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区民ライターによる市民活動紹介「読書カフェ」

市民ライター養成講座の受講生による身近な市民活動をご紹介します!

最終更新日 2024年2月22日

第三の居場所づくりのきっかけに②  読書カフェ@仲町台地区センター

取材・写真・文=区民ライター 後藤智子




第三の居場所=サードプレイスとは、自宅でも仕事場や学校でもない、もうひとつの自分の居場所。
社会的役割や責任、しがらみなどから解放されて”ありのままの自分”でいられる場所のことを指します。
そのような場を持つことで人は幸福感が上がると言われています。


仲町台地区センターにはそんな”サードプレイス”となりそうな場があります。
仲町台地区センターの自主事業 読書カフェです。



読書カフェとは?

読書カフェとは、仲町台カフェのコーヒーとスイーツを囲んでお薦めの本を紹介し合うイベントです。
奇数月の仲町台カフェ開催日(第3水曜日)の10:00から11:30まで、仲町台地区センターロビーにて開催されています。
事前予約は不要。参加費用は仲町台カフェの代金¥150のみです。
参加資格は本に興味がある方なら誰でもOK。要は美味しいコーヒーとスイーツをいただきながら
緩やかに本について語り合うイベントです。


この読書カフェ、元々の起こりは2015年(平成27年)に仲町台地区センターの自主事業として開催したのが始まりです。
当時は講師を招いての講座形式でしたが、講座終了後に受講生を中心に現在のお薦めの本を紹介し合う
”ビブリオバトル”形式として立ち上がりました。
当初は会議室で開催されていましたが、誰もが気軽に参加できるようにと2019年(平成31年)より
奇数月の仲町台カフェの日に併せてロビーで開催することに。
その後コロナ禍により2020年(令和2年)3月から休止されていましたが2023年(令和5年)3月より3年ぶりに再開されました。


誰もが気軽に参加できるといっても、「本」というとハードルが高く感じる方も多いと思います。
本に詳しくないと話について行けない?と不安になったり、相当な読書家の集まりでは?とプレッシャーに感じたり…。


読書カフェ、実際はどんな感じで行われているのでしょうか?
7月と11月の2回、この読書カフェを訪ねてみました。



読書カフェの内容は? 実況レポート

7月の回も11月の回も参加メンバーは4、5人ほど。7月と11月の参加者はお一人を除いて違う顔ぶれでした。
コロナ前から来ていた方、読書カフェ再開後からの常連の方、今回が初めての方とそれぞれです。


進行役は読書カフェ運営担当である仲町台地区センター専任スタッフの杉山京子さん。
まずはお名前だけの簡単な自己紹介をして会が始まります。


お互いほとんど初対面。少々固い空気が流れる中、つかみに杉山さんが紹介してくれた本はコチラです↓

  

なんとミニチュア本!


芥川龍之介の『羅生門』や旅行ガイドが、中身もそのまま手のひらサイズに!六法全書もありました。
杉山さんは元々ミニチュアグッズ収集が趣味なのだそうですが、最近ミニチュア本のカプセルトイがあることを知り
ハマっているのだとか。これらはその戦利品です。

意表を突いた「本」の紹介に参加者一同驚きつつ「可愛い!」、「見せて見せて!」と順番に手に取っては歓声が上がります。
おかげで場の空気が一気に温まり、それぞれの本の紹介が始まりました。





7月の読書カフェで盛り上がったのは、フリーアナウンサーでタレントの中村江里子さんの著者

『パリのおうち時間』が紹介された時。フランス人は服を10枚しか持たないという内容に

「あのゴージャスな江里子さんも10枚だけ?本当にぃ!?」と一同騒然!

