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風土記稿、皇国地誌等の地誌

最終更新日 2024年1月15日

新編武蔵風土記稿
江戸時代後期を中心とした、武蔵国内22郡の郡村概況を記した地誌で、265巻で構成されています。
現横浜市域は、橘樹郡南部・久良岐郡・都筑郡が該当します。
雄山閣が1996年に復刻刊行した『新編武蔵風土記稿』〔第4期〕を使用し、現横浜市域の収載状況を紹介します。
新編相模国風土記稿
江戸時代後期を中心とした、相模国内9郡の郡村概況を記した地誌で、126巻で構成されています。
現横浜市域は、鎌倉郡東北部が該当します。
雄山閣が1998年に復刻刊行した『新編相模国風土記稿』〔第2版〕(第4期)を使用し、現横浜市域の収載状況を紹介します。
皇国地誌その他地誌(明治~昭和初期)
皇国地誌のほか、明治後期から昭和初期にかけて編纂された地誌のうち、横浜市立図書館で所蔵している資料の一部を紹介します。

江戸幕府は地誌編纂事業の一環として武蔵国内の調査を文化7年(1810)に開始し、20年の歳月を費やし天保元年(1830)将軍へ献上されました。
村役人に「地誌取調書上」を提出させ、聞き取りによる追加調査をもとに作成されたため正確な記述であり、近世後半期の地誌として欠かせない資料であると言われています。
村単位で、地形、戸数、人物、自然、神社、寺院、名所、伝説など多岐に渡って記述しています。また、江戸時代以前の古文書も参考文献として収録しているのが特徴の一つです。
新編とは奈良時代に作られた「風土記」と区別して、新しく編纂されたという意味で付けられました。

『新編武蔵風土記稿』〔第4期〕 第1~12巻、索引篇 蘆田伊人/校訂 根本誠二/補訂 雄山閣出版 1996
内務省地理局明治17年刊行本を定本としたうえで、修正を加えて活字化し第1期を刊行。以下、4期まで期を重ねるごとに校訂する。第4期は、新旧地名対照表(平成7年現在)を各巻に収録し、新たに索引篇が刊行される。索引篇には、地名、人名、寺院・神社名、引用史料名などの語句索引が巻別に収録されている。
第3巻、第4巻に現在の横浜市域が収載されている。

旧村名と、現在の区域を記載する。(全て橘樹郡。村名は五十音順。)
・市場村、潮田村、江ヶ崎村、上末吉村、北寺尾村、駒岡村、獅子ヶ谷村、菅沢村、鶴見村、生麦村、馬場村、東寺尾村、矢向村

→鶴見区域

・青木町、片倉村、神奈川町、神太寺村、三枚橋村、白旗村、西寺尾村、羽沢村、東子安村、六角橋村

→神奈川区域

・芝生村

→西区域

・帷子上町、帷子田町、帷子町、上岩間町、上神戸町、坂本村、下岩間町、下神戸町、下星川村、仏向村、保土ケ谷宿、保土ケ谷町、和田村

→保土ケ谷区域

・大曽根村、大豆戸村、上駒林村、菊名村、岸根村、北綱島村、小机村、駒ヶ橋村、篠原村、下駒林村、下菅田村、樽村、鳥山村、中駒林村、太尾村、南綱島村、箕輪村、師岡村(古師岡村、新師岡村)

→港北区域

旧村名と、現在の区域を記載する。(久良岐郡-(久)、都筑郡-(都)と記す。村名は五十音順)
・(久)尾張屋新田、(久)戸部村

→西区域

・(久)太田村、(久)北方村、(久)根岸村、(久)本郷村、(久)横浜村

→中区域

・(久)井戸ヶ谷村、(久)弘明寺村、(久)下大岡村、(久)中里村、(久)永田村、(久)中村、(久)引越村、(久)別所村、(久)堀之内村、(久)蒔田村、(久)吉田新田

→南区域

・(都)新井新田、(都)今井新田、(都)今井村、(都)上菅田村、(都)上星川村、(都)川島村

→保土ケ谷区域

・(久)磯子村、(久)岡村、(久)栗木村、(久)杉田村、(久)滝頭村、(久)田中村、(久)中里村、(久)氷取沢村、(久)峰村、(久)森公田村、(久)森雑色村、(久)森中原村、(久)矢部野村

→磯子区域

・(久)赤井村、(久)坂本村、(久)柴村、(久)社家分村、(久)宿村、(久)洲崎村、(久)平分村、(久)泥亀新田、(久)寺分村、(久)寺前村、(久)富岡村、(久)町屋村、(久)谷津村

