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第2回「市長と語ろう!」

最終更新日 2023年11月17日

開催概要

≪テーマ≫地域活動(大学との連携による地域活性化~竹山団地プロジェクト~)

竹山団地プロジェクト関係者の皆様と市長との集合写真。

≪日時≫

令和5年10月6日(金曜日)  10:00~

≪会場≫

神奈川大学サッカー部食堂(竹山カフェ)(緑区)

≪対話団体≫

竹山団地プロジェクト関係者

≪団体概要≫

竹山団地プロジェクトでは、神奈川大学と神奈川県住宅供給公社が連携協定を締結し、令和2年5月から高齢化により空室が増加した竹山団地に同大学サッカー部の学生が寮として入居している。学生による団地周辺の落ち葉清掃や小学生向けの学習支援、高齢者向けのスマホ教室の開催など、地域住民や医療関係者等とも連携しながら、竹山地区の活性化や課題解決の取組を推進している。

対話概要

※ 文意を損なわない範囲で、重複部分や言い回しなどを整理しています。

市長挨拶

市長

先ほどスマホ教室の様子を拝見させていただいたのですが、スマホの使い方を習いに来られている方々が、学生の皆さんに教えてもらっていきいきとされている姿がとても印象的でした。スマホを覚えることで遠くにいる人たちとも繋がることができますし、写真や動画を撮ったりすることを覚えて、日々の生活が便利になっていくことを知っていただく。そういった機会をサッカー部の皆さんが作り出してくれているのだなということがよくわかり、本当に素晴らしいなと思いました。
現在、横浜市でも高齢化が進んでいます。そして多くの団地がありますが、入居率の低下、また高齢化率の上昇が課題となっていると捉えています。
ここ竹山団地の取組は、そういった団地が抱える課題に対して大変興味深いアプローチをされていると思いますので、是非今日はいろいろと学ばせていただきたいと思います。

竹山団地の現況とサッカー部の地域活動

参加者

竹山団地では、関係者の皆さんが日々関わりながら様々な事業を行っています。
まず竹山団地の現況としましては、緑区全体の高齢化率23%のところ、竹山団地では45%とほぼ倍の数字となっています。あとは、健康指標の悪化や遊休資産があったりもします。この会場(神奈川大学サッカー部食堂)も元々は魚屋だったのですが、長らく使われていませんでした。そういった中で神奈川県住宅供給公社の担当の方に間に入っていただき、サッカー部の食堂として使わせていただいて、今は地域に開放するということも行っています。
その他にも、コミュニティが希薄化して自治会の担い手、例えば地域清掃の担い手が足りなくなっているなど、そういった課題もあります。
そういった状況で、我々としても大学のサッカー部ですので、ただ地域で活動するだけではなく、地域の中に入ってこういった活動をすることで、アスリートとしても重要な社会性を育むことに繋げていくことができれば、我々にとっても非常に価値のある活動になります。「地域活動をアスリートとしての能力に還元させる」、このことを循環させるというイメージでこの活動を行っています。
まずは、令和2年3月に神奈川県住宅供給公社と神奈川大学で協定を結びまして、団地の部屋を寮として使用させていただくこととしました。その一期生が、現在四年生で、今年、初めて全学年全部員が竹山に住まわせていただいているという状況になっています。現在スタッフ2名も含め、59名が住んでいます。
また、自治会の皆様にご指示をいただきながら、防災訓練や防災倉庫の棚卸、池の周りの草取りをしたり、団地の花火大会や灯篭流しにも参加したりしています。コロナ禍で開催できていませんでしたが餅つきなども今年はできるかもしれません。
そのような地域活動を続けていく中で、小学生が総合学習の時間で地域のことを学んでいまして、講師として呼んでいただいたことがありました。その10日後くらいにはその小学生たちが「お兄ちゃんたちと掃除する」ということで活動に来ていただいたりしました。そういった中で信頼が高まり、今では放課後の宿題応援団ということで、宿題のサポートをするという活動にも参加させていただいています。あとは、消防団にも参加しています。現在7名入団していますが、後輩たちも先輩の活躍をみて、今は20数名の入団希望者がいるという状況で、手続きを進めようと思っています。
そのような活動が少し評価されまして、「地域再生大賞」に神奈川県代表として推薦していただき、学生たちのスマホ教室などの活動が評価されて関東・甲信越ブロック賞をいただきました。
今年度からは、横浜市から「横浜市介護予防・生活支援サービス補助事業(サービスB)」(※)を受託させていただき、学生たちとともに週5日間活動しています。月曜日はスパイス料理食堂・教室、水曜日と金曜日は学生が店長になって開く竹山カフェ、火曜日と木曜日に関しては介護予防教室を開いています。竹山カフェでは、我々が育てた野菜をふんだんにつかったワンプレートの食事をワンコインで食べていただいています。
今後は、地域の信頼も高まってきていますので、国土交通省の助成なども受けて、更に発展させていくこととしています。

