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第20回「市長と語ろう!」
最終更新日 2023年3月22日
開催概要
≪テーマ≫防災「ささげ台マルシェ」によるまちの活性化
≪日時≫
令和5年2月24日(金曜日) 15:00~
≪会場≫
笹下台団地自治会館 集会所(港南区)
≪対話団体≫
シルバークラブ笹寿会(港南区)
≪団体概要≫
昭和48年老人クラブ(シルバークラブ)として設立。
超高齢社会が進展し、顕在化している孤立や孤独、買い物等への外出困難、交流機会の減少といった課題に対し、地域において企業や団体と連携し、集いの場・憩いの場としての「ささげ台マルシェ」「ささカフェ」などの取組を進めている。
※老人クラブとは、地域を基盤とする高齢者の自主的な組織として、仲間づくりを通して、生きがいと健康づくりなどの「生活を豊かにする楽しい活動」を行い、また、高齢者がその知識や経験を生かして、地域の諸団体と協働し、「地域を豊かにする社会活動」に取り組み、明るい長寿社会づくり、保健福祉の向上に努めることも目的としている団体。
対話概要
※ 文意を損なわない範囲で、重複部分や言い回しなどを整理しています。
市長挨拶
本日はお時間をいただきまして、誠にありがとうございます。
今回は、高齢者の方々に元気になってもらう。そういった観点から意見交換の場をもたせていただいております。
私は皆さまのもとへ足を運ばせていただき、直接教えていただき、意見交換させていただくことで大いに勉強になっております。
こういった機会は大変重要で、ぜひ、ざっくばらんに意見交換させていただきたいと考えております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
高齢者住人の「住みにくさ」
参加者
老人会というと、カラオケクラブだとかペタンクなどを行うクラブ中心なことが多いのですが、笹寿会はそういうクラブが一切無く、高台で富士山が見える場所でお茶を飲みながら皆で集まることをしています。
歴史は非常に長く、昭和44年に笹下台団地ができて、50何年も経ちました。私自身も30歳くらいのときに入って、もう80歳を超えています。
この笹下台団地は430世帯あって、当時は子どもも多くいましたから、2,000人近くの方が住んでいました。それから時間が経ち、子どもたちもみんな出ていってしまい、430世帯は変わりませんけれど、住んでいる人は3分の1で700~800人と減っています。そして、私を含めて高齢者が5割ぐらいを占めています。
その中で問題なのは、この団地は5階から降りてくるときのエレベーターがありませんし、丘の上にあります。さらに、周りにコンビニやお店がない、バスも丘の下までだから、ここまでは来ない。そうなると買い物ができない。それだけでなく、医療機関もない。また、夫婦のどちらかが先立つと孤立化していく。
各部屋のドアを閉めてしまうと隣近所から見ることもできない、見守りや安否確認を行うことも非常に難しい地域です。
「自立と支援」を目的とした「トップダウン型の老人会」
参加者
私は、平成26年に推薦されて自治会長を受けたのですが、その時、笹寿会の人数が70人くらいで、自治会長としては笹寿会に入らないと自治会の実態が分からないと思いました。入会してみると、他の地域と同じで、会員の人数はどんどん減っている状況でした。高齢者は増えているのに、老人会が減ってきています。他の地域でもそうですが、担い手がいないことが原因です。
自治会長も、2期目の時に「笹寿会をなんとかしてください。このまま人数が減ると消滅します」と言われたので、笹寿会も引き受けることにしました。その時の笹寿会は、1か月に1度しかお茶飲み会をやっていなかったので「それじゃだめだよね」ということで、「じゃあ、毎週カフェやろう」となり、「毎週はできないよ」という声もありましたが、「とにかくやってみようよ」と始めました。
その時考えたのが、「トップダウン型の老人会」です。目的は、「自立と支援」で、お茶を飲みに来られる人は元気な人、来られない人は支援が必要な人として、「自立と支援」を笹寿会の使命にしました。
