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第6回「市長と語ろう!」

最終更新日 2022年8月4日

開催概要

≪テーマ≫子育て(医療的ケア児を受け入れている保育園)

集合写真

≪日時≫

令和4年6月24日(金)9:30~

≪会場≫

ひびき金港町保育園(神奈川区)

≪対話団体≫

ひびき金港町保育園(神奈川区)

≪団体概要≫

「子ども一人ひとりを大切にし、保護者と共感しあいながら保育をすすめ、地域・社会に貢献できる保育園を目指します。」を保育理念として、平成29年に設立。
保育目標にもあるとおり「ノーマライゼーション」の理念に基づき、障害のある子ども、医療的ケア児(※)の入園も積極的に受け入れており、障害の有無にかかわらず、子どもたちが同じクラスで生活をしている。

※医療的ケア児
心身の機能に障害があり、呼吸や栄養摂取、排泄などの際に、医療機器やケアを必要とし、家族等による日常的な胃ろう等の医療的生活援助行為(医療的ケア)を必要とする方たちのこと。近年の新生児医療の進展やNICU(新生児集中治療室)の整備促進を背景として、超未熟児や先天的な疾病を持つ子どもたちの命を救うことができるケースが増えており、医療機関を退院した後も引き続き医療的ケアを日常的に必要とする「医療的ケア児・者」が年々増加している。

対話概要

※文意を損なわない範囲で、重複部分や言い回しなどを整理しています。

市長挨拶

市長

私自身が子育て世代ということもありまして、子どもが健やかに育つ環境づくりに対する思いは人一倍強いです。子どもを安心して生み育てることができること、それが横浜全体の活力になると思います。ぜひ現場の最前線で努力・奮闘されている皆さまと直接お話する機会を得たいと思いまして本日はお時間をいただきました。
この保育園の特徴である医療的ケア児の受入れ保育の点等を中心に、保育園を今後盛り上げていく上で必要な視点について意見交換をさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

医療的ケア児を受け入れている保育園が少ない現状

園の説明をしてくださる園長

参加者

ここを開所した5年前に、0歳児のお子さんを抱いたお母さんが訪れ「どこの保育園も預かってくれなくて困っている」と涙ながらの訴えがありました。そのお子さんには胃ろう注入が必要でしたが、「お預かりします」と即決しました。その頃は、まだ医療的ケア児をお預かりしている保育園は、うちを含めて2、3園くらいだったと思います。
看護師さんが居ない時もあったので、4人の保育士が喀痰吸引第三号研修を受講して、胃ろう注入ができる資格を取って日々繋いでいった状況でした。今も横浜市内で医療的ケア児の受入れをしている保育園は限られていると伺っているので、5年前の状況とあまり変わっていないのかなと思っています。

医療的ケア児受入れの課題

参加者

医療的ケアの現状として、医療技術の進歩で障害や疾患がある赤ちゃんの救命率がとても上がっています。自宅で暮らす医療的ケア児は全国で2万人弱と言われています。支援法(※)はできましたが、保育園の受入れが難しい状態で、働きたくても働けない、家族に重い負担がかかっている家庭がたくさんあるのではないかと思います。市のアンケートでは、70%の保育園が「条件が整えれば受入れをしてもいい」と答えています。しかし、数年前から保育士不足も深刻になっていて、あわせてケアのための看護師さんの確保も難しいため、なかなか受入れが進まない状況にあると思います。そしてスキルが無くて預かるのが不安という声も保育園の中に多くあります。1つ1つの解決を図りながら、1園また1園と少しずつ広まっていけばいいと思います。

※医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(医療的ケア児支援法)
「医療的ケア児及びその家族に対する支援は、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体相互の緊密な連携の下に、切れ目なく行う」ことを基本理念として、国、地方公共団体、学校設置者等の責務を規定。

医療的ケア児が保育園で生活することの意義

園内を見学する市長と園長

参加者

仲間と共に育つということが医療的ケア児の保育園で生活することの意義ではないかと思います。そして、保護者には就労を保証するという大事な意味があります。それと、障害のあるお子さんや医療的ケアが必要なお子さんのご家庭の保護者の方は、まだ障害や病気のある子の親に成りたての本当に不安定な時期です。その方々を支えて安心して生活できる場を作るというのが保育園でお預かりすることの大きな役割だと思っています。