→金沢区域

・(都)高田村、(都)新羽村、(都)吉田村

→港北区域

・(久)金井村、(久)久保村、(久)上大岡村、(久)最戸村、(久)関村、(久)雑色村、(久)松本村、(久)宮ヶ谷村、(久)吉原村

→港南区域

・(都)市野沢村、(都)今宿村、(都)岡津新田、(都)小高新田、(都)上川井村、(都)川井村、(都)坂倉新田、(都)三段田村、(都)下川井村、(都)白根村、(都)鶴ヶ峰新田、(都)二俣川村、(都)密経新田

→旭区域

・(都)青砥村、(都)荏田村、(都)榎下村、(都)鴨居村、(都)北八朔村、(都)久保村、(都)小山村、(都)猿山村、(都)台村、(都)寺山村、(都)十日市場村、(都)長津田村、(都)中山村、(都)西八朔村、(都)本郷村

→緑区域

・(都)石川村、(都)市ヶ尾村、(都)大場村、(都)恩田村、(都)上鉄村、(都)上谷本村、(都)鴨志田村、(都)黒須田村、(都)寺家村、(都)下鉄村、(都)下谷本村、(都)中鉄村、(都)奈良村、(都)成合村

→青葉区域

・(都)池辺村、(都)牛久保村、(都)大熊村、(都)大棚村、(都)折本村、(都)勝田村、(都)川向村、(都)川和村、(都)佐江戸村、(都)茅ヶ崎村、(都)東方村、(都)山田村

→都筑区域

江戸幕府による地誌編纂事業の一環として新編武蔵(国)風土記稿の後に編纂され、天保12年(1841)に成立。村役人に「地誌取調書上」を提出させ、聞き取りによる追加調査をもとに作成されたため正確な記述であり、近世後半期の地誌として欠かせない資料であるといわれています。
村単位で、地形、戸数、人物、自然、神社、寺院、名所、伝説など多岐に渡って記述しています。また、江戸時代以前の古文書も参考文献として収録しているのが特徴の一つです。
新編とは奈良時代に作られた「風土記」と区別して、新しく編纂されたという意味で付けられました。

『新編相模国風土記稿』〔第2版〕 第1~6巻、索引篇 間宮士信/(ほか原編) 蘆田伊人/校訂 圭室文雄/補訂 雄山閣出版 1998
内務省地理局明治21年刊行本を定本としたうえで、修正を加えて活字化し第1期を刊行。以下、第4期まで期を重ねるごとに校訂する。第2版(第4期)では、新旧地名対照表を収録した索引篇が刊行される。索引篇には、地名、人名、寺院・神社名、引用史料名などの語句索引が巻別に収録されている。ただし、新旧地名対照表は、凡例には平成10年現在と記載されているが、実際は栄区・泉区が戸塚区から分区する(1986年)以前の区名なので注意。
第5巻に現横浜市域が収載されている。

旧村名と、現在の区域を記載する。(全て橘樹郡。旧村名は五十音順。)
・上野庭村、下野庭村、永谷上村、永谷中村

→港南区域

・峠村

→金沢区域

・秋葉村、後山田村、上柏尾村、上倉田村、上俣野村、上矢部村、汲澤村、小雀村、影取村、信濃村、下柏尾村、下倉田村、戸塚宿、名瀬村、原宿村、東俣野村、平戸村、深谷村、舞岡村、前山田村、吉田町

→戸塚区域

・飯島村、笠間村、鍛冶ヶ谷村、桂村、金井村、上之村、公田村、小菅ヶ谷村、田谷村、長尾臺村、長沼村、中之村

→栄区域

・和泉村、岡津村、上飯田村、下飯田村、中田村

→泉区域

・瀬谷野新田、瀬谷村、宮澤村、矢部町

→瀬谷区域

・大曽根村、大豆戸村、上駒林村、菊名村、岸根村、北綱島村、小机村、駒ヶ橋村、篠原村、下駒林村、下菅田村、樽村、鳥山村、中駒林村、太尾村、南綱島村、箕輪村、師岡村(古師岡村、新師岡村)