実行は全てボトムアップ
参加者
使命を決めて、あるべき姿を決めて、私たちは笹寿会を作ろうとしました。笹寿会は会長のトップダウンにしないと付いてこない。だけど、トップダウンにしたときに何が大切かというと、どうやるかはボトムアップにすることだと思っています。
「毎週カフェをやる。」のはトップダウン。でも、どうやったらいいかはボトムアップにしていくと人が集まってくる。だから、実行は全てボトムアップにしています。
それでやってみてだめだったら、やめればいいのです。
市長
そうですね、方針を打ち出して、作り込みは、担当の方々で創意工夫して作り上げるということですね。
参加者
それが、この笹寿会の特色です。「ここから富士山見てお茶飲もうぜ」とやると、「隣にあなた来てよ」というふうになっていくのです。平成28年からは笹寿会の「ささカフェ」となり、何年か続けて人数も増えました。コロナ禍になってからは団地内の公園で「青空カフェ」を開いています。
「買い物」対策
参加者
買い物ができないことへの対策として最初に行ったのは、地域ケアプラザの協力で大きなバスを「買い物バス」として借りて、帰りに地域ケアプラザに集まり、坂を上るのにバスに乗せてもらい帰ってくるというものです。
そうしているときに、大手のコンビニエンスストアから移動販売のお話をいただいて、こちらとしては来てくれるのだったら雨の日はテントを出すことで移動販売の話が決定しました。団地内の公園で移動販売を開始すると、最初はコンビニエンスストアの車しかいなかったのですが、いまではパンを作っている障害者施設の方や八百屋さんも参加してくださり、朝市らしくなっています。今後のこととして、大手スーパーからもお魚やお肉などの販売で参加させて欲しいというお話もいただいています。
市長
その笹寿会の活動を知った先方からのお話ですか?
参加者
はい。区役所と地域ケアプラザに窓口になっていただいています。
役割がないから、みんなが勝手にやる。
市長
方針を決めて、決まったことは「ちゃんとこれをやるんだ」ということをトップダウン型と仰っていました。一方で色々なアイデアを出していただくところはボトムアップでと仰っていたのですが、新しいアイデアは、色々出てくるものですか?
参加者
最初から用意してしまうと、「誰がそんなことやったの」という話になってしまいます。そうではなくて、やることは決めるけれども、例えば、テーブルは出してもテーブルクロスを出すということはあらかじめやらない。そうすると「テーブルクロスほしいよね」とか、寂しいからと花を飾ろうとする。そうすると、「いいね」というふうになっていく。
イメージはあっても、全部それを前に出すことはしません。「こういうカフェをやります」というと、それが義務になってしまい、そのための役割を決めなくてはいけなくなります。そういうことは一切していないです。
市長
まさにエンパワーメントですね。
参加者
役割がないから、みんなが勝手に行います。企業は肩書や役割がないとできませんけど、笹寿会は元気な人が来てすればいい。
市長
そうですね。組織ですとそこに組織全体のビジョンとかもあります。
参加者
組織だと思ってやろうとすると1年で終わってしまいます。「私、1年やったからもういいよね」って。そこが組織であって組織でない老人会だから、もっと自由でフラットでいいんじゃないかと思います。
ボランティアだから「毎週出る必要ないんだな。」
市長
各会員の皆さんに役割を担っていただくために、どうのようにお願いというか働きかけをされていますか?
参加者
働きかけは何もしていなくて、やりたい人がやりたいようにやっています。例えばテーブルを外に出したりするのも誰がやるか決めないし、使うものも決めていなくて「これがあるといいよね」「じゃあ、持っていけば」となっています。片づける時も誰かが片づけてくれていて、それが当番にもなっていないし、人数が少なければ少ない中で誰かが行っている感じです。
市長
でも、100人以上の会員がいらっしゃる中で、例えばカフェなら100人の内どなたが関わるかは手挙げで決めているのですか?
