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第10回「市長と語ろう!」

最終更新日 2022年9月5日

開催概要

≪テーマ≫子育て(居心地の良い居場所づくり ~子どもたちの夢を応援するために~)

≪日時≫

令和4年7月14日(木) 14:15~

≪会場≫

千丸台地区社会福祉協議会拠点(保土ケ谷区)

≪対話団体≫

NPO 法人A.S.C.C (保土ケ谷区)
(Arai School-support Community Coordinator)

≪団体概要≫

平成22年設立。新井中学校の学区にて、学校・地域コーディネーター(地域学校協働推進委員)※が中心となり、子どもたちの夢を応援するため、キャリア教育の手伝い、地域の文化・スポーツクラブの活動などを学校や地域とともに行っている。また、地域の協力を得て、子どもの居場所「MANABUBA+(まなぶばプラス)」も実施。

※学校・地域コーディネーター(地域学校協働推進委員)
学校と地域の架け橋となり、学校で求める教育活動のねらいと、地域の特性や地域の方々の得意なことを結びつけることを目的に横浜市立学校に配置。学校長の推薦を受け、年間5回の養成講座受講修了者に教育委員会から「学校・地域コーディネーター修了証」を発行している。学校教育における子どもたちの健全な成長のために、欠かせない存在となっている。

対話概要

※ 文意を損なわない範囲で、重複部分や言い回しなどを整理しています。

市長挨拶

市長

今日は保土ケ谷区において、第一線で活動されているA.S.C.Cの皆さまとの話合いの時間を作っていただきありがとうございます。
横浜市には、年代や職業など多様な方々がいらっしゃいますので、全方位的に取り組んでいかなければならないということは言うまでもないですが、その中でも特に子どもに関する施策を重視していこうと思っております。それは、子どもが未来の横浜を支える宝だからです。ですので、是非市民の声を直接聞かせていただき、子どもに力を入れた施策をしていきたいと思っています。その観点から地域の第一線で活動されているA.S.C.Cの皆さま、あるいは学校関係者の皆さまと直接お話をさせていただきたいと思いまして参りました。今日はよろしくお願いします。

「できたらいいね」と思っていたことが、一つずつ実現していっている

参加者

私たちの活動は、学校・地域コーディネーターがメインで行っています。地域の想いや学校の想いを繋げることをさせていただいております。「横浜一アットホームな学校をつくる」という校長先生のことばは、すごくわかりやすくていいなと思っています。その学校と「住み続けたいまちづくり」をされている地域の皆さんとの橋渡しができれば一緒に「持続可能なまちづくり」を目指せていいなと思っています。
最初にコーディネーターになって右も左も分からなった時に、学校にボランティアが入ることはできるのだろうかと思い、学校や地域に協力をいただき「学校ボランティア講座」を行いました。学校で活動をしてみたいという方が約20名集まり、学校と地域を繋ぐことや、学校で活動するために必要なことを一緒に学びました。その講座の中で「こんなことや、あんなことができるよね。」という声が聴けました。その内容が今の活動の基になっています。「駅伝やコンサート、学校の花壇整備など」そのときは「できたらいいね。」だったことが、一つずつ実現しています。

「無理はしないように」

参加者

私たちのモットーは「できるひとが、できることを、できるときに無理なく活動する。」ちょっと頑張りすぎてしまうと続かなくなるので「無理はしないようにしようね。」と。それが一番かなと思っています。
私たちの活動のコンセプトは「子どもたちの夢を応援する。」です。「子どもたちの自己肯定感が低い。」とか言われている今、なかなかなりたい自分を探し出せなく、「夢」を持てない生徒をよく見ます。だから、できるだけ多くの体験をしてもらいたい、多くの人と出会ってもらいたいと思っています。その中から生徒たちが「いいな。」とか、「こういうことはよくないよね。」と自分たちで判断できるような出会いを作ることを心がけています。そういう環境を作って、これから先の進路を応援する「夢応援プロジェクト」という活動をしています。
それは「地域学校協働本部(※)」 の学校と地域を結ぶ活動として行っています。

※地域学校協働本部
従来の地域と学校の連携体制を基盤として、より多くの幅広い層の地域住民、団体等が参画し、緩やかなネットワークを形成することにより、地域学校協働活動を推進する体制。学校のニーズに応じてボランティアを集めたり、地域からの要望を調整して学校に伝えたりする。また、地域住民や団体が参画してネットワークを形成することにより、地域の活性化を図る。学校・地域コーディネーターが配置された組織は「地域学校協働本部」として活動する。