そこから一気に中村江里子さんの話題やフランスの料理やシンプルライフの話題で盛り上がり…まるで女子会のよう。

楽しく気ままなおしゃべりタイムとなりました。





11月の読書カフェではラップのMCバトルを題材にした『レペゼン母』(宇野碧著)、
ボクサーが主人公の『春に散る』(沢木耕太郎著)など、そのジャンルに縁が無ければ手に取らずに終わりそうな本が並びました。
自分では思いもよらない本に出会えるのも読書カフェの醍醐味です。

それらの本を紹介された方々もこれまでラップやボクシングに興味が無かったそうですが、
本を読んで「MCバトルをYouTubeで見るようになった」、「ボクシングが怖いものではなくなった」とのこと。
そんな実感のこもった話を聞くと興味の対象外だった本もグッと身近に感じて読んでみたい衝動に駆られます。


また葛飾北斎の娘 葛飾応為の生涯を描いた『眩』(朝井まかて著)の紹介では、
実際に応為の作品を見に行った話になり、そこから美術館についての情報交換になり…と伸びやかに話題が展開していきました。




固い雰囲気は一切無し! 読書カフェは本を囲んでのお喋りタイム

読書カフェ、7月も11月もハードルが高い雰囲気は一切ありませんでした。
それどころか終始和やかでリラックスした雰囲気。ひとつの本が紹介されると、そこから話題がスルスルと繋がります。
その様子がなんともいえず心地よい。


特にリーダーシップのある方がいるわけでもなく、特定の方が喋り続けているわけでもないのに不思議と会話が途切れない。
発言するメンバーにも偏りがありません。まさに全員参加で自由に会話を楽しむ空気が流れていました。


またその場に立ち会いつくづく実感したのは、好きなことや感動したことについて語る時、
人は自然とキラキラした笑顔になるものだなあということ。
本の感動を語る姿に、誠実さや優しさやユーモア…その方の素敵な部分に触れられたような気がして
ほっこりと温かい気持ちになりました。


さらに本の感想を語ることから極々自然に人生についてのディープな話も語り合えてしまうことにも驚きました。
ディープといっても暗い感じではなく、優しく穏やかな空気の中で素直な気持ちで語り、素直な気持ちで受け入れるといった感
じ。心と心のキャッチボールができている安心感・充実感がありました。


お互いほぼ初対面なのになんでこんなに深い話ができるの?と、なんだかとっても不思議。まさに不思議体験でした。


そんな感じで7月の回も11月の回も、初対面の人と会話を交わすこと自体が楽しくて…あっという間の一時間半でした。

本は単なる「きっかけ」 読書カフェは「ありのままの自分」で人と繋がる交流の場

読書カフェの運営者である杉山さんは、読書カフェの『本』は単なるきっかけの一つだと言います。

本があれば初対面同士でも話題に事欠かない。本なら誰にとっても興味を持てるジャンルがある。
だから本がテーマなら誰もが参加しやすいというのが杉山さんの考えです。


「本というと一見ハードルが高く感じるかもしれませんが、本をきっかけに話題が膨らむのを楽しんで、みなさんの交流の場になればいいなあと思っています」


確かにそう考えると本=難しい物ではなく、本はむしろ優れた橋渡し役と言えます。


また自己紹介は名前だけというのも読書カフェの良いところだと杉山さんが言います。
職業や年齢などアイデンティティが知られている場では、立場や周囲が気になって素直な思いを語るのはなかなか難しいもの。
しかし名前しか言わないこの場では現実のしがらみから解き放たれて、ありのままの自分で語れる気軽さがあるのではと。
「自分が何者でもないところに飛び込んで、初めて会う人と繋がるのはとても新鮮で楽しいものだと思います」


初対面同士とは思えないほどの深い話ができたのは、ありのままの自分で向き合えたからかも。
その場で出会った方々と年齢や職業関係なくフラットに交流して互いに共感し合えたこと自体が
とにかく新鮮で嬉しくて、心が豊かになった気がしました。


サードプレイス、”ありのままの自分”でいられるもう一つの居場所って、まさにこういうことかもしれません。


また深い話に至ることができたのは、本のおかげ。本の人と人を繋ぐ力って…すごい!

目指すゴールは敢えて「無し」 読書カフェはみんなで作り上げるもの

杉山さんが読書カフェの運営担当になったのは2023年4月から。11月は4回目の開催でした。
杉山さんに読書カフェの目標、規模拡大や参加人数増など目指すゴールについて尋ねたところ、
明るい笑顔で「特にゴールは考えてないんですよ」と。

なぜゴールを設けないかというと、読書カフェはメンバーの顔ぶれや紹介された本によって毎回違う楽しさがあるから。
参加者が多ければ賑やかで楽しいし、参加者がたとえ一人でもその方とじっくり話せるから、それはそれで楽しい。
その時その時のシチュエーションを楽しむためだそうです。


