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平成26年度整備事例 町の防災拠点づくり~松ケ丘自治会(神奈川区松ケ丘)の取組~

最終更新日 2019年9月3日

町の防災拠点づくり

●提案グループ名

松ケ丘自治会

●整備場所

神奈川区松ケ丘

●整備の概要

整備内容:防災備蓄用倉庫(階段上、天井裏)

応募のきっかけ

松ケ丘地区は高低差が大きく、道路の多くは狭あい道路で、階段状の道路や坂道が点在しています。高齢化も進んでいる中、災害時に地域防災拠点へ避難することは容易ではありません。松ケ丘自治会では、東日本大震災を目の当たりにして、万一首都圏で大震災が発生した場合の備えをどのようにすべきかを熟慮し、自治会の防災部長を中心として対応を協議して、活動方針の中心に「防災」を位置づけることとしました。

平成23年9月に自治会館建設に着工し、24年2月11日に竣工しました。並行して防災部長を中心に、1年かけて防災組織の見直しを進め、「松ケ丘防災隊」活動要領(案)を策定し、24年5月の理事会に提案し、承認されました。

次に三つの活動に取り組みました。

・24年6月から要援護者の自治会登録活動について、住民へ丁寧な説明会を行って理解を促し、平成25年3月、自治会登録を開始しました。

・24年~26年度の3か年に渡り、神奈川区地域運営補助金と自己資金で、災害時に20名が宿泊できる備品等を備蓄し、自治会館を一時避難場所とする要件を整えた。

・25年度から町内で行っている防災訓練を総参加防災訓練と位置づけ、第1部は要援護者の安否確認、第2部は防災学習、第3部は非常食の試食の三部構成で実施した。

上記のことを整備してきた一方で、防災備蓄品収納庫の不足が明らかになってきました。加えて、25年度は、神奈川区が推進している子育て支援事業「すくすくかめっ子」の開設を検討しましたが、備品を揃えてきたことで収容する場所が少ないことに気づきました。そこで、神奈川区地域振興課に相談したところ、都市整備局地域まちづくり課に「ヨコハマ市民まち普請事業」という整備助成金制度があることを紹介されて、「まち普請事業」にチャレンジし、2回のコンテストを通過し、災害用備蓄品収納庫を完成させることに至りました。

防災訓練
 防災訓練活動防災訓練の様子
 防災訓練での要援護者安否確認の打合せ防災訓練での負傷者搬送訓練の様子

コンテスト通過までの道のり

私たちの場合は、応募から一次コンテストまでの時間がなかったことでグループの結束が深まり、短い日数で提案書を完成させ、一次コンテストの通過を勝ち取れたと思っています。また、二次コンテストに向けての提案書作成の段階で一番苦労した点は、この整備をまちの活性化とどう結びつけるかということでした。そこで防災備蓄品収納庫をつくることが、自治会が目指す「町の防災拠点づくり」につながって、多くの住民の関心を呼び起こせるよう、毎月の理事会で説明を重ねました。また、松ケ丘自治会館に避難するときの「まちなか案内板」と災害時の状況を発信する「情報発信板」の整備や、「地域防災マップ」の作成を目指すことを打ち出し、まちの活性化につながる提案としました。困難がありましたが、一丸となって取り組み、コーディネーターの方のアドバイスに基づいて備蓄品収納庫周辺の模型を作成して一時避難場所としての自治会館をシミュレーションしたり、まち歩きをしてまちの成り立ちと現状を冊子にまとめたりして、26年2月の二次コンテストで選考され、防災備蓄品収納庫をつくるための整備助成金を獲得できることになりました。これを受けて26年度に入り、整備助成金と一部自己負担で階段上と屋根裏に防災備蓄品庫を整備することができました。

「まち普請事業」はレベルが高いと聞いていたこともあり、締切り当日まで申込みする決断ができませんでした。レベル感にとらわれすぎ、応募の決断が鈍ったことが、コンテストへの検討時間を少なくし、グループのメンバーに迷惑をかけたことは失敗だったと思います。もう一つは、助成金の申請額を控えめに考えすぎたことです。そのため、「まちなか案内板」や「情報発信板」、「地域防災マップ」の作成は次の機会を待つことになりました。選考されることを目指して注ぐ力は申請額が少額でも変わりませんので、もう少し大きな金額を申請した方がよかったと思います。