家庭の居間のような空間

参加者

学校の図書室で、定期テスト前に学習支援「MANABUBA」として、私たちや卒業生、教育実習生とで、みんなで勉強をしたり、勉強の仕方を学んだり、ちょっとお喋りも。というような「居場所」としてスタートしました。ところが、年数が経ってくると、その場所で静かに試験勉強をしたいという子たちが増えてきて「居場所」に集まる子がいなくなりました。私たちの中では利用してほしい子が来なくなってしまい「これでいいのかな?」という思いがありました。
また、中学校がお休みの日は開催ができないので、学校以外の場所を探して定期テスト前の土日もやりたいとメンバーから意見が出ました。そこで、地域の方の協力を得て場所を探し、夏休み中の学習の場としてスタートしたのが「MANABUBA+」のはじまりです。
「家庭の居間のような空間がいいね。」と誰でも出入り自由な場 で、エアコンがかかっていて、教材となるゲームソフトも置いて 、お喋りしながら少人数や個別に教えてもらいたい子には教えてあげられるような環境を作りました。学校以外の顔が見られて、「この子ってこんなに可愛かったっけ?」なんて思いながら、 子どもたちもすごく喜んでいました。

「分からないことが分からない。」ことによる苦痛

参加者

活動していると、「中学校の勉強って、小学校のつまずきが大きいのかな。」とすごく感じました。そういう子たちは授業中に結構苦痛な時間を過ごしていて「分からないことが分からない、だけど周りに迷惑をかけちゃいけないから静かにしている。」ことに、私達はすごくショックを受けました。
また、私たちが「九九ができないから困っているよね。」と思っても、学習が生活と直結していないから、困っているという実感がないのではないかと感じます。例えば、かけ算ができれば計算が早くできて、買い物するときに便利とか、そういう生活に結びついていますが、その子にとって、かけ算ができないことは困ったことではないことだったのです。
だから、そのまま小学校を卒業して、中学校では「ここまではできているもの。」ということで授業が始まります。「分からないことが分からない。」だから授業中は静かにして苦痛な時間を過ごしていたのです。そこで中学生だけではなく小学生にも「居場所」に安心して来てもらえるような場所にしたいと思いました。
ところが、コロナウイルスの影響で、私達も学校・地域コーディネーターとして学校で活動をしていいのだろうかという状況になりました。しかし、学校は地域ボランティアさんを学校の中に入れてくださり、徐々に交流ができ、活動も少しずつ再開しました。

コロナ禍だから起きたこと、やったこと

参加者

学校では、コロナ禍で1人1台タブレットでリモート授業の準備をしていました。インターネットの環境がないご家庭のお子さんがいることを学校から伺いました。
生徒を2班に分けて、交代で登校していたので、繋がらないと2日に1日は何もできない状況が起こるのではないかと、私達はWi-Fiを用意することにしました。もちろん家庭の居間を想定していますから、私服OKです。利用した生徒は家庭から参加している生徒同様、とても楽しそうにしていました。私たちも見守りながら、素早く対応できてよかったと思いました。
また、コロナ禍で子どもたちの楽しみが減り、何とかできないかと考え、イベントも再開しました。大学生の力を借りようとNPOに協力を依頼しました。集まった有志の大学生と卒業生が12月のクリスマス会の企画をしてくれました。チラシもとてもすてきな出来でした。団地内を散歩するイベントでは、子どもたちが自慢げに大学生を案内していました。参加予定ではなかった子も付いてきて、最終的には33人になりました。自治会や社会福祉協議会、商店街の方などいろんな方にお世話になりました。
クリスマス会をオープニングイベントにして、「MANABUBA+ 」として小中学生対象の居場所づくりをはじめました。いろいろなことに試行錯誤している時に、地域情報紙にも載せていただき ました。活動周知につながり、さらにいろんな方からも協力をしていただけるようになりました。

市長

地域情報紙に取り上げてもらうというのは我々としても嬉しいですし、地域の方々の活動を紹介していただける本当に良い機会になっていますよね。

居心地の良い場所って、全ての子どもにとっての居場所ではない

参加者

「居場所」っていろんなところにたくさんあり、「MANABUBA+」もその一つだと思います。初めから来てくれている2人にとっての良い「居場所」であったことは私たちにとってうれしいことです。
活動を通して気付いたことは、「居心地の良い場所は、全ての子どもにとっての居場所ではない。」ということです。この子にとってはここが良いかもしれないけれど、あの子にとってはそっちが良いかもしれない。「居場所」というのはたくさんあって選べるといいなと感じました。ですから、ほかの居場所さんとも連絡を取り合いたいと思っています。「ここが合わなくても他に行けるよ。」って言えるのはすごく大事だと思っています。それから、参加した子が「また来たい。」と言ってくれる「居場所」の雰囲気はとても大事だと思います。居心地の良い家庭の居間のような場所でありたいと思います。
私たち団体の課題は、来てもらいたい子どもたちに、この場所が伝わらないという広報周知です。この活動を知った方が、学校につないでくださり、新たに子どもが1人来てくれた時のことですが、それまで来ていた子 どもたち は、新しい子が来るとちょっとだけ先輩になるようで、「また次も来ようね 。」なんて、帰りに声をかけてくれていました。子どもたちにとって、仲間というのも大事だなということもすごく感じました。

