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横浜市繁殖センターの事業詳細

最終更新日 2019年2月26日

カンムリシロムクは、インドネシアのバリ島にしか生息しない希少なムクドリの仲間で、野生での絶滅が危惧されています(平成28年12月現在 野生での生息数81羽)。横浜市繁殖センターではカンムリシロムク保全のため、飼育下繁殖に積極的に取り組み、現在およそ100羽を飼育しています。

カンムリシロムクの写真

平成15年3月に、横浜市はインドネシア共和国とカンムリシロムクの保全に協力する合意文書を締結し、これを基に平成16年4月に国際協力機構(JICA)草の根技術協力事業の採択を受けました。その後、平成26年度まで毎年、インドネシア共和国の研修員の受け入れや日本からの専門家の派遣を行い、インドネシアにおける保護活動や飼育・繁殖、環境保全に関する技術協力を行ってきました。また、これまでに160羽のカンムリシロムクを生息地であるバリ・バラト国立公園の繁殖施設や同鳥の血統を管理しているジャワ島にある動物園のタマンサファリ・インドネシアへ送りました。


インドネシアとの技術交流の様子の写真

これまでの活動により、バリ・バラト国立公園の繁殖技術は向上し、生息地周辺の住民と協働した保護活動が開始されるに至りました。平成25年度には、包括的なカンムリシロムクの保全計画が策定され、現在、本格的な野生復帰活動が行われています。

古賀賞の賞状と記念メダルの写真

このような繁殖センターでのカンムリシロムクの血統管理に基づく累代繁殖の実績とインドネシア共和国との野生復帰活動の成果が評価され、平成27年5月、公益社団法人 日本動物園水族館協会より「第29回古賀賞」が授与されました。古賀賞は、希少動物の保護増殖に大きく寄与した日本動物園水族館協会元会長で、上野動物園初代園長・古賀忠道博士の業績を記念して昭和61年に制定され、希少動物の繁殖にとくに功績のあった動物園や水族館に対して贈られる賞です。


カグーの写真


横浜市政100周年を記念して、平成元年5月に1ペアのカグーがニューカレドニア南部領土政府から横浜市に寄贈されました。また、平成7年度に横浜市とニューカレドニア南部領土政府は「横浜市とニューカレドニア南部領土政府の野生動物に関する交流合意書」を締結し、ニューカレドニアの固有種であるカグーやその他の希少動物の保全に関する学術交流と動物交換を行っています。


第11回カグー学術円卓会議風景の写真

平成20年8月22日には、第11回カグー学術円卓会議がニューカレドニアで開催され、横浜市の環境行政や繁殖センターにおけるニューカレドニアの希少鳥類の飼育・研究の成果を発表しました。また、同会議において、各国の有識者と幅広く討議を重ね、交流の成果を挙げています。
また、ニューカレドニアでは、カグーの生息数を向上させることを目標に、あらゆる分野の専門家が協力しあい、カグーの生態調査、生息環境の改善等に取り組んでいくことを趣旨とする、2020年までの長期的な計画(カグー・リカバリー・プラン)が立てられています。この計画が順調に進み、カグーの生息数が向上していくことが切望されます。

コアラの写真


飼育動物の外見から亜種や種の判定が困難な場合、DNA解析により検査個体の亜種名を特定できることがあります。
DDBJ(国立遺伝学研究所)などのDNAデータベースには、動植物のmt(ミトコンドリア)DNAのDNA(塩基)配列が多数登録されているので、検査個体のmtDNA上の遺伝子の塩基配列を解析し、データベース上のDNA配列と比較して、検査個体の亜種を判定します。

ハヤブサの写真

平成11年度以降、ローランドアノア(金沢動物園)、クィーンズランドコアラ(金沢動物園)、アジアゾウ(ズーラシア)、ハヤブサ(野毛山動物園)、タヌキ(野外採糞)について亜種判定、種判定を行いました。