参加者
「毎週カフェをやる」って言ったときに、正直「えっ」って思ったのですが、それでもボランティアだから「毎週出る必要ないんだな」と思えたのです。
市長
出たいときに出ればいいと。
参加者
そう、それです。
そのときに、すごく力になったのが、「ボランティアを考える会」です。皆さんにすごく声をかけてくれて、お手伝いしてくれました。
参加者
担当が無くてもみんなができるように、「それが楽しいことなんだ」という意識を植え付けないと、みんな帰ってしまいます。そういう会にはしたくないと思っています。
「掃除して」って言うと、みんな嫌がるけど、自分たちが汚したものは自分たちで拾うってなると、「動いていて楽しいよね」と思わせることができます。
老人会の「見える化」
市長
100人以上が参加されているのはすごいと思いました。700~800人近く住まわれていて、高齢化率が5割くらいということは約300~400人が高齢者という中の100人の方が入られていることは相当な訴求力だと思います。
参加者
「ささカフェ」を始めたときに、野菜を畑から採ってきて入口で販売していたら、みなさん、その野菜だけ買って帰ってしまいました。でも、室内に持ってきたら、室内で野菜を買って、コーヒーも飲むというサイクルができてきました。
パンも、おいしいパン屋さんから朝仕入れて置いてくれたりして、段々と「ささカフェ」が広まっていきました。
会員が増えても皆さんが楽しんでいると感じるのは、移動販売はみんなのことが見えます。室内だと見えないのですが、屋外だと何をやっているのか見えます。
モルックだったり、ラジオ体操だったり、みんなが何をやっているのかが見えて、入ることに対して壁がなくなります。そういうことが重要かなと思います。
今、モルックを通じて入会される方が結構増えていると感じています。
市長
モルックはいつから始めたのですか?
参加者
去年の2月です。毎週試合をやっていて、先週でちょうど40~50回目くらいになりました。
参加者
棒を投げるだけですし、「あの人ができるなら私もできるかしら」といって入った人もいます。何をやっているのかが見えて、やりたいなという興味も持ってもらえます。そこに笑い声があって楽しそうだなというのも全部見えます。
参加者
老人会の「見える化」という言い方もしています。
月に1回発行で、今年で600号
参加者
会報でも私たちの活動を発信しています。10ページのカラーの月刊誌ですが、活動に出てこられない人でも隅から隅まで読んでくれています。
市長
色々と工夫されて作られていますよね。
参加者
デザイナーがいるわけでもないですが、インタビューする人が出てきたり、原稿書いたりする人が出てきて、電気・ガス・水道と同じように、情報インフラとなって笹寿会にとって大きな存在になっています。写真を撮ったり、みんな自分たちで役割を勝手にやっているという感じです。
市長
広報誌を作成する上でどういったことを意識されて作られていますか?
参加者
月に1回発行で、今年で600号になります。
昭和48年の4月に第1号が出て、200、300、400、500という節目に記念号を出して、今年600号となります。
500号発行時に先輩方にバックナンバーをどのくらい持っているか聞くと、過去に発行した物の75%が出てきまして、それを集計して過去の人たちがどういうところに楽しさを感じていたとか、会報に何を求めていたかを調べてみると、月に1回ずつ会報を発行した後にこの場所で定例会を開いて、その時に話したことを会報に残して、次の定例会でまたその会報を持ってきてお話をしていることが分かりました。個人の動向をその会報の中で発見したりしていたのです。
もう一つは、短歌の会というのがありまして、笹寿会の中で文芸的なことを書けば、皆さんが詠んでくれるということもありました。
個人が持っている情報と楽しさを会報の中に散りばめたら読み続けてもらえているので、皆さんに読んでいただけるように、いろんなことを散りばめて発信するように心掛けています。
自分のちょっとした発案で少しずつ変えていく「楽しさ」
市長
「ささカフェ」はどういう議論で始まったのですか?
