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第39回 横浜市公立大学法人評価委員会会議録

最終更新日 2020年3月6日

第39回 横浜市公立大学法人評価委員会会議録

【日時】平成23年8月5日(金曜日)14時~16時
【会議室】第一総業ビル4階会議室
【出席者】川村委員長、岸委員、桐野委員、山上委員
【欠席者】蟻川委員
【開催形態】公開(傍聴者0名)

【議題】
1 第37回及び第38回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)について
2 平成22年度公立大学法人横浜市立大学の年度計画における業務の実績評価について
3 その他

【配布資料】
資料1.第37回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)(PDF:282KB)
資料2.第38回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)(PDF:268KB)
資料3.平成22年度公立大学法人横浜市立大学の年度計画に対する各委員評価一覧(PDF:190KB)
資料4.各委員評価のまとめに向けた総合調整項目(PDF:117KB)

議題1:第37回及び第38回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)について

  • 事務局より、資料1「第37回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)」、資料2「第38回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)」について説明し、承認を得た。

議題2:平成22年度公立大学法人横浜市立大学の年度計画における業務の実績評価について

  • 議事に先立ち、法人から、医学部教員による学生暴行事件につき、記者発表資料等を配付し、事件の概要と顛末、再発防止への取組につき、説明した。
    【山上委員】本件については新聞報道で知ったが、ガバナンス、コンプライアンスについてのかねてからの不安が的中してしまったという思いだった。
    今回の事件は、特異な人物がたまたま引き起こしたものではなく、医学部の組織風土や所属する医師や教員の特権意識に根ざすものではないかと疑われても仕方のない事件である。
    まず、必要な事実確認を行わずに叱責を行うということ自体、民間企業などではありえないことであり、特に、今回のような、当事者の人権に関わる問題については慎重かつ十分な事実確認が必要であり、加害教員の行為はあまりに軽率で非常識だと思う。
    また、ハラスメント防止委員会が調査に着手したのが被害学生本人の申告を受けてからであったことも、事件の重大性からすれば、医学部内の調査委員会が調査に着手したとされる3月3日の時点で、医学部からハラスメント防止委員会に事件の報告をすべきであったのではないか。事件発生から被害学生による申立まで1か月以上あったことを考えると、被害学生は、このままだと医学部内で関係者の処分がなされることなく、加害教員が謝罪することをもって「穏便に」済まされてしまうと考え、申立に及んだのではなかろうか。
    そして、ハラスメント防止委員会が理事長・学長に調査結果を報告したのが、加害教員が被害学生による民事訴訟提起に係る訴状の送達を受けてから2日後であったことも、ハラスメント防止委員会が調査に着手したのが報告の2か月近く前であったことを合わせ考えると、ハラスメント防止委員会が学生の納得しうる対応をとらなかったことから、事件がうやむやにされてしまうと危惧した学生が提訴に及び、それを受けたハラスメント防止委員会が理事長・学長に報告し、そこでようやく大学が事態の深刻さに気づき、対応に乗り出した、ということではなかろうか。
    こうして見ると、今回のような事件への組織的対応という点においては、まだまだ改善の余地が残っているのではないだろうか。年度評価案でも触れられているが、本件は大変遺憾な事件だと思う。
    【桐野委員】山上委員が指摘するとおりだと考える。加害教員は、学生から受けた相談に対し適切に対応すべき立場でありながら、女子学生からの相談を個人で処理しようとしたことは、慎重さに著しく欠ける行動であり、理解に苦しむ。被害学生からの言い分は聞かず、反省文を提出させて片付けてしまおうというのは、教員という立場を笠に着たリンチとすら言えるのであり、絶対にやってはならないことであった。
    特に、今回のような事件は男女関係が絡む大変微妙な問題であり、両当事者の言い分をよく聞かずに対応すると、場合によっては当事者の人権を著しく損なう場合もあることから、丁寧かつ内々に対応する必要がある。今回こうした事件が起きたことは、非常に残念であり、極めてまずいことだったと思う。
