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横浜市の水道システムの将来の方向性

最終更新日 2024年2月20日

概要

横浜市では、人口減少等により水需要の減少が見込まれる中、老朽化等による浄水場などの施設更新に係る財政負担の抑制や環境負荷の軽減等を図るため、上水道と工業用水道の水道システムの将来の方向性について検討してきました。その結果、令和22年度を目途に、上水道は小雀浄水場を廃止し、工業用水道は小雀沈でん池等(馬入川系統)を廃止し相模湖系統に統合することとします。

上水道の検討概要

上水道の概要とこれまでの施設整備

横浜市には、平成18年度時点で、ポンプを使わずに標高差を利用して水を自然流下で送る「道志川系統」と「相模湖系統」の川井浄水場鶴ケ峰浄水場西谷浄水場と、ポンプで水を送る「馬入川系統」の小雀浄水場の4つの浄水場がありました。
平成18年に策定した横浜水道長期ビジョンにおいて、取水施設から浄水場までの施設については、水需要に見合った規模で最適化することを目標とし、水源の水質に適した浄水処理を行う「1水源1浄水場」や、災害時等における停電の際にも安定して水源から水を送ることができる「自然流下系施設の優先的整備」の考え方を掲げ、施設整備を進めてきました。
これまでに道志川系統の川井浄水場の再整備の完了とともに、鶴ケ峰浄水場を廃止し、現在では相模湖系統の西谷浄水場の再整備を進めています。小雀浄水場については、将来の水需要の減少や施設の老朽化などにより、今後の整備の方向性を決めていく必要がありました。

位置図
上水道の施設概要


小雀浄水場の将来の方向性の検討

小雀浄水場は、高度経済成長期に伴う水需要の急増に対応するため、新たにダムの建設等の水源開発を行った上で、横浜市と横須賀市が共同で建設した浄水場です。
将来的に水道水の需要が減少傾向にあることから、小雀浄水場については、取水から浄水までの施設の更新にあたり多額の費用を要するほか、取水地点が相模川の下流のため、ポンプを使用して水を送るためエネルギー消費が大きいことや水質事故リスクが高いことを踏まえ、廃止を視野に入れ、将来の方向性を検討しました。
小雀浄水場の将来の方向性は、横須賀市と協議の上、①縮小して更新する案と、県内5水道事業者(外部サイト)の広域連携により神奈川県内広域水道企業団(外部サイト)の浄水場増強や送水管整備等を行った上で廃止する案について、給水の安定性やコスト、環境負荷の面から総合的に検討しました。

上水道(小雀浄水場)の検討結果

  • 給水の安定性については、②廃止案の場合は、広域連携により神奈川県内広域水道企業団(外部サイト)の浄水場増強や送水管整備等を行うことで、災害・事故等で1つの浄水場が停止した場合でもバックアップが可能となり、①更新案と同等の安定性を確保できます。
  • コストについては、②廃止案は①更新案に比べて、施設整備費で約194億円、維持管理費で年間約1.9億円から5.3億円の費用削減効果を見込めます。
  • 環境負荷については、②廃止案は①更新案に比べて年間約1,800トンから9,600トンの温室効果ガス排出量の削減効果を見込めます。

工業用水道の検討概要

工業用水道の概要とこれまでの施設整備

工業用水道(工水)は、主に工場で冷却用水、ボイラー用水、製品処理用水、洗浄用水として使われる水で、上水道とは別の管路を通して主に工業地帯にお届けしているものです。
横浜市の工業用水道には、ポンプを使わずに標高差を利用して水を自然流下で送る「相模湖系統」と、ポンプで水を送る「馬入川系統」の2つの系統があり、取水から工業用水道の処理施設(浄水場)までは上水道と同じ施設を使用しています。
「相模湖系統」については、沼本地点で取水した後、主に鶴ケ峰沈でん池へ水を送って処理し、鶴見区、神奈川区、西区、保土ケ谷区等の利用者(ユーザー企業)へ給水しています。「馬入川系統」については、寒川地点で取水した後、工水小雀沈でん池へ水を送って処理し、戸塚区、栄区、中区、磯子区のユーザー企業へ給水しています。
ユーザー企業は、市内の工業地帯などの事業者で、令和5年4月時点で67社です。


