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救命処置以外の応急手当
最終更新日 2019年9月25日
その他の応急手当の基礎実技
応急処置の動画
企画作成:株式会社野毛印刷、監修:横浜市消防局
傷病者の搬送方法の動画
企画作成:株式会社野毛印刷、監修:横浜市消防局
傷病者の管理法
衣服のゆるめ方
傷病者にとって楽な姿勢をとらせ、衣服やベルトなどをゆるめる。衣服は、傷病者に動揺を与えないように、できるだけ安静にしてゆるめる。
- 傷病者に意識がある場合は、よく説明をし、希望を聞きながら衣服をゆるめ、無理強いしない。
- 救命処置が必要ならば、そちらを優先する。
保温(傷病者の体温を保つ)
保温の例
悪寒、体温の低下、顔面蒼白、ショック症状などが見られる場合は、傷病者の体温が逃げないように毛布などで保温する。
- 電気毛布、湯タンポ、アンカなどで傷病者を暖めることは、医師から指示を受けたとき以外はしてはいけない。
- 地面やコンクリートの床などに寝かせるときの保温は、身体の上に掛ける物より、下に敷く物を厚くする。
- 熱中症を除き、季節に関係なく実施する。
- 保温をすることによって、圧迫感を与えないように注意する。
- 服がぬれているときは、脱がせてから保温をするようにする。
体位の管理法
- 傷病者に適した体位(姿勢)を保つことは、呼吸や循環機能を維持し、苦痛を和らげ、症状の悪化を防ぐのに有効である。
- 傷病者の希望する、最も楽な体位を取らせる。
- 体位を強制してはいけない。
- 体位を変えてやる場合は、痛みや不安感を与えないようにする。
仰臥位
仰臥位(仰向け)
- 背中を下にした水平な体位である。
- 全身の筋肉などに無理な緊張を与えない。
- 最も安定した自然な姿勢である。
- 心肺蘇生法を行うのに適した姿勢である。
座位
座位
- 座った状態でいる体位である。
- 胸や呼吸の苦しさを訴えている傷病者に適している。
半座位
半座位
- 上体を軽く起こした体位である。
- 胸や呼吸の苦しい傷病者に適している。
- 頭にけがをしている場合や、脳血管障害の場合に適している。
回復体位
回復体位(側臥位)
- 傷病者を横向きに寝かせ、下あごを前に出して気道を確保し、両肘を曲げ上側の手の甲を顔の下に入れ、上側の膝を約90度曲げ、後ろに倒れないようにする体位である。
- 吐いた物を口の中から取り除きやすい。
- 窒息防止に有効である。
- 意識のない傷病者に適している。
骨折の応急手当
骨折の例
1.骨折している部位を確認する
- どこが痛いか聞く。
- 痛がっているところを確認する。
- 変形や出血がないか見る。(激しい痛みや腫れがあり、動かすことができない。変形が認められる。骨が飛び出している。)
確認する場合は、痛がっているところを動かしてはならない。骨折の疑いがあるときは、骨折しているものとして、手当てをする。
2.骨折しているところを固定する。(そえ木、新聞紙、三角巾など)
- 協力者がいれば、骨折しているところを支えてもらう。
- 傷病者が支えることができれば、自ら支えてもらう。
- 副子を当てる。
- 骨折部を三角巾などで固定する。
- 変形部位を無理に元に戻さない。
副子は、骨折部の上下の関節が固定できる長さのものを準備する。固定するときは、傷病者に知らせてから固定する。
腕の固定
雑誌を利用した前腕部の固定
三角巾などで腕をつる
足の固定
ダンボール等を使用した足の固定
けがに対する応急手当
1.包帯法
- 包帯は、きずの保護と細菌の侵入を防ぐために行う。
- できるだけ清潔な包帯等を用いる。
- きずを十分に覆うことのできる大きさのものを用いる。
- 出血があるときは、十分に厚くしたガーゼ等を用いる。
- きず口が開いている場合などは、原則として滅菌されたガーゼを使用し、脱脂綿や不潔なものを用いてはならない。
- 滅菌ガーゼを扱うときは、清潔に扱う。
- きず口が土砂などで汚れているときなどは、きれいな水で洗い流すなど清潔に扱う。
- 滅菌された材料は有効期限に注意する。
包帯は強く巻くと血行障害を起こすので、注意して巻く。包帯の結び目は、きず口の上を避けるようにする。
2.三角巾
- 体のどの部分にも使用できる。