    【岸委員】個別の問題点については、山上、桐野両委員から指摘があったとおりであると考えるが、更に2点指摘しておきたい。
    まず、4月28日には被害学生から民事訴訟を提起されており、5月24日には加害教員あてに訴状が送達されているのに、大学からの記者発表が7月29日になったという点についてであるが、事件の全容をきちんと把握する必要があるなど理由はあるにせよ、事件発生から公表までになぜ5ヶ月あまりもかかったのか。
    また、被害学生による民事訴訟提起から記者発表までの間に、法人評価委員会が2回も開催されているのに、報告がなかったのはなぜか。
    当事者や関係者の名誉やプライバシーなどに配慮し慎重を期するということも理解できなくはないが、今回の事件についての法人の対応は、法人としてのガバナンスに問題があることを象徴するものだと考える。この点は山上委員とまったく同意見であり、今回のような事件が起きた際の、事件の公表と必要な謝罪、事案の調査と解明、関係者の処分、顛末の報告といった一連の動作を組織全体で適時かつ確実に進めていくという点で、取組として非常に弱いと考える。特に、発表や公表の遅れは早期に改善してもらいたい。
    【山上委員】理事長と学長にはいつ事件についての報告が行われたのか。記者発表資料によれば5月26日に結果を報告したとあるが、理事長や学長はそれ以前に知っていたのか。
    【法人】概要について、2月25日に報告している。
    【山上委員】報告した際、理事長や学長から特別な指示はなかったのか。
    【法人】事実関係をすぐに確認し、当該教員本人が全面的に認めているならば、すぐに被害学生に謝罪するようにという指示があった。
    【山上委員】理事長や学長は、学生への謝罪のみで済むと考えていたのか。
    【法人】そうではない。厳正に処分するということを当初から前提にしていた。
    【山上委員】しかし、加害教員と学部長による、いわば医学部としての謝罪を受けたにもかかわらず、実際に被害学生は、ハラスメント防止委員会に被害を申告し、さらには加害教員に対して民事訴訟を提起している。
    このことを、謝罪から委員会への申告までの間においても、また、委員会への申告から提訴までの間においても、事件の公表や関係者の処分、それらの対応に関する進捗報告など、という、事件の真の解決に向けた動きが大学側に見られなかったことから、被害学生は、このまま黙っていたのでは、大学は謝罪で全てが解決したと考え何のけじめもつけてくれないのではないかと考え、勇気をもって行動に及んだのではないか。
    そうだとすれば、今回の事件は、こうした事件をできるだけ表沙汰にしたくないという隠蔽体質が、事件後の対応の甘さないしは時機に遅れた対応と相まって、事態を悪化させ、ひいては大学の名誉や社会的信用を大きく傷つけた事例といえ、最初に報告を受けた際の理事長や学長の対応は、事態の重大性についての認識において甘かったと言わざるをえないのではないか。
    ところで、ハラスメント委員会の委員長はどういう立場の方がつとめているのか。
    【法人】副学長が委員長をつとめている。
    なお、先ほどの回答に補足すると、2月25日に理事長および学長に報告を行い、その後弁護士に相談し、刑事事件に相当する重大な事件であるとの認識のもと、本学としては決して穏便に済ませようとしたわけではない。結果的にご指摘の通り発表等が遅くなったということはあるが、先方とのやり取りを続け、その結果、当該教員と医学部長等による被害学生宅への訪問と謝罪は、試験期間後の3月4日となった。ご両親も謝罪に納得したわけではなかった。大学側としても、謝罪によって片付いたとは考えておらず、謝罪後も、関係者から事情を聞くなどの調査を進めた。しかし、セクシャルハラスメント等についても確認しながらであったため、結果として時間がかかってしまったことは反省すべき点である。
    【桐野委員】加害教員が被害学生を他の多くの学生たちがいる前で罵倒したことは、発言の内容次第では相談をした女子学生をもそれらの学生たちの面前で傷つけることになったかも知れず、教員の言動としては理解しがたい。山上委員からも指摘があったが、加害教員の常識を疑う。
    【川村委員長】記者発表資料には、加害教員は事件の2日前まで被害学生と直接の面識がなかったとあるが、加害教員は被害学生の学年担任であり、事件までのほぼ1年間担任として被害学生の指導にあたっていたにもかかわらず、被害学生と面識がないというのはどういうことか。理解に苦しむ。
