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第8回「市長と語ろう!」
最終更新日 2024年5月2日
開催概要
≪テーマ≫ 防災( 地域が小中学生と共に取り組む防災)
≪日時≫
令和6年3月20日(水曜日) 14:00~
≪会場≫
根岸地区センター(磯子区)
≪対話団体≫
根岸地区連合町内会
≪団体概要≫
根岸地区では防災に対する関心が高く、平時における防災活動にも熱心に取り組んでおり、活動の担い手となる若年層の育成に力を入れている。災害時対応の担い手確保を念頭に置いた中学校等との連携、また消防団員が指導役となり小学生が消火器やロープの使い方といった防災知識を楽しみながら学ぶことができる少年消防クラブなどの活動をしている。
対話概要
※ 文意を損なわない範囲で、重複部分や言い回しなどを整理しています。
市長挨拶
市長
皆様には日頃から地域の防災に関する活動に積極的に取り組んでいただきまして、誠にありがとうございます。
本日お話を聞かせていただく、少年消防クラブをはじめとした根岸地区で取り組まれている小中学生に対する防災活動は、いざという時に子どもたちが共助の担い手として自発的な行動ができるように、育成の場にもなっていると伺っております。
地域の皆様が主体となって行っていただいている活動に関しては、本市としても非常に関心をもっておりますので、日頃活動されている中で感じられている思いや課題などをざっくばらんにお聞かせいただく機会にさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
「自らの地域は、自らの手で守る」
参加者
根岸地区が防災に力を入れているのは、その地形からきているのではと思っています。根岸地区は堀割川によって、磯子区の中でも他の地域と分断されています。川上から天神橋、根岸橋、坂下橋、磯子橋、八幡橋と橋は渡されていますが、災害のときに落橋してしまった場合、根岸地区に救助隊が来ることができなくなるとの思いが昔からあり、「自らの地域は、自らの手で守る」を常に念頭に置いて行動していました。
そういったこともあり、私が昭和51年に磯子消防団に入団した頃は区内9か所に1個分団ずつありましたが、消火ポンプを各分団およそ2~3台を保有という中で、根岸地区を守る一分団は7台保有していました。
参加者
現在、根岸地区の分団では女性消防団員4名を含む46名が活動しています。ただ、平日日中はその8割以上が区外に出てしまっている状況にあり、夜間でないと全員集まることができないということが、一番心配しているところです。
加えて団員の年齢も上がっていきますので、若い団員の募集の必要性も感じております。
子どものときから消防、防災にも興味を持ってもらいたい
参加者
先ほども話にあったとおり、根岸地区は山と海と川に囲まれていて、大災害のときは常設の消防からは来られないということも想定しながら、なんとか地域を守ろうという形で消防団活動を行っています。
私自身、ずっと根岸の住民なのですが、長く住んでいる方も多いですよね。消防団も地域性がものすごく強いですし、そういう消防団を目指しているところもあります。地域のことをよく知っている人に消防団員になっていただけると地域をしっかり守っていけるのかなということで、子どものときから消防、防災にも興味を持ってもらいたいと思い、少年消防クラブを立ち上げています。
参加者
少年消防クラブは、1984年に「火災予防に関する思想を少年少女に啓発するとともに、生活に密着した防災の知識の普及を図ること」を目的に、防災意識の強いこの根岸地区にも根岸少年消防クラブができました。
今では横浜市として少年消防クラブの制度は廃止したのですが、根岸地区においては連合町内会区域内の公園などで、根岸少年消防クラブの活動を独自に継続しており、活動は40年になります。
子どもたちの指導は主に現役の消防団員とOBが担っており、火が燃える現象、消火器の取り扱い、ロープの結索、放水体験など楽しみながら学んでいます。
参加者
現在メンバーは25名となります。低学年1・2年生が12名、3・4年生が8名、5・6年生は5名となっています。昔と比べると非常に少なくなってしまいましたが、OBの方々などもたくさん指導者として参加してくれていますし、自分自身で勉強もしてくれているので大変ありがたく思っています。