「まち普請事業」は2回のコンテストがあり、提案書の作成やプレゼンテーションがあります。これらを、提案者だけで乗り切るとなると大変なことだと思いますし、選考されることは難しいことだと思います。それを支え支援してくださったのが地域まちづくり課の職員の皆様でした。加えてコーディネーターのアドバイスを受けることができたことは、大変大きなプラスとなりました。何回も松ケ丘に足を運んで協議に参加くださるなど、地域まちづくり課の多くの職員の皆様のご助力で、コンテストを通過し、自治会館を一時避難場所とする整備ができました。

コンテストに向けた活動
 模型作りの様子まち歩きの様子
 提案のための模型づくりまち歩きで改めて地域を確認

整備後の活動の拡がり

自治会の会員からは、会館が災害時に一時避難場所として宿泊できるよう整備されたことで、「安心して暮らせます」、「大変良かった」とコメントをいただいています。また、26年2月13日発行のタウンニュースに松ケ丘自治会が「まち普請事業」のコンテストで選考されたことが掲載され、大勢の方に読んでいただいたことで、近所の方々が集まってきて、「おめでとう」と言っていただきました。

26年7月に完成した収納庫は、自治会の広報物を通じて町内に広く認知を図り、秋には町内全体に呼びかけて愛称を募集しました。多数の応募の中から階段上収納を「ものおきっこ」、天井裏収納を「やねうらっこ」と名付け、住民に公開しました。

現在、松ケ丘自治会館では、「松ケ丘すくすくかめっ子」、「松ケ丘サロン」を始め様々な活動が行われていますが、参加者の多くが自治会館の使い勝手の良さに感心され、特に総参加防災訓練時や祭礼時には色々な物品の収納に役立つとの意見をいただいています。また、27年12月2日には、松ケ丘自治会と町内に完成した小規模多機能型居宅介護施設との間で「消防応援協力に関する覚書」を取り交わし、災害発生時には自治会館を活用することを確認しました。タウンニュースの掲載記事を見て、他の町内の方からも、「松ケ丘自治会は良く頑張っていますね」というコメントを多数いただきました。神奈川区役所の職員の方々からも、「『まち普請事業』通過おめでとう、と言っていただいており、区長からも、「松ケ丘は、住民の地域参画意識の高い地域との印象がある」とコメントがありました。

整備後の活動1
 物置の活用介護施設との消防協力
 「ものおきっこ」は車いすなどの収納に活用近隣の小規模多機能型居宅介護施設との消防協力の締結

今後の展望と「ヨコハマ市民まち普請事業」に参加した感想

26年度は地域まちづくり課の職員と、松ケ丘の町を防災の観点からもう一度見直そうと、26年7月にアンケートを配布し、その資料をもとに「松ケ丘を、次代が引き継ぎたく思う住み心地の良いまちにする」を基本として地域まちづくりプラン「松ケ丘まちづくりプラン」を策定しました。

27年10月5日、地域まちづくり推進委員会で「松ケ丘まちづくりプラン」の認定を受け、11月13日付で横浜市長の「地域まちづくり組織認定通知書」、「地域まちづくりプラン認定通知書」をいただくことができました。

28年度は、認定に基づき(「まちなか案内板」「情報発信板」の設置を含む)「松ケ丘まちづくりプラン」を事業として推進して行く予定です。

今回の活動を通じて町内には、「自分たちが活動することによって、みんなで支え合い住み心地のよいまちをつくっていくことができる」という意識が生まれ、様々な世代の住民の力を集め、より一層充実したまちづくりを目指して、地域まちづくりプランに参加するという動きへと進展しました。自分の地域の課題を抽出し、これを解決するための手段として行政の支援がどの程度必要であるのか、自分たちはどのようなことができるのかをよく見極めて、積極的に根気強く協議を重ねていくことが重要だと思いました。

地域住民は自分の地域の課題に気づいても、これを解決する方策を知る機会が少なく、しばしば「陳情」になりがちです。行政の方は知識も豊富であり、助成の手立ても多く持っているので、地域住民に「頑張って自分たちで何とかせよ」とばかり言うのではなく、より多くの情報や具体的な事例を、分かり易く提示、広報していただくことが重要であると思います。また、住民意識の向上や地域に対する関心・好感の掘り起こしをして、地域愛を原動力として、地域の活性化を図るような施策が肝要と思います。

整備後の活動2
 子育て支援活動屋根裏の活用
 子育て支援活動「かめっ子」の様子「やねうらっこ」には備品を収納

このページへのお問合せ

都市整備局地域まちづくり部地域まちづくり課

電話:045-671-2679

電話:045-671-2679

ファクス:045-663-8641

メールアドレス:tb-seibiteian@city.yokohama.jp

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