    ところで、本件において管理者としての責任を問われているのは医学部長のみであり、理事長や学長の責任については触れられていないが、法人として、理事長や学長には責任がないと判断したのか。
    【法人】今回の事件そのものについては、教室内で起きたものであり、記者発表資料に記載しているとおり、医学部の管理運営及び医学部学生や従事する教員を統括する医学部長の責任の範囲内であると判断した。その医学部長等を統括する理事長と学長の責任がまったくないというものではなく、今回はそのように判断した。
    【川村委員長】これだけ大きな事件であるにもかかわらず、トップの責任が問題にされていないことは疑問である。また、岸委員が指摘したとおり、本件につき当委員会への報告がなかったことには大いに疑問を感じる。医学部長の解任騒動があったときも、最初の報告では事件の内実が一切伏せられ、次の報告では、既に和解が成立したということで、やはり事件の内実への言及がなかった。こうした対応を見ると、法人としてのガバナンスがきちんと行われているのかが疑われる。事柄の軽重を適切に判断し、必要な報告なり公表は確実に行っていくべきではないか。説明責任を果たすという点で、今回の対応は非常に気になる。
    【桐野委員】医学部長の処分につき、記者発表資料に「事件後の対応にも不適切な面がありました。」と記載されているが、不適切な面とは具体的にどのようなことか。
    【法人】まず、事件直後の2月24日に、医学部長が当該男子学生を医学部長室に呼んで事情を聞いた際、暴力行為について当該教員から事前に報告を受けていたにもかかわらず、謝罪をしなかった。また、その際に関係のない女性教員を同席させたことにより、本人と両親が医学部の対応に不信感と不満を募らせてしまった。さらに、3月4日に自宅へ謝罪に訪れた際、その女性教員が同席していた理由を質問されたにもかかわらず、その理由をきちんと説明しなかったことから、当該学生やその両親の不信感をさらに募らせてしまった。つまり、当該学生に対して適時にしかるべき謝罪をしなかったばかりでなく、事情を聞く際に関係のない者を同席させ、無用な混乱を引き起こした、ということが、不適切な対応の中身である。
    【川村委員長】この後の議事とも関連することであり、本件については、平成22年度の業務の評価の中でとりあげることとし、報告についての質疑はここで一区切りとしたい。
    次に、議題2の中身に移りたいと思うが、資料3「平成22年度公立大学法人横浜市立大学の年度計画に対する各委員評価一覧」及び資料4「各委員評価のまとめに向けた総合調整項目」に基づき、項目ごとに検討を進めたいと考える。
    評価結果については、地方独立行政法人法により、当委員会が法人に通知するとともに設立団体の長である横浜市長に報告し、市長は当委員会が報告した評価結果を議会に報告することになっている。8月22日の委員会までに最終的なまとめをしたい。
    事務局より、スケジュール及び資料3「平成22年度公立大学法人横浜市立大学の年度計画に対する各委員評価一覧」及び資料4「各委員評価のまとめに向けた総合調整項目」を説明した。
    <1.大学の運営に関する目標を達成するための取組>
    【川村委員長】ここは大きく4つの項目に分かれるが、その内、項目(1)「教育の成果に関する目標を達成するための取組(以下「教育の成果」)」、項目(2)「教育内容等に関する目標を達成するための取組(以下「教育内容」)」については、コメントはあるが、どの委員の評価もB評価であるので、当委員会としての評価もB評価としたいがどうか。また、検討結果をまとめる際特にコメントすべきと思われることがあれば挙げてほしい。
    さらに、項目(3)「学生の支援に関する目標を達成するための取組(以下「学生支援」)」、項目(4)「研究に関する目標を達成するための取組(以下「研究」)」については評価が分かれているが、ここについても意見を伺いたい。
    【山上委員】項目(3)「学生支援」については、法人の自己評価と同じくB評価が妥当と考えた。積極的に取り組んでいることは理解するが、A評価とするほど際立った成果はなく、むしろこれまでの他の先進的な大学との遅れをようやく取り戻したということではないか。
    【桐野委員】実績報告によれば、就職決定率が93.5%だったとのことだが、これは、一般の大学の約7割という数字に比べ、大変良い結果であり、キャリア支援の取組の成果だと言える。ただ、先程報告のあった事件なども同じく学生支援の問題であり、そう考えると、A評価は妥当でないと考える。
    【岸委員】平成22年度において、学生支援に関する様々な取組が行われたという点については他の委員も同意見であり、私は当初A評価に値すると考えていた。しかし、先程の事件報告を受け、評価を再考しなければならないと考えている。