普段できない体験をたくさんやらせてもらっています。
参加者
少年消防クラブでは、普段できない体験をたくさんやらせてもらっています。
放水体験では長いホースを実際に持って、水を的に当てるのですが、思ったより重く、一人では持つことも難しかったです。また、消火器の使い方も教えてもらい、意外に難しいということも知ることができました。
実際に煙の中に入ったりもしましたが、全然前が見えなくてとても怖かったです。火災の時に消火をすることがどれだけ大変かわかりましたし、とてもいい勉強になりました。
参加者
ロープ結索を教える際に、子どもに教えることも重要なのですが、周りにいる親御さんたちに教えながら、子どもにも教えるようなことをやっています。キャンプなど、いろんなところで使える技術なので、是非覚えていただきたいなと思いながら手伝いをしました。
参加者
少年消防クラブに参加していた小さい頃のことで覚えているのは、「かっこいいな」ということです。あとは、指導員の方々は、怖いおやじの代表というところがありましたが、怖くても大事なときは頼りになるし、かっこいい大人がいるというのがありました。今、自分自身も消防団に入り、小学生たちにも教えるのですが、その時は「どういうふうに見えているのかな。」「頼りがいのある顔になっているかな。」ということもちょっと意識しながら活動しています。
地域防災拠点訓練での参加者を広げていきたい
参加者
根岸地区には2か所の地域防災拠点があります。根岸中学校は主に駅周辺の集合住宅の住民が多く、根岸小学校は元々の長く住んでいる住民が多い拠点になっています。地域防災拠点訓練は2拠点が合同で年に2回行っています。「防災の日」の訓練は、根岸中学校の施設を利用して実技訓練を、「防災とボランティアの日」の訓練は、根岸小学校の体育館で防災に関する講義を開催して、防災に関する知識を深めています。今年は、能登半島地震の災害現場へ行かれた磯子区役所の職員の方の報告を聞きました。
参加者
見ていると大人の方、お年寄りの方の参加がまだまだ多いので、これからは小・中学生の参加者を是非広げていきたいと思います。
参加者
今年度の総合訓練では、赤十字奉仕団との連携、段ボールベッドの組み立て、AEDの取扱いについてと3班に分けてそれぞれ講習会を行いました。
参加者
根岸中学校は地域防災拠点の訓練には当初希望者のみの参加でしたけど、回を重ねるうちに中学生も発災時には重要な役割を果たす自覚が芽生えてきて、参加者が徐々に増え続けて、近年では代々の校長先生の理解のもと授業として防災訓練に参加するようになりました。
防災訓練は日曜日の開催になりますが、授業でやっています。実技訓練にも積極的に参加して、災害図上訓練のDIG(※)や、簡易担架搬送訓練、一斉放水訓練なども行っています。
根岸中学校は合唱コンクールを県立音楽堂で行うくらい合唱に力を入れているのですが、津波避難訓練の際に校舎の屋上まで避難者を誘導する時に、生徒たちが合唱をしながら案内している姿を見て、実際に災害が発生したとしても、こうやって避難者を元気づけてくれるのだろうと感激をしました。
※ Disaster(災害) Imagination(想像力) Game(ゲーム)の略。自分の地域や住まい・職場に潜む災害の危険性を図上に「見える化」し、その対策を考える災害図上訓練の手法のひとつ。
中学生も地域の防災について、できることを考えていきたい
参加者
根岸中学校の防災学習では、クラスメイトと一緒に楽しく学ぶことができるのもそうですが、能登半島地震の被災地の方への募金など、根岸地区以外の被災地に対しても支援をしていきたいという気持ちがすごく強くなっていると私は思っています。
私たち中学生も、地域の防災についてできることをこれからも考えていきたいと思っています。
参加者
根岸中学校では以前から地域と一体になった防災学習に取り組んでまいりました。根岸中学校で開催された九都県市合同防災訓練に全校生徒が参加することができましたし、磯子区の防災動画作成にも参加させていただき、大変好評を得ています。
避難所では中学生の力が大変重要になってきます。荷物運びはもちろんのこと、中学生が声を掛けることで避難所にいる大人が言うことを聞いてくれるということもございます。根岸中学校では小学校で実施している引き渡し訓練を親世代への意識づけを図るという目的もあり、中学生になっても行っています。
