ここから本文です。
第4回「市長と語ろう!」
最終更新日 2024年8月20日
開催概要
≪テーマ≫ 区民力の向上と豊かな地域づくり
≪日時≫
令和6年7月23日(火曜日) 10:00~
≪会場≫
交流広場とつか(戸塚区)
≪対話団体≫
特定非営利活動法人 くみんネットワークとつか
≪団体概要≫
とつか区民活動センターをはじめ、行政や企業と協働・連携し、市民活動を支援する3つの拠点を運営。市民活動団体・学習グループ等に対する情報発信や連携・交流などネットワークづくりに関する事業のほか、これから市民活動を始めようとする個人の支援を行うなど、区民力の向上と豊かな地域づくりに貢献しています。
対話概要
※ 文意を損なわない範囲で、重複部分や言い回しなどを整理しています。
市長挨拶
市長
皆様おはようございます。横浜の特徴として、市民の皆様の社会貢献に対する意識が非常に高いということがあるのではないかと思います。そして、その特徴を際立たせる最たるものとして市民力、地域力であると思っています。そういった社会貢献に対する意識の高い方々が、貴重な地域の担い手として実際に活動していただくことで、地域がより良くなっていくと思っていますし、今日ここにお集まりいただいた皆様も同じ思いで活動をされていると思います。
地域の皆様が主体となる活動を持続的に行えるようにしていくことが、より良い社会を作っていくことに繋がるのだろうと思っているのですが、言うは易しで、実際はなかなか難しいですし、時間もかかります。ただ、そういったことを進めていくために各区に市民活動支援センター(以下、「区活」)があり、その中で戸塚区では興味深い活動、いきいきとした活動をされていると伺っています。今日は皆様からそういった活動内容をお聞かせいただき、意見交換をできればと思います。よろしくお願いします。
様々な素晴らしい活動をされている方々を巻き込みながら立ち上げ
参加者
私たち「くみんネットワークとつか」は2008年の12月に設立しました。この頃は、横浜市18区それぞれで区活を設置しようという動きが起こっていた時期です。戸塚区では新しくできる区活を公営にするか民営にするか、その検討会が開かれ始めていました。民営になったときの受け皿の一つになりたいという思いもあり、検討会に参加していたメンバーを中心に立ち上げをしました。
市長
最初は何人くらいだったのですか?
参加者
最初は8人で検討委員会が始まって、そこに4人加わってNPO法人を立ち上げました。国際交流や子どもといった様々な分野、そして戸塚は南北にとても長い地域ですので、北の方は東戸塚の方から、南の方は藤沢に近いところまで、様々な素晴らしい活動をされている方々を巻き込みながら立ち上げました。
「人と人とがつながる場をつくりたい」、「地域の活動をより活発にしたい」、「お互いの活動を結んでネットワークを築きたい」、そんなことを理想として掲げて立ち上げた法人です。設立して10年程たち、「活動に対してその基本的な考え方を皆で共有する。それが大事だよね」、「どんどん発展していく中で基本に立ち返ろうね」といった思いもあって、法人として私たちが目指す社会である「ビジョン」、目指す社会を実現する活動としての「ミッション」、活動で大切にしている価値観「バリュー」、これらを2022年に策定しました。そして、様々な場面で皆さんに伝えていくようにしています。
市長
今は会員の方はどのくらいいらっしゃるのですか?