    【川村委員長】就職決定率が93.5%であったことについては、確かに全国の4年制大学の平均といわれる7割から8割に比べれば特筆に値するといえるが、国公立大学の平均といわれる8割から9割に比べれば必ずしも特筆に値するとはいえまい。また、就職者数をどうカウントするかについても、パートタイマー的なものが就職者数に含められているなど、算出の仕方に複数の考え方があるそうであり、キャリア支援の成果を就職決定率で判断するのは難しいと考える。
    【事務局】就職決定率についていえば、確かに計算方法として、母数を卒業生とする方法と就職希望者とする方法の2種類があり、文部科学省でもその2種類の就職決定率を算出した調査がある。
    ちなみに、横浜市立大学では、就職希望者を母数として計算している。
    【川村委員長】当初はA評価が妥当と考えた。特に、学生の自治団体との情報交換会を開催している点については、そうした取組は他大学においては案外なされておらず、大学における学生の位置づけを考えた取組という意味で優れた取組であると考えたからである。しかし今は、ここまでの検討を踏まえ、法人の自己評価どおりB評価が妥当と考えた。
    【川村委員長】特に異議がないようなので、項目(3)「学生支援」に対する当委員会の評価はB評価とする。項目(4)「研究」についてはどうか。
    【山上委員】B評価が妥当と考えた。科学技術振興調整費の交付継続が決まったことを重視すれば、A評価が妥当ということになるかと思う。法人の自己評価がA評価であるのも、科学技術振興調整費の継続が決まったことが根拠になっていると推察する。
    しかし、組織の点検評価システム構築が、研究院の再構築という事情もあり、翌年度に先送りされたことについては、他の委員からも遺憾の意が表明されているところであり、このことも合わせて考えれば、やはりA評価は妥当ではないと思う。
    【川村委員長】B評価が妥当だと考える。私は、かねてから指摘していた生命科学分野の再編につき、平成22年度中に完了できなかった点を重視している。生命科学分野の再編については、第1期中期計画において「生命科学分野の研究をより推進し世界的な競争力を高めるため生命科学分野の再編を推進する。」とうたわれていたが、取組の具体的なイメージが湧いてこない。
    国際総合科学部のコース再編において、理学系に生命医科学コースを設置するとのことだが、研究の推進という再編の狙いからは大学院の再編が当然問題になるところ、大学院レベルでは医系・理系が融合した生命医科学研究科を設置することを検討しているとのことであるが、実現にあたっての重要なポイントとなりうる医学研究科や木原生物学研究所との関係をどう整理するのか、どういうビジョンで生命医科学研究科を設置しようと考えているのかが判然としない。
    また、生命医科学研究科は学際的な研究領域を扱う、学部とは独立した研究科であると推察されるところ、大学案内の組織図を見る限り、横浜市立大学においては大学院が学部の延長ないし学部に付随する組織と位置づけられているようだが、仮にそうだとすると、生命医科学研究科は学内のどこにも位置づけられなくなってしまうのではないか。
    そもそも、大学院を学部との関係で組織上どう位置づけるかについては、学部(学士過程)と大学院は設置の目的やそこでの教育のレベルを異にするそれぞれ独立した組織であるというのが私の理解であり、今日の一般的な理解もそうであると考える。ところが、先ほど申したように、本学では、大学院がともすると学部の延長ないし付随組織と見られている一方、先端医科学研究センターが大学案内では医学研究科の下部組織として大学院に位置づけられているといったように、大学院と学部や研究センターとの関係を組織上どう位置づけるかというより根本的なところにおいて、ビジョンが明確な形で共有されていないように見受けられる。そうした状況のなかで、本当に第2期中期計画期間中に生命科学分野を再編できるのか、心配になってくる。
    科学技術振興調整費の継続交付が決まったことは高く評価するが、生命科学分野の再編については、基本的な部分について、足元が定まっていないように見受けられる。
    加えて、学術院の果たす役割についても、学術院は研究のみならず教育面でも全学出動を可能とするための組織で、かつ全教員が所属する組織であると聞いていたが、先程報告を受けた医学部における不祥事の処分が医学部の中で完結していることからすると、やはり教員の所属の実態は学部ということになっているのではないか。理念はよく理解できるが、実態がいま一つ伴っていないように見受けられる。
    以上を踏まえ、項目(4)「研究」の評価を集約したいが、意見が分かれていることから、ひとまずペンディングとしたい。
    <2.地域貢献に関する目標を達成するための取組>
