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アトピー性皮膚炎
このページは神奈川県アレルギー疾患医療拠点病院である横浜市立みなと赤十字病院が監修しています。
最終更新日 2025年11月25日
- アトピー性皮膚炎の特徴・原因
- アトピー性皮膚炎の症状
- アトピー性皮膚炎の診断
- アトピー性皮膚炎の治療
- 保湿、スキンケアについて
- 日常的な対策について
- アトピー性皮膚炎の合併症について
- 医療機関以外での治療ついて
- 相談窓口・イベント情報
- よくある質問
- さらに詳しく知りたい方へ
アトピー性皮膚炎の特徴・原因
アトピー性皮膚炎は、強いかゆみのある湿疹ができて、症状が悪くなったりよくなったりを繰り返す病気です。皮膚の「バリア機能」の低下により、炎症を起こしやすい状態となり、皮膚の水分が失われやすく、乾燥肌の状態となります。
アレルギー疾患のある家族がいる場合や、ご自身に他のアレルギー疾患があるなど、アトピー素因を持つ人がなりやすい傾向にあります。
アトピー性皮膚炎の症状
主な症状
強いかゆみや特徴的な湿疹があり、湿疹は体の左右対称にあらわれることが特徴です。皮膚が赤くなってブツブツができたり、カサカサと乾燥して皮膚がむけたり、かさぶたができたりします。強いかゆみがあるため、掻くことによってさらに湿疹を悪化させてしまうことがあります。
湿疹が出やすい場所は、年齢によって特徴が異なります。
・乳児期:頭や顔から始まり、体や四肢に広がります。
・幼児期・小児期:首や四肢の関節に目立ちます。
・成人期:上半身(頭・顔・首・胸・背中)に強くなる傾向があります。
アトピー性皮膚炎の診断
湿疹の経過や場所、繰り返しているかなどを確認します。除外診断(他の病気ではないことを鑑別していき、最終的にアトピー性皮膚炎と診断すること)が必要であるため、自己判断せずに専門の医師に診てもらいましょう。
・強いかゆみ
・アトピー性皮膚炎に特徴的な湿疹
・左右対称性
・年齢により、湿疹が出やすい場所に特徴がある
・繰り返す慢性の経過(乳児では2か月以上、それ以降は6か月以上)
アレルギー疾患のある家族がいる場合や、ご自身に他のアレルギー疾患があるなど、アトピー素因を持つ人がなりやすい傾向にあります。
アトピー性皮膚炎の治療
治療の目標
症状を最小限におさえ、日常生活を普通に送れるようにすることが目標です。正しい治療やケアにより症状を管理することにより、症状の程度などによっても異なりますが、年齢とともにある程度の割合で「寛解(かんかい)」(症状が軽くなり、安定している状態のこと)することが期待できます。
治療の種類
アトピー性皮膚炎の治療には、皮膚の炎症をしずめるための外用療法(塗り薬)や、飲み薬・注射による全身療法、紫外線照射のような理学療法があります。一方で、乾燥肌をやわらげて皮膚のバリア機能を保つための保湿・スキンケア、湿疹を悪化させる因子の検索と対策も重要な治療です。
・薬物療法
・保湿、スキンケア
・悪化因子への対策
抗炎症外用薬について
抗炎症外用薬により皮膚の炎症をしずめることで、炎症によるバリア機能のさらなる低下を防ぐことができます。治療により症状が軽快したように見えても、皮膚の深い部分に炎症が残っており再び炎症が生じやすい状態にあることが多いため、自己判断で治療を中断せず、医師の指示のもと治療を継続しましょう。
・ステロイド外用薬
・ステロイド以外の抗炎症外用薬
・カルシニューリン阻害外用薬(タクロリムス軟膏など)
・JAK阻害外用薬(デルゴシチニブ軟膏など)
・PDE4阻害外用薬(ジファミラスト軟膏など)
・治療用AhR調整薬(タピナロフクリームなど)
ステロイド外用薬について
ステロイド外用薬は抗炎症作用が強く即効性もあるため、今なおアトピー性皮膚炎の主要な治療薬です。皮膚科を専門とする医師の指示のもと適切に使用すれば、ステロイド内服薬で生じることがある副腎不全、成長障害、糖尿病などの全身的な副作用はありません。
局所的な副作用としては、ニキビなどの感染症のほか、毛細血管拡張や皮膚委縮(いしゅく)などが生じることが知られています。このため、ステロイド外用薬の使用に精通している医師の指示のもと、治療を続けることが重要です。
アトピー性皮膚炎でみられる色素沈着は、炎症がしずまって生じるものであり、ステロイド外用薬が原因ではありません。
ステロイド以外の抗炎症外用薬について
近年、ステロイド以外のアトピー性皮膚炎に有効な外用薬が多数開発されてきました。これらの効果はステロイド外用薬に比べてゆっくりですが、皮膚の感染症や塗った時の刺激感の他には頻度の高い副作用が少なく、安全に長期間使い続けることが可能です。
全身療法について
