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第15回「市長と語ろう!」
最終更新日 2022年10月7日
開催概要
≪テーマ≫子育て(子育てしやすい地域づくり)
≪日時≫
令和4年8月23日(火曜日)14:00~
≪会場≫
横浜市馬場地域ケアプラザ(鶴見区)
≪対話団体≫
寺尾第二地区社会福祉協議会(鶴見区)
≪団体概要≫
昭和39年設立。寺尾第二地区は地区東部が港北区に隣接する縦に伸びた形状のため、同じ区内でも生活圏が異なり、人口は区内では1番多い地区となっている。多世代交流「学んでご飯」事業では、小学校5、6年生と中学生を対象に、市立東高等学校の生徒が協力した学習支援や、食生活等改善推進員(ヘルスメイト)が手作りで食事の無償提供、帰宅時には地域見守り隊による見送りを行っている。その他にも、子育て支援「ばばハッピー」「バンビ」、高齢者支援「サロンせせらぎ」といった居場所づくり事業、様々な世代向けのプログラムを用意している福祉保健講座の取組を開催。
対話概要
※ 文意を損なわない範囲で、重複部分や言い回しなどを整理しています。
市長挨拶
市長
子育てを重要視して市政を進めていこうと思っております。子育てといっても乳幼児から高校生ぐらいまでとても幅広く、それから地区ごとに環境が違いますし、団体さんや、活動内容も違います。そういうことも含めて、市民の皆様と膝を突き合わせてお話をさせていただいています。
今日は大変楽しみにしてまいりました。皆様が特色ある活動をしているということを是非肌で感じて、課題や今後の方向性について意見交換をさせていただければと思います。
今日はよろしくお願いいたします。
支援者自身が多くのことを学んだり、励まされたりしている
参加者
寺尾第二地区社会福祉協議会は主に、寺尾第二地区民生委員児童委員協議会がその運営を担ってきました。今年は、3年に1度の民生委員の改選の年になりますが、引き受けていただく方を見つけるのは難しいということが全国的な問題になっています。そのような中で、民生委員の負担感の軽減と、地域福祉の増進を両立させることが大きな課題ではないかと思っています。そのためには、連合町内会の会長のみなさんのご協力をはじめ、地域に潜在している力を生かすこと、また、多くの団体に関わっていただいて、手を携えて取り組むことが重要だと思っています。
寺尾第二地区の自治会町内会長のみなさんは提案をすると、大所高所に立って判断してくださり、「やってみれば?」と背中を押してくださるので、大きな力になっていると思います。そのモデルとなる取組が「学んでご飯」と言えると思います。
参加者
多世代交流会「学んでご飯」のネーミングは、鶴見区地域福祉保健計画の寺尾第二地区の平成28年からの目標である「世代を超えて未来につなごう地域の輪」を実現する居場所づくりを目指し、多世代交流会という文言を付けています。また、いわゆる子ども食堂とは異なり、この地域にあった取組を実現するという思いを込めて、キャッチーな「学んでご飯」というネーミングにしました。
家庭のリビングで過ごしているような雰囲気の中で、学習支援もできる場所にすることを目標にしています。私達、民生委員は以前に主任児童委員として活動をしており、地域の中学校での活動の中で、学習支援の必要性を感じていました。
また、学習支援の後に地域の方が作ってくださった栄養のある食事を提供したかったのですが、帰宅時間が遅くなり暗くなりますので、帰宅の際の見守りを地域の方にしていただきたいと思っておりました。
「学んで」とは、ただ教科の勉強だけではない大切な「学び」。例えば、自分の取り組む姿勢への反省や、こんな高校生・大学生になりたいという思いなどを育むことに繋がればという思いもあります。
実際に学ぶのは、お子さんだけでなく、私達支援者自身が多くのことを学んだり、励まされたりしている現状です。
地域一体での協力体制
参加者