    【川村委員長】項目2「地域貢献」は法人の自己評価、全委員の評価ともA評価であることから、特に異議がないようなので、当委員会としての評価はA評価としたい。
    <3.国際化に関する目標を達成するための取組>
    【山上委員】A評価が妥当と考えた。
    平成21年度のミッション・ステートメント作成を機に、遅れていた国際化への取組が動き出した。レベルとしては必ずしも十分とは言えないものの、平成22年度はこれまでで最も具体的な動きが活発になった年度だという印象を持っている。留学生の問題や他大学とのネットワークの問題など課題も残ってはいるが、年度単位で考えれば、平成22年度は、これまでで最も成果を上げた年度であったと考える。しかし、これも先程項目1(3)「学生支援」で検討したように、これまでの遅れをようやく取り戻したものとも言えることから、他の委員がB評価を妥当と考えたのであれば、自らの評価にはこだわらない。
    【岸委員】留学生の受入れについては難しい点があることは承知しているが、中期計画や年度計画が達成できなかったことから、A評価とすることは難しいと思う。努力と進展があったことは評価するが、留学生の受入れについてはやや不足していると感じる。
    【川村委員長】学生の海外派遣実習について実績を上げているようだが、交換留学や正規の留学を増やすなどして、国際化の一番のベースとなる留学生の派遣や受入れをもう少し増やせていればよかったということもあろうかと考える。
    以上の検討から、特に異議がないようであれば、当委員会としての評価はB評価としたい。
    <4.附属病院に関する目標を達成するための取組>
    【川村委員長】本項目は、項目(1)「安全な医療の提供のための取組(以下「安全な医療」)」、項目(2)「健全な病院経営の確立のための取組(以下「健全な病院経営」)」、項目(3)「患者本位の医療サービスの向上と地域医療への貢献のための取組(以下「患者本位の医療サービス」)」、項目(4)「高度・先進医療の推進に関する目標を達成するための取組(以下「高度・先進医療の推進」)」、項目(5)「良質な医療人の育成に関する目標を達成するための取組(以下「良質な医療人の育成」)」の5領域に分かれており、項目(2)「健全な病院経営」、項目(3)「患者本位の医療サービス」については評価が分かれているが、これらについて意見があれば挙げてほしい。
    ところで、DMATは今回の大震災においてどの大学附属病院でも派遣しているのか。
    【桐野委員】派遣している。横浜市立大学としてDMATを速やかに派遣したことは評価するべきだと思うが、横浜市立大学だけが速やかな派遣を行ったというわけではない。
    【川村委員長】DMATについては、センター病院が派遣していて附属病院が派遣しなかったことが気になった。両病院の役割分担を整理すればそういうことになるのかとも思うが、大学附属の病院としての基礎的な体質がしっかりしていれば、附属病院からも派遣が可能だったのではないか。
    【桐野委員】DMATは救命救急センターの医師を中心に編成するので、対応できる病院とそうでない病院がある。例えば、国立がんセンターでは、DMATは派遣しなかったが、放射性被爆対応のチームを派遣している。
    【川村委員長】桐野委員が言った意味で附属2病院が役割分担をしていたということか。
    【事務局】今回の震災では、両病院の役割に応じて職員の派遣を行ったと聞いている。
    【桐野委員】附属2病院への評価には、全体を眺めると、A評価に値する項目が少なからずあるように見受けられる。特に項目(3)「患者本位の医療サービス」については、達成度合いが計画を上回っており、A評価に値するのではないかと考える。また、項目(2)「健全な病院経営」については、数値目標をクリアしていない項目もあるが、例えば医薬材料費比率については、大学病院における治療や処置、手術などが概して大がかりなものになりがちなことからして、あまりにも比率に縛られてしまうと、必要な医療行為ができなくなってしまうおそれがある。数値目標を掲げるのであれば、むしろ後発医薬品の使用率を上げるなどの現実的な目標を掲げるなど、目標の設定自体を検討するのが良いと思う。
    こう考えると、項目(2)「健全な病院経営」についてはともかく、項目(3)「患者本位の医療サービス」についてはA評価としてもよいのではないかと考える。
    【川村委員長】項目(3)「患者本位の医療サービス」については、委員の3人がA評価としている。では、項目(2)「健全な病院経営」についてはどうか。医薬材料費比率の問題もあるが、全体としては非常によくやっているという印象を持っている。
