あなたと夜と音楽と

「あなたと夜と音楽と(You and the Night and the Music)」というジャズの名曲があります。この曲は1934年に「Revenge with music」というミュージカルのために書かれ、その後ジュリー・ロンドンやビル・エヴァンスをはじめとした多くの歌手やミュージシャンにうたわれ、また演奏されてきました。「あなたと夜と音楽が私をぞくぞくさせる」といった情熱的な歌詞が魅力的な曲にのって植われます。刺激的で思わせぶりな歌詞を聴くと眠れなくなりそうです。
さて、睡眠と音楽にはどのような関係があるのでしょうか。就寝時に「音楽を聴く」、「物語を聴く」、「無音」で眠りの質が変わるかを調べた研究があり、結果はスローテンポなクラシックを小音量で聴きながら寝入ると8割以上の人の眠りの質が改善したというものでした。一般的に良好な睡眠を導入する音楽の特徴として、歌詞がない、小音量スローテンポ、自然音、高周波を含む曲などが言われています。歌詞は覚醒刺激になるようで、「あなたと夜と音楽と」はやはり寝入り際には向いていないようです。一方、睡眠中については音は眠りの妨げになるためできるだけ静寂な環境が望まれます。良質な睡眠を得るためには、お気に入りのゆったりした音楽を小音量で聴きながら眠りに就いて、寝入った頃にタイマーで音楽をオフにするのが良さそうです。
このコラムをお読みいただいているあなたには、もっと眠りの質を高める方法があります。そうです。「あなたと夜とCPAPと」

麻酔科　坂井 誠