子育てしている人たちの応援もできたら

参加者

私たちには、社会人になった息子や娘がいますが、かつては子育てにすごく悪戦苦闘していました。公園デビューから始まって、保護者会やPTAなど人間関係がすごく大変でした。だから、今の親御さんたちがすごく大変というのも分かります。「もう嫌だ、この子言うこと聞かない。」とか「お手上げ。」と思う気持ちもすごく分かります。でも、そんな息子や娘たちが、私たちの活動を認めてくれて「頑張れ。」と言ってくれると「ちょっと嬉しいな。」なんて思います。
私たちは、子どもの夢を応援するために活動しているのですが、実は子育てしている親の応援もできたらいいなとも思っています。そういう循環ができれば、この活動は持続されていくのではないかと思います。居心地の良い居場所づくりをうまく継続させていくことが、大事なことだとすごく感じています。これからも学校や地域の方にたくさんお世話になりながら、ご協力いただきながら活動を続けていきたいと思っております。
私たちの活動は自分たちだけではできなくて、ボランティアさんの力を借りたり、自治会の援助を受けたり、後押しをしてくれる学校があることは、すごくありがたいことだと思います。

活動を始めたきっかけ

参加者

PTA会長をさせていただいていた時に、先生からお願いされて「学校・地域コーディネーター」の研修を受けました。最終日に、教育委員会から「さあこれからです、皆さん頑張ってください。」と言われ、右も左も分からない中、何か地域で活動を始めなければならないと活動を始めました。「やらなければならない。」というところから「何かできることはあるだろう。」という思いで始めたのがきっかけです。

参加者

代表がPTA会長していた時に私は副会長で、昔からの知り合いなので、私も「学校・地域コーディネーター」の研修を受講して、立ち上げからずっと一緒にやっています。

参加者

私は、研修を受けたのは前の二人よりも後ですが、きっかけは、代表に「助けてください。」と言われて。活動内容は知らなかったのですが、「私に何かできるかしら。」と。子どもが幼稚園のころからの付き合いで、何ができるか分からないけれども、「助けなきゃ」と思いました。

参加者

私は、娘が卒業するまでPTA活動をしていて、A.S.C.Cと協力しながら活動していました。子どもが卒業した後も、活動に賛同したことと、人手不足ということもありました。皆さんの少しでもお力になれればと思って、それが結果的に子どもたち、地域のためになればと思いやっております。

参加者

私もPTA会長の時に、社会で活躍している様々な職業の方を呼んで、子どもが体験プログラムをする「夢応援プログラム」というものが学校にあってお手伝いをしたのがきっかけです。子どもが書いた感想の中に、一行だけ「未来が明るくなりました。」と書かれているものを見て、「この活動のお手伝いをしたいな。」と思い、コーディネーターの研修を受けました。一緒に仲間と楽しくやることが大切だと思っています。今社会でPTA活動のことが色々言われていますが、大変だけど、PTAの在り方もみんなで参加できる形になればいいなと思っています。

参加者

代表と同じタイミングで「学校・地域コーディネーター」の研修を受けました。小学校・中学校には、学校ができた時からお世話になっていて、並行して地域でもいろんな活動を進めてきましたし、A.S.C.Cのような活動をしたいという考えは前から持っていました。地域の中でも散々模索したのですが、人材も乏しいし、身近すぎて情報が漏れてしまう恐れもあると思っていました。そこで、同じような考えを持つA.S.C.Cに、「じゃあ、あなた方に任せるよ。」と、一切をお任せしたという経緯があります。地域としても子どもたちの学業の遅れは見逃せませんので、家庭の支援に力を注いでいきたいと考え、区の社会福祉協議会のお力を借りながら家庭支援をやっているところです。

地域から見たA.S.C.C

参加者

私の子どもが小学校時代はスポーツ活動が一番盛んでした。今は、高齢者が多いですから、高齢者もできるスポーツのイベントをやったら、地域活動の参考になるのではないかと思っております。

市長

スポーツって年代問わず楽しめますよね。私が小学生だった頃は、スポーツが地域の繋がりとしてすごく機能していたと思います。高齢者が多い少ないに関わらず、スポーツで色々と結びつけられるのではないかと思います。

参加者

小学校、中学校との関わりは、私が会長になってから持つようになりました。それをきっかけに代表から声をかけてもらって、駅伝大会の大会本部長やコンサートでの舞台挨拶をさせていただいています。
A.S.C.Cのメンバーは全員女性で、「これからは女性の時代だな。」と思いますし、チームワークも発揮してやられています。