横浜市介護予防・生活支援サービス補助事業(サービスB):ボランティアを始めとした地域住民の方々が、要支援者等の方に向けた介護予防・生活支援の活動を行う場合に、その活動に係る費用に対して、補助金を交付。

とにかく理屈を抜きにして、とても嬉しかった

参加者の写真。

市長

ありがとうございました。
最初に学生たちが竹山団地に入ってくると聞いてどう思われたかということと、実際に神奈川大学の学生たちがいろいろ取り組んでくれて、団地の雰囲気がどのように変わったか、2点を教えていただけますか。

参加者

とにかく理屈を抜きにして、とても嬉しかったです。監督の「地域と共に成長したい、共にありたい」という言葉が非常に心の中に残りまして、これは歓迎ということで本当に嬉しかったですね。

市長

実際に学生たちに来てもらっていかがですか。

参加者

期待どおりでした。サッカー部のチームワークというか、何に対しても強い絆というか、以前仕事を共にした仲間がサッカー部で、すごいチームを纏めてくれる方がいたものですから、その印象が強くありました。チームワークは教えるのに何年もかかるのに、それが既にできている方々が来るということで、これは素晴らしいことだなということで期待しました。
実際来ていただくと、結果として全部の事業が確実に実行できています。周りの人たちも「あの人たちはすごいね」「きちっとやるね」と皆が同じように見ています。

貫禄がでてきて、地域のためにいろいろなことを考えてくれている

参加者の写真。

市長

学生たちが地域活動に加わるにあたって工夫した点はありますか。今までいなかった学生たちが気持ちを持って取り組んでくれるなかで、団地側として工夫された点を教えてください。

参加者

工夫したという意味ではいろいろなことをたくさん話し合ってきました。彼らが一年生で入ってきたときは「かわいい子たちが来た。やっぱり、一年生はどこにいっても一年生だ。」という感じだったのが、今では四年生になってやっぱり貫禄がでてきて、地域のためにいろいろなことを考えてくれているということはありがたいです。

肩肘張るとかそういうことではなくて自然体でやっていく、それが近道

市長

学生のような若い世代の方々に継続してこういった活動をやってもらうために、どういったことが重要だと思いますか。

参加者

参加者の写真。

若い人というより、神奈川大学の話をすると、この2、3年、事業をほぼ全部完璧にやってくれました。神奈川大学サッカー部の理念は「F+1」(※)といいますが、最初はわからなかった。ようやく今年の3月頃に「1」は彼らが目指した地域への貢献なのだと改めて認識しました。
今まで、とにかく会議をいっぱいやった。彼らの考えをこちらも十分理解して、よく話し合いをして、お互いに確認しあったり、信頼しあったりして、肩肘張るとかそういうことではなくて自然体でやっていく、それが近道だと思うので、これからも継続して話し合いをしていきたい。そういうことがすごく大事だと、この3年間で本当に思いました。


※F+1:神奈川大学サッカー部の理念。『Football+何か1つ』という意味で、フットボーラーとしてサッカー部に参加することはもちろん、別な形で社会に対してもうひとつ参加することを目指し、そこで得られるものが選手としてはもちろん、ひとりの人間として大きく成長することにつながるという考え。

どのような前向きな変化が起きるだろうかということが非常に楽しみ

参加者の写真。

市長

いろいろ思いが詰まっていますね、ありがとうございます。
私も行政目線で思うのですが、こういった取組を可能にしてくれた神奈川県住宅供給公社、素晴らしいなと思います。学生さんに入っていただくにあたって、どういったことを期待していましたか。

参加者

学生に入寮していただくにあたって、大学と公社で連携協定を結んでいます。その連携協定の目的というは3つありまして。
1つ目は、大学と公社の連携協定なのに、大学と地域の連携を推進しましょう。
2つ目が、学生の健全育成。
3つ目は、結果において団地・地域の活性化。
その3本柱が大学と公社の連携協定の目的になって、そういう目的を据えたあとに彼らが入ってきてくれました。はじめは15人くらい、いまでは4学年60人規模の学生が入ってきてくれていることに思いをはせたとき、事業者目線としては空き家にそれだけの学生が入ってくれて、家賃が入って嬉しいなというのが1つ。
2つ目は、今まで60人規模の学生が地域に出ていくことは、竹山団地の歴史の中で多分なかったと思います。その学生たちと住民が混ざった時にどのように日常が変わっていくだろうかという期待。先ほど「歓迎という言葉しかない」というがお話ありましたが、どのような前向きな変化が起きるだろうかということが非常に楽しみでした。効果を確認するために先ほどお話があったとおり、対話や意思疎通を欠かさず、月1回くらい議論をしたり、情報共有をしたり、確認しながら軌道修正しつつ進めています。楽しみしかないです。