受け入れた医療的ケア児から見えてくること

参加者

これまで受け入れた医療的ケア児から見えてくることもあります。
一つ目の事例として、難しい病気を持つお子さんでしたが、保育園では、就学に向けて自分に必要な医療的行為を一生懸命練習しました。このお子さんには複数の行為が必要でしたが、しかし、小学校では、練習したその中の一つの医療的行為のみ行い、その他の行為ができていない状況が3か月続いていました。まさに昨日、教育委員会と主治医の先生方、ケースワーカー、保護者の関係するみなさんとの話合いの場をもって、保育園で行ってきた本人ファーストの医療的ケアを行うようお話をして前向きな回答を得ることができました。医療的ケアや障害のあるお子さんは一人一人違うので、ケアや症状によって吸引・胃ろう・導尿だけではなくて、付随する行為、緊急時の対応等、様々なケースがあり、保育園で行ってきたものが切れ目なく就学先でも行われるようしっかりと連携していくことが大切だと身をもって感じているところです。
二つ目の事例は、0歳児から他の保育園に在席していたお子さんですが、医療的ケアが必要になったことで「お預かりできませんと」断られて、保護者が来られました。保護者も本人も慣れ親しんだ保育園でお友達と一緒に居たかったのではないか思います。その保育園がどうという話ではありません。その時に「こうしたら預かれるよね」「こうやって条件を整えてあげれば続けていけるよね」と、どうして、そういうふうにすぐに話し合える、相談ができる仕組みが無かったのかなと思います。私たちが今保育している子どもたちもいつ医療的ケア児になるか分からないです。その時に、「受け入れられない」と断るようなことが無いように、仕組みづくりを現場と行政の皆さんと一体になって作り上げていかなければいけないと思います。

人権を大切にする保育を子ども達に示すこと

参加者

私たち保育士には子ども達の人権を守ってその成長を保証していかなければならないという大切な役目があります。全ての子ども達の人権を大切にするとともに、その人権を大切にする私たちの保育を子ども達に示すことで、子ども達自身が自分自身を大切にしていく、自分の命を大切にしていく、そういう気持ちを育てていきたいと思っています。

市長

人権・保育、それからあらゆる人との共生社会、そういった理念を実現するために積極的に活動されている保育園の様子がよく分かりました。ひびき金港町保育園が横浜市にあることを誇りに思います。医療的ケア児の保育というのは、様々な切り口や点で議論をしていくべき事項だと思います。

入園後の子どもや保護者の変化

市長

園児が抱えている状態によって変わってくるとは思うのですが、入園前と入園後で医療的ケアが必要なお子さんや保護者の方々にどのような変化を感じられますか?

参加者

私は一つ目の事例のお子さんと2~3年間一緒に居させていただいて、お母さんもすごく安心してお仕事に行かれている姿を見たり、その子も就学に向けて一生懸命頑張っている姿を見たりして、一歩一歩前に向かって頑張っている姿が見られたと思って、預からせていただいて一緒に成長できて、すごく嬉しかった。ここに来てよかったなという想いがすごく強くなりました。

参加者

やはり入園された時の表情は硬いな、緊張しているなとすごく感じるのですが、日々接して子ども達の成長を間近で見ているうちに、段々表情が柔らかくなってきて。

市長

お子さんも保護者も?

参加者

保護者の方自身の表情も柔らかくなってきて、「とても助かっています」と言っていただいています。子ども達が楽しそうにしている姿を見ることは嬉しそうですし、安心しているのかなと感じます。

参加者

保育園に預けられるのはすごく助かっていると毎日言ってくださっています。保護者の就労支援ということもあるし、日々の生活でお子さんも友達と楽しくしていることが分かるので、保護者の喜びがどんどん増えていると感じているところです。

医療的ケア児を受け入れる保育園間の交流

市長

医療的ケアのお子様を受け入れている園は、令和3年度のアンケートでは2%ぐらいです。医療的ケアを行っている保育園間で交流はあるのですか?

参加者

今まで交流というのはほとんど無かったです。園長同士で会って情報交換はしても、みんなで集まって意見交換をするというのは今まではありませんでした。ですが、つい先日から、医療的ケア児を保育している保育園の看護師会をひびき金港町保育園で開催しました。その後は園長会を開く予定で、徐々に交流は進んでいるところです。

医療的ケア児を受け入れることへの不安の払しょく

市長

医療的ケア児を受け入れる保育園を増やしていくにあたり、どのようなサポートを期待されていますか?

