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五感で美しい音をつくる 横浜マイスター・福田氏を訪ねて
最終更新日 2026年8月27日
今回のタウンニュース「区長の人・まち探訪」(外部サイト)では、令和7年度横浜マイスターに選定された弦楽器製作・修理職人の福田氏を訪ね、お話を伺いました。
福田氏がバイオリンに魅了されたのは、その美しい曲線でした。大学時代に楽器に触れたことをきっかけに製作の道へ進み、現在は年間数百件に及ぶ修理を手掛ける傍ら、新たな楽器づくりにも取り組んでいます。
バイオリンに使う木材は、伐採後すぐには使用せず、40~50年ほど乾燥させることもあるそうです。十分に乾燥させることで木が安定し、美しい音色と耐久性が生まれます。また、同じ樹種であっても木目や年輪の違いによって響きは大きく変わるため、「まったく同じ楽器はできない」と話します。そこには自然素材ならではの奥深さがあります。
また、福田氏は楽器づくりにおいて「人との対話」を何より大切にしています。演奏者が求める音は一人ひとり異なり、きょうだいでも理想の音色は違うそうです。どのような曲を演奏するのか、どんな場面で使うのかを丁寧に聞き取り、その人に寄り添った楽器や調整を行っています。まさに職人技とコミュニケーション力の両方が求められる仕事です。
製作だけでなく、修理や音の調整にも高い技術が求められます。中でも重要なのが、楽器内部にある「魂柱(サウンドポスト)」と呼ばれる小さな部品です。福田氏によると、その位置をわずか0.数ミリ動かすだけで音色は大きく変化するとのこと。演奏者が求める音を実現するため、曲目や演奏環境まで丁寧に聞き取りながら最適な調整を行います。修理依頼の多くが故障ではなく「もっと良い音を出したい」という相談だという話からも、音づくりへの探究心が伝わってきました。
福田氏の信条は「修理なくして製作なし、製作なくして修理なし」。名器の修理を通じて音色を学び、その経験を製作に生かす。両方の技術を磨き続けることで、より良い楽器づくりにつなげています。
「美しい音とは、耳だけでなく五感で感じるもの。自然と心に響き、思わず涙が出るような音です」と語る福田氏。横浜マイスターとして、その確かな技術と感性で、これからも多くの演奏者の音楽を支えていくことでしょう。横浜が誇る匠として、今後のさらなるご活躍を大いに期待しています。
穴を覗き、魂柱の位置を調整
福田氏が最初に制作したバイオリン
令和8年8月
神奈川区長 鈴木 茂久
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