食事作りはヘルスメイトさんにメニューからお任せし、学習支援は当初地域の高校生・大学生に協力を依頼することにしましたが、現在は東高校の生徒の皆さんにのみ依頼をさせていただいています。大人が教えるよりも態度が明らかに素直でしっかり勉強できていると思います。時には恋愛相談などに発展しているところを見かけたこともございます。帰宅時の見送りは信頼がおける北寺尾町内会の見守り隊の方にお願いし、とても力強い味方になっていただいております。
ここでは緊急の対応を学校・地域包括支援センター・区社協・民生委員が協力できる体制づくりができているので、短時間で様々な対応ができています。その他にも、いろいろな思いを抱えていらっしゃるお子さんへの対応ができることは、この「学んでご飯」の強みだと思っています。
支援する高校生にとっても貴重な体験
参加者
「学んでご飯」は、午後5時から始まり、1時間勉強していただいて、その後ヘルスメイトさんの作ってくださったご飯を一緒に食べる。そして送っていただくという流れになります。
当日、生徒が何人来るかは時間になるまで分かりません。でも、来たお子さんは全部受け入れるという体制で臨んでおります。来ていただいた生徒さんに責任を持たないといけないので、保護者の方の氏名とアレルギーの有無などを問う登録用紙を提出していただいています。
学習支援については、コロナ禍の前は机を囲んで座り、その中に高校生が入る形で行っていましたが、コロナ禍で間隔を開けて座るようになりました。食事の際も以前は輪になってわいわいといろんな会話をしながらお食事をするという形で、みんなで笑ってご飯を食べている状況でした。ところが、コロナ禍で、学習支援同様間隔を開けて、前を向いて食事をしています。私達スタッフが感動したのが、生徒さんは本当に静かに食事を取ることが当たり前になっていました。感染に気を付けながらやっていこうと考えています。
今年の6月のことですが、この日は勉強するグループと、1か月後の地区社協の高齢者行事のお手伝いをしてくださるグループの2つに分かれていましたが、最後に区長も参加して、じゃんけん大会もして非常に楽しい会でした。たまにはこういった大会等で盛り上がって、来てよかったと思っていただけるような会にしたいと試みています。参加した高校生の感想では、「地域でこんな企画をしてくださる方々がいらっしゃることを初めて知りました。今後も続けてほしいです。」「小学生の明るさに元気をもらいました。ボランティアができ、貴重な体験になりました。社会貢献しているって実感しました。」という言葉もいただきました。教職を目指しているというお子さんもいて「教える難しさも学びました。」という言葉もございます。
お子さんが抱えている思いは様々
参加者
今後の展望として、実施形態や場所を増やせればいいなと思っています。そのためには、関わっていただける方の輪を広げていくことが必要だと思っています。さらに、お子さんが集いやすい場所にするよう工夫を続けていきたいと思っています。お子さんが抱えている思いは様々です。貧困からくる問題や不適切な養育をされているお子さん、登校ができない状況にあるお子さん、地域での過ごし方に課題があるお子さん、そんなお子さん達の受け皿にもなれればと思っています。
「学んでご飯」を始めたきっかけ
市長
ありがとうございます。いろいろな取組を聞かせていただいて、興味深く拝聴させていただきました。また、ご飯も美味しそうですし、何よりも皆さんの想いが詰まっていますよね。だから参加者の反応も良いし、すごく見ていて嬉しく思いました。「学んでご飯」を始めたきっかけを教えてください。
参加者
事業開始当時は子ども食堂があちらこちらに立ち上がり、この地域でもやってはどうかという声は上がっていました。ただ、その時に子ども食堂に持たれていたイメージが経済的に苦しいご家庭のお子さんが来るというイメージが付きすぎていたので、それを払拭するという意味でも、またこの地域にあった活動をさせていただきたいということで、いろいろなことを盛り込んだ居場所にさせていただきました。
地域の中での「学んでご飯」
市長
「学んでご飯」のアピールポイントは何ですか?