参加者
25人くらいです。ボランティアなども含めると70人くらいです。
3つの拠点を運営
参加者
私たちの法人は3つの拠点を運営しています。1つ目は区活ですが、戸塚区が検討委員会を立ち上げて検討した結果、民営にすることに決まりました。私たちもプロポーザルに参加し、受託することができ、区との協働によって運営するということで2009年3月にオープンしました。この時点では、横浜市18区中3区が民営となり、残り15区は行政直轄になっています。その民営3区も1つは公益財団法人、もう1つは株式会社の運営で、NPO法人が運営しているのは戸塚のみということでした。
現在は、株式会社だったところもNPO法人に運営が変わり、NPO法人が3区、公益財団法人はそのまま1区、一般社団法人が1区、社会福祉法人などのグループでの運営が1区、計6区が民営と聞いています。
次に、「ふらっとステーション・とつか」の運営についてです。こちらは地域のコミュニティースペースの創出を目指して横浜市と企業の連携によって2014年3月にオープンした地域の居場所になります。当時、横浜市では市有地の売却に当たって、公民連携で地域課題の解決を図る「公民連携による課題解決型公募モデル事業」が立ち上げられ、そのプロポーザルで選定された事業者から「みんなで集える場所」の創出とその運営のためにお声がけいただき開設した経緯があります。
この時のご縁もあり、ここ「交流広場とつか」についても、同じように横浜市と企業との連携2例目として、同じ企業から「一緒にやってくれないか」とお誘いを受け、2018年にオープンしています。
こういった経緯で、当法人として今では3つの拠点を運営しています。
「何か始めたい」「情報を集めたい」という方々
参加者
区活では市民活動、生涯学習活動、ボランティア活動を応援しています。「何か始めたい」「情報を集めたい」という方々が毎日訪れています。区活は現在2か所ありまして、1か所が戸塚駅、もう1か所が東戸塚駅になります。駅が違いますので、住んでいる場所によって便利な方をご利用いただいています。特に戸塚駅の方は戸塚区総合庁舎内にありますので、区役所に来た方がふらっと立ち寄られ、相談をし、情報を持って帰って下さるというとても便利な場所になっています。区活の事業計画では2023年度から2027年度までの運営における全体目標ということで、「連携を通して変化を生み出す」という目標を立てています。5年間の委託を受けるにあたり、5年間の目標を立て、そして年度ごとの重点目標を立てたものを、年度初めにみんなで共有して事業をスタ-トすることとしています。
市長
現在、区活は非常勤の方なども含めて、何人くらいで運営されていらっしゃるのですか?
参加者
4人が常勤スタッフ、6人が非常勤スタッフの合計10人という体制で運営しています。
ただ常勤、非常勤の仕事内容を分けていないので、みんなが同じ相談を受けますし、事業を推進していこうということで、就業時間の差はありますが、みんなで同じ仕事をしています。
5つの項目
参加者
コロナ禍を経て何か始めたいという方がかなり増えてきましたので、「活動スタートの応援」ということを今年度の重点目標に置いています。
具体的な事業内容ですが、「相談・支援」、「仕組みづくり」、「場の提供」、「情報の収集と発信」、「企画事業」の5つを行っています。
市長
年間どれくらいの相談件数があるのですか。
参加者
昨年度の事例ですと、昨年度は団体が237件、個人が958件でおよそ1,200件くらいですね。やはり、個人の方で「何かやりたい」とか、「こういう活動ありませんか」という相談が多いです。
市長
こういったことで「役に立ちたい」とか、あるいは自分のやっている「こういったことを広げていきたい」とか、そういう類が一番多いですよね。
参加者
そうですね。団体についてはその活動の幅をもう少し広げるための「資金が欲しい」とか、「メンバーを集めたい」とか、「広報どうすればいいの」とかそういった相談になります。
