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食物アレルギー
このページは神奈川県アレルギー疾患医療拠点病院である横浜市立みなと赤十字病院が監修しています。
最終更新日 2025年11月25日
- 食物アレルギーの特徴
- 食物アレルギー(即時型)の原因食物
- 食物アレルギーの症状
- 食物アレルギーの疑いと診断について
- 食物アレルギーへの対応・治療
- アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの関係
- 相談窓口・イベント情報
- よくある質問
- さらに詳しく知りたい方へ
食物アレルギーの特徴
本来は体にとって無害な食べ物を、免疫システムが異物と認識して過剰な反応を起こすことがあります。この反応を食物アレルギーと呼びます。
アレルギーの原因となる物質はアレルゲンと呼びますが、食物アレルギーのアレルゲンは、主に食べ物に含まれるタンパク質です。
食物アレルギーの多くは即時型で、食後2~3時間以内に症状が現れます。
食物アレルギーの有病率は乳幼児で5~10%、学童期以降で1~3%と成長とともに減少していきますが、原因食物によっては生涯にわたり除去が必要な場合もあります。
食物アレルギーと似た病態に食中毒や食物不耐症(※)があり、正確な診断には専門医の判断が必要となります。
※食物不耐症:体の中の酵素がうまく働かないために症状が誘発されたり、もともと食べ物に含まれるヒスタミンなどの物質でアレルギーに似た症状があらわれたりする病態
食物アレルギー(即時型)の原因食物
食物アレルギーの原因となる食べ物は、鶏卵、木の実類、牛乳、小麦が多く、そのほかにはピーナッツ、甲殻類(えび・かに)、魚卵、魚類、果物類など様々です。
新規発症の原因食物は年齢により大きく異なります。最近では、幼児の木の実類(特にクルミ、カシューナッツ)やイクラによるアレルギーが増えています。
出典:「令和6年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書」(消費者庁)
出典:「令和6年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書」(消費者庁)
食物アレルギーの症状
食物アレルギーの症状は、皮膚、呼吸器、消化器などさまざまな臓器にあらわれます。一つだけあらわれる場合もあれば、複数の臓器にあらわれることもあります。およそ90%に皮膚症状、およそ30%呼吸器症状や粘膜症状がみられます。
| 臓器 | 症状 |
|---|---|
| 皮膚 | 皮膚が赤くなる、じんま疹、かゆみ、灼熱感、湿疹 |
| 粘膜 | 結膜充血、むくみ、かゆみ、涙、まぶたの腫れ、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、口・唇・舌の違和感・腫れ |
| 呼吸器 | 喉の違和感、かゆみ、絞扼感、かすれ声、飲み込みが難しい、咳、ぜん鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)、陥没呼吸、胸部圧迫感、呼吸困難、チアノーゼ |
| 消化器 | 吐き気、おう吐、腹痛、下痢、血便 |
| 神経 | 頭痛、活気の低下、眠気、不穏、意識障害、失禁 |
| 循環器 | 血圧低下、頻脈、徐脈、不整脈、四肢冷感、蒼白 |
アナフィラキシーとは
アナフィラキシーとは、複数の臓器に急速に重い症状があらわれ、命を脅かしかねない重篤なアレルギー反応です。
アナフィラキシーのうち、血圧低下や意識障害などがあらわれたものをアナフィラキシーショックと呼びます。短時間で進行し、命に関わることもあるため、アドレナリン自己注射薬(製品名:エピペン)の使用、救急搬送を要請するなどの早期対応が重要です。
食物アレルギーの疑いと診断について
問診
食後に何らかの症状が出た場合、食物アレルギーの可能性があります。同じ食べ物で繰り返し症状が出る場合は、アレルギーの可能性が高いと言えるでしょう。医師に、食べたもの、食べた量、何分後にどのような症状があらわれたかなどを詳しく伝えることが重要です。
血液検査・皮膚テスト
食物ごとのIgE抗体の有無を検査します。食物アレルギーの診断で非常に重要なことは、「IgE抗体検査陽性=食物アレルギー」ではないということです。
IgE抗体検査が陽性であることは、アレルギー反応が体の中で起きている可能性を示しますが、確定診断の根拠にはなりません。
食物経口負荷試験
食物アレルギーの診断には、食物アレルゲンによって何らかの症状が誘発されることが重要です。これを確認するのが「食物経口負荷試験」です。
この試験はアナフィラキシーを含めた重篤な症状を誘発する可能性があるため、医師の指示のもと、病院で十分な体制を整えて、安全に実施する必要があります。全ての診療所や病院で食物経口負荷試験が実施できるわけではないため、かかりつけ医に相談し、実施できる医療機関を紹介してもらいましょう。
医師の指示なしに自宅で行うのは非常に危険ですので、絶対にやめましょう。
食物アレルギーへの対応・治療
「症状を起こさないようにすること」と「症状が起きてしまったときに適切に対応できるようにすること」の2本柱です。
症状を起こさないために
・除去食
「必要最小限の除去」が重要です。患者さんごとの食べられる量を確認するためにも、医師の指示のもと、食物経口負荷試験を行います。
除去食を行う場合、特に複数の食べ物にアレルギーがある場合は、必要な栄養素をバランスよく摂れなくなる場合があります。バランスのよい食生活を送るために、管理栄養士から具体的に指導を受けられるとよいでしょう。
・食品表示の確認
加工食品には、アレルギー表示に関するルールが法律で決められています。誤食を防ぎながら食生活を豊かにするために、食品表示を理解し活用することで、安心安全な加工食品を選ぶことができます。
もし症状があらわれたら
万が一の時は症状の重症度に合わせて適切な対応ができるよう、日頃からの準備が大切です。特にアナフィラキシー症状や重篤な症状の既往がある患者さんは、アドレナリン自己注射薬の処方を受け、いつでも使用できるようにしておくなど、特に準備が必要です。
一方で、皮膚(部分的なじんま疹、かゆみ)、粘膜(部分的な腫れ)など軽症の場合は慌てずに、抗ヒスタミン薬があれば内服し、安静にして症状を観察しましょう。
アナフィラキシーに関する動画はこちら(日本アレルギー学会)(外部サイト)
食物アレルギー緊急時対応マニュアル(環境再生保全機構)(外部サイト)
アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの関係
かつては、食べ物が原因でアトピー性皮膚炎が悪化すると考えられていました。しかし近年では、湿疹がありバリア機能が低下している皮膚から食べ物の成分が入り込むことによって、食物アレルギーが発症するという仕組みがわかってきました。
そのため、湿疹・アトピー性皮膚炎がある場合は特に、医師の指示のもとスキンケアや外用薬などの適切な治療を行い、皮膚をよい状態に保つことが大切です。
相談窓口・イベント情報
相談窓口・イベントに関する情報は下記リンクよりご確認いただけます。
よくある質問
食物アレルギーに関するよくある質問はこちら(アレルギーポータル(日本アレルギー学会・厚生労働省))(外部サイト)
さらに詳しく知りたい方へ
このページへのお問合せ
医療局医療政策部医療政策課
電話:045-671-2466
電話:045-671-2466
ファクス:045-664-3851
メールアドレス:ir-seisaku@city.yokohama.lg.jp
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