    【山上委員】B評価が妥当と考えた。確かに、収益の増加については目標を上回っており、それが人件費比率の改善など、健全な病院経営に寄与したということができるとも思うが、他方において、当初計画に織り込んでいない診療報酬改定という外的要因もあり、また、医薬材料費比率で目標を達成できなかったことなど、全体としてA評価とするほどに計画を上回ったとは言えないのではないか。
    なお、項目(3)「患者本位の医療サービス」については、当初B評価が妥当と考えていた。評価のポイントは2つあり、1つは評価範囲の問題、もう1つは実績の捉え方である。
    まず、評価範囲の問題について。評価案のコメントを見ると、地域医療連携の体制整備が評価の前提にあるようだが、この点については地域貢献の評価に織り込んでおり、検討の対象からは外していた。
    次に、実績の捉え方について。待ち時間の短縮や地域医療連携強化については確かに評価に値すると思うが、それ以外に実績としてあげられていたことは従来からの取組の継続に過ぎず、特筆すべき評価とは認められないと考えた。
    ただ、一つの取組を多面的に評価すれば、地域医療連携強化は地域貢献の面からだけでなく、患者本位の医療サービスの面からも評価しうるとも考えられることから、これがプラスの評価であれば、多面的に評価しても良いと思う。
    項目(3)「患者本位の医療サービス」については、その意味でA評価が妥当と考えた。
    【川村委員長】項目(4)「高度・先進医療の推進」については法人、委員ともB評価、項目(5)の「良質な医療人の育成」については、委員の1人がC評価としているが、この点についてはどうか。
    【岸委員】項目(5)「良質な医療人の育成」については、当初C評価が妥当と考えていた。一番の理由は、医療用麻薬の不正使用事件が発生したことであるが、今はむしろ別の項目で評価すべきことだと思い直している。ただ、この事件は、医薬品の管理という基本事項の徹底を疑わせるものであり、項目(2)「健全な病院経営」をA評価とするのは妥当でないと考える。
    以上を要するに、項目(2)「健全な病院経営」についてはB評価、項目(5)「良質な医療人の育成」については、平成22年度に限ってはB評価が妥当と考えた。
    【川村委員長】委員のコメントを見ると、医療用麻薬の不正使用事件については、多くの委員が項目5「法人の経営に関する目標を達成するための取組(以下「法人の経営」)」の問題として評価したようであり、項目(5)「良質な医療人の育成」について評価が分かれたのは、評価の視点の違いによるものと言えよう。
    項目(1)「安全な医療の提供」については1人の委員がA評価としているが、この点はどうか。
    【岸委員】A評価が妥当と考えた。確かに、やるべき事をやっただけという点ではB評価ということになるかとも思うが、今年度はそれに加えて様々な取組を進めたという点を評価したい。
    【川村委員長】項目(1)「安全な医療の提供」、(2)「健全な病院経営」については、計画通りにやるべきことをやったという意味で、B評価と言うことになろうかと考える。
    以上の議論を踏まえ、特に異議がなければ、当委員会としての評価は、項目(1)「安全な医療の提供」についてはB評価、項目(2)「健全な病院経営」についてはB評価、項目(3)「患者本位の医療サービス」についてはA評価、項目(4)「高度・先進医療の推進」はB評価、項目(5)「良質な医療人の育成」についてはB評価、項目4「附属病院」全体についてはB評価ということにしたい。
    <5.法人の経営に関する目標を達成するための取組>
    <6.自己点検・評価・認証評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標を達成するための取組>
    <7.その他業務運営に関する重要目標を達成するための取組>
    <8.予算、収支計画及び資金計画>
    【川村委員長】評価案を再度確認すると、項目5「法人の経営」中、項目(1)「経営内容の改善に関する目標を達成するための取組(以下「経営内容の改善」)」についてはA評価が1人で残りはB評価、項目(2)「業務運営の改善及び効率化に関する目標を達成するための取組(以下「業務運営の改善及び効率化」)」については法人の自己評価を含め全員がC評価、項目(3)「広報の充実に関する目標を達成するための取組(以下「広報」)」については1人がA評価で残りはB評価である。また、項目6「自己点検・評価」は全員B評価、項目7「その他業務運営」については基本的にはB評価である。
    項目5「法人の経営」全体につき、ここまでの検討を踏まえてどう評価するか。
    【山上委員】C評価が妥当と考えた。