この「相談・支援」については、なかなかスタッフ一人では解決できないような内容も多いので、スタッフ会議の中でその相談内容を共有し、全員で考えて解決するということも行っています。続いて「仕組みづくり」については、皆さんの声や利用者の意見交換会を実施し、そこでいただいた区活への意見や活動に対する悩みなどを区活運営に生かしたり、次の事業に生かしたりしています。「場の提供」では、ミーティングコーナーと会議室の管理を行っています。会議室の利用は団体の登録目的の上位にあがってくるもので、何となく自分たちが活動しようと思っても場所が無いということで、活動の場所を探しているということがあるのだと思っています。
市長
会議室はいつも予約が埋まっているような状況ということですか。
参加者
最終的にはほとんど埋まる感じです。4か月前に抽選で申込をしてもらっているのですが、空いているところはどんどん埋まって、当日までにはほぼ埋まっています。便利な場所にあるのも皆さんにとって使いやすいのかなと思っています。
この「場の提供」ですが、利用しやすい方法を団体にも聞きながら、仕組みの中に落とし込むように日々考えながら行っており、昨年度、以前から要望の多かったオンライン会議室予約システムをつくり、予約及び予約状況確認をできるようにしました。利用者の皆さんにとっても私たちにとってもすごく効率化が進みました。
次に「情報の収集と発信」についてです。現在「ゆめのたね」という情報紙とウェブページ・Facebook・LINE・YouTubeチャンネルなども活用しながら情報発信しています。この情報誌「ゆめのたね」は全ての町内会ではないのですが、月に1回配らせていただいています。やはり紙媒体で情報を取る方もまだまだ多いので、町内会の回覧をきっかけにお問い合わせや講座の申込も、一定数ある状況です。
続きまして「企画事業」になります。企画事業は細かく「インキュベーション」、「エンパワーメント事業」、「ネットワーキング事業」、「ICT事業」の4つの事業に分けて、様々な講座やイベントを実施しています。私たちが意識しているのは、団体や区民利用施設、大学や企業などとの連携を意識しながら、様々な方々と一緒に事業を進めていくことです。例えば、東戸塚にあるショッピングセンターとの連携が昨年度からかなり深まってきまして、ブックフリマ(本のフリーマーケット)はゴールデンウィークイベントとして協力して実施した事業になります。昨年度に引き続き、今年度も活動紹介展を先方で開催させていただくことになり、ウェブページにも掲載していただくことになっています。
市長
それは先方からお話があったのですか。それとも自然発生的なものだったのですか。
参加者
まずブックフリマに関しては先方から「団体を紹介してほしい」とご相談をいただいたのですが、「やるならば連携でやっていきましょう」とこちらからお話をして、一緒にやっていくという方向にだんだん話が変わったものです。
市長
まさに理想的な展開ですね。
関わりが弱いところについては今後もっと力を入れていきたい
参加者
2023年度とつか区民活動センターの実績になりますが、会議室ミーティングコーナーは東戸塚の区活だけでも年間およそ1万5千人の方が利用しています。戸塚区役所の情報コーナーでは、およそ1万人の方がチラシを閲覧されて、窓口の方にも4,000件程度のお問い合わせやご相談をいただいています。相談件数は先ほどお伝えしたとおり、全体で1,200件程度になります。コロナ禍前よりも若干少なくなっていますが、少しずつ盛り返しているような推移をしています。
相談・コーディネート事例になりますが、昨年度後期から今年度前半に受けた相談を抽出してみると、個人でボランティアを始めたいというものから商店会・医療法人などまで、様々な相談を受けています。ステークホルダーを整理してみると、多岐にわたるステークホルダーからの相談を受けていて、コーディネートをしているということが改めてわかりました。そして、これらのステークホルダーで実際に私たちが関わっている団体・対象者と、その具体的内容を落とし込んだものを見てみると、その中でも関わりが強いところと弱いところがあることもわかりました。したがって、関わりが弱いところについては今後もっと力を入れていきたいと思っているところです。