参加者

まず場所が必要かと思うのですが、ひびき金港町保育園はホールやスペースがあります。それと保育士が多くいることの安心感。それから保育士さんや看護師さんがみんなでサポートし合う環境が整わないと厳しいと思います。

参加者

そもそも医療的ケアのことを全然知らなかったので、緊張と恐怖が最初はありました。でも、前任の人が教えてくれたり、背中を押してくれる園長や周りの人がいたりというのが一番良くて。医療的ケアを知るところがないので、一歩踏み出すのが難しいです。学べる場所があると広がりやすいと思いました。

市長

今まで経験していないと状況が見えないことはありますよね。

参加者

周りにいないということもあり、医療的ケアを必要としている子どもと関わる機会が少ないと思います。関わる機会や研修があればワンステップ進みやすいと思っています。

参加者

ここに入る前は病院の集中治療室しか経験していなかったので、子どもに対するケアというのが未経験でした。在宅で生活している子どもの医療的ケアの研修や、個別の細かい配慮ができるように「いろんな子がいますよ」という情報が入ってきたらいいと思います。実際やってみないと分からないことがいっぱいあって、機械の使い方の研修や在宅向けの最新のケアなどの情報提供があれば看護師側としては、もう少し安心して保育園に就職できると思っています。

市長

それこそ看護師さんの中でも、こういうところで働くことに関心や意欲がある方は、潜在的にいらっしゃるとは思いますが、やはり情報が無いというところで、おそらく次の一歩を踏み出すタイミングが課題なのかなと感じました。

参加者

まず一番は人が育てるので、保育士・看護師の雇用が充実していないとなかなか難しいということと、スキルをどう今後伝えていくかというのが必要かなと思います。また、職員の不安を払しょくするというのはすごく大切なことなので、様々なスキルを伝えていって、皆が安心して取り組める環境にしていくことが大切だと思います。あとは何かあった時にすぐに相談できる機関があるといいと思います。私達の保育園では子ども優先で、ドクターにメールで直接お話したり、看護師さんに直接お電話したりする方法で色々乗り越えてきましたが、例えば行政の中に医療的ケアの担当の方がいらして、その方に連絡するとある程度の回答をいただける仕組みになっていれば、どこに相談すればいいのだろうという不安が払しょくされると思います。

市長コメント

対話中の様子

市長

今後行政として医療的ケア児を受け入れられる保育園を増やしていくこと、既に対応されているところにはサポートを増やしていくことが必要だと思います。
今後増やしていくにあたって、やはり園長さんや経営者の方の理念が必要ですよね。それから保育士さんとか看護師さんがその理念に共感して、本当に良い社会を作ろうという強い信念が必要になってくると思います。だから、そういう信念を持つ方々と一緒に行政がタッグを組んで進めていくことが何よりも大切だということを今日気づかせていただきました。
子どもの笑顔を見てすごくいいなと思いましたし、子どもたちが保育士さんと一緒に散歩に出て歩いている姿が僕は世の中で一番の素敵な光景だと思っています。この保育園でもみんなで「じゃあ行こうよ」という姿が日常的だと思うのですが、そういったお散歩ができる子どもたちもいれば、そうじゃない子どもたちの笑顔をどうやって作るのかっていうことに関して、共生社会を作っていくにあたって行政としてやらなければならないことが多々あると思います。でもどんな子どもたちにも笑顔を見せてもらい、どのご家族も安心とやはり笑顔を持ってもらう。こういったご家族を1つでも多く増やしていくことが我々行政としての役割であるし、また皆様と一緒に解決していかなければならない課題であると思いました。今日色々見させていただいて、すごく勉強になりましたし、この園はすごく場所もいいですし、すごく工夫されているなと思いました。
ただ、ハードの面で優れている施設ばかりではありませんので、そうでない施設にどうやって行政的なサポートをして、医療的ケア児を受け入れていただけるようにするか検討しなければならない点が多々あると思います。これまで横浜市としては前市長が待機児童の解消に力を入れられて、飛躍的に待機児童の減少が進んだと思います。今後は保留児童の解消も必要ですし、医療的ケア児の対応の強化も重要だというのが身に染みて分かりました。
繰り返しになりますが、皆様のような理念と活動を持った保育所があることは、横浜市としても誇りですので、是非皆様のような保育園を1つでも多く増やしていけるようにしたいと思います。
本当にありがとうございました。

このページへのお問合せ

横浜市市民局総務部広聴相談課

電話:045-671-2335

電話:045-671-2335

ファクス:045-212-0911

メールアドレス:sh-shukai@city.yokohama.jp

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