抗炎症外用薬で十分に改善しない中等症から重症の場合は、全身療法が検討されます。従来のステロイド内服や注射・カルシニューリン阻害薬の内服は有効ですが、長期間続けると副作用が問題になります。新しく開発された、生物学的製剤(注射)やJAK阻害薬(内服)と呼ばれるお薬は、かゆみを早期に軽くし、炎症をしずめる効果も高く、一定の副作用に注意すれば長期間の投与が可能になりました。一定の要件を満たさないと使用できないため、医師の説明を十分理解したうえで治療を受けてください。
抗ヒスタミン薬はアレルギーの抑制やかゆみの軽減のために用いられてきました。最近では、より効果が高くて眠気の副作用が少ないものが開発されています。
理学療法について
紫外線照射は薬剤を使わずに、かゆみや皮膚の炎症を止めることができます。現在は、紫外線による皮膚の副作用が少ない、ナローバンドUVBやエキシマライトと呼ばれる装置が使用されます。
保湿、スキンケアについて
アトピー性皮膚炎の悪化予防には、スキンケアがとても大切です。皮膚をきれいに保つことと、しっかりと保湿することにより、皮膚のバリア機能を保ちます。
皮膚の洗浄
毎日の入浴やシャワー浴で、石けんを用いて洗浄します。石けんはよく泡立てて、強くこすらずに、シワなども丁寧に洗いましょう。石けんの成分が皮膚に残っていると、それが刺激になり悪化することがあるので、しっかりすすぎましょう。
皮膚の保湿
入浴やシャワーにより、皮膚のバリア機能に必要な皮脂も流れ落ちてしまうため、洗浄後はしっかり保湿することが重要です。保湿剤は入浴後すぐ(5分以内)に塗るのがよいとされています。
こどものスキンケア実演動画
リーフレット
リーフレット「知っておきたい乳児のスキンケア からだの洗い方、外用薬・保湿剤の塗り方実践法」(PDF:2,509KB)
リーフレット「赤ちゃんのアレルギー疾患が気がかりな保護者の方へ」(PDF:4,188KB)
日常的な対策について
アトピー性皮膚炎の悪化予防には、悪化させる因子を理解し、それらを取り除く日常的な対策も重要です。一方で、悪化因子は患者さんごとにさまざまですので、自己判断せずに医師と相談しながら取り組みましょう。
生活環境の改善
ダニ、ペットの毛、花粉などの環境アレルゲンや、化粧品や金属などの接触により、アトピー性皮膚炎を悪化させる可能性があります。他にも、汗、唾液、毛髪、衣類の摩擦、太陽光などにより悪化することがあります。これらの要素への接触を最小限にしたり、接触を避けたりすることが大切です。
食べ物
アトピー性皮膚炎に食べ物(食物アレルゲン)が関与する場合がまれにありますが、食物アレルギーの関与が明らかでないアトピー性皮膚炎の治療には、アレルゲン除去食は有用ではありません。そのため、食物アレルギーの関与については医師の診断を受けることが重要です。食物アレルギーと診断され除去食が必要な場合は、医師の指示のもと行ってください。
ストレスを減らす
ストレスはアトピー性皮膚炎を悪化させる一つの原因であり、さらに、皮膚の症状が心理的ストレスを引き起こすこともあります。また、治療に対する不安などがストレスを増大させ、悪化を引き起こすこともあります。心身の健康を維持するため、自分だけで抱え込まずに率直に医師に相談しましょう。
妊娠・授乳について
かつては、妊娠・授乳中の女性にアレルゲンを除去する食事法が推奨されていましたが、それは有効でないことが示されています。
アトピー性皮膚炎の合併症について
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能の低下により、皮膚感染症のリスクが増えることがあります。皮膚を清潔に保ち、スキンケアを心がけましょう。
また、顔の皮疹が重い場合、眼瞼皮膚炎や白内障、網膜剥離など目の合併症を引き起こす可能性があります。これらの合併症を防ぐためには、適切なスキンケアや治療を続けることと、目をこすらないように注意することが重要です。医師の指示があった場合は定期的な眼科受診が必要です。
医療機関以外での治療ついて
いわゆる健康雑誌やインターネット上には、民間療法に関連した宣伝記事や情報があふれています。しかし、それらは有効性についての科学的根拠が不十分であったり、予想外の副作用が生じたり、高額の費用がかかったりすることがあります。早計に実施するのではなく、まずは専門の医師に相談することが望まれます。
相談窓口・イベント情報
相談窓口・イベントに関する情報は下記リンクよりご確認いただけます。
よくある質問
アトピー性皮膚炎に関するよくある質問はこちら(アレルギーポータル(日本アレルギー学会・厚生労働省))(外部サイト)
さらに詳しく知りたい方へ
このページへのお問合せ
医療局医療政策部医療政策課
電話:045-671-2466
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ファクス:045-664-3851
メールアドレス:ir-seisaku@city.yokohama.lg.jp
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