区活の活動の説明としては最後になりますが、「戸塚区地域づくり大学校」になります。2014年度から10年間開催していますが、今年から名前が変わって「とつか さくら塾」というふうにリニューアルして開催しようと思っています。この10年間でいろんな団体が生まれまして、その活動には区活がしっかりと伴走しながら応援をしています。
繋がりを大事に
参加者
「ふらっとステーション・とつか」「交流広場とつか」の2つの居場所についてご説明します。どちらも地域のコミュニティカフェという位置づけです。先程お話したように公民連携ということでここが始まったのですが、場所自体はどちらもマンションの共有部分という位置づけになっています。家賃は発生していないのですが、維持費などは自分たちでなんとかしなければいけないので、カフェスペースや会議室で若干お金をいただくことで、維持費に回しているという状況です。「ふらっとステーション」の場合はギャラリーなどもあって、自分を表現する場ということで、こちらでも料金をいただいています。
「ふらっとステーション・とつか」では繋がりを大事にしていて、「まちの中に知り合いができる」「自分らしさを生かせる場」ということで、スタートした時からボランティアが経験や自分らしさを生かすということをしてきました。ボランティアの関心がある様々な事業を立ち上げ、その事業を通していろいろな方々と繋がり、そしてまたボランティアのスキルもアップするという好循環が生まれました。こういった人的資源が積み上がってきたということで、地域の課題の一つかなと思われる要支援の方が、なるべく要介護にならないような、横浜市でいう横浜市介護予防サービス補助事業の通所型「サービスB」になるのですが、「私たちも地域課題の解決の一助になるのであれば、私たちにとってもやりがいになる」という思いで3年前に横浜市の健康福祉局に申請して事業を始めています。毎週火曜日に活動をしていて、例えば、学生時代に新体操の選手だったスタッフが、そのスキルを生かしてロコモ体操をやったり、脳トレをやったりしています。また、お隣に保育園があるので、その繋がりで毎年ハロウィンの時期には子どもたちが来てくれて、利用者も大喜びしてくれています。
その他にも区活の紹介で学生がインターンシップとして活動に参加してくれて、活動を知ることで地域の理解を深める一助にもなっていますし、楽器や朗読、紙芝居など芸術系の団体が自分たちの芸を披露して利用者に喜ばれる機会となり、団体としても自分たちの活動を楽しんでもらうことで、自分たちの目標達成もできる場になっているかなと思っています。
時々「コミュニティカフェって何だろう」って言われるのですが
参加者
続いて「交流広場とつか」については、旧東海道沿いということで、戸塚宿を感じてもらえるようなジオラマや浮世絵を置いて工夫をしています。
ここでは「広場カフェ」というみんなでいろいろお話することができる会を月に2回開催しているのですが、ある日、ベビーカーで来ているママたちが自分たちのイベントの打合せをしている隣のスペースで、高齢者の方がお話をしていました。ある方が「紙芝居をつくったから今日ちょっとみせたいな」ということで、せっかく紙芝居を披露するなら「子ども連れのママたちもいるし、高齢者の方もいるから、みんなに見せませんか」となり、5~6分ではありますが親子連れも高齢者の方も会場全体が紙芝居を楽しんだということがありました。時々「コミュニティカフェって何だろう」って言われるのですが、こういうことは普通のカフェでは絶対実現しないなと思いました。
2つの居場所の活動は基本的には同じですが、交流広場とつかは地域組織との繋がりがあります。例えば、区活がオープンして以来の繋がりがある戸塚見知楽会(みちらくかい)と協働で、戸塚宿に関する資料やジオラマの展示をしたり、講座を開催したりしています。また、ケアプラザの出張講座、最近は商店会とも繋がって健康フェスタにこの場所を使ったり、多世代地域交流食堂を春休み・冬休みに実現したりしました。これも区活のコーディネートで実現したものになります。
本当に草の根で繋がりを作っている感じ
参加者
区活は中間支援組織という位置づけになりますが、「ふらっとステーション・とつか」も「交流広場とつか」も現場そのものです。現場としてのステークホルダー、例えば学校や商店会、商店会であれば薬局の講座を行ったりして非常に深い繋がりができています。