「災害がいつ起こるか分からないので、自分たちが地域を守る。」そういった気持ちを常に持ってほしいと思っています。一番の防災は普段から地域と繋がっていることで、信頼関係が無ければ混乱した中での救助活動は困難です。日頃の挨拶や会話ができる環境作りが大切ですので、自助・共助において地域に貢献できる中学生の育成を進めていけたらと常日頃から思っております。
災害が発生したらどこに避難するのかとか、そういう話が前よりも多くなった
市長
少年消防クラブに参加されるお子さんたちの様子は今と昔で違いはありますか。
参加者
指導員の僕らも仕事している者が行っているので、活動自体は日曜日が主体となっています。そうなると他の習い事をする子たちも多くなっていますので、なかなか来る子も少なくなっています。声を掛けても低学年の子が多くなっていますので、以前のように難しいことはできないというのが実情です。
市長
お子さんが少年消防クラブに参加されているということでお尋ねしたいのですが、参加されて変化のようなものは何か感じられますか。
参加者
私自身、消防団に入っているのですが、少年消防クラブに参加するようになって、消防団の活動に対して興味が出てきたのかなというのを感じました。
市長
ご家庭で防災に関する会話とかが増えたりしましたか。
参加者
そうですね。災害が発生したらどこに避難するのかとか、そういう話が前よりも多くなったので、活動が重要なのだなとすごく感じます。
参加者
活動にお誘いいただいて、娘も「行きたい」と、近所のお友達も誘って一緒に参加させていただいていますが、とても楽しそうに参加しています。父親が消防団員として何をやっているのかはまだ全然わからないかもしれないですが、実際に火を扱ってみたり、放水をしたりしてみて、父親が着替えて「じゃあ行ってくる」と出動していく姿を見ると、「パパ大変なんだね。」と言うようになってきました。下の子も4月から小学生になるのですが、「将来の夢は?」って聞いたら「消防車になる」って言っています。
親同士の繋がりの必要性を感じながら頑張るようになっています
市長
今は消防団員としてご活躍されていますが、ご自身が少年消防クラブでの経験したことが、どのように役に立っていますか。
参加者
僕が少年消防クラブで活動していたときは、今ではなかなかできない訓練もやらせていただきました。大人が使う道具を子どもたちも使うことで、しっかり指導しないと危険ですけど、次に繋げることができるものも有るのかなと思っています。
参加者
僕が子どもの時は、親同士の繋がりも強くて、こういった活動の中にポンって投げ込まれて参加していた記憶があります。僕も4歳の子どもがいますが、僕自身も親同士の繋がりの必要性を感じながら頑張るようになっています。
発災時、子どもたちの力も必要とされている
市長
小中学生の方々と接している中で、中学生の災害に対する認識をどのように感じられていますか。
参加者
我々の時代と違って体格がいいですよね。また、頭の中には情報がいっぱい入っているので、当たり前のようにやってはいるけど、本当はダメであるとか、そういう使い方は危ないというようなことも教えていかないといけないのかなという気もしています。
市長
地域防災拠点の委員長をされていて、発災時に子どもたちにどのように活動していただくことを期待されていますか。
参加者
我々も子どもの頃から経験が無いので、災害が発生した際に実際にどうなってしまうか見当もつかないのですが、パニックになるとは思っています。発災時、子どもたちの力も必要とされている状況において中学生にも実際に手伝ってもらえるような体制をつくりたいなと思っています。小学生に中学生と同じように活躍してもらうのは、ちょっとまだ無理かなという気がするので、細かい部分のお手伝いをしてもらって、「私も実際に手伝っている。」という意識を持ってもらえたらいいかなと思っています。
参加者