参加者
地域の見守りとか学校とかたくさんの方々と横に繋がっているので、学校の方から困っているお子さんがいるからと連れて来ていただいたり、ケアプラザで夜遅くまで遊んでいるお子さんをケアプラザの方が紹介してくれたり、繋がりが網目みたいになって、居場所になっていると感じます。
市長
社協や町内会のサポート。それからヘルスメイトの関わり合いがとてもいいなと思っています。色々な方々がスクラムを組んで、そこに地域のつながりを持ってくれていると思います。
子育てしやすい地域づくりのために心掛けていることはありますか?
参加者
「学んでご飯」というのは、高校生に勉強を教えてもらったり、いろいろ話を聞いてもらえるので、そこに参加してくれるお子さんは本当に素直な子が多いと思っています。そこからはちょっと外れて、参加できない、参加したくないというわんぱくな子ども達を僕は見守りたいと思っています。
アットホームな雰囲気づくり
市長
更に子ども達が集まりやすい場をつくる工夫はされていますか?
参加者
アットホームな雰囲気づくりに努めておりました。一度来てくれたお子さんが、別のお友達を連れてきてくれたりしています。
コロナで一年間お休みをしてしまったので、今は受入れが少ないです。でもこれから少しずつ戻ってきてくれるといいと思っています。
あとは私が心掛けているのはすぐに名前を覚えて、名前で呼ぶということです。他にも東高校の方が本当に上手に関わってくださるので、それを見させていただいています。
支援が必要な子たちをどのように繋げるか
市長
緊急対応として学校とか地区社協とか民生委員の方とか協力できる体制になっていると思うのですが、具体的に協力をした事例はありますか?
参加者
小学生以下のお子さんを3人持つお母さんが、4人目を出産するために入院するということで、子ども達がいわゆる欠食になるという事例がありました。それで校長の私が家庭訪問をして、更に地域の会長にもこういう児童がいることを共有して、地区 社協に相談した ことがあります。「学んでご飯」に連れてくればご飯が食べられて、更に孤立してしまうことがないので、アパートに行って声を掛けました。最初は初めてなので渋っていたのですが、ここに連れて来た時には、リピーターの子ども達がその子の名前を呼んで迎え入れてくれました。その時の様子は忘れられないです。同時に同じフロアでスタッフが集まって、ミニカンファレンスを開いて、おむつや当座の食材を運んでもらったりして、びっくりするくらい迅速な対応でした。それで、その後もケアして下さったのですが、この事例のようなことがあった際に、どうやって地区 社協あるいは「学んでご飯」の仕組みと繋げていくのかというところに一工夫いるかなと思いました。非常にうまくいった事例で、ありがたいというのと、子ども達は差別とか偏見とか一切関係ないので、来れば仲間、あったかい居場所があるのは良かった事例だと思います。
「縦の線」と「横の線」が繋がって
市長
これだけ多くの方々が関わって、子ども達に支援が届いています。こうした取組への連合町内会としての関わり合いや、バックアップなどはいかがでしょうか?
参加者
地区連合会や社協の活動に関わることになったことがきっかけです。自分でも「少し畑が違うかな?」と、思ったのですが、今では参加させていただいて非常に良かったと思っています。
鶴見区には17地区連合会がありますが、この地区の人口が一番多いようで、長く住んでいる方から新しく来られた方まで混在している街です。その街の方々をどうやって繋げていけばいいかというところで、中々難しいことではあったのですが、連合と社協を一緒にやらせていただくことで、「縦の線」と「横の線」が繋がるようになりました。いろんな意味でお世話になったり、あるいはお願いしたりとかがすごくスムーズにできるようになってきていると思っています。
この場にいる方々一人ひとりが地域のニーズを汲み取り、「学んでご飯」あるいは「地区社協」の活動によってこの地区の多くの人を支えていただいています。ですから子どもに限らず、高齢者や全ての人々を網羅して何かできることはないか模索しながら今進めているところです。
市長
非常に今「縦の線」「横の線」という言葉が印象的でした。それぞれの活動をどのようにして繋ぎ合わせるのかということは行政の役割でもあります。それは高齢者の見守りにしてもお子さんの見守りにしても、どのようにして「チーム鶴見」あるいは「チーム横浜」としてやっていくのかということを常々考えさせられます。
ヘルスメイトの役割が重要だと思うのですが、ヘルスメイトにはどうすればなれるのですか?