市長
例えば商店会だと組合と相談して実施しているのですか。
薬剤師だったら薬剤師会とか、商店会だったら商店会の組合や連合会とか、いろんなところとチャネルを持っているということでしょうか。
参加者
草の根の活動です。薬剤師会のような大きな組織ではなく近所にある薬局とまずは繋がるとか、この拠点が商店会に繋がるとか、本当に草の根で繋がりを作っている感じです。
参加者
個人的な繋がりもかなり、ネットワーク形成に役立っています。
例えば商店会の会長は、それは皆さんも知っているし、私も昔から知っている方です。何かあると正式な打合せの場で物事を決めるということもあるのですが、個人的な繋がりでいろいろ寄せ合って「それいいね、今度一緒にやろうよ」ということが意外と成立しています。
3つの視点をもって活動していきたい
参加者
今年度は、「組織の基盤を強化する」、「拠点の魅力を高め、拠点間の連携をさらに進める」、「『協力の輪』を広げ、深める」という3つの視点をもって活動していきたいと思っています。組織の基盤については、一度足元を見直して強化したいなということです。拠点については、せっかくあるのでその魅力を高めてさらに連携を進めていきたい。そして、いろんなボランティアであるとか、ここの活動を「いいな」と思ってくださる方、私たちが目指していることに共感してくださる方を巻き込んで協力の輪を広げていきたいと思っています。
そして、そのために「ビジョンやミッションの共有」、「人との出会いを大切に」、「地域を見て知って感じること」、それを「広げること・動くこと」、私たちはこれを基本に活動をしています。
みんなで改めてまた意識する機会を作るという循環の中で共有
市長
中長期の計画も含め、ステークホルダーとの関係の整理をして、「くみんネットワークとつか」の中で、あるいは区活の中で共有されているということですが、実際に共有したものをどのような形で生かされているのでしょうか。
参加者
区活の計画ではあるのですが、スタッフ10人で年度初めに事業計画をみんなで確認をして、その上で毎月1回のスタッフ会議で自分の担当事業の進捗を報告することにしています。ただ、報告するだけでなく、自分が課題に思っていることや困っていることなどを議論する場にしています。その時に重点目標に立ち返ったりして、改めてそれをみんな意識してやっていくという場を設けています。
市長
区活としての取組を共有し、ゴールを共有する。目標を共有しながら、いろいろとマネジメントする中で課題解決に役立てるために、そういう使い方をしているっていうことですか。
参加者
そうですね。共有するといっても私が伝えるだけでは多分伝わらなくて、スタッフ会議のときにみんなで改めて意識する機会を作るという循環の中で共有していくことは意識しています。
相手の思いに耳を傾けて、一緒に考えて寄り添うところから理解が進む
市長
相談件数がおよそ1,200件とものすごい件数ではありますが、市民の方々、団体の方々、企業の方々、いろいろな方々がいらっしゃると思うのですが、そういった相談活動をしていく中で時には難しいこともあるかと思います。「これは絶対無理」あるいは「これは何とかなる」ということもある中で、どういうことを心がけてコーディネート、相談対応をされていますか。
参加者
このコーディネーターという職業に従事したときから言われていることとしては、主訴をきちんと理解するということ。そして、柔軟な情報提供をするということ。そこから信頼関係を構築するということ。そういうステップを踏みながら相談コーディネートに取り組むようにしています。相手の思いに耳を傾けて、一緒に考えて寄り添うところから理解が進むのかなと思っています。求められていることを理解して柔軟に情報提供をする、ご紹介する、お繋ぎするということを心がけています。そのためには、いろんな研修会にいったり、ネットワークをつくりにいったり、いろいろなところに顔を出しながら、皆様と情報交換できる場にできるだけ自分たちも行くようにしています。そのことにより情報やご縁というものを得ることができますので、スタッフもそのような心がけで相談コーディネートをしています。それから、その得た情報、どのような相談、コーディネートをしたかということをスタッフ会議で必ず共有するようにしています。