- きずの大きさにとらわれずに使用できる。
- きず口にはガーゼ等を当ててから、三角巾を用いるようにする。
搬送法
傷病者の搬送は、応急手当がなされた後に行ったり、危険な場所から安全な場所に移動させるために行うものである。傷病者に苦痛を与えず安全に搬送することが大切である。
担架搬送法
1.担架搬送法
担架搬送は、傷病者の応急手当を行った後、保温をして、原則として足側を前にして搬送する。搬送中は、動揺や振動を少なくする必要がある。
2.応急担架作成法
- 竹ざおと毛布による担架:毛布の3分の1の部分に竹ざお1本を置き、片方の毛布を折りかえす。患者の肩幅に合わせて2本目の竹ざおを置き、上の毛布を折りかえした後(折りかえししろ15cm以上確保)、下の毛布を折りかえす。
- 衣服を用いた応用担架:5枚以上の上着を準備し、上着のボタンをかけたまま、両側から竹ざおに通す。
1名で搬送する方法
背部から後方に移動する方法
- 背部から後方に移動する方法で、おしりをつり上げるようにして移動させる。
背負って搬送する方法
- 背負って搬送する方法で、傷病者の両腕を交差または平行にさせて、両手を持って搬送する。
横抱きで搬送する方法
- 横抱きで搬送する方法で、小児、乳児や小柄な人は横抱きにしたほうが搬送しやすい。
毛布を用いた搬送方法
- 毛布、シーツを利用する方法で、傷病者の胸腹部を圧迫することが多いので注意する。
傷病者の状態、けがの部位や病気の種類により、最も適切な方法で運ぶ。やむを得ない場合にとどめ、努めて複数の者により搬送を心がける。
2名で搬送する方法
傷病者を前後で抱えて搬送する方法
- 傷病者の前後を抱えて搬送する方法
両手を組んで搬送する方法
- 両手を組んで搬送する方法
傷病者の首が前に倒れるおそれがあるので、気道の確保に注意する。2名がお互いに歩調を合わせ、搬送に際して傷病者に動揺を与えないようにする。
3名で搬送する方法
- 3名で搬送する場合の注意事項
- 足側の膝をつき、頭側の膝を立てて折り膝とする。
- 両腕を傷病者の下に十分入れる。
- 3名が同時に行動する。
3名で搬送する方法1
3名で搬送する方法2
首のけがに対する応急手当
1.次の症状があるか聞く
- 首が痛くないか
- 呼吸は苦しくないか
- 手足を動かせるか、しびれはないか
これらの症状が一つでもある場合は、首の骨を痛めていると判断する。
2.首が動かないようにする。
- 意識があれば、動かさないように伝える。
- 頭を両手で支え、動かさないようにする。
- 声をかけ、元気づける。
傷病者の置かれた周囲の状況が安全であれば、そのままの状態にしておく。
3.やむを得ず移動する場合
- 協力者を集める。
- 板などの固い平らな上にのせ、全身が動かないように固定する。
- 安静に移動する。
傷病者の生命に危険がおよぶような周囲の状況が見られない限り、動かしてはならない。
溺水に対する応急手当
1.溺れている人を救助する
- 溺れている人を発見したら、まずは119番通報や周囲の人に知らせる。
- 周囲につかまって浮くことが可能な救助用の浮き輪などがあれば、溺れている人に投げ入れる。さらにロープがあれば、投げ渡して陸地に引き寄せる。
自ら救助を行おうとして、巻き込まれて溺れてしまうケースがあるので、救助は消防職員やライフセーバーなどの専門家に任せるのが原則である。もし溺れている人が水没してしまったら、水没場所を目印とともに覚えておき、到着した消防職員などの専門家に伝える。
2.心肺蘇生法の実施(気道の確保、人工呼吸、心臓マッサージ)
- 意識がない場合には、気道を確保する。その状態で呼吸が見られない場合には、直ちに心肺蘇生法を開始することが重要である。
飛び込み事故では、首の怪我がないか特に注意する。首の怪我が疑われる場合には、下顎挙上法(かがくきょじょうほう)により気道を確保する。溺水事故では、一刻も早く(可能ならば水中からの救出中においても)人工呼吸を開始することが重要である。また、水を吐かせることに時間を費やしてはならない。
溺れている人が吐いたら
3.溺れた人が吐いたら
- もし、溺れた人が吐いたら、直ちに顔を横に向ける。首に怪我があると判断される場合には、体ごと横に向け、頭が下がらないように支える。
- その後、口の中をきれいにし、再び心肺蘇生法を続ける。