平日に発災した場合、大人は仕事などで地域にいないことが多いと思っています。なので、小学生も主体的に行動してくれないと困るような状況もあるかと思っています。根岸地域の中でも新しい住民が多い地域については、昔から住んでいる方々と同じよう、住民同士の横のつながりを増やし、防災訓練に参加してもらえるようにならないといけないと思っています。参加してもらわないと、何をやっていいか分からないという方々もたくさんいると思いますので、まず参加していただくことが大切だと思います。
実践して、成功体験することで、良いことなんだと自覚することが重要
市長
ご自身の経験や思いをほかの仲間にも広げていく上での思いなどはありますか。
参加者
根岸中学校の生徒は防災学習などを通して、防災に関する取組が大切なことであることは全員が理解していると思っています。なので、僕が伝えるというよりは、私たち根岸中学校の人たちが他の地域や、他の中学校の人たちにどう伝えるかが大切だと思います。
市長
中学校全体として校長先生の思い、マネジメントがあって、今説明していただいたような取組を学校全体としてやってもらっているのだと思っています。それをどのように他の中学校に展開していくかということですね。根岸中学校でやっている取組を横展開していく秘訣はありますか。
参加者
皆さんの理解を進めることが大切だとは思うのですが、私たちが「やりましょう。」と言っても、そう簡単にはできないことだとも思っています。いい取組だからこれを広げていくということについては、やはり「実践」をしてみて、そして「成功体験」することで、皆さんが「良いことなんだ。」と「自覚」してもらうことが重要なのだと思います。
本当に根岸中の先生たちは一丸となっていろんなことに取り組んでいて、一つ一つの取組が成果となって結びついていますので、それを横浜市全体に伝え、理解していただいて、広げていけたらと願っております。
住民のみんなが仲良くて防災意識の高いまちにしてほしい
市長
根岸地区の取組は素晴らしい取組だということが分かっていたのですが、こういった活発な防災への活動を通じて、子どもたちに期待することはどんなことがありますか。
参加者
災害発生時は、「自分の身を守る」ということを第一に意識してもらわないといけないと思っています。それは、大人も子どもも皆同じで、子どもには災害時にどうやって身を守るか理解してもらう必要があります。そこから、自分のご家族や地域をというふうになっていくのだと思っています。少年消防クラブの活動を通じて、まずは災害が発生した時に「どういう対応をするか。」「避難をどうするか。」というようなことを、知ってもらいたいと思っています。
市長
こういった地域全体の取組を通じて、根岸地区全体をどういうまちにしたいですか。
参加者
やはり住民のみんなが仲良くて防災意識の高いまちにしてほしいと思っています。根岸地区はすごく狭い地域で、住民も少ないので、一人何役もやっているのです。例えば「スポーツ推進委員をやって消防団員」「民生委員をやって消防団員」「町内会長をやって消防団員」って、そういう人が結構多いのです。だから、みんな仲が良く、お互いによくわかっているのですよ。子どものときも地域の子が集まって少年消防クラブで活動している非常につながりが深いまちなので、防災に関してもそれを生かしてもらって防災意識の高い、仲の良い地域になってほしいなと私は思っています。
市長コメント
市長
改めましてありがとうございました。根岸地区の皆様の防災に対する意識の高さが、大人たちだけではなくて子どもたちを繋いでいて、子どもから大人まで地域全体で防災の取組を進めていくことで一致団結して「地域の絆」を作っているということが分かりました。
災害対策という切り口で地域の絆を作るということをされているのは、横浜の中でも非常にユニークなのではないかなというふうに思います。大規模災害が発生した時に、「自らの地域は自らの手で守る」という思いを皆さんが持っておられ、そこに小中学生のお子さんも参加してくれて、平素から防災への活動に取り組んでくださっているということを大変心強く思っております。
全ての地域でこういった防災という軸で、地域の絆を作り、守り、強靭なまちをつくっていくということは、難しいとは思うのですが、是非、根岸地区の皆様の素晴らしい活動がこれからも続くように願っていますし、また本日伺った内容を今後の市政に生かしていきたいなというふうに思います。
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