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熱環境調査

最終更新日 2024年3月7日

環境科学研究所では、暑熱への適応に向けて現況の暑熱環境の把握や市民の快適空間創造のため、人が多く集まる市街地などでの暑さの実態調査や、暑さ対策の導入前後・暑さ対策を導入した場所としていない場所の比較などにより暑熱緩和効果の検証を実施しています。
このページでは、熱環境調査の一例をご紹介します。

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熱環境調査結果

暑さ対策の手法について

環境省のまちなかの暑さ対策ガイドライン(外部サイト)などで紹介されている各種暑さ対策技術について、効果の検証や普及啓発の支援をするため、熱環境調査を行っています。
暑さ対策の手法は方向別に「うえ」方向、「した」方向、「よこ」方向、「まんなか」の4つに分けることができます。


暑さ対策の方向別の分類と具体例のイメージ※

※「まちなかの暑さ対策ガイドライン(環境省,2018)」をもとに一部加工

樹木による緑陰

「うえ」方向からの日射を低減する昔からの方法として、樹木による緑陰があります。
休憩スペースや歩行空間に樹冠の大きな樹木を植栽することで、緑陰が形成され、日射を遮るため、体感温度を下げる効果があります。

グランモール公園での熱環境調査

公園の再整備が行われた横浜市みなとみらい地区にあるグランモール公園にて、
再整備前の2014年夏と再整備後の2018年夏で比較調査をしました。
再整備前と比べ、緑が増えて大きな緑陰が形成された効果により、気温や表面温度などが下がり、夏の暑熱環境が緩和していることを確認しました。


公園の再整備前後での赤外画像

人工日除け

「うえ」方向からの日射を低減する方法の1つとして、ひさしやテントなどの人工日除けがあります。
人工日除けの中の1つに「フラクタル日除け」というものがあり、これは樹木の葉の形状を模して放熱特性を高めることで日除け部分が熱くなるのを防ぐ日除けです。

横浜赤レンガ倉庫での熱環境調査

従来の人工日除けよりも暑さ対策効果が高いと言われているフラクタル日除けについて、
その効果について検証するため、2016年夏に横浜赤レンガ倉庫で熱環境調査を行いました。
調査の結果、日なたと比べると日除けの下では、日射量、気温、表面温度などが下がっていることを確認しました。


フラクタル日除けの可視画像と赤外画像

窓面などの再帰反射化

「うえ」方向からの日射には、直接降り注ぐ日射だけでなく、周囲のビルなどの建物から反射して
地表面に達する日射もあります。反射して地面に達する日射を抑制する方法として、窓面などの再帰反射化というものがあります。
再帰反射化の方法を取り入れた「熱線再帰フィルム」は、建物の窓に特殊なフィルムを貼ることで、窓に当たる日射の一部を上空に反射させて、歩行者の暑熱環境の悪化を抑制するものです。

小学校での熱環境調査


小学校での測定の様子

環境科学研究所では、2017年夏に公共施設を活用した実証実験を行い、
再帰反射化のフィルムは室内の暑熱環境を緩和する効果に加え、屋外の暑熱環境を悪化させないことを確認しました。

環境科学研究所で行った「フラクタル日除け」と「熱線再帰フィルム」の調査の取組は、国立環境研究所のA-PLAT(気候変動適応情報プラットフォーム)(外部サイト)でも紹介されました。

地表面などの遮熱化

「した」方向での暑さ対策として、地表面などの高温化を抑制する遮熱化があります。
地表面の遮熱化の一例として、「遮熱性舗装」があります。
遮熱性舗装は、舗装表面に日射を反射させる遮熱性材料を塗布することで、日射の一部を反射し、路面に吸収させる熱を減らすことで、路面温度の上昇を抑制するものです。

遮熱性舗装上での熱環境調査

環境科学研究所では、2016年夏に市内の道路に施行された遮熱性舗装上と通常舗装上で調査を行いました。
調査の結果、日中は通常舗装と比較して遮熱性舗装の表面温度がおよそ10℃低いなど、日中の歩行者の暑熱環境を緩和する効果が生じていることを確認しました。


通常舗装と遮熱性舗装の赤外画像

微細ミストによる冷却


ミストによる冷却の仕組み

「まんなか」での暑さ対策として、人の周りの空気を冷却することで身体に熱が溜まるのを防ぐ対策があり、一例として「微細ミスト」があります。
微細ミストは、ノズルから霧状の水滴を空気中に噴霧し、その直後に水滴が蒸発する際の気化熱を利用して、局所的に温度を下げる方法です。

ミストの冷却に関する熱環境調査

2019年夏に、磯子区役所前の歩道沿いにある藤棚に導入されたミストの冷却効果について、調査をしました。
日なたと比較するとミスト単体でも、熱中症の危険性を示すWBGTなどの体感温度の改善が見られました。
さらにミストと藤棚の日陰を組み合わせた場所では、WBGTなどの体感温度が最も改善されており、日陰と効率良く組み合わせることで、より一段と暑熱環境を緩和する効果が期待できます。


ミストの冷却効果のまとめ

調査結果の詳細は、横浜市環境科学研究所報第45号の50~57ページをご覧ください。

関連リンク(外部サイト)

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このページへのお問合せ

みどり環境局環境保全部環境科学研究所

電話:045-453-2550

電話:045-453-2550

ファクス:045-453-2560

メールアドレス:mk-kanken@city.yokohama.lg.jp

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