次に同じような事例、アレンジして対応できるような相談コーディネート事例が自分のものとして生かせるようにスタッフ間で共有するというのをすごく大切にしています。そして、仕事をする上で全てのことに通ずることですが、誠実に向き合うということ、それが信頼関係に通じるのかなと思い対応しています。
行政が分野ごとの縦軸であるなら、私たちはそこに横串を刺せるというのが大きな力
市長
区活として相談業務をされている中で、我々行政と協働でやるという部分もあると思っています。行政と協働しながらうまく円滑に進めることが、区活の活動の中でも一番根本的なことだとも考えていますが、様々なネットワークを広げていく最初の入口である相談業務をうまく進めていくために、行政に求めること、期待することはありますか。
参加者
異動等で担当者の方が変わったことによって、何かが変わってしまうというようにはならない方がいいなと思います。
ただ、行政としてどういうことができるかということと、私たちとしてどういうことが提供できるかということは、常に話し合いの中で形成されますので、お互いに補い合ったり、プラスにしたりしながら、二人三脚で進めるようになっていると感じています。
参加者
私たちが受ける相談は地域のことだけではなく、福祉のことであったり、高齢障害のことであったり、多岐に渡ります。なので、様々な所管と繋がる必要があると思っていて、地域福祉保健計画などにも参画させていただいているので、そういったところから行政と繋がりを作って、私たちができることとして、行政が分野ごとの縦軸であるなら、私たちはそこに横串を刺せるというのが大きな力かなと思います。
市長
時には区役所だけでは抱えきれない相談もあると思います。
ただ、それは行政が入っている良さで、行政の方でコーディネートして、区役所の必要なところ、あるいは市役所の必要なところ、場合によっては市役所を飛び越えて市内企業などとの連携がいかにうまくできているかが、皆様の活動のしやすさと比例するのでしょうね。
あと、年度代わりで人が変わってしまうことで継続性に難が出る。また一から説明しないといけないというご意見は行政としては受け止めたいと思います。
先生とかそういう人はいなく、みんなゼロから楽しんでやっている
市長
先ほど出てきた戸塚宿のジオラマの件をお尋ねしたいのですが、「交流広場とつか」で戸塚宿を感じてもらえるような工夫をされているということですが、この宿場よもやま話の会に参加された方々の反応はいかがですか。
参加者
自分が住んでいる町を改めて知ったという方が多いですね。それから、さらに戸塚が好きになったと言ってくれています。
市長
戸塚宿の歴史については、昔からよく知っていたのですか?
参加者
仕事の定年を迎えて、改めて地域や歴史に興味を持ったというところです。先生とかそういう人はいなく、みんなゼロから楽しんでやっている。そういう人たちばっかりです。
この場所だけではなく、講演をしたり、とつか宿場まつりでも展示や紹介をしたりしています。
きっかけを自ら見つけていただくということが、今は大きな課題
市長
地域づくり大学校は名前が「とつか さくら塾」になったとのことですが、リニューアルということですか。
参加者
10年の節目で、戸塚なりの新機軸を打ち出そうというところがあるのだと思います。戸塚の桜並木といったら横浜市全体でもよく知られているということもあります。
市長
受講者の皆さんを間近で見られていてどうですか。受講の回数を重ねるにしたがって変わってきていますか。
参加者
参加者層が10年前からだいぶ変化していますね。
始めた当初はどちらかというと、自治会の役員とか地区社協の役員とか、いわゆる地域組織の役職のある人が非常に多かったかなと思います。
だから多分地域課題を解決するということをここで学んで、地域に帰って頑張るという方が当初は非常に多く、年齢も高めでした。そうなると、そういった方々が興味を持つテーマ、例えば地域防災だとか、地域の活性化とか、地域の担い手をどう掘り起こして育成するのかだとか、そういうことに対するニーズが非常に強くありました。
