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【コラム】マンション共用部の保険の種類と見直しポイント
横浜市内のマンションにお住まいの皆さん、マンションの共用部分にどのような保険がかけられているかご存知でしょうか。マンションのエントランスや廊下、エレベーター、外壁、駐輪場・駐車場などの共用部には、火災保険を中心とした様々な保険が管理組合によって契約されています。これらの保険料は、皆さんが毎月支払っている管理費から支出されています。しかし近年、自然災害による保険金支払いの増加に伴い保険料が上昇傾向にあり、更新時に保険料が大幅値上げとなるケースも出てきました。新築時に加入した内容のまま見直しがされていないマンションも多いですが、この機会に内容を検討し直すことも大切です。本記事では「マンション共用部の保険の種類」、「火災保険における問題点」、「火災保険の見直しポイント」について解説します。ぜひご自身のマンション管理にもお役立てください。
最終更新日 2026年7月6日
本記事のポイント
マンション共用部でどんな保険に加入すべきか、その種類とポイントが分かる
保険料値上げの背景や保険を見直す理由が理解できる
最適な保険プランを選ぶために知っておきたい基準や考え方が学べる
マンション共用部の保険の種類
マンションの共用部(各住戸の内部である専有部以外の部分)には、一般的に以下のような保険がかけられています。管理組合が建物全体を対象に契約し、いざというときに備えています。
火災保険 – 火災はもちろん、落雷・破裂・爆発などの事故や、台風・暴風雨などの風災、水災による建物や設備の損害を幅広く補償する保険です。マンション向けには共用部をまとめて補償する「マンション総合保険」という商品名で提供されることもあります。共用部分の損壊や設備の破損が発生した際に、修繕費用をカバーできる重要な保険です。
地震保険 – 地震や噴火、およびそれらが原因の津波によって生じた建物の火災・損壊・埋没・流失などの被害を補償する保険です。地震保険は単独では契約できず、火災保険に付帯して加入します。共用部についても大地震で建物が被害を受けた場合に備え、火災保険とセットで地震保険に加入しているケースがあります。
施設賠償責任保険 – マンションの共用部分が原因で第三者にケガをさせたり他人の財産を壊してしまった場合に、管理組合が負う賠償責任を補償する保険です。エントランスや階段での事故、共用設備の落下物による損害などに対応します。こちらも火災保険とセットになった「マンション総合保険」の中で付帯されることが多いです。
以上が主な保険の種類です。特に中心となる火災保険(マンション総合保険)は、万一のとき建物を再建・修繕するための大事な備えです。次に、この火災保険を取り巻く昨今の問題点について見てみましょう。
火災保険における問題点
マンション共用部の火災保険には、近年以下のような問題や課題が指摘されています。
保険料の上昇トレンド: 建物の築年数が経過し老朽化が進むにつれて保険料は上がる傾向があります。例えば築後5年と20年では保険料が数十%、場合によっては2倍近く変わることもあります。また近年は自然災害の多発で支払保険金が急増し、2018年には約1兆5,148億円、2019年には約1兆720億円もの保険金が支払われました。保険金支払いが2年連続で1兆円を超えたのは前例がない事態で、これが業界全体の保険料率見直しにつながっています。その結果、更新時に保険料が50%以上アップするといったケースも珍しくなく、実際に「更新後の保険料が現在の2~3倍になった」という管理組合の例も報告されています。
過剰な保険範囲: 多くの居住者にとって共用部の保険は日頃あまり意識するものではなく、「なんとなく管理会社に任せきり」ということが多いでしょう。そのため、新築分譲時に管理会社(保険代理店)が提案するまま必要以上に手厚い補償内容・高額な保険金額で契約し、そのまま見直されていないケースもあります。補償範囲が過剰だと無駄な保険料負担につながります。本当に必要な補償かどうか、定期的に点検することが大切です。
