ここから本文です。
【コラム】旧耐震マンションの対策:耐震診断と補強工事に向けた計画の進め方
日本は地震が非常に多く、大地震への備えはマンション生活において極めて重要な課題です。1981年(昭和56年)6月以前に建築確認を受けたマンションは「旧耐震基準」で建てられており、震度6強以上の大地震を想定していない設計となっています。過去の大震災でも旧耐震基準の建物の被害が顕著であり、建物の倒壊は居住者の命に関わるだけでなく、地域の復興を妨げる要因にもなります。本コラムでは、旧耐震マンションにおける耐震診断の必要性と、補強工事へのステップを解説します。
最終更新日 2026年9月14日
耐震診断の重要性と費用の目安
旧耐震基準のマンションは、現行の新耐震基準に比べて耐震性能が不足している可能性が高く、特に1階が柱だけで構成されるピロティ構造などの場合は倒壊のリスクが高まります。現在の耐震性能を正確に把握し、必要な対策を検討するための第一歩が「耐震診断」です。
耐震診断にかかる費用は、鉄筋コンクリート造(RC造)のマンション(延床面積1,000〜3,000平方メートル規模)の場合、図面が揃っていれば1平方メートルあたり約2,000円から3,500円が目安となります。図面がない場合は現地調査の手間が増え、費用が割高になります。診断の結果、耐震性が不足していると判定された場合には、補強設計を経て補強工事へと進むことになります。補強工事には総額で数千万円から数億円規模の費用がかかることも珍しくなく、1戸あたりの負担も大きくなります。
耐震化を円滑に進めるためのポイント
多額の費用と期間を要する耐震対策を成功させるためには、管理組合内での合意形成と、外部の支援制度の活用が欠かせません。
補助金や助成制度の活用
国や自治体では、旧耐震マンションの耐震化を促進するため、耐震診断、補強設計、補強工事の各段階で補助金や助成金を設けています。例えば、診断費用の半額から全額近くを補助する制度や、工事費用の一部を助成する制度などがあります。利用には条件や事前申請が必要なため、早い段階で自治体の窓口へ相談することが重要です。
丁寧な合意形成と資金計画
耐震補強工事を実施するには管理組合総会での決議が必要です。高額な負担を伴うため、実施を見送るケースも少なくありません。合意を得るためには、修繕積立金の状況を確認し、自治体の補助金や住宅金融支援機構などの公的融資制度を組み合わせた現実的な資金計画を立てることが求められます。
専門家のサポートを活用
工法の選定や資金計画の策定は、専門知識がないと困難です。客観的な立場から助言を行うマンション管理士や建築士といった専門家のサポートを受けることで、計画をスムーズに進めることができます。
まずは診断から、段階を踏んだ意思決定を
耐震化は、いきなり補強工事の是非を議論するのではなく、「診断」「補強設計」「補強工事」という段階を順に踏んでいくことが現実的な進め方です。診断費用は1平方メートルあたり2,000円から3,500円程度が目安であり、自治体の補助制度を活用すれば管理組合の実負担はさらに抑えられます。まずは現状の耐震性能を客観的な数値として把握し、その結果を住民全体で共有するところから始めましょう。
補強工事に進む段階では数千万円から数億円規模の負担が視野に入るため、修繕積立金の残高や大規模修繕の実施時期との兼ね合いを含めた総合的な資金計画が不可欠です。補助金や公的融資を組み合わせ、1戸あたりの実負担額を具体的な数字で示すことが、住民の判断を助けます。
建物の安全性を確認し、必要な対策を講じることは、居住者の安心と資産価値の維持に直結します。診断を先送りにせず、専門家の助言を得ながら計画的に検討を進めることが求められます。
本記事の監修者
遠藤 七保
株式会社スマート修繕 コンサルタント/第一コンサルティング統括部 第二営業部 部長
大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。二級建築士,管理業務主任者。
参考URL:https://smart-shuzen.jp/(外部サイト)
このページへのお問合せ
建築局住宅部住宅再生課
電話:045-671-2954
電話:045-671-2954
ファクス:045-641-2756
ページID:885-259-854