参加者
鶴見区の福祉保健センターで養成講座を受けます。
8回の講座修了後に食生活等改善推進員に登録するとヘルスメイトになれます。
市長
本日お話を聞かせていただいている取組をもっと知ってもらえるといいと思います。「学んでご飯」もヘルスメイトさんもすごく大切だと思います。
こういった良い事業は、訴求力のある地域情報紙や市や区役所でアピールしていかないといけないと思います。是非ヘルスメイトの確保などに協力させていただきたいと思います。
始めは軽い気持ちで、今は「僕はこの地域に貢献したんだ。やったあ。」
市長
高校生にお聞きしますが、「学んでご飯」に参加してみようと思ったきっかけは何ですか?
参加者
東高校はボランティア活動や社会貢献活動などに参加しやすい環境があります。色々なところから「こういうボランティアがあるのでどうですか?」とお知らせがあります。僕も始めは軽い気持ちで友達と「こういうのがあるんだけど一緒にやってみない?」という感じで参加したのが始まりです。
市長
「学んでご飯」に参加した感想はどうですか?
参加者
めちゃくちゃやりがいがあるボランティアです。やりがいがあるというのは僕自身、これまで色々なボランティアをやっていて、例えば宮城県南三陸や衆議院選挙のボランティアもやりましたが、そういったボランティアとこの「学んでご飯」は、身近かそうでないかというところに違いがあると思っています。
市長
選挙も将来的に変えることに繋がると思いますが、「学んでご飯」のような活動は、目の前に困っている人達を直接支えることで、目に見えて変わっていくことが分かるものだと思います。
参加者
僕はここから歩いて10分くらいの学校で学ばせてもらっているので、特にこういう場所で地域の子ども達に勉強を教えることに「僕はこの地域に貢献したんだ。やったあ。」みたいな、やりがいに繋がっています。あと、子ども達の未来を育む活動だと思うので、そういう点でも、「子ども達の未来に貢献した。」と思いながら参加しています。
市長
先ほど言われたように、「やってみようかな。」って思う機会があったということが大きいですよね。こういった活動に参加するか、しないか選ぶのは生徒さんの判断ですが、市立高校でもそうですが、県立・私立いろんな高校で、そういう機会があるといいですよね。そういう機会をどんどん作っていくようにしたいと思います。こういった活動に参加してくださる方が一人でも増えていくと、どんどん世の中が良くなっていくと思います。
「ご飯お替りした?」「楽しかった?」おしゃべりしながら帰っている
市長
見守り隊として、子どもを家まで送り届けるということに日々ご尽力いただきまして本当にありがとうございます。お子さんたちを家まで送り届ける際にどういったことにご配慮されているでしょうか?
参加者
車や暗い夜道に気をつけるというのは当然ですが、「ご飯お替りした?」とか「楽しかった?」とかいろんなことを聞きながら、おしゃべりしながら帰っています。
市長コメント
市長
皆さまの子どもを想う温かい気持ちは本当に素晴らしいと感じております。社協とか町内会とかヘルスメイトさんや高校生の方々、その他様々なボランティアの方々とのチームで事業が成り立っていることを改めて理解できました。
今、核家族化で子育て環境が目まぐるしく変化しているので、孤立している子どもがどんどん増えてきています。そういった子どもたちを取り残さないためにも、引き続き皆さまのご意見をいただきながら、こういった取組を行政としてもバックアップしていきたいと思っております。子ども一人ひとりが未来の可能性を持つ横浜の宝です。是非皆さまと一緒にチーム鶴見、チーム横浜として支えていく、そういった思いを改めて強く持ちました。
今後とも子育てそれからお年寄りにも優しい市政運営を心掛けてまいりますので、皆様お力添えどうぞよろしくお願い申し上げます。
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