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建物全体における統括防火管理・統括防災管理について
最終更新日 2024年8月2日
建物全体における防火管理制度
平成26年4月1日施行
複数の事業所が入居するなどして、管理について権原が分かれている一定規模の建物では、これまでも管理権原者同士が共同して建物全体についての防火管理上必要な事項を協議するほか、協議事項の中で建物全体についての防火管理を行う統括防火管理者を選任することとされていました。
しかしながら従来の規定では、統括防火管理者の役割や権限が明確にされておらず、各事業所への指導が必ずしも適正に行われていない状況がありました。
この度消防法令の一部が改正され、管理権原の分かれる建物の各管理権原者に対しては、統括防火管理者を協議して選任することが法的に義務付けられるとともに、統括防火管理者には各事業所の防火管理者に対し、防火管理に関する一定の指示を行うことができるようになるなど、建物全体の防火管理における役割分担の明確化が図られることとなりました。
統括防火管理者の選任が必要な建物
※表中の〇項とは、消防法施行令別表第一に示す用途区分をいいます。
管理について権原が分かれている建物のうち、収容人員(従業員、利用者等の人数)や用途、階数により、下表のとおり定められています。これに該当する建物の各管理権原者は、一定の資格を有する者から統括防火管理者を協議して選任し、管轄消防署に届け出なければなりません。
なお、収容人員は、テナントごとではなく、建物全体で算定します。
※従来の共同防火管理協議事項を定めなければならない対象と変わりはありません。
1.収容人員関係なし | 2.収容人員10人以上 | 3.収容人員30人以上 | 4.収容人員50人以上 |
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・高層建築物 (高さ31mを超えるもの) ・地下街(16の2項)のうち、 消防長又は消防署長が 指定するもの ・準地下街(16の3項) | 認知症高齢者グループ ホーム、特別養護老人ホ ーム等、災害時に自力避 難の困難な者が入所する 社会福祉施設が入ってい る建物 →6項ロ及び16項イ(6項 ロの用途が存するものに 限る。) | 映画館、飲食店、物品 販売店、ホテル、病院 など、主として不特定多数 の者を収容する施設が入 っている建物 →1項から4項まで、 5項イ、6項イ、ハ及びニ、 9項イ及び16項イ(左記2 を除く。) | 共同住宅、会社事務所 など主として特定の者を 収容する施設が入ってい る複合用途建物 →16項ロ |
階数関係なし | 階数3以上(地階を除く) | 階数3以上(地階を除く) | 階数5以上(地階を除く) |
統括防火管理者の資格と資格を有する者であるための要件
統括防火管理者は、「建物全体について防火管理上必要な業務を適切に遂行するために必要な権限及び知識を有する者」から選任しなければなりません。
また、建物の区分に応じて、次のとおり統括防火管理者の資格が異なるほか、選任に際しては、資格を有する者であるための要件が定められています。
前表2に該当する社会福祉 施設が入っている建物 | ・前表1の地下街、準地下街 ・前表3に該当する建物 ・高層建築物で、前表3に該当するもの | ・前表1の地下街、準地下街 ・前表3に該当する建物 ・高層建築物で、前表3に該当するもの | ・前表4に該当する建物 ・高層建築物で、前表4に該当するもの | ・前表4に該当する建物 ・高層建築物で、前表4に該当するもの |
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延べ面積関係無し | 延べ面積300平方メートル未満 | 延べ面積300平方メートル以上 | 延べ面積500平方メートル未満 | 延べ面積500平方メートル以上 |
甲種防火管理者 | 甲種防火管理者又は乙種防火管理者 | 甲種防火管理者 | 甲種防火管理者又は乙種防火管理者 | 甲種防火管理者 |
※説明については、口頭によるほか、文書の交付によるものでも差し支えありません。
統括防火管理者の責務
統括防火管理者は、建物全体についての防火管理に係る消防計画を作成し、消防署長に届け出る義務があります。
そのほか、統括防火管理者の責務については、次のとおりです。
・作成した消防計画に基づき、建物全体の消火・通報及び避難の訓練を実施し、各テナントの防火管理者に対しても訓練の参加を促すほか、廊下や階段等の共用部分に避難の支障となる物件を置い
ているテナントに対しては、当該物件を撤去させるよう指示するなど、防火管理上必要な業務を行うこと。
・建物全体の防火管理業務を行うにあたり、必要に応じて各管理権原者の指示を求め、誠実にその職務を遂行すること。
統括防災管理者の資格
消防法第36条に基づき、防災管理を行わなければならない大規模・高層建築物等で管理について権原の分かれるものは、下の資格を有する者の中から統括防災管理者を協議して選任しなければなりません。
(その他の運用については、統括防火管理者に係る運用に準じます。)
1.甲種防火管理講習の課程を修了した者又は大学若しくは高等専門学校において防災関係の学科若しくは課程を修めて卒業し、かつ、1年以上防火管理の実務経験を有する者で、防災管理に関する講習の課程を修了したもの 2.大学若しくは高等専門学校において、防災関係の学科若しくは課程を修めて卒業し、か、1年以上防火管理の実務経験を有する者で、さらに1年以上防災管理の実務経験を有するもの 3.市町村の消防職員で、管理的又は監督的な職に1年以上あった者 4.その他防災管理者として、消防法施行規則第51条の5に規定する必要な学識経験を有すると認められる者 |
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届出に関する参考資料
日頃から、所有者側とテナント側との防火管理業務の役割分担を明確にしておきましょう。
1.届出に関するフローチャート(PDF:458KB)を参照してください。
2.全体についての消防計画作成例(ワード:175KB)
管理権原者の指示のもと、統括防火管理者が作成します。
各事業所の管理権原の範囲を明確にしたものを、図面等で添付してください。
3.高層建築物等における防火・防災管理制度を拡充を図る消防法の改正リーフレット(PDF:1,838KB)
4.複合ビル火災判決概要(PDF:332KB)
ビル所有者や統括防火管理者に対し、テナントの専有部分についても防火管理責任を認めた内容となって
います。
ビル全体の防火管理業務や訓練の実施については、管轄の消防署総務・予防課にご相談ください。
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