でも、コロナ禍でだいぶ若返りをして、いわゆる地域の人が少し減って、個人やグループで興味関心あることを実現したいというように、一種の自己実現型のニーズが非常に強くなったと思います。
市長
人数としてはあまり変わってないですか。
参加者
そんなに変わっていないです。
市長
だけどメンバー構成が地域の役職のある方から、ある意味個々人のというふうに変わったということですね。
参加者
個々人がそれぞれに、地域活動に問題意識を持って、参加しています。空き家活用だとか地域の魅力づくりなどに取り組みたいというように、昔よりテーマがちょっと広がってきています。
市長
それはそれで難しいのかもしれませんが、本来の趣旨にはより沿ってきているということですかね。
参加者
沿ってきていると思います。そういう意味では区内在住の大学生も毎年3人くらい参加するようになっています。また、働き盛りの40~50代の参加が非常に多くなっています。
市長
コロナ禍を経て、何かちょっと予想外ですね。
参加者
やはり地域課題とか、地域に目が行き始めていると感じます。何かきっかけがあれば実際に地域活動に取り組むようになるのだと思います。しかし、なかなかきっかけを手にできなくて、そのきっかけをどうやって見つけ、入っていったらいいのかっていうことを問題にしています。
市長
若い世代にどのようにしてきっかけを与えるかというのは、地域づくり・まちづくりへの参画の楽しみ、関心というのを、伝えていくということなのでしょうね。
参加者
「地域課題、地域課題」ってあまり言いすぎると腰が引けてしまうので、入口は「興味関心があることでいいですよ」として、やっているうちにだんだん、地域づくりの方に持ち込むというコーディネートを誰かがすればいいと思っています。そのきっかけを自ら見つけていただくということが、今は大きな課題かと思います。
市長
若い世代にどうやって関心を持ってもらうのかというのは、横浜市という行政経営の中で、いたるところで顔を出す課題ですよね。地域づくりの話もそうですし、自治会町内会の運営などもそうです。横浜という土地が市民の皆様の力で成り立っていると私は思っていますので、そこを今後も継続していくためには、地域のあちらこちらにある若い世代の力の取り込みということが本当に重要だと思います。
参加者
そうですね。だから地域の代表の方には、あまりハードル高くしないで入口は少し入りやすくして、少しずつ関係を構築しながら、時間をかけて地域活動の担い手になってもらうようにしないと、担い手にはなってもらえないと伝えています。
市長
宿場のよもやま話とか面白い話もたくさんありますから、ぜひこういうところにも来てもらって、若い人たちに面白いなって思ってもらえるといいですね。
みんなが応援してくれていると思うと、とても力が出ます
市長
「ふらっとステーション・とつか」と「交流広場とつか」の二つの居場所では多世代交流にも取り組まれているとのことですが、手応えあるいは今後こうしていきたいということはありますか。または、行政にこうして欲しいとか、行政とこういうふうに進めていきたいというのはありますか。
参加者
「ふらっとステーション・とつか」では開所した当初から、中学校と結びつきがあって、中学2年生は地域などで職業体験をするということで、その体験の場にしていただいています。学校の都合もあるのでこちらから日時をお願いできるわけでないのですが、昨年度はサービスBの実施日に来てくださって、地域活動の現場を実際に見ていただくと同時に、高齢者の方々がどういう生活をされているかとか、ご自身の健康のためにこういう活動をしながら健康の維持をしているのかということも知っていただく機会になりました。また、ボランティアで運営しておりますので、ボランティアを始めるきっかけなど、活動についてのお話も聞いていただいています。
参加者
子ども食堂を、他の団体とコラボで実施しています。本当は毎月やりたい気持ちはあるのですが、マンパワーの問題などもあり、今は長い休みの時にやろうということで、今月末に第3回目の開催をします。先ほど話した商店会の会長がとっても興味を示されて、「今度は参加させて欲しい」ということで三者のトリプルコラボになります。
市長
商店会はどういった形で参加されるのですか。