    医師と看護師による医療用麻薬の不正使用、医学部長の人事に係る混乱、医学部における学生へのハラスメントと、個々最近不祥事が続発しているが、このことは関連のない単発の事故がたまたま続いたということではなく、法人のガバナンスやコンプライアンスにかねてから内在していた問題がここへきて噴出したということではないかと考えている。
    【桐野委員】山上委員からの指摘にあったとおり、ここ最近の一連の不祥事は、相互に関連のない事件がたまたま続いたということでは片付かない問題だと考える。
    まず、医療用麻薬の不正使用について言えば、そうした事件はこれまで世の中のあらゆる所で発生していることから、麻薬の管理は特に厳重にしなければならない、ということは分かっていたはずである。また、ハラスメントの問題についても、たまたま1人だけ教員の資質が疑われるような人物が事件を起こしたというものではないと考える。
    そして、医学部長の人事に係る混乱については、法人及び大学のトップである理事長と学長が1度学部長職の解任を通告したのも関わらず、和解を理由に解任を撤回してしまうということは、世間で通じる話とは思えない。もし実際に解任が相当であったならば最後までそう主張すべきであり、今回のようにたやすく和解するということは、責任ある立場にある人物がとるべき態度ではないと考える。
    以上から、C評価が妥当であると考える。
    【岸委員】山上、桐野両委員の考えは理解できる。ただ、C評価とするならば、項目(3)「広報」はともかくとして、前提として項目(1)「経営内容の改善」と項目(2)「業務運営の改善及び効率化」のどちらがあるいは双方がC評価である必要があると考えるが、ガバナンスやコンプライアンスの問題はいずれにも位置づけられず、そうであれば、ガバナンスやコンプライアンスの問題はC評価の理由とはなりえないのではないか。
    ガバナンスやコンプライアンスの問題については、総評部分においてコメントすることとし、項目5「法人の経営」の評価要素から除き、その結果がB評価であれば、やはりB評価とすべきではないか。
    ちなみに、項目(1)「経営内容の改善」については、経理面の大幅な進歩や改善の実績から、A評価が妥当と考えたが、その評価が仮に妥当だとした場合、項目5「法人の経営」についての評価がC評価になることはなおさら考えにくい。
    【川村委員長】ここ最近生じた不祥事とその根底にある問題に鑑み、一度はD評価が妥当であるとまで考えたが、それによって今年度における他の特筆すべき努力や成果が吹き飛んでしまうことは忍びないと考え、C評価としたうえで、不祥事やその根底にある問題については、総評部分で指摘するのが良いと考える。
    個別に見ればA評価に相当する取組もあったものの、ここまでの検討を踏まえ、特に異議がなければ、項目5「法人の経営」全体についてはC評価、項目(1)「経営内容の改善」についてはB評価、項目(2)「業務運営の改善と効率化」についてはC評価、項目(3)「広報」についてはB評価としたい。
    また、項目6「自己点検・評価」、項目7「その他業務運営」については、ほぼ全員がB評価としているので、B評価としたい。
    項目ごとの評価項目集約は、ペンディングとした項目を除き終了したが、特に指摘しておきたいことがあれば挙げてもらいたい。
    【桐野委員】資料3「平成22年度公立大学法人横浜市立大学の年度計画に対する各委員評価一覧」備考欄のコメント中に、「医学部長選任問題」という記載があるが、これは「選任」でなく「解任」ではないか。また、(1)人事案件で訴え、(2)学生より教授に対しての損害賠償の訴え(新聞報道)、という記載があるが、ここははっきりと、(1)医学部長解任問題、(2)教員の学生に対する暴力行為、と書くべきだと考える。
    【川村委員長】全体的にガバナンスに問題があるということ、大学病院において、本来の教育と研究、診療に教員の力が十分発揮され、その基本的使命が実現できるようにすること、の2点は指摘しておきたい。
    最後に、先程ペンディングにした項目1(4)「研究」につき、当委員会としての評価を集約したい。
    【山上委員】先程指摘したとおり、B評価が妥当と考えた。科学技術振興調整費の交付継続を獲得したことは大きな成果であったと思うが、研究院・学術院の問題や、川村委員長から指摘のあった医科学分野の再編成が整理されておらず、かなり前から問題になっているのに進展が遅いように見受けられる。B評価というのは決して低い評価ではなく、計画を着実に推進したという意味で、良い評価であるということは、改めて言っておきたい。
    【川村委員長】他に意見がなければ、項目1(4)「研究」について、当委員会の評価はB評価としたい。
    以上で全ての検討が終了したが、最後に、全体を振り返っての意見等があれば挙げてもらいたい。