学校、行政から見たA.S.C.C

参加者

校長4年目になりますが、活動のすばらしさ、すごさに感心しているのと、学校としてはとても助けられていると感じています。学校に完全に溶け込んでいただいていると思っています。横浜市の学校は、学校運営協議会(※)と地域学校協働本部を立ち上げることとなっています。他校と情報交換する中で、どの学校も、人選やどういう活動をすればいいのか非常に悩まれている。引き継いでいける方もいらっしゃらないということをよく聞きます。うちはA.S.C.Cがあるので助かっています。いろんな学校がモデルとして参考にできる部分がたくさんあると思います。

※学校運営協議会(コミュニティ・スクール)
保護者や地域住民等が一定の権限と責任をもって学校運営に参画することを通じて、地域に開かれた信頼される学校づくりを進めるとともに、より良い教育の実現を目的に設置する合議制の機関。
【主な役割】
・校長の作成する学校運営の基本方針を承認する
・学校運営に関する意見を教育委員会または校長に述べる
・教職員の任用に関して教育委員会に意見を述べる

参加者

現職(スクールソーシャルワーカー)4年目ですが、校長から「地域でいろんな活動している方。」ということで代表を紹介していただきました。 私は9校担当していますが、どの学校も家庭の環境が整わなかったり、経済的な問題で塾に行くという選択肢が無かったり、困っているお子さんが結構いることが分かりました。そこで代表に、「何か地域で学習支援できないですか。」という話を2年ぐらい前にさせていただいたことがありました。こういった居場所が地域にあってくださることの意味というのは、小学生でも歩いて行ける場所なので紹介がしやすいし、子どもが自分自身で探すこともできます。学校もこの活動に繋げたい子どもがどうやったら行けるかというところ で一緒に工夫をしてくれたりして居場所のある意義を理解していただけていると思っています。

活動における課題、苦労・・・

市長

ご苦労もありますよね。課題、ご苦労あるいは行政に求めることは何ですか?

参加者

できれば地域の学生さんにも関わってもらいたいと思います。今近くの高校に声掛けしてボランティアをやってもらうことなども考えています。「近い世代の方たちが、もっと気軽に一緒に育つみたいなことができたらいいのに。」と思っていますが、それをどういうふうに進めたらいいのか悩んでいます。

参加者

苦労は、きっとあったと思うのですが、時間が経って笑い話になっています。多分、その時は「ああじゃない、こうじゃない。」と言っていたはずなのですが、今は「苦労って何だったかね・・・。」と忘れちゃっていますね。

今後の活動について

市長

同じ志で皆さんが一緒にやられている一体感がすごく感じられます。ゴールが明確に「子どものため」というのがある。その点で質問ですが、この活動はここにいる皆さんのような素晴らしい人たちに頼っている部分があると思います。だから、皆さんのような仲間を増やしていくことが、今後の活動を維持していく、継承していく上でもすごく大切だと思いますが、どうですか。

参加者

仲間は増やしていきたいと思っています。もっと若い年代の人たちにも関わってもらいたい。ただ若い人たちは若いなりに忙しさもあるので。どっぷり関わってもらえる歳になったらどっぷり関わってもらおうと。そこをうまく調整して、声掛けができたらいいなと思っています。私達は仲は良いけど、仲良しクラブではないので、時には意見が違うこともありますが
意見を言い合える人が集まってくれるといいと思います。誰かが何か言うからって我慢してしまうと、おそらく続かなくなってしまう、「ゴールは同じだけど、行き方は何通りもある。」ということを言い合えるメンバーが年代を問わずたくさん増えてくれるといいと思っています。高齢の方にも一緒に入っていただくと、そこに楽しみが出てくるかもしれないし、子どもたちも幸せなことが出てくるかもしれない。もちろん若い世代も大事ですけど、世代問わずいろんな方にメンバーに入っていただきたいと思います。

参加者

私もいろんな学校で同じようなことはやるのですが、いざ立ち上げてその時は「みんなで頑張ろう。」 と張り切るのですが、なかなか続いてはいかない。活動を根付かせ継続して、いろんな方を巻き込んでやっていけるというところは非常にすごいところだと感じています。

市長コメント

市長

今日、地域でこういった取組をしていくことの素晴らしさに関してお聞かせいただいて、色々と学びになることがありました。志を持っておられる方がいるということが重要ですし、それが色々な学校や地域と繋がっていくことの重要性を改めて感じましたし、行政として何ができるのかということを持ち帰って検討させていただきたいと思います。

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市民局総務部広聴相談課

電話:045-671-2335

電話:045-671-2335

ファクス:045-212-0911

メールアドレス:sh-shukai@city.yokohama.jp

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