工業用水道の施設概要

工水小雀沈でん池を含む馬入川系統の将来の方向性の検討

馬入川系統の工業用水道施設は、高度経済成長期に造成された根岸湾臨海部や戸塚内陸部の大規模工業用地における工業用水の需要を満たすために整備されました。
その後、時代は変わり、カーボンニュートラルを目指す脱炭素化の流れや主力事業の転換など、ユーザー企業における生産体制の再構築が進み、将来は工業用水道の需要が減少していくことが見込まれます。
このことから、工水小雀沈でん池を含む馬入川系統施設については、更新にあたり多額の費用を要するほか、ポンプの使用によりエネルギー消費が大きいことなどから廃止し、自然流下系統の相模湖系統施設に統合することを視野に入れて検討しました。
このため、①小雀沈でん池等(馬入川系統)を更新する案と、②必要となる新たな管路等を整備し、相模湖系統に統合した上で小雀沈でん池等を廃止する案について、給水の安定性やコスト、環境負荷の面から総合的に検討しました。

工業用水道(馬入川系統)の検討結果

  • 給水の安定性については、②廃止案の場合は、必要となる新たな管路等を整備し、相模湖系統に統合することで、①更新案と同等の安定性を確保できます。さらに、すべて自然流下系統となるため、水質事故や停電リスクを低減することができます。
  • コストについては、②廃止案は①更新案に比べて、施設整備費で約292億円、維持管理費で年間約2億円の費用削減効果を見込めます。
  • 環境負荷については、②廃止案は①更新案に比べて年間約2,200トンの温室効果ガス排出量の削減効果を見込めます。

取水地点等の変更

小雀浄水場や工水小雀沈でん池等を廃止した場合、現在取水している寒川地点では取水しないこととなります。このことから、増強する企業団の浄水場が取水する社家地点に取水地点を変更することや、さらに上流のエネルギー面で有利な沼本地点での取水に変更することについて、河川管理者等の関係者と引き続き協議を進めていきます。
取水地点等の変更に係る協議については、神奈川県全体の水利用に係る計画を示す必要があることから、引き続き5水道事業者(外部サイト)で連携して取り組んでいきます。


取水の変更イメージ

水道システムの将来の方向性

検討結果や横須賀市との協議を踏まえ、必要な施設整備が完了する令和22年度を目途に、上水道は小雀浄水場を廃止、工業用水道は小雀沈でん池等(馬入川系統)を廃止し相模湖系統に統合することとします。
廃止後も小雀浄水場内にある既存の配水池は継続使用し、災害時給水所としての機能は維持していきます。
これにより、給水の安定性を維持しながら、市民やユーザーの負担を抑制しつつ、環境負荷へ配慮した、本市にとって最適な水道システムを実現します。


将来の本市の給水ゾーン図イメージ


今後の進め方

令和5年度中に、5水道事業者の施設整備計画を策定する予定です。
また、本市としては、既存施設の撤去などについての具体的な検討を進め、横須賀市などの関係者と協議の上、小雀浄水場の廃止に向けた計画を策定し、22年度の廃止に向けて取組を進めていきます。
あわせて、神奈川県内広域水道企業団(外部サイト)の浄水場増強や送水管整備、水利権の確保に向けた河川管理者等の関係者との協議について、県内5水道事業者で連携して取組を進めていきます。

このページへのお問合せ

水道局施設部計画課

電話:045-671-3061

電話:045-671-3061

ファクス:045-212-1158

メールアドレス:su-keikaku@city.yokohama.jp

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