取締役:木田成人さん)

最終更新日 2019年3月22日

企業紹介

1954年に創業。以来、精密加工、精密金型の設計製作、自動機、専用機の開発に携わってきた昭和精工株式会社様。半世紀を超える経営の中で培われたモノづくりの技術力とノウハウによって、世界を相手にビジネスを展開する様々な企業からビジネスパートナーとしての厚い信頼を獲得している会社です。現在、社員は97名。そのうち女性は19名。今回は、代表取締役社長を務める木田成人さんに、女性が少ないと言われる製造業界において、女性の採用や働き方ついて語っていただきました。

社長と女性社員の方のお写真

質問1.いつ頃から女性採用に力を入れ始めたのですか?

本格的に開始したのは約5年前。私が社長になってからです。かつての製造業界は3Kの職場と言われ、「きつい、汚い、危険」というイメージがありました。特に中小企業の製造現場はそのイメージが強く、以前までは女性の就職先として候補に挙がらないという状況でした。また、製造現場では5年10年と時間をかけて技術を磨いていきます。途中で結婚や出産で職場を離れるのであれば、男性を中心に採用した方が良いという考えが企業側にもありました。しかし、私は男性だけが採用の対象ではないと考えています。男性だけの世界だと当たり前になっていることが、女性が入ることで一変する。古くから凝り固まった働き方や考え方を新陳代謝できる、と。
そうした中、我が社にも本気でモノづくりに取り組みたいという技術職志望の女性が入社してくれました。男性しかいない製造現場に飛び込むというのは、相当の勇気が必要だったはずです。彼女の採用は、会社としてもすごく大きな出来事でした。1人でも女性が工場で働いていると、次年度の採用のとき工場見学で訪れた女性に「私も働けるかも」と思ってもらえるんですね。女性が働きやすいように制度をどれほど整えたとしても、実際に働いている女性社員がいなければ、不安になる。そういう意味でも、彼女の入社は本当に大きな出来事だったと思います。

質問2.女性を採用することで製造現場への効果はありましたか?

以前までは、仕事を教えるというより「背中を見て覚えろ」というような職人気質の考えが現場にはありました。ただ、それでは今は人が育ちません。もっと丁寧に教えるべきでしたが、なかなか改まる機会がなかった。それが、女性が入社したことで変わっていきましたね。優しくなったというか、しっかりと後輩へ教育ができるようになったのです。男性中心だった世界で女性が力を発揮し、戦力となっていくのを目の当たりにすると女性に対する先入観がなくなり、技術を継承していこうと考えるようになったのだと思います。
現在は、各部署に1名以上、製造現場だと各セクションに分かれていますが、それぞれ最低1人はいる状況までになりました。女性社員同士の交流も盛んです。部署問わず全体の女子会を自主的に開催し、率先して職場の雰囲気作りをしてくれています。

質問3.女性社員にはどのような活躍を期待していますか?

女性社員だけと言わず、誰もが挑戦できる環境を整えています。これはモチベーションに関わることですから男女区別なく、平等にチャンスを設けています。もちろん女性にはもっと活躍してもらい、さらに人数を増やしていきたいですね。ゆくゆくは管理職に就く女性社員が当たり前になり、少なくとも社員数の3割が女性になるように。ただ、当社は女性雇用を始めたばかりのようなもの。課題点と向き合いながら、活躍できる場を作っていくという現状です。例えば、残業。どうしても忙しい時期があるのでやむを得ないのですが、在宅勤務できる環境を整えることができれば、さらに活躍の場は広がると考えています。まずはその仕組みを作ること。今、日本には100年企業と呼ばれる長寿の会社が増えています。会社としてはそこを目指していきたいです。当社には他業界のように積極的に転職しようと考える人が少なく、長く働きたいという人が集まっています。当社で働きながら、結婚や出産を経験していく社員はもっと増えていくはず。だからこそ、活躍を期待しつつも、それ以上に会社として社員が活躍できる場を作っていくことが重要だと考えています。経営を安定させることで、今以上に安心して子育てができるような会社にしていきたいですね。

質問4.最後にこれからの女性の活躍支援についてお聞かせください。

これは女性だけの課題ではなく、社会全体の課題だと思います。働き方に対する意識が、女性も男性も変わり始めている中、どんな職場環境をつくっていくか。そこに向き合わなければいけません。我々の製造業界で言えば、例えば工場や倉庫が集まっている工業団地に保育園を作ってみる。そこで働く女性たちが職場の近くに子どもを預けられたら、さらに働きやすくなると思います。急に保育園から連絡が入ることがあると思いますが、近所だからすぐに迎えに行ける。精神的な負担も少なくなって、仕事に集中できる。そうすると「工業団地は女性が働きやすい環境が整っている場所です」と言えます。これは横浜市への要望になってしまいますが、モデルケースとしてそんな工業団地を作ることができれば、製造業界も工業団地の価値も変わるはずです。また、工業団地の側には、住宅地があります。わざわざ家から離れた場所に子どもを預けて、離れた場所で働くのではなく、近くで働くという選択肢が生まれます。私たち製造業界の雇用も促進でき、お互いにWIN-WINの関係になれると思うんです。そういったアイデアをもっと発信していくことも、女性の活躍支援につながるのではないでしょうか。

女性社員の声

伊従恵美さん(2012年入社)

女性社員の方のお写真

前職はビルの警備を担当する仕事に就いていました。シフト制で夜勤もあり、体力的にきつくなったのが、転職を考えはじめた理由です。「自宅の近所、デスクワーク」という条件で会社を探すなか、当社の求人と出会いました。社長をはじめ、社員の方々の雰囲気の良さに惹かれたんだと思います。現在は営業事務として、お見積書の作成やお客様への連絡、書類の整理などを中心に担当。現場で働く社員の方々から頼りにされるとうれしいですね。福利厚生などに関して言えば、入社する前は「女性が少ない職場で、産休や育休を取得できるだろうか」という不安もありました。しかし、面接の時点で私の希望を全て正直に話していたこともあり、社長に妊娠を告げた時は「予定通りだね。おめでとう」と言っていただき、休暇も取得しやすかったです。復職後も同じ仕事を何人かの営業事務で対応できる体制を整えていただくなど、仕事と育児の両立がしやすい環境づくりをしていただいています。中小企業への転職を考えている皆さんにお伝えしたいことは、「とりあえずやってみる、言ってみる」ことが重要です。女性社員の要望に真摯に向き合い、環境の方を変えようと考えている会社も少なくないと思います。

企業情報

昭和精工株式会社
横浜市金沢区福浦1-4-2
http://www.showa-seiko.co.jp/(外部サイト)
業種:製造業
従業員数:94名
女性支援制度:出産休暇制度/育児短時間勤務制度/育児休業制度/看護休暇制度

このページへのお問合せ

経済局中小企業振興部中小企業振興課

電話:045-671-4236

電話:045-671-4236

ファクス:045-664-4867

メールアドレス:ke-keiei@city.yokohama.jp

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