ここから本文です。

過去登壇企業インタビュー【株式会社髙島屋横浜店】

今回のインタビューでは、株式会社髙島屋横浜店の障害者雇用の取組だけでなく会社全体の取組について、株式会社髙島屋人事部ダイバーシティ推進室室長三田様、人事部横浜店人事グループのグループマネジャー小泉様、同じく人事チーム(ワーキングチーム)のチームマネジャー織田様にお話を伺いました。

最終更新日 2021年1月6日

株式会社髙島屋について

株式会社髙島屋(以下、髙島屋)は1831(天保2)年に創業し、来年に190周年を迎えます。現在の事業は、百貨店事業、法人事業、通信販売事業等で、国内に17店舗、海外に4店舗を展開しています。従業員数は単体で8,358名、そのうち障害のある社員は137名です。
株式会社髙島屋横浜店(以下、横浜店)は、1859(昭和34)年10月に開店し、昨年60周年を迎えました。従業員数は1,197名、そのうち障害のある社員は23名です。 ※2020年6月1日現在


横浜店での障害者雇用の取組

横浜店で働く障害のある社員は、身体障害者9名(うち重度6名)、知的障害者13名(うち重度5名)、精神障害者1名です。※2020年6月1日現在
障害者雇用については、30年以上前から取組んでいましたが、当初は、社員食堂の洗い場や売場の電話注文承り等、業務範囲は限定的でした。店内には、他にも入社後に後天的に障害を伴った方も勤務していましたが、まだ十分に取組めていない状況でした。
2006年に社員食堂の縮小・閉鎖があり、これが転機となりました。当時、障害のある社員が2名洗い場等で勤務していましたが、食堂の閉鎖により、2名の職務開発と加齢に伴う退行現象に対応した作業適正とのマッチングを行う必要性が出てきました。
当時の人事グループマネジャーが横浜市障害者就労支援センターへ相談し、全社で初めて企業内ジョブコーチを採用しました。「10年以内に障害者雇用を安定させる」ことを目標に、2007年3月に人事グループ事務所の一角に、ジョブコーチ1名と知的障害者2名から成る「ワーキングチーム」が発足しました。ワーキングチームの仕事は、ジョブコーチが店内の売場や後方部署に出向いてヒアリングした上で請け負い、各売場や後方部署で販売に付随する準備作業を、着実に、確実に、ひとつずつ行ってきました。

ワーキングチームについて

横浜店のワーキングチームはチームマネジャー1名、ジョブコーチまたは障害者職業生活相談員3名、障害のある社員18名の計22名で構成され、事務所内で事務作業に当たる事務所勤務と食料品フロアで品出し等行う食料品担当に分かれて仕事をしています。
2007年ワーキングチーム発足時は、障害のある社員は新卒2名でスタートし、その後も新卒を中心に採用しています。発足当初のメンバーは勤続13年を迎えています。また、旧社員食堂からの配置転換で、年長者では勤続35年以上の方もいます。現在は、20代前半から30代前半の方が中心で、平均年齢は34.5歳です。
当社における「ワーキングチーム」の意義を考えてみますと、2つあります。
ひとつ目は、「安定した障害者雇用と職務開発」です。民間企業ですから、当然営利目的、利益追求し、成果を出すことが求められます。そのような中で、障害者雇用は義務や貢献という意識ではなく、重要な戦力として位置付けています。ワーキングチームではなく、店内の売場やその後方部署の所属で現場に配役されている障害者もいますが、ワーキングチームには、力を集積することで得られる業務内容や業務量があります。
ふたつ目は、「売場の販売スタッフの販売時間の創出」です。現在、ワーキングチームでは売場後方業務や後方部署の約400種の業務を請け負っていますが、売場の販売スタッフに代わって後方業務を行った結果、売場販売スタッフが店頭で接客する時間が増えることにつながっています。これを当社では「販売支援」や「売場支援」と呼んでいます。
ワーキングチームでは、事務所内でパソコンでの出力・印刷、封入封かん、箱の組み立て、ラミネートなどの軽作業や、食料品売場で商品の品出し、カゴの片づけ、夕方宅配便の商品の運搬等の作業を行っています。

横浜店ワーキングチームの売場支援メニュー(事務所内作業)

横浜店ワーキングチームの売場支援メニュー(事務所外作業)