    【山上委員】目標設定、達成に向けた取組、評価を項目ごとに行うという方法は、結果として法人経営全体を通じて存在する根本的な課題や問題を見えにくくし、危機意識を希薄にしてしまうのではないか、という問題意識を持っている。
    第2期中期計画の達成に向けた取組を進めるにあたっては、法人の風土ないし体質を根本から見直すくらいの意識を持ってもらいたい。今回、項目5「法人の経営」について、当委員会の総意としてC評価としたが、この評価には、そうした問題から逃げずに正面から向き合ってもらいたいという思いがこもっていると、委員の1人として理解している。
    【桐野委員】同感だが、それに加え、大学として目指すレベルをもっと高く設定して欲しいということを付け加えたい。例えば、科学技術振興調整費の自己評価において「公立大学で唯一」というくだりがあったが、国立大学やトップクラスの私立大学では、すでに世界の大学との競争、具体的には、国際ランキングを視野に入れて取組を進めており、我が国の大学にも上位にランクされている大学は存在するのであるから、そうした大学に伍して取組を進めていくという気概を持って欲しい。確かに公立大学には国立大学や私立大学にはない良さや役割があると思うが、同じ大学である以上、やはり国立大学やトップクラスの私立大学との競争は避けて通れない道であると考える。このことを、執行部にはよく考えてもらいたい。
    【山上委員】教職員が改善や効率化のための取組を懸命に進めていることは理解できるが、第1期中期目標期間の最終年度という大事な時期に低レベルの不祥事が続発したことは、かえすがえす残念である。大学の品格というものに対する意識を上げていって欲しい。良い意味でのプライドを持って欲しい。
    【岸委員】その通りであり、そのためには組織としての体制ないし風土を抜本的に改めないと、今後も同じようなこと問題や事件が起きると考える。法人全体のガバナンス強化についてみるならば、上場企業で行われている「内部統制制度」を導入するということも、検討されてよいと思う。すなわち、「内部統制制度」は本部長クラスの経営幹部が陣頭指揮をとり、外部監査人の指摘や協力を得つつ、グループ会社や海外現地法人をも対象として、年間を通じて行われるものであり、こうしたケースにおいてはこう対応する、というレベルのことまで含めた検討や改善が行われている。上場企業の場合はこうした制度が事実上義務付けられており、また、多額の費用がかかることもあり、企業からの評判はあまり良くないが、これによって組織の体制や意識は確実に変わっていく。そもそも内部統制の強化は、費用や手間をかけずに図りえないのであって、委員会を立ち上げる、規約を作る、研修を実施する、といったことだけでは、取組としては全く足りない。トップ以下、組織全体として考え、取り組んでいくべき問題である。既に法人は監査法人による会計監査を受けており、その中で内部統制についても点検しているのであるから、そうしたこれまでの取組を利用しつつ、監事の協力も得ながら、何より法人トップである理事長が、自身のリーダーシップと責任のもと、内部統制強化に主体的に関与していく必要があると思う。そうしないと、今後も事後的対応を繰り返すだけになり、改善はおぼつかなくなる。
    【川村委員長】国公立大学の法人化は新しい取組であり、基本的に自律性の強いヨコ社会である大学に法人という組織がどこまでなじむのかという問題もあるが、法人化が進んだ背景には、複雑、高度化する社会の中で大学の良さをより大きく伸ばして行くには従来の運営方式より法人化した方が良いという社会としての判断があったのだと思う。そうしたなかで、法人の経営トップには、大学という、一般社会とはやや異なる自律性をもつ社会を運営していくという意味でのより強い緊張感、責任感、大局観に立ったリーダーシップや、自ら先頭に立って組織を良くしていくという姿勢が強く求められると考える。このことは、当委員会でもしばしば議論になったことではあるが、今回立て続けに生じた不祥事をきっかけとして組織の体制や風土について議論できたのは、ある意味で不幸中の幸いであったと考える。
    なお、設立団体においても、当委員会が強い危機感を持っているということを是非理解して欲しい。
    【事務局】法人のガバナンスやコンプライアンスについては委員からの指摘のとおりであると考える。第2期中期目標はガバナンスやコンプライアンスを強く意識して作成しており、法人の中期計画にもこの点は反映されていると理解しているが、本日の指摘については、再度検討したいと考えている。
    【川村委員長】評価については、以上の検討をベースに評価結果の素案を事務局で整理し、それを基に確認を進めることとする。

議題3:その他

  • 特になし

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