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10月号 日本では珍しい「都市型風車」 ハマウィングの魅力に迫る!

みなとみらい21地区から、横浜の海の向こうに見える白い風車「ハマウィング」をご存じでしょうか。風を一心に受け、羽を回しているこの風車は、横浜市が運営している風力発電所です。今回は、現地取材の様子を交えながらハマウィングの魅力に迫っていきます。

最終更新日 2023年10月1日

ハマウィングを間近で見てきました!

ハマウィングは、JR東神奈川駅から車で10分ほどの瑞穂ふ頭にあり、一般の方は自由に立ち入ることが出来ません。
工場や米軍基地などに囲まれ、大型車両などが行き交う場所に悠然とそびえたっています。

ハマウィング全景

ハマウィングとは

ハマウィングは、全国でも珍しい都市型立地の風力発電所です。
最高到達点は118mで、よこはまコスモワールドの大観覧車コスモクロック21よりも大きいものになります。
また、年間発電量は約210万kWhで、これは横浜市の一般家庭の年間消費電力量の約500世帯分に相当します。

高さ
ハマウィングの高さ

風力発電とは

風力発電とは、二酸化炭素や有害物質を排出せず、永続的に利用することができる「風」の力で電気を作り出す、環境に優しい発電方法です。
横浜市でも、再生可能エネルギーの利用促進や地球温暖化対策の一環として、また、環境保全の意識を高めるきっかけとすることを目的として、風力発電事業を行っています。

風力発電の仕組み

ハマウィングのような風力発電設備は、「ローター」「ナセル」「タワー」の3つに大きく分けられます。
「ローター」は、風を受け止める大きな羽根「ブレード」とブレードの中心部にあたる「ハブ」を組み合わせた部分です。
「ナセル」は、発電機や増速機など重要な機器が入っていて、風力発電設備のいわば心臓部です。
「タワー」は地面から垂直に立つ細長い部分です。
風を大きなブレードで受け止めると、ローターが回転し、その回転がローターの後ろにあるナセルに伝わります。ナセルの中では、増速機という機械が、ローターから伝わってきた回転のスピードをさらに速くし、より速くなった回転の力を発電機に伝えて、電気に変えています。
また、効率的に発電できるよう、風が吹いてくる方向に自動的に向きを変えたり、ブレードの角度を変えたりしています。台風など風が強すぎる時には、安全のため回転を停止させ、風を受け流せるようブレードを寝かせたりして調整します。

仕組み
ハマウィングの仕組み

ハマウィングの外観

ハマウィングを近くで見るとかなりの迫力です。遠くから見た時には気が付かなかったのですが、タワーには水玉模様がデザインされており、ところどころに横浜の移り変わりが分かるイラストが描かれています。
ハマウィングのローターの直径は80m。ゆっくり回転していているように見えますが、ブレード先端の速度は最高で新幹線の「のぞみ」と同じくらいとのことです。
ハマウィングの周りには高い建物がないため、雷が落ちやすいとのこと。ブレードには避雷針代わりにレセプターと呼ばれる小さな金属が埋め込まれており、タワーを通じて地面に雷を逃がす仕組みとなっています。
また、敷地内にはハマウィングの概要が書かれた啓発表示板が設置され、ハマウィングの概要が分かるようになっていました。

啓発表示板
敷地内にある啓発表示板

ハマウィングの歴史

風力発電は、その多くが山間部や海岸沿いなど風の強い場所に設置されていますが、風がそこまで強くない横浜にどうしてハマウィングが建設されるに至ったのでしょうか。その歴史を深堀りしていきます。

始まりは1人の職員の熱い思いから

ハマウィングは、ある1人の職員が三浦半島をドライブしていた時、目に留まった「宮川公園」(三浦市三崎町)の風力発電設備に感銘を受け、「これが横浜にあったら良いな」という思いを抱いたのがはじまりです。
その職員が平成15(2003)年、新規事業として提案したことがきっかけで、実現までこぎつけました。

三浦市「宮川公園」の風力発電設備

宮川公園の説明

なぜ瑞穂ふ頭に?