参加者
チラシを小学校に配ってくださったりとか、商店会のところに貼ってくださったりとか、いろんなところに配架してくださり、お客様がたくさん来るように応援してくださっています。みんなが応援してくれていると思うと、とても力が出ますし、これからもっと続けていければいいなと思っています。
市長
そういう活動に大学生がインターンシップとかに来てくれるといいですよね。
参加者
お手伝いの方にもいらっしゃいます。
参加者
この間開催した地域で活動する方が集まった大交流会は区内の大学生が5名来てくれて、ファシリテーターをやっていただいたりしました。
市長
5人全員ではないかもしれない、10人中1人かもしれないですが、地域活動を引っ張っていくことに関心を持つ方が出てくると思います。そういうことも行政として考えていかないといけないと思いました。
小さな積み重ねや点と点を繋げて面にする
市長
いろいろ伺いましたが、様々な主体と関係性を築けている根本的な要因というのは、やはりこういろいろなステークホルダーを整理して関係性を築いているからということが大きいですかね。
参加者
はい、自分が動いて、出会って、引き出しの中にいっぱい入れて、どこかに繋げていくっていうことを常に意識しています。
市長
多分引き出しもたくさんあって、それぞれの引き出しを開けたらそこにもいろいろあるのだと思います。多くの様々なステークホルダーがいて、そこの関係性を大切にされているということが、10年以上活動されて、今では手広く、そしてアクティブな活動ができている根本的な要因ということですかね。
参加者
先ほどの紙芝居の話が本当にそのとおりで、何にも知らないと何も起きなかったと思っています。でも、それぞれが引き出しに入っているから「これとこれを繋げちゃおう」というふうに、小さな積み重ねや点と点を繋げて面にするという感じでできているのだと思います。
市長
そうですよね。僕はそういう話が大好きなんですよ。
それでは最後になりますが、今後どのようにNPOの活動を展開していきたいですか。
参加者
「横浜コード(※1)」というのがあって、それを基本的な理念とする「協働推進の基本指針(※2)」が策定されていると思います。また、横浜はもともと自主的な活動をされている地域だと思っています。私たちは中間支援組織ということもあり、様々な団体等との協働、行政との協働をしています。そういった中で、戸塚においてより一層協働を進めていくということが大きな役割だと思っています。経済情勢、社会情勢もどんどん変わっている状況で、それもしっかりと受け止めながら、今まさに何が求められているのかを考えつつ、基本的な部分は変えないで、これからの活動を展開していきたいと思っているところです。
※1横浜コード(横浜市における市民活動との協働に関する基本方針)
市民活動と行政が協働して公共的課題の解決にあたるため、協働関係を築く上での基本的な事項を定め、公益の増進に寄与することを目的とした協働に関する基本方針
※2協働推進の基本指針
協働推進の基本指針は、「横浜コード」を基本的な理念とし、横浜市の施策・事業を協働の視点を持って推進するため、市民の皆様と行政との共通の拠り所となる緩やかなルールとして、平成 16 年7月に策定。その後8年間が経過し、この間、様々な社会的状況の変化が生じる中で、数多くの協働施策が実施され、関係条例や市民活動拠点の整備も進み、地域の絆を深め、協働をさらに進める必要が生じたことから、平成24年10月に改訂。
市長コメント
市長
ありがとうございます。
せっかくできたご縁で、我々行政とNPOである皆さんとこの区活の活動を始めて時間もたちます。お互いの信頼関係もできていると思っておりますので、今後もお互いに思いを伝えあうことで、この信頼関係をさらに強くして、活動をこの戸塚の地で引き継いでいきたいと思います。また、まちづくり・地域づくりのベースになるのが区活ですから、今後も横浜市全18区の区活を元気にしていかなければと思いますし、そのためには、本日伺ったような活動を横浜市全体で展開していきたいとも思っていますので、今後ともよろしくお願いいたします。
このページへのお問合せ
ページID:777-519-781