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磯子区医師会との共催勉強会を開催しました!
最終更新日 2021年8月19日
秋山Dr
8月6日に磯子区医師会との共催勉強会を開催しました!例年は集合形式で開催していましたが、コロナ禍のためオンライン形式で開催し、市内を中心に県内から多くの医療関係者の方々にご参加いただきました。集合形式ではなかなか参加の難しい市外からの参加もあり、オンライン形式の良さを感じました。
テーマは「アルツハイマー病の予防と診断,治療」と題し、臨床研究部長の秋山治彦医師が講師となりました。秋山医師は昨年度まで日本認知症学会の理事を務め、長年にわたってアルツハイマー病の研究を行っており、近年ニュースの多い認知症分野において多くのインタビューを受けるなどしています。
今回の講演では、予防、診断、治療の3セクションに分けてそれぞれの観点からアルツハイマー病について解説しました。
予防セクションではWHOが2019年に発表し、2020年に厚生労働省の事業で日本語版翻訳された「認知機能低下および認知症のリスク低減WHOガイドライン」について、国や地域など固有の状況に応じて変更しなければならない点などに触れた上で、WHOが取り上げた12項目のクリニカルクエスチョンについて、それぞれのエビデンスレベルや推奨の強さ、その判断の背景などを解説しました。このガイドラインの日本語版翻訳にあたっては、邦訳検討委員会に秋山医師も参加していました。
続いて、診断セクションではMCIといわれる状況から認知症までの進行する過程での変化や、急に症状が悪化した場合には(病変の進行ではなく)“せん妄”発症を考慮すべきこと、“せん妄”予防のために注意すべき処方や薬剤の使用について説明がありました。MCIと認知症の区別の難しさや、MCIでは認知機能低下が軽度ゆえに介護保険が認定されづらいなど医学的・社会的側面からの課題が挙げられました。一方で、診断において、バイオマーカー精度が以前よりも改良され、早期に診断ができることによって、早期治療に繋げられることなど良い側面についても取り上げられました。
最後に治療セクションでは、現在使用できる症状改善薬では一時的に活動性を上げることができるものの認知症の進行そのものを止めることができない課題に触れ、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβ蓄積を抑制することができる疾患修飾薬の開発が目標であることを解説しました。
また、アルツハイマー病では認知症にまで進行してからでは疾患修飾薬の効果が期待できないことから、疾患修飾薬が診療で使用できるようになったらアルツハイマー病治療を早期開始することが大切であることなども説明がありました。
当院ではこれからも公立の専門病院として質の高い医療情報を発信していきますので、今後ともよろしくお願いいたします。
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