このページの先頭です

横浜市繁殖センターの飼育鳥類3

最終更新日 2023年4月11日

ミゾゴイ・スバールバルライチョウ・ニホンライチョウ・カワラヒワの紹介

繁殖センターで飼育しているミゾゴイスバールバルライチョウニホンライチョウカワラヒワを紹介します。

ミゾゴイ Japanase Night Heron

<学名> Gorsachius goisagi

サギ科の鳥で、日本には繁殖のため夏に飛来する渡り鳥です。日本以外での繁殖はほとんど知られていません。越冬はフィリピンや台湾で行うとされています。
日本では、丘陵や低山の茂った林で暮らし、サワガニ、カエル、魚類、昆虫、ミミズなどを食べています。体の上面は暗褐色、腹面には白地に黒褐色の縦班があります。この腹面の縦班は保護色の役割を果たしており、危険を感じると首を伸ばして嘴を上に向け、腹面を相手に向けて木の枝に擬態します。
かつては横浜の里山にも普通に飛来していましたが、生息地の減少で数が減り、現在ではめったに見ることのできない鳥になってしまっています。IUCNのレッドリストではEN(絶滅危惧種)に分類されています。
それまでにミゾゴイは長期に飼育された事例がほとんどありませんでしたが、横浜市の動物園では、2004年から野生で傷ついて保護されたミゾゴイを全国から集め、個体数を増やすために飼育下での繁殖に取り組んできました。繁殖センターでは、2015年に世界で初めて、ミゾゴイの飼育下繁殖に成功し、以降毎年繁殖を続けています。この鳥の保全のため、飼育繁殖技術の確立を目指し引き続き飼育に取り組んでいきます。

スバールバルライチョウ Svalbard Rock Ptarmigan

<学名> Lagopus muta hyperboreus

ライチョウは北極周辺のツンドラや高山に生息する鳥で、20を超える亜種に分類されています。スバールバルライチョウはノルウェーのスバールバル諸島やロシアのフランツ・ヨーゼフ諸島に生息する亜種です。日本の高山に住むニホンライチョウもライチョウの亜種の一つになります。
スバールバルライチョウは、ライチョウの中では最も北方に分布する大型の亜種とされています。羽毛は保護色の役割を果たしており、冬は全身白く、夏は黒褐色に変わります。食性は主に植物食で、草の葉や芽、茎などを食べています。
繁殖センターでは、環境省や国内の動物園と協力してニホンライチョウの生息域外保全に取り組んでおり、そのために近縁のスバールバルライチョウも飼育して、ライチョウの飼育繁殖技術の向上につながる様々な調査を行っています。

ニホンライチョウ Japanese Rock Ptarmigan

<学名>Lagopus muta japonica

ニホンライチョウは本州中部の高山帯に生息するライチョウの亜種です。ライチョウの亜種の中では最も南に分布しており、氷河期に日本まで分布を広げたライチョウの祖先が、その後の温暖化とともに気温の低い高山に生息の場を移して、現在まで生き残ってきたものと考えられています。
ニホンライチョウは日本の高山の環境によく適応し、高山植物の芽や葉、種子などを食べ、ハイマツの下に巣を作って繁殖します。また、ニホンライチョウはあまり人を恐れませんが、これは外国の亜種には見られない特徴です。
ニホンライチョウは、近年、温暖化に伴う生息環境の変化によって生息数を減らしており、環境省の作るレッドリストで絶滅危惧ⅠB類に分類されています。そのため環境省はライチョウ保護増殖事業計画を策定してその保護に取り組んでおり、生息域外保全の分野では、環境省と日本動物園水族館協会、協会加盟園館が協働して取り組みを進めています。
繁殖センターでもニホンライチョウを飼育して、飼育繁殖技術の向上につながる知見の集積や、野生復帰させることができる資質を備えたライチョウを育てるにはどうすればよいかなどについて、他の動物園と共同して調査を進めています。

カワラヒワ Oriental Greenfinch

<学名>Carduelis sinica

 カワラヒワはその名の示す通り、河川敷など低地の開けた草地に普通に見られるヒワの一種です。体長は14cm前後とスズメと同じくらいの大きさで、羽を広げると黒褐色の翼に黄色い縞模様が目立つのが特徴です。
 神奈川県内では1年中見られますが、実は年中見られるのは別名コカワラヒワ(C.s.minor)と呼ばれる亜種で、冬になるとカムチャッカなどからオオカワラヒワ(C.s.kawarahiba)という別の亜種も越冬のために渡ってきます。オオカワラヒワはコカワラヒワよりも一回り大きく、黒っぽいコカワラヒワよりも灰色味が強い、翼の灰白色の部分がより白いなどの特徴があります。また本州では、大きさや色がこれらの中間型のカワラヒワも同じ時期に見られるようになりますが、研究者によってはこれをカラフトカワラヒワ(C.s.sitchitoensis)という別の亜種に分類しています。ただ、これらの亜種の遺伝的差異は小さく、北に行くにつれて体が大きく、色がより白っぽくなるという、いわゆる地理的クライン(連続変異)として考えるべきだとも言われています。

オガサワラカワラヒワ(学名:Carduelis kittlitzi)※本種は飼育しておりません。

 オガサワラカワラヒワ は、当初、小笠原諸島に生息するカワラヒワの亜種とされていましたが、近年の研究で106万年前に分岐した独立種であることが分かりました。生息数は200羽足らずと大変少なく、日本で最も絶滅の危機にある固有種と言われています。
 現地でのオガサワラカワラヒワの保全活動をサポートするため、当センターでは、(公社)日本動物園水族館協会(JAZA)からの協力依頼に基づき、近縁種カワラヒワの試験飼育を通じて、カワラヒワの生態の解明や飼育繁殖技術の確立に取り組んでいます。

このページへのお問合せ

横浜市環境創造局公園緑地部 動物園課繁殖センター

電話:045-955-1911

電話:045-955-1911

ファクス:045-955-1060

メールアドレス:ks-hansyoku@city.yokohama.jp

前のページに戻る

ページID:782-132-622

先頭に戻る