新型コロナウイルス拡大に伴う緊急事態宣言

横浜店では、緊急事態宣言発出以降、食料品フロアのみ営業していました。ワーキングチームの食料品担当のメンバーは通常通り出勤し、品出し、配送品回収、夕方宅配便の運搬などを遂行しました。
日ごろより、販売部からの絶大な信頼を受けており、現場から通常勤務の継続要望が強く、メンバーもその責務に意気を感じて連日出勤し、売場支援を行いました。
一方で、事務所勤務の社員は自宅待機(臨時休業取得)となりました。一部社員については、長期間業務から離れたことにより、自宅待機解除後に、順応に手間取った社員もいましたが、ジョブコーチが作業の基本の反復や練習などの振り返りを中心に、個別に十分に時間を取り指導を行いました。現在は、コロナ前の状況と変わらない勤務ができるようになりました。
また、職務開発の一環で、新型コロナウイルスの感染対策として、新たに社員食堂のテーブル除菌清掃などを始め、新たな仕事のチャレンジを通じてモチベーション向上を図りました。

障害のある社員のキャリアアップや人材育成の取組について

髙島屋全体の取組

横浜店ワーキングチームのメンバーは嘱託員という区分ですが、本年度嘱託員の人事制度も改正し、進級(昇進)制度等を導入しました。人材育成については、雇用形態や障害の有無によらず、研修体系のうち一部を除き全員に機会を提供しています。
例えば、通信教育は150種用意しており、誰もが自分の興味関心、スキルアップに向け選択し受講できます。集合研修についても、個別に相談を受けた場合には、できる限り障害に配慮した対応をできるよう努めています。

横浜店の取組

ワーキングチームに限らず、店内の障害者の勤務状況に個別対応しています。
横浜店での事例では、旧社員食堂の洗い場に長年勤務していた下肢障害のある社員は、加齢に伴う筋力低下による歩行時のふらつき等が次第に増え、安全性を考慮し事務職への配置転換を考えましたが、事務職の経験がないことから本人が配置転換を受け入れられない状況でした。また、食料品フロアで長年勤務していた知的障害のある社員は、加齢に伴う作業スピード・持続力の低下や、間違いが多くなるなど、これまでできていた作業ができなくなっていました。
それぞれの社員に対して、社内研修の位置付けでワーキングチームに参加してもらい、ジョブコーチが本人の作業適性を把握し、作業環境の見極めを行いました。本人も自身の能力を客観的に把握することで、次第に配置転換の必要性を理解し、ワーキングチームに移り、今ではさらにスキルを伸ばし活躍しています。
また入社直後の配属はワーキングチームでしたが、そこでの経験を活かし、販売部の所属に人事異動した社員もいます。
このように、ワーキングチームを通じて、柔軟な研修受け入れや配置転換を行うことで、店内の障害のある社員のさらなるスキル向上、成果発揮に取組んでいます。

障害者雇用の取組の変遷について

髙島屋全体の取組

当社グループは持続可能な社会の実現に向けてSDGsを支持し、本業を通じた社会的課題解決への貢献と、事業成長の両立を図るべく「髙島屋グループSDGs原則」を策定しています。
2030年のSDGs達成に向け、「地球環境への配慮」「まちづくり」「アクセスフリー・ストレスフリーな商品・施設」「持続可能な商品・サービスの提供」「働きがいの創出」という5つの重点テーマを掲げ、取組んでいます。
取組テーマの一つである「働きがいの創出」について、年齢・性別・障害・国籍を問わず、多様な人材が活躍できる環境整備を進めています。障害のある方が働きがいをもって、安心して能力を発揮できるよう、ハード・ソフト両面からサポートできる体制構築のため、本年度9月より、ワーキングチームを人事部所属といたしました。

横浜店の取組

毎年数名ずつ採用を続けた結果、業務内容や業務量が加速度的に増え、ワーキングチームの要員が増えたため、事務所を現在の場所に移転し、2017年3月からは売場支援機能の業務部の所属となりました。
2020年9月からは、障害者雇用の安定化を目的に人事部所属となり、本社ダイバーシティ推進室・店人事グループと連携し、課題の共有と全社への水平展開を目指しています。

未来に向かって

SDGsの理念通り、年齢・性別・障害・国籍を問わず、誰一人取り残さない。ワーキングチームに限らず、会社を誰もが働きやすい場所、やりがいを感じられる場所にしていきたいと思っています。
障害のある社員に配慮された環境や制度は、社員全員にとっても仕事の生産性向上に繋がるものであり、加速度的にその理念の実現を目指していきます。

このページへのお問合せ

健康福祉局障害自立支援課就労支援係

電話:045-671-3992

電話:045-671-3992

ファクス:045-671-3566

メールアドレス:kf-syuurou@city.yokohama.jp

前のページに戻る

ページID:927-266-029

  • LINE
  • Twitter
  • Facebook
  • Instagram
  • YouTube
  • SmartNews