とはいえ杉山さんも引き継いだ当初は、楽しんでもらうために何かしないと…と気負いがあったそう。
でも実際に読書カフェが始まると話題が尽きないので、司会者が前面に出る必要はなく、
むしろ参加者のみなさんに任せた方が面白味が増すと実感したのだとか。
それからは敢えてゴールは設定せず「読書カフェはみんなで作り上げるもの」という意識で
参加者と一緒に楽しむことを大切にしているそうです。


また気軽に参加してもらうためには地区センターならではのハードルの低さも大切。
そのためにも目標を考えない方がいいとも感じているそうです。
敢えて目標を掲げるとしたら、「参加者一人一人に『楽しかった』と言ってもらえることですね」と杉山さん。
「気が向いた時に話しに来て、ちょっとほっこりして『あー楽しかった』と笑顔になって帰っていただければ、それで十分です」

「いつでも気軽に」、「ふらりと立ち寄る」が読書カフェのキーワード

読書カフェの特徴的なところは、「予約不要」であることと「ロビー開催」ということ。
これは読書カフェ企画での拘りの部分です。


仲町台地区センター館長である足立亜矢子さんによると読書カフェで目指したイメージは「街中のカフェに行く時のように、いつでも気軽に、ふらりと立ち寄る感覚で参加できる場」であること。そのため、思い立った時に参加できるようにと予約不要に。そして飛び入りでも参加しやすいようにとオープンスペースであるロビー開催としました。


「本を共通項に集まったみなさんに楽しい時間を過ごしてもらえるといいなあという思いが第一。その結果、みなさんの居場所の一つとなればいいなと思っています」

足立さんはコロナが5類となり人々の活動が再開されていく中で、この仲町台地区センターを誰もが気軽に立ち寄れて
人と人とが繋がる場所として、より開かれた存在にしていきたいと将来を見据えています。
その第一弾としての企画がこの読書カフェでもあるのです。


「人と人とが気軽に繋がれる場を今後も増やしていきたいと思っています。読書カフェに続き、今後は手芸をはじめ、様々な趣味やテーマで集う予約不要の緩やかな会を企画して行きたいと考えています」


地区センターの扉を開けると、ロビーはいつも何かしらの集まりで賑わっていて、いつでも誰かと繋がることができる…
実現できたら地域の居場所として心強い存在になりそうです。仲町台地区センターの今後のイベント企画にも目が離せません。

読書カフェが地域のみんなの居場所になる

「仕事とは思えないほど、読書カフェの運営が楽しくて仕方がないです」

杉山さんご自身が心から楽しんでいるのも読書カフェの大きな魅力です。
杉山さんが常に笑顔で受け入れてくれるから、読書カフェを訪れる誰もが笑顔になり、
素直に心を開くことができるのだろうと思います。


最近では「楽しかったからまた来ました」と再訪される方や、「来たら元気になりました」と言ってくれる方も多く、
杉山さんは読書カフェがみんなの居場所になりつつあると感じているそうです。
また読書カフェに参加された方達が、外でバッタリ会った時に「お薦めの本を読んだわ」と
感想を話し合ったと聞いた時には、読書カフェから交友関係が生まれたと心から嬉しく感じたそうです。
今回の11月のカフェの後も「今度一緒にお茶しましょうよ」と互いに声を掛け合う姿が見られました。


コロナ禍を経て、地域の繋がりの大切さや人と人との繋がりの大切さを再認識した方も多いと思います。
もう一つの自分の居場所、新たな人との繋がりを求めたくなったら、読書カフェを訪れてみると何かが始まるかもしれません。


あなたもサードプレイスの不思議体験、してみませんか?


【information】

【読書カフェ】
奇数月の第3水曜日 10:00~11:30
仲町台地区センター 1Fロビーにて開催

【仲町台地区センター】
[所在地] 横浜市都筑区仲町台2-7-2
[電話番号] 045‐943‐9191
[アクセス] 仲町台駅から徒歩3分
[利用時間] 平日(月~土)9時~21時
日曜・祝日 9時~17時
[休館日] 毎月第2月曜日(月曜日が祝日や振替休日のときは翌日)
年末年始(12/28~1/4)

このページへのお問合せ

都筑区民活動センター

電話:045-948-2237

電話:045-948-2237

メールアドレス:tz-katsudo@city.yokohama.jp

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