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雨水をゆっくり流す(雨水浸透)効果【第二報】
最終更新日 2024年5月13日
雨水浸透ますの設置促進の効果(実験結果)
- 一団地で年間あたり、25mプール約70杯分を地下に浸透させることができます。
ただし、弱い雨で試算した場合[3(2)ア参照]です。 - 激しい雨に対して、5~10%程度の削減効果があり、浸水被害が軽減されます。
ただし、1haあたり25~43個で試算した場合[3(2)イ参照]です。
1 目的
雨水浸透ますの設置促進は、地下水の涵養や水循環の再生、雨水の流出抑制等の効果があります。今回、団地にまとまった雨水浸透ますを設置した場合の流出抑制効果(雨水を地中に浸透させる効果)を調査しました。
2 調査内容
(1) 場所および規模
項目 | 旭区上白根地区 | 瀬谷区阿久和東地区 |
---|---|---|
排水面積 | 12.6ha | 6.8ha |
設置個数 | 316個 | 291個 |
設置密度 | 25個/ha | 43個/ha |
案内図 |
接続・街きょます450mm
※一般に、20個~40個/haあれば流域全体で効果があると言われています。
(2) 比較対象
項目 | 設置前 | 設置後 | |||
---|---|---|---|---|---|
期間 | H16.9.1~H17.12.31 | H18.6.1~H18.10.31 | |||
場所 | 上白根 | 阿久和東 | 上白根 | 阿久和東 | |
降雨回数(回) | 143 | 139 | 54 | 53 | |
降雨規模 (大きな雨) | 最大総降雨(mm) | 278.0 | 254.5 | 120.0 | 111.5 |
最大時間雨量(mm/h) | 58.0 | 31.5 | 61.0 | 57.5 |
(3) データおよび解析方法
ア データ
降雨量、下水管の流量
イ 解析手法
流出解析モデル(=専門的な技術計算ソフト)に雨水浸透ますの機能を組み込み、設置効果を確認する。
- 浸透施設設置前の流量調査結果(降雨量、下水管の流量)をもとに、各地区の雨水がどのように流れ出すか(流出率など)を設定
流出率:降った雨が地表に流れでる割合。ます浸透能:雨水浸透ますは、雨どい等からの雨水が地表に流れ出る前に地下に浸透させますので、その能力のことです。 - 浸透施設設置後の流量調査結果(降雨量、下水管の流量)をもとに、各地区における雨水浸透ますの浸透能力を設定
(各地区の土質により浸透能力が異なるため) → 3(1)へ - 実績降雨を用いて雨水の流出量を、浸透施設が無い場合(設置前)と、ある場合(設置後)について算定
- 算定結果を比較することで、浸透効果を検証 → 3(2)へ
3 効果分析
流出モデルによる解析結果の代表例
- 観測期間中の平均的な降雨(観測期間では、降雨量が少ない年でした。)
総雨量、1時間あたりの雨量、そして雨の継続時間が平均的な雨を見ると観測期間中の降雨記録から、総雨量16mm、1時間あたり5mm、降雨時間6時間の「弱い雨」でした。 - 弱い雨における浸透効果
1年間の浸透効果の試算
2地区では、1年間に100回程度雨が降ります。そこで「弱い雨」が100回降ったと仮定して、1年間の浸透効果を試算すると次のようになります。
項目 | 旭区上白根地区 | 瀬谷区阿久和東地区 | |
---|---|---|---|
地区概要 | 排水面積 | 12.6ha | 6.8ha |
ます設置数 | 316個 | 291個 | |
弱い雨1回の地区全体の浸透量 | 369m3 | 333m3 | |
1年間(100回) の浸透量 | 地区全体 (25mプール換算※) | 36,900m3 (約74杯分) | 33,300m3 (約67杯分) |
ます1個あたり (20L灯油缶換算) | 117m3 (5,850本分) | 114m3 (5,700本分) |
※25mプール:長さ25m×幅16m×水深1.3m=520m3→500m3と仮定
各地区とも、25mプールに置き換えると年間70杯程度、ます1個あたりでは20L灯油缶で年間5,700本程度の雨水が地下に浸透し、地下水涵養などに役立つことになります。
激しい雨(1時間あたりの雨量が30mm~50mm)のとき、浸透効果は、今回の調査地区でそれぞれ次のようになりました。
調査地区 | 旭区上白根地区 | 瀬谷区阿久和東地区 | |
---|---|---|---|
浸透施設の設置密度 | 25個/ha | 43個/ha | |
下水管に流入する総流量 に対する浸透量の割合 | 50mm/hのとき | 4.9% | 10.1% |
※算定条件:降雨強度式を利用。降雨継続時間は1時間とした。
今回の調査事例では、50mm/hの激しい雨に対し1haあたり25~43個の雨水浸透ますを設置すれば総流量に対して5~10%程度の削減効果が見込まれます。
ウ 課題
今回の実験結果は、雨水浸透ますを設置してから1年程度のため、ごみや落ち葉等で詰まっていませんが、効果を継続するためには、清掃等、市民の皆様のご協力が必要です。
このページへのお問合せ
下水道河川局マネジメント推進部マネジメント推進課(計画)
電話:045-671-2838
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ファクス:045-664-0571
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