ここから本文です。
【コラム】マンション屋上防水の種類と選び方:資産価値を守る修繕計画
マンションの屋上は、一年を通して直射日光や雨風、雪など過酷な環境にさらされており、建物の中で最も劣化しやすい箇所の一つです。適切な屋上防水が施されていないと、雨水が建物内部へ浸入し、躯体の劣化や室内の雨漏りを引き起こす原因となります。本コラムでは、屋上防水の目的や主要な工法の特徴、そして管理組合が修繕を検討する際の選び方のポイントについて解説します。
最終更新日 2026年9月28日
屋上防水の重要性と主要工法の特徴
屋上防水の最大の目的は、雨漏りの防止とコンクリート躯体の保護です。防水層が劣化すると、浸入した水分によって内部の鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートのひび割れを引き起こすなど、建物の寿命を大きく縮めることになります。
マンションで主に採用される防水工法には、以下の4種類があり、それぞれ耐用年数や費用相場が異なります。
ウレタン防水(耐用年数約10年、費用5,000〜12,000円/平方メートル):液状の樹脂を塗布する工法で、複雑な形状や設備が多い屋上に適しています。
シート防水(耐用年数約10〜15年、費用8,000〜15,000円/平方メートル):塩化ビニルなどのシートを張り付ける工法で、広く平坦な屋上で工期を短くしたい場合に向いています。
アスファルト防水(耐用年数約15〜25年、費用11,000〜22,000円/平方メートル):シートとアスファルトを重ねる伝統的な工法で、初期費用は高いものの耐久性に優れ、大規模なマンションに適しています。
FRP防水(耐用年数約10〜12年、費用6,500〜10,000円/平方メートル):ガラス繊維と樹脂を使用する工法で、軽量で硬く、歩行する機会が多い共用部などに適しています。
防水工法を選ぶ際の注意点
屋上の形状や予算に合わせて最適な工法を選ぶことが、長期的なコスト削減につながります。
建物の状態に応じた工法選定
広く平坦な屋根(陸屋根)にはシート防水やアスファルト防水が適しています。一方、配管設備などが多く凹凸がある屋上には、継ぎ目なく仕上がるウレタン防水が有利です。人が歩行する屋上庭園などには、コンクリートで保護したアスファルト防水やFRP防水が選ばれます。
トップコートの定期的な塗り替え
ウレタン防水やFRP防水などでは、防水層を紫外線から守る「トップコート」が表面に塗られています。このトップコートは5年程度で劣化するため、定期的な塗り直しを行うことで防水層自体の寿命を延ばすことができます。
業者の保証内容の確認
防水工事には通常5〜10年程度の保証が設けられます。契約前に雨漏り発生時の無償補修など、保証の範囲とアフターサービスの内容をしっかりと確認することが重要です。
工法選定と予防保全が資産価値を左右する
屋上防水の工法は、どれか一つが優れているというものではなく、屋上の形状、既存防水層の状態、予算、そして次回の大規模修繕までの周期をどう設定するかによって最適解が変わります。耐用年数だけを見ればアスファルト防水が約15〜25年と最も長く、費用を抑えたい場合や凹凸の多い屋上ではウレタン防水が現実的です。工事の周期と費用の総額を長期修繕計画上で比較し、総合的に判断することが求められます。
また、いずれの工法を選んだ場合でも、トップコートの塗り替えなど日常的なメンテナンスを怠らないことが防水層の寿命を大きく左右します。5年程度を目安にトップコートの状態を確認し、必要に応じて塗り直しを行うことで、防水層本体の更新時期を後ろ倒しにできます。
漏水が発生してからでは、防水工事に加えて躯体の補修や室内の原状回復まで必要となり、補修費用が大幅に増加します。定期的な点検による予防保全こそが、マンションの資産価値を守る最も確実な取り組みです。
本記事の監修者
遠藤 七保
株式会社スマート修繕 コンサルタント/第一コンサルティング統括部 第二営業部 部長
大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。二級建築士,管理業務主任者。
参考URL:https://smart-shuzen.jp/(外部サイト)
このページへのお問合せ
建築局住宅部住宅再生課
電話:045-671-2954
電話:045-671-2954
ファクス:045-641-2756
ページID:924-306-816