→港北区域

皇国地誌には、町村誌と郡誌の2種類があります。
町村誌は明治8年に明治政府のもと、当時の町村を調査した結果をまとめた地誌で、沿革、里程、地勢、戸数、人数、自然、社寺、学校等の諸要素を書き上げています。
郡誌は明治20年ごろから提出され現在東京大学には「大日本国誌」が所蔵されており、横浜(1冊)も含まれています。町村誌の原本は大半が関東大震災により現東京大学図書館内で焼失してしまい、同じく神奈川県県庁保管分も焼失しました。郡役所保管分もその廃止に伴って散逸してしまいます(散逸を免れ発見収録された村誌(草稿本)を復刻した『神奈川県皇国地誌残稿』上下(1963)には、現横浜市域は含まれていない)。その後発見された原本の一部や草稿等から横浜市域の皇国地誌も復刻刊行されはじめています。
また、明治から昭和初期にかけては、皇国地誌の他にも、多種多様の地誌類が刊行され、学校教育の一環としてこれら地誌が活用されました。

東京大学図書館で焼失したとされていた皇国地誌の原本の一部が発見され、鎌倉郡全89か村を収載している。神奈川県図書館協会が復刻刊行する。巻末附録として、新旧地名対照表があり、収録町村名と平成2年4月現在、町村制施行時(明治22年4月)、新編相模風土記稿の村名と比較している。
このうち、現横浜市域に関しては、旧村名と、現在の区域を記載する。(全て鎌倉郡。新旧地名対照表記載順。)
・永谷村、上野庭村、下野庭村

→港南区域

・峠村

→金沢区域

・上矢部村、秋葉村、名瀬村、戸塚駅戸塚宿、戸塚駅矢部町、吉田町、上柏尾村、舞岡村、下柏尾村、平戸村、品濃村、前山田村、後山田村、小雀村、汲沢村、原宿村、深谷村、上倉田村、下倉田村、山谷新田村、上俣野村、東俣野村

→戸塚区域

・鍛冶ヶ谷村、公田村、桂村、上野村、中野村、小菅ヶ谷村、笠間村、金井村、田谷村、長尾台村、長沼村、飯島村

→栄区域

・和泉村、中田村、上飯田村、下飯田村、岡津村

→泉区域

・瀬谷村、二ツ橋村、宮沢村、阿久和村

→瀬谷区域

小机村(現港北区域)の地誌編纂書上(明治11年)、池辺村(現都筑区域)の村誌編輯草稿(年代不明 明治初期)のいわゆる皇国地誌2文献の他に、明治後期~昭和初期に編纂された4村の地誌を収載している。
・小机村地誌編纂書上 明治11年

→港北区域

・池辺村 村誌編輯草稿 年代不明 明治初期

→都筑区域

・橘樹郡大綱村郷土誌 大正2年 村内小学校教授訓練の資料として編纂される

→神奈川区、港北区域

・都筑郡新田村治概要 明治45年4月調

→港北区域

・城郷村誌 市編入直前の城郷村の村勢 昭和2年調

→神奈川区、港北区域

・神奈川県都筑郡中川村勢概覧 昭和10年調 中川村役場発行

→都筑区域

恩田村戸長報告の草稿を翻刻。4村の皇国地誌と5村の字地書上を収録。巻末に皇国地誌関係文献目録を収録。この中で、現横浜市域は、
・恩田村、奈良村、大場村

→青葉区域

・久保村、長津田村

→緑区域

池辺村の村誌編輯草稿(年代不明 明治初期)、明治10年河輪村地誌編輯調を収載している。
・ 池辺村

→都筑区域

・ 川和(河輪)村

→都筑区域

また、武蔵通志の橘樹郡、都筑郡を収載。「武蔵通志」は明治22年以後数年間に郡別に編集されたものと思われる。
現在の保土ケ谷、鶴見、港北、緑、都筑、青葉、神奈川、西、旭区域を含んでいる。

大正3年東京大正博覧会が開催されている機会をとらえて編纂された橘樹郡の地誌を収載している。
郡全体の解説とともに、橘樹郡にある各町村の、位置、戸数、人口、地勢、気候、産物、道路、学校、寺社 名所旧跡等が記載されている。
記載されている18町村のうち、現横浜市域はつぎの6町村である。
・保土ケ谷町

→保土ケ谷区域

・城郷村

→神奈川区、港北区域

・大綱村

→神奈川区、港北区域

*先述した『横浜市港北区皇国地誌』収載の大綱村郷土誌と同じものである。

・旭村

→鶴見区、港北区域

・生見尾村

→鶴見区域

・日吉村

→港北区域

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教育委員会事務局中央図書館調査資料課

電話:045-262-7336

電話:045-262-7336

ファクス:045-262-0054

メールアドレス:ky-libkocho-c@city.yokohama.jp

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