ワンチームになるっていう援助が大事なのかな

市長

ありがとうございます。
先ほどスマホ教室を見させていただいて、教わっている方々がいきいきされている様子がすばらしいなと思ったのですが、今後の展開に関してどのように思われていますか。

参加者

竹山団地のメンバーと一緒にサッカー部の試合に行ったら、最前列は竹山の住民の方が陣取っていて、なんか海外のホームステイのような、第2の家族みたいになっていたことがあります。竹山団地自体が一つの家族になる、サッカー部がワンチームになるように、ワンチームになるっていう援助が大事なのかなと思っています。
また、私は医師ですので、医療の部分では、高齢化が進んでいる中で、学生たちがそこの部分を援助できるようになればいいのではないかと思います。医師の話は長くて分かりにくいので、短く分かりやすい動画にして説明は動画に任せる医療補助動画というものがあります。この動画を見せることは僕がやっても学生がやっても、医学教育を受けていなくても一緒ですので、学生の皆さんとタッグを組んで、学生が動画をみせ、彼らが相談しきれないところを、僕が訪問診療で相談するといった、新しい医療の形が構築できたらいいなと思っています。
そうなると、スマホ教室から介護予防支援事業に移り、更には遠隔診療の一手を担うといったところまでいけるのではないかと思っています。そういうことができれば、こういった活動でいつも問題になる人件費も、場合によっては医療法人といったところから支払いができるのではないかというふうに思っています。
サッカーを観に行った時に、あんなに自分が興奮するとは思わなかったですね。あの日曜日は本当にかけがえのない日曜日で、それが毎日続いていくというのが今の竹山団地だと思います。そこが一番本質なのかと僕は思います。

活動の中で自分を知ることができた

市長

竹山団地でご活動されていて、どう自分の学生生活に生かされていると思いますか。

参加者

参加者の写真。

いろいろな活動やっていることの意味は、一言で「自己発見」。「自分を知る」ことは、学生にとって重要なことだと思います。この4年間で自分の納得のいく進路や、自分の核となる価値観みたいなものをどれだけ深堀できるかが学生にとって重要なことだと僕は考えています。
今では入寮するに当たり、監督からいろいろな事業の説明があるかと思うのですが、僕が高校生の頃はその説明はほぼゼロで「団地に入ります」みたいな感じでした。「大学とグラウンドも近い」、それくらいの説明で入って、ここまでいろいろなことをやってきて、その時にやることもそうだし、今後どのようにしてやるかなども、一つ一つ課題を解決してきました。
いろいろな人とコミュニケーションを取りながら、「自分はこの人と話してこう思う」など、活動の中で自分を知ることができたと思います。来年、卒業して海外に行くのですが、その進路もこの活動がなかったら選べなかったのかなと思っています。

自分達が主体的にどういう活動をしたら高齢者の方に「助かった」と思ってもらえるのか

参加者の写真。

市長

最初ここに入ることになったとき、どうお感じになられましたか。それから実際に活動されていくにつれてどういうふうに思うようになりましたか。

参加者

やはり僕も説明があまりなかったので、何もわからない中で最初は「ゼロ」をどうやって「1」にするかみたいなところから始まりました。自分達は入ってくる前から神大サッカー部は「F+1活動」ということをずっとやっていて、「F」は「フットボール(football)」の「F」、プラス1で何かしようというので、「地域交流活動」ということをやってきた背景はあったのですが、それをもっと地域密着型でこの団地で何をするかっていうところは、最初入ってきたときは何も知りませんでした。最初は頼まれた仕事をいろいろやっていたのですが、その中で自分達が主体的にどういう活動をしたら高齢者の方に「助かった」と思ってもらえるのかなと考えるようになりました。自分達で資金を出してお祭りをやったり、そういった活動を通して高齢者の方との仲をすごく深めたり、交流することができたことが、自分達が最初に入ってきたころから、変わってきたところだなと思います。

「課題」と「価値」を循環させていく

市長

ありがとうございます。
このプロジェクトを立ち上げて、今のお話を聞いても団地の皆さんは学生たちを非常に頼りにされているというのが分かります。
こんなにサッカーを観ることが楽しいと思えるとか、やはり団地を一つにすることに成功しているなと。団地を一つにして活性化していくということが非常に進んでいるなと思います。学生と住民の方、多くの方々が関わる中で地域を活性化していくためにどういったところに工夫をされていますか。もしあれば、どういったことに課題をお感じですか。