過度な保険の使用: 火災保険は本来、事故や災害時の強い味方ですが、小さな損害まで何でも保険で補填するのが必ずしも得策とは限りません。特に2019年10月以降、マンション共用部向け火災保険では過去の保険金請求(事故件数)の多寡が次回契約時の保険料に反映される仕組みに変更されました。1回の保険金請求が支払い額の大小に関わらず「1件」としてカウントされ、事故件数0件に比べて1件でもあれば保険料が約15%増、5件では約70%増になるとの試算もあります。つまり少額の修繕であっても安易に保険を使うと、次回更新時に保険料が大幅アップして、支払われた保険金以上の負担増となりかねないのです。こうした制度変更も踏まえ、事故発生時には本当に保険を使うべきか慎重に判断する必要があります。
以上のように、保険料の急上昇や補償内容・使い方の問題によって、マンション共用部の火災保険を取り巻く状況は大きく変化しています。
火災保険の見直しポイント
では、管理組合として共用部の火災保険を見直す際にはどのような点に着目すれば良いでしょうか。主なポイントを整理します。
付保割合の検討: 付保割合とは、建物を建て直すのに必要な再調達価額(いわゆる建築費)に対して何割の金額を保険にかけるかという割合です。現在100%に近い額で保険をかけている場合、付保割合を見直して少し引き下げれば保険料負担を軽減できます。ただし付保割合には各保険会社ごとに下限が定められており、下げすぎると十分な補償が受けられないリスクもあります。万一の災害でどこまで保険金でカバーしたいか(不足分は積立金や借入で対応できるか)を考え、マンションの財政状況やリスク許容度に応じて適切な割合を検討しましょう。
免責金額(自己負担額)の設定: 免責金額とは「○○円までは保険を使わず自己負担とする」という金額のことです。免責を設定しておけば、小規模な損害は保険金請求せずに済むため前述の事故件数を増やさないメリットがあります。結果的に保険の使用回数(事故件数)が下がり、次回以降の保険料上昇を抑える効果が期待できます。免責を設定するとその分保険料そのものも割引かれるため、例えば5万円や10万円の免責を付けることを検討してみましょう。小さな修繕費は管理組合で負担し、大きな損害のみ保険で備えるというメリハリが重要です。
複数社からの相見積もり: 火災保険の料率は各社が独自のデータや計算式に基づいて設定しているため、同じ建物・同じ補償条件でも保険会社によって保険料に差が出ることがあります。実際、保険各社で人件費や経費の違いが保険料差につながることもあります。一つの提案だけで決めてしまわず、複数の保険会社・代理店から見積もりを取り比べることで、より割安な保険プランが見つかる可能性があります。特に現在の保険が長年同じ契約内容である場合、他社に切り替えるだけで大幅に安くなるケースもあります。手間はかかりますが、相見積もりは保険料節約の基本と心得ましょう。
以上3点のほか、「どの範囲を補償から外せるか(不要な特約の削減)」や「契約期間を見直す(長期契約による割引の活用)」といった工夫も有効です。ただし「適切な付保割合や免責はいくらか」といった判断は、各マンションの状況や考え方によって異なります。不安な場合はマンション保険に詳しい専門家や保険代理店に相談し、プロのアドバイスを受けると安心です。
おわりに
マンション共用部の保険は、いざというとき皆さんの暮らしと資産を守る重要なものです。同時に、その保険料は毎月の管理費から支払われるため、無視できないコストでもあります。近年の自然災害増加や建物の老朽化により保険料は上昇傾向にありますが、管理組合として適切に見直しを行えば、必要な補償を確保しつつ保険料負担を抑えることも可能です。ぜひ一度ご自身のマンションの保険契約内容を確認してみてください。そして必要に応じて専門家と相談しながら、安心で無駄のない保険プランを選びましょう。皆さんのマンションライフがこれからも安全・安心に続くよう、保険の面からもしっかり備えておきたいですね。
本記事の監修者
別所 毅謙
株式会社スマート修繕 執行役員/第一コンサルティング統括部 統括部長
マンションの修繕/管理コンサルタント歴≒20年、大規模修繕など多くの修繕工事に精通。管理運営方面にも精通しており、アドバイス実績豊富。 過去に関わった管理組合数は2千、世帯数は8万を超える。 メディア掲載「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、「NIKKEI NEWS NEXT」、「首都圏情報ネタドリ!(NHK)」、「めざまし8」、「スーパーJチャンネル」。二級建築士。
参考URL:https://smart-shuzen.jp/(外部サイト)
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