- 無理に腹部を圧迫して、水を吐かせる必要はない
熱傷(やけど)に対する応急手当
やけどの冷却
- できるだけ早く、きれいな冷水で痛みが和らぐまで冷やす。
靴下など衣類を着ている場合は、衣類ごと冷やす。水疱を破らないように注意する。広い範囲の熱傷の場合は、冷やすときに体が冷えすぎないように注意する。氷や氷水などによる長時間冷却は、冷えすぎてしまい、かえって悪くなることがあるので注意する。
ショック状態への対応
ショックの人の顔
1.ショックの見方
- 顔色を見る。
- 呼吸を見る。
ショックの症状は以下のとおりです。
- 目はうつろとなる。
- 呼吸は速く浅くなる。
- 冷汗が出る。
- 表情はぼんやりしている(無欲状態)。
- 唇は紫色か白っぽい(チアノーゼ)。
- 体は、こきざみに震える。
- 皮膚は青白く、冷たい。
2.ショックに対する応急手当
- 傷病者を水平に寝かせる。
- 両足を15cmから30cmぐらい高く上げる。
- ネクタイやベルトをゆるめる。
- 毛布や衣服をかけ、保温する。
- 声をかけて元気づける。
ショックの症状がみられる場合は、生命に危険が迫っている場合があります。直ちに119番通報してください。
異物の除去(食物などの異物が口などに詰まった場合の処置)
異物(食物、吐物、血液など)が口の中や喉などに詰まっている状態(気道閉塞)が、強く疑われる場合における異物の除去の方法
傷病者に反応(意識)がある場合の異物の除去の方法
背部叩打法
1.背部叩打法
- ひざまずいて、傷病者を自分の方に向けて側臥位にする。
- 手の平(手の付け根に近い部分)で、肩甲骨の間を何度か力強く連続してたたく。
- 体位は、側臥位のほかに座位や立位による方法もある。
腹部突上法
2.腹部突上法
- 腕を後ろから抱えるように回す。
- 片手で握りこぶしを作り、傷病者のみぞおちのやや下方に当てる。
- その上をもう一方の手で握り、すばやく手前上方に向かって圧迫するように押し上げる。
意識がない場合や妊婦、1歳未満の乳児には、行ってはならない。
なお、傷病者が咳をすることが可能であれば、咳をできるだけ続けさせる(咳は、異物の除去に最も効果的である。)
傷病者に反応(意識)がない場合
意識がある場合でも、応急手当を行っている途中に意識がなくなった場合には、意識がない場合の方法による。
- 助けを呼ぶことや119番通報が済んでない場合は、直ちにそれを行い、AEDも手配する。
- 心肺蘇生を開始する。
- 心肺蘇生を行っている際に、口の中に異物が見えた場合は、異物を取り除く。
- 口の中に異物が見えない場合は、異物を探すことに時間を費やさず、心肺蘇生を行う。
乳児、新生児に対する異物除去
- 小児(1歳以上)に対する異物除去の方法は、成人に対する場合と同じ
- 1歳未満の乳児・新生児について、異物による気道閉塞が疑われる場合の方法
意識がある(刺激に反応する)場合
乳児への背部叩打法の図
1.背部叩打法で背中たたく。
- 片腕の上に腹ばいにさせて、頭部が低くなるような姿勢にする。
- あごを手にのせた後、突き出すようにする。
- もう一方の手の付け根で背中の真ん中を強くたたく。
乳児、新生児に対しては、腹部突上法は、行ってはならない。
上向きへ返す
2.その後、反応がなくなった場合、乳児に対する心肺蘇生法を行う。
- 乳児の頭部と背中をささえ、両前腕ではさみ、上向きにひっくり返す。
- ひっくり返した乳児をもう片方の前腕にのせて、引き続き頭を低く保った状態で、2本の指で胸骨圧迫を、1分間に100回から120回のテンポで30回と口対口鼻の人工呼吸を1回1秒で2回行う。
意識がない場合
乳児の心肺蘇生
- 直ちに助けを呼び、119番通報して、心肺蘇生法を開始する。もし、助けを呼んでも誰もいない場合(救助者が1人の場合)には、まず自分で119番通報し、AEDが近くにあれば手配を行い、通常の心肺蘇生を行う。
- 気道を確保した状態で人工呼吸を行う。人工呼吸を行う際に、口の中に異物が見えるならば異物を取り除く。
- もし、口の中に異物が見えないならば、気道を確保した状態で、心肺蘇生法を継続する。
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