参加者

課題は僕のコミュニケーションの取り方ですね。
地域の「課題」は僕らにとっては「価値」のあるものであると思っていますが、一方的に僕がやってほしいということ伝えても学生たちにとっては非常にストレスだと思います。
また、担い手が足らないという地域の「課題」には、我々は組織化された仲間思いの力持ちがいっぱいおりますので、それが地域のために働けば「価値」になります。我々にとっても、ここ竹山団地に住まわせてもらうということはグランドも近く利便性も高まりますので「価値」になります。団地が抱えている「課題」が我々にとっての「価値」であったり、その逆に我々にとっての「課題」が団地にとっての「価値」になったり、そういう「課題」と「価値」を循環させていく。一方が無理をさせている状況だと、ストレスをためてしまうので、そのような形で片方に無理はさせない。自分も努力しながら循環をさせていくことを考えています。

何事も思いを持って成し遂げるまで凡事を積み重ねる

市長

いま、この地域活動に学生さんたちに関わってもらってどうですか。学生さんたちはサッカー選手として、あるいは学生としての変化は何か感じますか。

参加者

やはりいろいろ経験重ねていく中で、何事も思いを持って成し遂げるまで凡事を積み重ねるということを、学生たちだけでもできるようになってきたなという思いがあります。
その分、僕に足りない部分があれば、強烈な指摘も受けます。これから社会に出ていくにあたって、口だけではなくてその物事を成すためには、汗をかかなければいけないということを皆さんからも鍛えていただいて、そのようなところが成長したところじゃないかと思います。

地域の皆さんの笑顔と学生たちがその中でしっかりと育ち、成長していくことを目指して

市長

今後このプロジェクトの継続性という点に関して、どういったことをお考えですか。

参加者

参加者の写真。

地域の関係者の方々の会議体を月に1回必ず開催しているのですが、その関係をしっかりと盤石にしていくことが大事だと思います。
これからも様々な組織にどんどん参加していただいて、資金調達も大事になってくると思います。また、そういうものを情報共有する、広報していくことも大事になるかと思っています。ただ我々は地域のWell-being(ウェルビーイング)を高めていく、地域の皆さんの笑顔と学生たちがその中でしっかりと育ち、成長していくことを目指しています。とかく今の世の中、ビジネスに走ってしまって目的が忘れられてしまうこともありがちですが、その目的からずれないように、地域を豊かにしていく、学生を育てていくということをしっかりと軸において、活動をスパイラルアップさせていきたいと思っております。

10年後、20年後にまた彼らと会って「あの時の~」っていうように話ができたら

市長

プロジェクトを一緒に立ち上げた四年生の皆さんが、来年の3月に社会人になられることをどうお感じですか。

参加者

本当に竹山団地での生活はいろいろあったのですが、ポジティブに捉えていてくれて、この経験が10年後、20年後にまた彼らと会って「あの時の~」っていうように話ができたらいいなと思います。これからもここで培った信頼関係が、10年、20年後に彼らが更に大きくなった姿を見せてもらって、ずっとずっと続いていくといいなと思っています。

市長

いろいろな人達の色々な思いが詰まった団地の活性化なのだなとよく分かりました、ありがとうございました。

市長コメント

市長

今日はお時間いただきましてありがとうございました。
竹山団地を長らく支えてこられた方の思いを聞き、また実際に活動されている学生たちの話を聞かせていただいて、本当にありがたいなと思いました。
単に学生が関わるだけではなく、学生たち自身が成長を感じられる、そういったプロジェクトになっていると感じました。
いま、横浜市内は高齢住宅が数多くありまして、団地、公営住宅が抱えている課題は様々あります。今の公営住宅は高齢化率が上がり、入居率が下がり、程度の差はあれこの竹山団地のような課題を抱えていると承知しています。本日伺ったお話は、そういった課題を解決していくモデルケースになっていくと感じました。多くの方々の支えによって、関わり合いによって、熱意によって、こういったプロジェクトがなし得ているのだと思いますが、行政としても団地・高齢住宅の活性化というのは喫緊の課題でありますので、是非こういったプロジェクトを参考にしながら引き続きいろいろな取組をさせていただきたいと考えております。


このページへのお問合せ

市民局総務部広聴相談課

電話:045-671-2335

電話:045-671-2335

ファクス:045-212-0911

メールアドレス:sh-shukai@city.yokohama.jp

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