参加者
それまでの笹寿会は、何かやってもらうことを待っていましたが、新しい会長が「自分たちでできることは自分たちでやろう」という精神をよく仰っていました。年を取ったからできないのではなくて、できることがあるはずだと思うので、「できることはやりましょう」というその考えに大賛成でした。
皆さんも「自分でできることはやりましょう」と考えてやってくださっています。これならできるということを考えてお互いやっているので、今は非常に楽しいです。
市長
「ささカフェ」を開催してよかったことや、苦労した点は何ですか?
参加者
皆さんがすごく楽しんで、喜んで出席してくださって、好きなコーヒーを飲みたいので、自分で気に入ったカップを持っていらしています。
その他にも、年齢的にお年を取られた方たちが多いですから、皆さんで抹茶を点てて喜んで飲んでいたりもしています。
皆さん楽しくおしゃべりしながら飲み物を飲んだりお茶菓子を摘まんだりしているので、苦労という思いはありませんでした。
参加者
あと、ここに来られない人たちは民生委員の方々に声を掛けていただいています。それは「自立と支援」を進める中で、笹寿会が一つのツールを持っていることで大事な役割を担っていると思っています。
自分たちが作ったものを持ち寄っているから「ささげ台マルシェ」
市長
「ささげ台マルシェ」の状況を教えていただけますか?
参加者
「ささげ台マルシェ」は、始め「朝市」と言っていたのですが、私たち笹寿会は言葉を大事にしています。マルシェはフランス語ですが、そのマルシェになった理由の一つは、この団地の畑を借りて農園を始めて、そこで採れたもの、自分たちが作ったものを持ち寄っているから「ささげ台マルシェ」としました。
参加者
会社を退職して何か趣味がないかと思って、農場をまわったところ、空き地で草が生い茂っているところがあったので、草を綺麗にするから畑として使わせてくれないかと言いました。
参加者
個人で借りると後で揉めることもあるので、笹寿会が借りて畑代を払って、やりたい人が使うことにしています。
笹寿会は自治会の下にあって、予算ももらっています。自治会には笹寿会の活動を温かく見守っていただいています。
コロナ禍で活動が止まった自治会
市長
笹下台団地の自治会の中の有志の方が笹寿会で活動されている。自治会として今後もバックアップされていくのですね。
参加者
笹寿会に今来ていらっしゃる年代の方々はまとまりがあります。「ささカフェ」も「ささげ台マルシェ」も皆さんがこの団地をよく知っていて顔見知りでもあるから動けているのです。
でも、ここからだとも思っています。これまでの50年はコロナ禍で全部リセットされた感じがしています。笹寿会だけがコロナ禍で活動していて、自治会の方はお祭りなどの活動が止まってしまいました。それをコロナ禍が終わったあとは、「誰がどうするのか。」となると思います。これまで活動されていた皆さんも段々年を取っていきますから、色々な参考意見を聞きながら引き継いでいかないと、これからの自治会の活動に支障をきたすと感じています。
参加者
町内会は会計も人も年度です。担当者は年度で変わっています。そういう中で、その都度毛色を変えていたら続かないのです。だから、自治会の中で私たち笹寿会は老人会として独自に活動しています。
市長コメント
運営の仕方やノウハウをご教示いただきありがとうございました。
地域の活性化にはお元気な高齢者の皆さんのお力が欠かせないのは、当然だと思いましたし、高齢者の皆さんが生き生きとしてもらうことも大変重要であると思っております。
横浜市も高齢化率が年々高まっていく中で、高齢者の皆さんがそれぞれお住まいの地域で元気に活躍をしてもらう、そういった仕組みを作っていくことが重要な課題であると考えております。
その観点で、本日ご紹介いただいた笹寿会の活動の、「動くようにする」、「活性化するようにする」仕組みは、素晴らしいと思いました。
色々な方が関与されて、一体となって作って、それで老人会の活動が活性化していくことで地域全体の活性化に繋がることを改めて感じました。
今後も様々な活動をされている方々と話をしていく上で、今日教えていただいたことは大変参考になりました。こうしたことをお手本にしながら地域の活動にもどんどん広げていきたいと思っています。
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