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中等症の睡眠時無呼吸症候群と仰向け寝と睡眠家電

最終更新日 2021年8月4日

今年の4月にお笑いコンビの和牛の水田信二さんが睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査を受けたことがニュースになりました。水田さんは4年前から睡眠時無呼吸に悩まされていて、先頃専門医療機関で受けた検査では重症に近い中等症のSASとのことです。重症SASはCPAP療法が保険診療の適応になりますが、中等症ではCPAP療法の対象になりません。これは重症になると関連疾患や死亡のリスクが非常に高くなるためです。しかし、中等症では昼間の眠気などの症状が出ないわけではありません。それでは、昼間の症状で困っている中等症の患者さんはどうすればよいのでしょうか。
前出の水田さんは噛み合わせを改善するマウスピースを作成したそうです。また、医師から「リュックを背負って寝てください」とも言われたそうです。マウスピースは噛み合わせをずらすことで舌を持ち上げて無呼吸を改善しますが、重症に近い中等症では効果は限定的かもしれません。睡眠時無呼吸の主な原因は重力による舌根沈下(下が喉の奥に垂れ込むこと)で窒息することですが、側臥位(横向き寝)では、舌根沈下が軽減します。
リュックを背負って寝ると仰向けになれず、必然的に側臥位になります。しかし、リュックが邪魔で寝返りが打てません。人は一晩で数十回寝返りを打つといわれており、一晩中一方向に向き続けることは好ましくありません


バンドタイプの睡眠家電

最近、睡眠時のいびき対策を目的とした製品を市場で見かけることが増えました。腹部に巻き付けるバンド上の装置で、寝ている姿勢をセンサーで計測し、寝返りを促す振動をかけることで、いびきが出にくい姿勢(側臥位)へと変更させる物や、ヘッドギアのように頭に装着するものなど形状は様々です。いずれも非常にコンパクトな装置で、おそらく楽に寝返りが打てると思われます。ただし、メーカーはあくまでもいびきを減らす装置で睡眠時無呼吸のある人は使用しないように注意を促しています。装置が家電であり、決して医療器具ではないのでやむを得ないものと思われます。昼間の症状が強い中等症のSASもCPAP療法が受けられるようになることが望ましいのではないでしょうか。

麻酔科 坂井 誠

※この記事は院内配架しているCPAP新聞No.120をホームページ用に再編したものです。

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