当時、設置場所の候補としては本牧ふ頭や末広町など4か所が挙げられていました。その中で、横浜港の内港部のちょうど中心に位置し、みなとみらい21地区などからも良く見え、普及啓発効果も期待されるということで瑞穂ふ頭に決まりました。

みなとみらい21地区からのハマウィング
みなとみらい21地区から見たハマウィング

大きな風車を求めて

風車を検討したときに「横浜のシンボルとなるようなもの」「風を受けやすい大きなもの」などの理由から、最大級の大きさの風車を設置することとなりました。そして、当時最大級の風車設置業者として国内外に多数の実績があったデンマークのVestas(ヴェスタス社)が選定されました。

市民の力で建設

建設工事費は約5億円で、その財源は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの補助金45%と市債(住民参加型市場公募債「ハマ債風車(かざぐるま)」)55%で構成されています。
「ハマ債風車(かざぐるま)」は、横浜市で初めての事業特定型の住民参加型市場公募債で、約350人の方に購入いただき、3日間で完売しました。

各国で作られた部品が横浜へ

平成18(2006)年10月から工事が開始。
タワーは韓国、ブレードは中国、ナセルはデンマークでそれぞれ製造されたのち、海を渡って日本の横浜港まで運ばれてきました。
そして、平成19(2007)年1月に全ての組立が完了し、3月から運転を開始しました。

ハマウィングの中に入ってみました

いよいよハマウィングの内部へ。内部にはハマウィングを制御するための装置や、点検の際ナセルに上るためのはしごやエレベーターが設置されていました。
はしごは慣れている方であれば5分ほどで80mほどの高さまで上ってしまうそうです。
内部には窓などがないため、暑い中での点検作業は中々大変そうです。

ハマウィングのこれから

市民の力もあり、建設されたハマウィング。横浜で運営を続けていくために様々な取り組みを行っています。

電気の地産地消

ハマウィングで発電された電気は、令和4年度から、「再生可能エネルギー電気特定卸供給契約」を活用し、市内の小売電気事業者を介して市内の事業者へ供給しています。現在は、「IKEA港北」と「ハンバーグレストラン びっくりドンキー青葉台店、鶴見店」に供給しています。

広告塔としてのハマウィング

ハマウィングの下部や見学会参加者などに配布されるチラシなどに事業者のロゴなどが掲載されています。
この事業者はハマウィングの事業に賛同し、応援をしている協賛事業者「ハマウィングサポーター」です。
ハマウィングの運営は、風力発電の売電収益だけでなく、事業者の協賛金によっても成り立っています。
※ハマウィングサポーターは通年で募集しています。申込み方法などは こちらのページをご覧ください。

令和5年度のハマウィングサポータ―

プライムクラス(17者)
スタンダードクラス(7者)

横浜農業協同組合、株式会社神奈川保健事業社、キリンホールディングス株式会社、株式会社共信設備設計
協同組合横浜市設備設計、株式会社テクノジャパン、株式会社神奈川産業

ハマウィングの今後

運転開始から今年で16年を経過したハマウィング。風力発電設備の寿命が20年といわれている中、今後のありかたについて民間事業者と意見交換をするなど検討を進めています。
また、2027年に横浜市で開催される国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」に向けハマウィングを活用し、見学者への機運醸成など一緒に盛り上げています。

ハマウィングを間近で見られるチャンス! 11月に見学会を開催!

見学会

ハマウィングでは、年に数回見学会を開催し、市民の皆さまにハマウィングを知っていただく機会を設けています。11月には「秋の風力発電所見学会2023」を開催します。

是非この機会に、間近で迫力あるハマウィングを見てみませんか。

【日時】11月26日(日曜日)9時~13時30分頃(4回開催)

【対象・定員】約280人 申込者多数の場合は抽選

詳しくは申込みページをご覧ください。

※広報よこはま10月号にも掲載しています。

※団体向けの見学につきましても随時受付していますので、問合せ先にご相談ください。

このページへのお問合せ

環境創造局環境エネルギー課 風車担当

電話:045-671-2681

電話:045-671-2681

ファクス:045-550-3925

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