カンガルーの写真


複数の雄がいる群れで飼育されている動物では、父子関係が不明瞭なことがあります。そこで、マイクロサテライトDNA多型を利用して、父子鑑定を試みています。
マイクロサテライトDNAは、AGやCTなど2塩基の組み合わせ配列が数回から数十回繰り返し並んだDNAで、その繰り返し数は極めて変異に富む配列です。そのため、個人識別や親子判定に良く用いられています。

フンボルトペンギンの写真

繁殖センターでは、横浜市立動物園で群れ飼育されているカンガルー類やフンボルトペンギンについて、親子判定を試みています。


雌雄判別を調べる電気泳動の結果画像

鳥類は外見から雌雄の判別が困難な種がいるので、市内の動物園で飼育している鳥についてはPCR法を用いて性判別を実施しています。
PCR法による性判別は、性判定が容易で確実であり、また少量の体組織(羽軸や血液など)しか使用しないため、鳥にダメージを与えることが少ない等の利点があります。

ウェルプレート

PCR法による性判別では、雌鳥のみに存在するW染色体上の遺伝子をPCR法により増幅し、W染色体の有無を確認することで、検査個体の雌雄を判定します。
平成11年よりこれまでに、17種類のプライマーセットを用い、コウノトリ(よこはま動物園)、ダーウィンレア(金沢動物園)、チリーフラミンゴ(野毛山動物園)、ペンギン類(全国の動物園・水族館)など156種の鳥類について性判別を行いました。


測定風景の写真

岐阜大学応用生物科学部動物繁殖学研究室の協力のもと、動物の糞中の性ホルモンの測定を行っています。飼育動物の繁殖生理が分れば、繁殖計画を立てたり、早期に妊娠を確定し出産に備えることができます。
一般的には、血液中のホルモンを測定しますが、動物の場合、採血できる動物は限られます。注射針を刺されることは、動物にとって大きなストレスとなります。また大型動物から採血する場合には人間にも危険が伴います。そこで、簡単に手に入れられる動物の糞を利用して性ホルモンを測定しています。


ウェルプレート

性ホルモンは、卵巣や胎盤、精巣などから分泌され、血流に乗り体内を巡り種々の生理作用を引き起こした後、肝臓で代謝され糞や尿として排泄されます。そこで糞を継続的に採取し、集まった糞から性ホルモンを抽出し測定すると、体内で分泌された性ホルモンの変動を予測することができます。


研究室

繁殖センターは開所以来、野生動物の配偶子等を-196℃の液体窒素に凍結保存しています。この技術は細胞を生きたまま半永久的に保存しておくことが可能となるため、絶滅に瀕する野生動物の種の保存を行うための手段となります。また、大きな動物を移動させずに交配することや、死亡した動物から精子や卵子を回収し保存しておくことができるのも大きな利点です。


凍結保存

これまで3つの市立動物園の飼育動物を中心に、マレーバク、オランウータン、コアラ、ジャガーなど50種以上の動物から配偶子を回収し保存してきました。配偶子の保存やそれを利用した人工授精技術はヒトや家畜では既に実用化していますが、野生動物に関しては技術確立している動物種は数えられるほどであり、実用化に向けた研究を進めています。


繁殖センター配偶子バンク保存動物種一覧(PDF:73KB)

平成26年3月からは、(公社)日本動物園水族館協会(JAZA)の「配偶子バンク」も設置し、全国の動物園が飼育する希少動物の配偶子の保管も行っています。災害などからの危険分散を目的とする他、全国の貴重資源をJAZAが所管し動物園での活用を進めることで希少動物の人工繁殖技術・研究の促進を図り、国内飼育動物種の保存を進めていくことを目的としています。

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このページへのお問合せ

横浜市環境創造局公園緑地部 動物園課 繁殖センター

電話:045-955-1911

電話:045-955-1911

ファクス:045-955-1060

メールアドレス:ks-hansyoku@city.yokohama.jp

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