花粉症

花粉症は、植物の花粉に対して免疫が過剰に反応し、アレルギー症状を引き起こす病気です。花粉が飛散する時期に、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりや目のかゆみといった症状が出現する季節性のアレルギー疾患です。

日本では、多くはスギやヒノキの花粉が原因となりますが、ハンノキやシラカバ、イネ科、ブタクサなどの花粉も原因になります。スギやヒノキは春先に飛散しますが、花粉の種類によって飛散する時期が異なります。

花粉症の症状は、水のような「鼻水」と繰り返す「くしゃみ」、「鼻づまり」を３主徴とするアレルギー性鼻炎症状と、目にかゆみや異物感が生じるアレルギー性結膜炎症状です。これらの症状は、花粉飛散量に比例して症状が悪化する傾向があります。鼻症状は呼吸がしづらくなるため、集中力の低下やよく眠れないなど、仕事や学業、家事などの日常生活に大きな影響を及ぼします。

花粉症の治療は、アレルギー性鼻炎に対する治療と同じであり、「薬物療法」、「アレルゲン免疫療法」、「手術療法」の３つがあります。また、症状の原因となる花粉のアレルゲンを回避する環境整備も重要です。
症状を悪化させないためには、花粉の飛散開始前または症状の軽い時から、症状を抑える抗アレルギー薬を使用する初期療法が効果的です。これを花粉の飛散シーズン中、継続して使用することにより、症状が比較的軽く済みます。花粉情報に注意し、強い症状が出始める前から対策をすることが大切です。

（１）薬物療法
・抗ヒスタミン薬
　主にくしゃみや鼻水に効果があります。眠気などの副作用の少ないものを用います。
・ロイコトリエン受容体拮抗薬
　主に鼻づまりを改善する作用があります。
・ステロイド点鼻薬
　鼻粘膜に直接噴霧し、鼻粘膜の炎症を抑えます。
・オマリズマブ（皮下注射薬）
　重症・最重症のスギ花粉症には、オマリズマブと呼ばれる皮下注射薬を使用することもあります。

（２）アレルゲン免疫療法
　アレルゲン免疫療法は、原因となっているアレルゲンを少しずつ体内に入れ、体のアレルギー反応を弱めていくことによって、アレルギー症状を抑えていくことが期待できる治療法です。アレルゲン免疫療法には、注射で行う皮下免疫療法と、薬を舌の下に置く舌下免疫療法があります。

（３）手術療法
　鼻づまりが強くお薬などの治療で改善しない場合には手術が必要となることもあります。

・鼻の洗浄
　体液に近い組成の市販の生理食塩水を利用し、鼻に入り込んだ花粉やホコリなどを洗い流すのが効果的です。
・鼻の粘膜の保護
　鼻をかんで、荒れてしまったら、白色ワセリン等を塗りましょう。保湿ティッシュペーパーも有用です。
・室内の加湿
鼻腔に炎症があると粘膜機能が低下するので、室内を加湿しましょう。
・マスク
　マスクは花粉の飛散の多いときに吸い込む花粉をおよそ３分の１から６分の１に減らすと言われています。花粉症でない人も、花粉を吸い込む量を少なくすることで、新たに花粉症になる可能性を低くすることが期待されます。

・目の洗浄
　花粉やホコリなどの異物は市販の人工涙液を利用し、洗い流すのが効果的です。
・目の疲労の回復
　目に炎症があるときは、それだけで目に負担がかかるため、コンタクトレンズの使用を控えたり、長時間のパソコンやスマホ利用を避けたりすることにより、意識的に目を休めましょう。

必要な時以外の外出は控え目にし、外出せざるを得ないときは、インターネット等で花粉飛散情報をチェックし、対策しましょう。

雨上がり、朝、夕方は花粉が多く飛散する傾向にありますので、注意しましょう。

花粉は全身に付着するため、帽子、メガネ、マスクなどを着用し、上着の素材は花粉が付着しにくい表面がツルツルしたものを選びましょう。

家の中に花粉を持ち込まないように玄関前で花粉を払い、すぐに着替えて、顔や手などを洗い流すようにしましょう。

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