7月号 1人1台の端末でぐんぐん学ぶ「GIGAスクール構想」小・中学校現地リポート

※GIGAスクール構想
　文部科学省が提唱した「児童生徒向けの1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化された学びを全国の学校現場で持続的に実現させる」ことを目指した構想。横浜市では、2020年9月に「横浜市におけるGIGAスクール構想」を策定。

　まず、港南台第二小学校（港南区）に伺いました。
　見学させていただいたクラスでは、「理科」の授業で実験前の予想を立てていました。従来の授業であれば、挙手した児童が予想を発表する、というものでしたが、端末を導入することにより、児童が各々予想した内容が、前のモニターと児童の端末に表示され、先生はそれを見ながら、さまざまな考え方を拾っていく授業になっていました。

　授業の後、先生にお話を伺ったところ、「児童1人ひとりの考えが見えるので、みんながより多くの考え方に触れることができ、授業も能率的に進めることができる」とのことでした。そのほかにも、「映像や板書などを1人ひとりの端末にスムーズに共有できる」など、端末を導入したことによるメリットは多くあるようです。

　また、児童にも話を伺うと、「視覚的に楽しく学習できる」という声や、「教室での授業の他にも、体育の授業で走り方などのフォームチェックにも使えて便利」といった端末利用の可能性が広がる意見も出ていました。

　授業中は「ICT支援員」が見回りながらの声掛けや、児童からの呼びかけに応じて、個別丁寧に端末の操作方法の説明やアドバイスなどをして、フォローしていました。
　「ICTの活用」というと、どうしても得手不得手が出てしまいがちな分野に思えますが、このような体制で授業を受けられるのであれば、安心して授業に臨めますね。

　また、「社会科」の授業を行っていた別のクラスも見学させていただき、先生にお話を伺ったところ、「課外授業の際、端末のカメラで公園内にあるさまざまなもの（花や木だけでなく、防災倉庫など）を撮影する様子を目の当たりにし、児童があらゆるものに関心を持っていることに気づけた」というお話もありました。まさに、児童の数だけ学びの可能性があるということですね。

　次に、鴨志田中学校（青葉区）に伺いました。
　見学させていただいたクラスでは、「社会科」の授業で、歴史の調べ学習を行っていました。印象に残ったのは、端末・教科書・資料集などを相互に見比べながら、調べていたことです。

　授業の後、生徒と先生に話を伺ったところ、「インターネット上にはさまざまな情報が載っており、いろいろな考え方に触れ、多角的な視点を持つことができる一方で、情報の取捨選択の難しさがあるため、正しい情報を選択するという学習にもつながっている」「紙には紙の良さもあるので、全てをICT端末に頼るのではなく、うまく使い分けていくことが大切」とのことでした。
　また、「インターネット上では、わかりやすいレイアウトになっており、情報のまとめ方や人への伝え方なども自然と学べている」といったお話もありました。

　また、課題を先に終えた生徒は、端末を利用して、クラウド上にある小テストに取り組むなど、隙間時間の有効活用にも役立てていました。

　まだまだ活用が始まったばかりという中で、児童生徒や先生方が「これからどんな授業を受けられるのか」「どんな学びを展開させていけるのか」などと話している時の、期待を膨らませている表情が印象的でした。
　児童生徒一人ひとりの特性に応じた指導や、個別の興味・関心などに応じた学習を提供することを目指し、これからいよいよ本格化していく「ICT端末を活用した学び」に、無限の可能性を感じました。